広告:アニメ「Back-Street-Girls-ゴクドルズ-」-DVD-BOX-小野大輔
[携帯Top] [文字サイズ]

■夏の日の想い出・アルバムの続き(1)

[*前p 0目次 8時間索引 #次p]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 
前頁 次頁 時間索引目次

↓ ↑ Bottom Top


 
あれはいつのことだったか記憶が曖昧である(*2)。私とマリはその日、神戸に居て翌日は朝から東京で仕事があるので最終の新幹線で移動しようと言っていた。その時ローズ+リリーのファンで難病と闘っている女性・麻美さんが危篤になったという連絡を受けた。
 
「行こう」
とマリは言った。
「それでは明日の仕事に間に合わない」
と私は言った。
 
その時、私たちと打ち合わせしていた食品会社の人が言った。
 
「今から沖縄に行って、明日の朝には東京に行きたいんですか」
「ええ」
「東京のお仕事は何時ですか」
「9時なんです」
 
「ああ、だったらプライベートジェット使えば間に合いますよ。ちょっと失礼」
 
その人がどこかに電話していたがOKが取れたようであった。それで彼が私たちを神戸空港に送ってくれる、そして私たちはそこに駐まっていた小型ジェット機に乗り込んだのである。
 
↓ ↑ Bottom Top


飛行機には20代の女性で前橋さんという人が乗っていた。この飛行機のオーナーの親戚か何からしい。
 
「オーナーが今日はちょうど大会に出ているので私が同乗します」
と言って、飲み物や軽食などを出してくれた。
 
マリはプライベート・ジェット機というのに、はしゃいでいて
「VIPになった気分だね」
などと笑顔で言いながら、ビザとかタコスとかを食べていた。でも満腹すると“赤い旋風”(*1)を使って詩を書き出した。
 
黙って見ていたが『空に祈る』というタイトルであった。マリは楽しそうにおしゃべりしながら食べ物を食べていても、麻美さんのことも心配してるんだな、と私は思った。
 
「病気の御友人の御見舞いなんですか」
「ええ。私たちの熱心なファンなんですよ」
「早く良くなるといいですね。御友人は女性ですか」
「はい」
「だったらこれ御守りに差し上げます」
と言って前橋さんは金色の鈴をくれたので私はありがたく頂いた。
 
↓ ↑ Bottom Top

「でも女性でなかったら何かまずいんですか」
とマリは訊いた。
「特に問題無いです。女性化するだけですから」
「ああ、だったら全く問題ないですね」
とマリは言った。
 
(麻美さんはこのあと生理が再開したらしいのでほんとに女性化作用があったりして)
 

↓ ↑ Bottom Top

1時間ほどで那覇空港に到着する。前橋さんがレンタカーを借りていて私たちは病院に送ってもらった。麻美さんは意識が無く友人の陽奈さんが心配そうである。私は前橋さんから頂いた鈴をベッドの4本の柱の内のひとつに付けた。
 
そして・・・夜中0時過ぎに、麻美さんは意識を回復したのである。
 
「麻美ちゃん!」
「陽奈ちゃん・・・」
「良かった」
 
「あっ。マリさん、ケイさん」
「あまり無理してしゃべらなくていいよ。意識取り戻せてよかったね」
「はい。ありがとうございます!」
 

↓ ↑ Bottom Top

(*1) “赤い旋風”はマリ&ケイが制作に使用しているボールペンのひとつ。ふたりが使用している主なボールペンは次の5つ。
 
赤い旋風:主としてマリが使う。セーラー製。ケイが高校に入った年に買った。買う時にお金が足りず、偶然近くに居た麻央からお金を借りた。“旋風”は麻央が剛速球を投げるピッチャーであることから。4725円もした。マリの使用ボールペンの中ではもっとも高価なもの。でもマリは「あ。このボールペン書きやすい。もらうね」と言って勝手にもらった!
 
マリはこのボールペンが一番のお気に入りで亡くなるまで使用し、その後はキララ(かえでの孫で、ケイとマリの曾孫にあたる)が受け継いだ。
 
青い清流:セーラー製。元々はケイが小学生の時に漫画コンテストの努力賞としてもらったボールペン。ヴァイオリンのお礼に高岡猛獅にあげたが主として夕香が使用した模様。ずっと後に支香がケイにくれて元の持ち主に戻る。このボールペンは後にあやめに渡される。
 
↓ ↑ Bottom Top

銀の大地:セーラー製。中学3年の時に合唱大会の入賞記念品にもらったもの。同型のボールペンを数人の友人が持っているが、並べて見ても銀の大地はこれだと分かる、特異な個体である。いわゆる "one of thousand" だと思う。量産品の中に希に出現する名品。
 
金の情熱:パイロット製。高校1年の時スキーに行った際に現地で買ったもの。お土産品として売られていた金ピカのボールペンでボディには金粉も使用されているらしい。
 

↓ ↑ Bottom Top

夜間飛行:秋穂夢久専用。実は赤坂の全日空ホテルでアメニティグッズとして(ホテル側の好意で)もらったもので、マリが使用しているボールペンの中で唯一の使い捨てタイプ。数年に一度更新している。ホテルの社長が、マリが使用していると聞き、ずっと生産を続けることを約束してくれた。
 
秋穂夢久(あいおむく)とは実は全日空→青組 aokumi → aio muk.
 
その後、ホテルの経営者は変わってしまったが、現在はローズ+リリーのファンクラブでも "Rose+Lily" のロゴを入れて販売しているので結果的に生産が続けられている。マリが使用するものだけ特に(許可を取って)ANAのロゴを入れている。
 
製造していた工場が経営危機になった時は工場自体をケイが買っちゃった!500円のボールペンを作ってもらうために3000万円支出した。更に1億円投入して大半の製品の製造を自動化したが、このボールペンだけは古い生産ラインで作られている。色違いの同等品が、アクア:水色、常滑舞音:金ピカ、ラピスラズリ:紫、薬王みなみ:浄瑠璃イエロー、白鳥リズム:スノーホワイト、姫路スピカ;スピカブルー、の地色に各々のロゴ入りで生産されている。
 
↓ ↑ Bottom Top

現在工場は黒字経営である。創業者は引退して娘さん(実は元息子)が社長になっている。彼女の性転換手術代はマリが出してあげた。なお、天然女性と結婚していて子供も居るので、法的な性別を変更する予定は無いらしい。
 
現在この工場は主として100円ショップに文具を卸しているが、上述のように§§ミュージック・タレントのアメニティグッズも生産している。舞音の招き猫ダイアリーもここで生産している。
 

↓ ↑ Bottom Top

この夜、結局私とマリは病院の休憩室で朝まで休ませてもらったが、麻美さんの体調は朝までにはかなり良くなっていた。朝4時頃(ホテルに泊まっていた)前橋さんが来る。前橋さんもその少女にお見舞いをというので一緒に病室に行った。
 
麻美さんはかなり回復したようで、陽奈さんとおしゃべりしていた
 
私は彼女を紹介する。
「私たちをプライベート・ジェットに乗せて連れてきてくださった方なんですよ」
「プライベート・ジェットって凄いですね!」
 
「私はただの代理ですけどね。でもだいぶ良くなったようでよかったですね」
「ありがとうございます」
「私も以前大きな病気で1年くらい入院したことあるんですよ」
「それは大変でしたね!」
「こんなこと聞いたらいけないけど帽子かぶっておられるのは、やはりアレですか?」
「ええっと・・・」
 
↓ ↑ Bottom Top

「実は私が大病した時も、髪が全部抜けちゃって、人に会うのが恥ずかしーって思ってました」
「あ、私もですけどだいぶ開き直りました」
「でも私、毛生え薬処方してもらってそれで入院中に少しは髪が復活したんですよ」
「あ、その手があるかな。私もお医者さんにお願いしてみよう」
 
(医師は「どうせあと数ヶ月で亡くなるだろう患者の願いだから」と思って、治療には良くないかもと思いながらも毛生え薬を処方した。しかし結果的にはこの毛生え薬の副作用?で麻美は難病から回復することになる。この日が彼女にとって難病との戦いの折り返し点になったのである。これが最後の危篤状態となった)
 

↓ ↑ Bottom Top

私たちは那覇空港を朝6時に離陸。7時半頃羽田空港に到着した。帰りの飛行機の中でもマリは楽しそうに軽食?をたくさん!食べていた。
 
「だけど麻美さん回復して良かったねー」
とマリは“とんがりコーン”を食べながら言っていた。
 
「きっとこのままどんどん良くなって退院できる所まで行くよ」
ともマリは言っている。
 
私はそうなったらいいなと思ったが、それは本当にそうなるのである。
 
またマリは飛行機の中で『スパイラルコーン』という詩を書いた。ジェット機が空の空気を押しのけて飛んで行く様子、などと言っていたがきっと“とんがりコーン”のこと!
 

↓ ↑ Bottom Top

私は前橋さんに言った。
「物凄くお世話になりました。このお代はお幾らくらい払えばいいですか?一応手元に100万円あるのですが、足りないと思うので差額は後で振り込みますから」
 
(何かの時のためにいつもこの程度の現金は用意している)
 
「あら、私がちょっと沖縄までフライトを楽しんだだけでそのついでですからお金なんか要りませんよ。オーナーはお金持ちですから気にしないでください」
 
「いやそんな訳には。燃料費だけでも40-50万掛かったと思うし」
 
「でしたらローズ+リリーの歌を1曲聴かせて下さい。それを代金ということで」
「分かりました!」
「これ録音してってオーナーに聴かせてもいいですか?絶対他には流出させませんから」
「どうぞ!」
 
↓ ↑ Bottom Top

それで私とマリは前橋さんの前で『夏の日の想い出』『神様お願い』『花模様』、『天使に逢えたら』『影たちの夜』など10曲程度を羽田に着くまで歌ったのであった。彼女はそれをmp3レコーダーに記録していた。
 

↓ ↑ Bottom Top

(*2) この緊急の沖縄行きは2011年11-12月頃と推定される。
 
・麻美さんの症状が一進一退を繰り返していた時期であること
・この時コートを着ていた記憶があること
・病院ロビーにクリスマスツリーがあったこと
・飛行機の中で『神様お願い』や『花模様』を歌った記憶があること
・2012年4月の沖縄でのシークレットライブに招待した時「病状がだいぶ安定している」と言っていたこと
・2012年12月に青葉を連れて行って麻美さんに会わせた時「ここ1年ほど快方に向かっている」と言っていたこと
 
しかし私の手帳にも書かれておらず、麻美さんの親友の陽奈さんの記憶も曖昧なので、それ以上は特定するのが難しい。
 
※歌った記憶が確かな曲の作成時期
『夏の日の想い出』2011.07.18
『神様お願い』2010.12.19
『花模様』2011.10.08
『天使に逢えたら』2008.11.27/2010.5
『影たちの夜』2010.03.23
 
↓ ↑ Bottom Top

『天使に逢えたら』は2008.11.27に手書きのABC譜を書いたものでマリは翌月に歌詞を書いた。これを2010年5月に(マリの部屋の押し入れから発見し!)きちんと編曲・清書してラジオで歌唱した。音源化したのは2012.06.20ではあるが2011年には歌える状態にあった。
 

↓ ↑ Bottom Top

※麻美さんの闘病とローズ+リリーとの触れあい年表
 
2007.11 麻美の病状が悪化して入院。(高校1年)
2009.11.21-22 陽奈から△△社への手紙で会いに行く
 
 「友人が難病と闘っていていつ死ぬのかも分からない状態。一度ローズ+リリーのライブを観たいなどと言っているが会ってもらえたりはしないか」というものだった。しかし結果的にローズ+リリーとの出会いが彼女の命を救うことになる。
 
2010.03 特例で高校の卒業証書をもらう。
2010.12.19-21 症状が悪化して緊急の沖縄行き
 この時マリが『神様お願い』を書く(マリの作詞作曲)。
 
2011.11-12月頃 この時の沖縄行き
 
2012.04.14 那覇市でのシークレットライブに招待。外出許可がおりる
 
↓ ↑ Bottom Top

2012.11.23-24 青葉を連れて会いに行く。
 
 この時青葉がこの病気に効くかも知れない薬をウクライナの医師が発見していることに気付く。この薬は追試の結果が芳しくなく医学的にはほぼ無視されていた。論文もロシア語で書かれたもので日欧米では知られていなかったが青葉は別件の関連で偶然見ていた。ロシア語がスラスラ読める青葉ならではである。
 
そして実は麻美が使用していた毛生え薬にこの薬と似た成分が含まれていた。結果的にこの薬が効いて麻美は退院に到達することができた。
 
2014年8月末 麻美退院。
 翌年彼女は大学に入り、看護師を目指すことになる(途中で作業療法士に進路変更)。
 
2019.03 麻美が大学を卒業(27歳)。作業療法士として発達障害の子供のケアをするようになる。
 
↓ ↑ Bottom Top


2022年8月の時点で§§ミュージックの女子寮には70人、男子寮には10人の寮生が住んでいたが、この人数をケアするスタッフは看護師が女子寮に1人(山口)と男子寮に1人(海老原)、そしてカウンセラーは1人(上野)しかいなかった。
 
コロナで自由に外出できない事態が続いており寮生のストレスはかなり溜まっている。CS放送が自由に見られるようにしたり、ゲームアカウントやカラオケのアカウントを無料で配布したりもしているが、お悩みごと相談は増えている。しかしカウンセラーは1人で男子寮と女子寮を往復して勤務しているので、不在の日は稲田姉妹、海浜ひまわり、花咲ロンドなどが相談相手になってあげていた。
 
山口・海老原・上野の3人はスタッフを増員してほしいとコスモス社長に申し入れた。
 
↓ ↑ Bottom Top

「足りないよね!」
とコスモスも認めてくれて、人員募集をすることにしたのである。取り敢えず看護師を+1,カウンセラーを+2である。
 

↓ ↑ Bottom Top

ただ、人選は慎重にする必要がある。普通に募集したり職安などに募集を出すとアーティストのファンなどが“潜入”目的で応募してくる危険がある。それで基本的にはコネで探した。
 
看護師の方はわりと早く見付かった。
 
海浜ひまわりの友人で広丘さんという27歳である。独身なので身軽である。彼女は§§ミュージックの社員寮に入れることにした。勤めていた病院でコロナの影響で看護師さんが随分辞めて結果的に残った人が多忙になり、さすがに限界を越えたので退職。しばらく宅配便の配達!で食いつないでいたらしい。
 
中学高校で水泳をしていたので体力はあるし、大の車好き。大型・牽引・大型二輪の免許を持っている。海浜ひまわりとは何度もツーリングしたことがあり、ひまわりが人格は保証すると言った。愛車はランサーエボリューションとワルキューレである。彼女はひまわりと違って改造の趣味は無いらしい。
 
↓ ↑ Bottom Top


カウンセラーの方は難航した。しかし10月になってやっとひとり見付かった。
 
実は高村マネージャーの従妹で、城ルシアさんという26歳。現在は!女性である。女声遣いだし。会っても女性にしか見えない。まるで芸名みたいだが現在の戸籍名らしい。前の会社が倒産して仕事を探していた。外周りの営業をしていたのでマネージャーができないかということで推薦した。それで玉雪係長が面接していたら、以前の会社でカウンセラーをしていたことがある(電話占いをしていたこともある)と分かり
 
「だったらあなたカウンセラーしてくれない?」
と言って採用した。
 
彼女は女子寮に入ってもらうことにした。今カウンセラーをしている上野美津穂がC108なので彼女はC107に入ってもらう。
 
↓ ↑ Bottom Top

「中高生の寮生が多いので、どうしても相談に来るのが夕方以降になるんですよ。だから基本的な勤務時間は16:00-23:00 ということで」
「ああ。それで構いません」
 
「もしそれ以外の時間帯でも相談に来た寮生にはできる範囲で対応して頂けませんでしょうか。残業手当は払いますので」
「全然OKです」
 

↓ ↑ Bottom Top

↓ ↑ Bottom Top

前頁 次頁 時間索引目次

[*前p 0目次 8時間索引 #次p]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 
夏の日の想い出・アルバムの続き(1)

広告:オトコの娘コミックアンソロジー-~小悪魔編~ (ミリオンコミックス88)