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■夏の日の想い出・アルバムの続き(23)

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観客が少し落ち着いた感じの所で小梢のピアノが前奏を始める。ロマノフの小枝、火の鳥のデュエットで、まずは有名な『アルルの女のメヌエット』を演奏する。
 
ミッミーレ・ドレミファ|ソ↓ミ↑ド↓ソ↑ミ
 
という曲である。みんな知っている曲なので大きな拍手がある。
 

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ここで北里ナナが演奏者を代表して挨拶する。
 
「ロマノフの小枝・火の鳥の共演ミニライブに起こし下さいましてありがとうございます。もし今客席で見ておられる方、パブリックビューイングで見ておられる方で、先週もパブリックビューイングを見ておられた方がありましたら、私たちの衣裳に『あれ?』と思ったかも知れません」
 
「実は先週、先々週は各々のフルートが“映(は)える”ように、白いプラチナのロマノフの小枝を吹く聖知ちゃんが赤い服、赤い塗装のゴールドフルート火の鳥を吹く私が白い服、金色のゴールドフルート金狐を吹く小梢ちゃんが黒い服でした」
 
「でも今回はもう衣裳が各々の持つフルートに溶け込むように、各々のフルートと同じ色にしようということにしました。それで白いロマノフの小枝を持つ聖知ちゃんが白いドレス、赤い火の鳥を持つ私が赤いドレス、金色の金狐を持つ小梢ちゃんが金色のドレスなんです」
というと各々はそのフルートを掲げた。
 
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それで拍手が贈られる。
 
(この金色のドレスも安原が千里からもらった)
 

「さて冒頭に吹きました『アルルの女』の『メヌエット』ですが、これはご存じビゼーの作品ですね。『アルルの女』の中で最も有名な曲ですが、実は『アルルの女』の中の作品ではありません」
 
「えー!?」
という観客の声(日本の観客はお約束にマメ)。
 
「この作品はビゼーが亡くなった後、友人のギローが『アルルの女・組曲』 (正確には“第2組曲”)を作る時に楽曲が足りなかったので、同じビゼーの『美しきパースの娘』(*69) というオペラ・コミックで使用されたセレナードをギロー自身が編曲して組入れたものです。そういうわけでこの曲は有名なのに実はメンバーでは無かった。JR品川駅は実は品川区ではなかったみたいな話ですね(港区にある)」
 
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(*69) “パース”(フランス語の発音:ペルス)というのは時々誤解している人がいるが“ペルシャ”(Persia) のことではなく.昔のスコットランド首都のパース"Perth" である。この歌劇のフランス語名称は La jolie fille de Perth.
 
オペラ・コミックとは、形式的にはイタリアのオペレッタと少し似ていて、普通のセリフと歌によるセリフの両方からなる歌劇である。ただオペレッタが短く軽妙なものが多いのに対してフランスのオペラコミックは普通のオペラと似たようなボリュームがある。
 

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「では次に同じメヌエットというタイトルで知られる“バッハのメヌエット”」
 
拍手があり、ナナは演奏位置に戻る。
 
ソー・ドレミファ・ソ↓ドッドッ、ラー・ファソラシ・ド↓ドッドッ
 
これもよく知られた曲なのでみんな熱心に聴いている。演奏が終わると大きな拍手がある。ナナが出てくる。
 
「ありがとうございました。この曲は『バッハのメヌエット』として知られており、長い間バッハの作品であると信じられておりました。ところが実はその後、作者はバッハではなかったことが判明しています。本当の作者はクリスティアン・ペツォールトという人です。知らない?そうですね。彼は多数の作品を書いているのですが、この曲が最も有名だと思います。それなのに作者を間違われたというのは可哀想ですね。なおこの曲はポップスに編曲されたものが『ラヴァーズ・コンツェルト (A Lover's Concerto)』 としても親しまれています」
 
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とナナが言うと
 
「ああ!」
という声が数ヶ所からあがっていた。映画音楽にも繰り返し使用された曲である。
 

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「それでは今度は本当のバッハの作品『主よ人の望みの喜びよ』」
 
拍手があって立ち位置に戻る。
 
ドレミソファ|ファラソソドシ|ドソミ↓ドレミ|ファソラソファミ|
 
とひたすら音が続いて行く作品で、休み所が無いのだが、2本のフルートが合奏しているので交替で休むことができる。しかしフルートの音が途切れなく続いているので、聴いているほうもどこで呼吸すればいいか悩む作品である。(聴いているだけで窒息しそう)
 
ただしこの日のライブで“リードフルートを吹いた人”は『循環呼吸』で全く音を途切れさせずに吹いた(後述)。
 
演奏が終わると拍手しながらホッとしてように大きく息をついている観客たちがいた。一息つくと次はMC無しで次の曲を演奏する。“ハイドンのセレナーデ”である。
 
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ミファ・ソミドー、ソミ・ラファドー、ファラ・ラソファミ・ミレドシ・シドソー
 
という曲である。タイトル無しで始まったもののみんな知っている曲でホッとしている。先週はエドガーの『愛の挨拶』とかバッハの『ポロネーズ』とかもやったのだが今週はほんとに音楽にあまり興味の無い人でも知ってそうな曲を演奏している。(そして実は演奏のレベルは高い)
 
演奏が終わって拍手をもらい,ナナが出て行く。
 

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「ありがとうございます。今の曲は『ハイドンのセレナーデ』と呼ばれている曲なのですが、これも実は長いこと作者が間違われていまして」
 
ここで客席から笑い。
 
「本当の作者はロマン・ホフシュテッターというハイドンの熱烈なファンでした。それでハイドンみたいな作品を自分で書いてみたのがこの曲です。ハイドンの作品と間違われて、本人は天国で大喜びして、ハイドン大先生からも褒められてるかも知れませんね」
 
「同じように作者が違っていた曲としては『アルビノーニのアダージョ』もあります。こんな曲です」
と言ってナナは火の鳥で吹いてみせる。
 
ミーレード・シーラ・ラー#ソ、ファーミーレ・ドーシ・シーラ
 
「あああの曲か」という感じで頷いた客と首を傾げていた客がいた.結構知名度の高い曲だが、今日の客層ではこんなものだろうと、ナナは思った。
 
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「これはレモ・ジャゾットという現代の音楽学者の作品なのですが、本人はアルビノーニの自筆譜の断片を発見したので、それを繋ぎ合わせ自分が編曲したと言い張っていました、それでアルビノーニ作曲・ジャゾット編曲と言われそこから“アルビノーニのアダージョ”という名前も生まれました」
 
「しかしこれが真っ赤な嘘であることがバレてしまい、この作品はジャゾット本人の作曲であったことが判明しています。でも最初から自分の作品だと言っていたら『ああ。きれいな曲ね』で終わって誰も話題にしなかったかも知れませんね」
 

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「音楽家にはしばしば“はく”を付けるのに自分の作品を過去の有名作家の作品と偽って発表する人がいます。現代のヴァイオリニストの多くが学ぶ“クライスラー編”の作品は誰々作曲クライスラー編曲として発表されたのですが、今日では大半がクライスラー自身の作曲だったことが判明しています」
 
「クライスラーは結局、ヴァイオリンの小品を演奏会などで弾くのに適当な曲が足りなかったので、それを自分で書いていたんですね。でも自分の作品ということにすると「あ、これ良い曲だね」と思って弾こうとする他のヴァイオリニストが使いにくいかもと考えたんです。それでこれはヴィヴァルディ作とかこれはバッハ作とか、大作曲家の名前を出して他の人が使いやすいようにしていたわけです」
 
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「また音楽界にとっても都合のいい部分がありました。クライスラーはユダヤ人なのでナチス政権下ではクライスラーの作品と称さずにベートーヴェンの作品などと言っておいたほうがドイツの音楽家には演奏しやすかったんですね。だからドイツの音楽家はみんな作者偽装を承知の上でベートーヴェン作とかバッハ作とか称して演奏会に掛けたりしていたそうです」
 
「日本でも明治以来、欧米の作品がもてはやされていたので、ドイツ民謡とかフランス民謡などといって紹介したが、実は紹介した本人の作品だったのではという疑いが濃厚な作品がかなり最近までありました.文部省唱歌とか、戦後の『みんなのうた』には怪しい作品が多いです」
 

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「それでは別の意味で誤解のある曲『ジムノペディ1番』」
 
拍手があり、ナナ(アクア)は演奏位置に戻る。
 
和音だけを奏でるピアノの伴奏に、聖知のロマノフの小枝がミソファミシ・ラシドソー、というメロディーを奏で、ナナの火の鳥が低いミー・ミー・ミー・ミーという音で答える。
 
今日は主として聖知のロマノフの小枝がメインメロディー、ナナの火の鳥はカウンターや三度下などを吹いて合わせている。
 
拍手をもらってナナが出てくる。
 
「これはエリック・サティの『ジムノペディ1番』ですが、サティという人は“家具音楽”というのを言い出した人です。彼は酒場のピアニストを長く勤めたのですが、自分の音楽は演奏会で畏まって聴くものではなく家具のようにただそこにあるだけでいい、邪魔にならなければいいんだと言っていたそうです。これは今日のBGMのルーツのような考え方ですね」
 
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「さて“ジムノペディ”というのは古代のお祭りの名前です。ジムノペディの曲を聴いてからこの話を聞くと、静かで神秘的なお祭りだったんだろうなと思ってしまうのですが、実を言うとジムノペディというのは、日本でいえば、大阪のだんじりとか、博多の山笠とか、青森のねぶたとか、あるいはリオのカーニバルとか、物凄く激しいお祭りだったんです。当時は死人が出るくらい普通だったらしいです」
 
「それなのに音楽がなぜこんな静かなんだというと、サティはジムノペディの様子を描いた古い壺を眺めてこの曲を書いたんですね。壺だから静かなんです。壺は別に騒ぎませんし」
 
ナナの説明に観客はマジで感心しているようだった。今日の観客はほんとにクラシックにあまりなじみのない客が多いみたいと思った。
 
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(解決ゾローズの中でもクラシック余り聴かない人?といってこの観客を構成した。実はこのライブの場面を撮影している最中に眠っちゃった人もいた!本人はさすがに叱られるかと思ったらしいが「いやいい絵が撮れた」と監督から褒められて、恥ずかしがっていた)
 

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「では静かな曲の次には今眠っちゃった人が起きれるよう明るい曲でメンデルスゾーン『春の歌』」
 
少し笑いがあって拍手があり、ナナは演奏位置に戻る。カメラは眠っている客を映す。ピアノの前奏に続いて演奏する。
 
ミ#レミ・↑ドソファミ・レーファラー|ファレ・ド#レレ#|ミソファミ・レドシドミー
 
という曲である。
 
これも結構反応が良い。クラシックを知らない人でも結構耳にしているメロディーのようである。背景のリゾネット幕にはこれまでも各々の曲に合わせた背景が映されていたのだが、この曲にはボッティチェルリの『プリマヴェーラ』(春)が流されていた。寝ている彼はこれでも起きない!
 
女がレイプされている絵をゴールデンに流していいのか小池プロデューサーが心配して上にお伺いを立てたが、編成局長は
「あの絵が問題になるなら『ヴィーナスの誕生』も映せないよ」
と言って笑っていた。
 
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女のヌードだし、男性器切断事件だし!
 
生まれたての女のヌードなら児童ポルノかも!?
 

「ではラスト前の曲です。良い夢を見ている人がそろそろ起きられますようにグリーグ『ペールギュント』から『朝』」
 
小さな笑い声と大きな拍手がある。演奏が始まる。
 
ソミレ・ドレミ|ソミレ・ドレドレミファ|ソミソ・ラミラ|ソミレドー
 
背景の絵はソフトに設定しておいたものを演奏とMCに合わせて映している。使用しているのはバックプロジェクターでプロジェクター本体はステージの最奥に置かれている。パソコンの操作はイベント係の店員さん(桜井真理子)がしている。この曲の背景には日本各地の朝の風景が流されていた。
 
演奏が終了する。
 
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眠っていた客はとうとう隣の客「こらそろそろ起きろ」と肩を揺すられて目を覚まし「ハッ」としていた。
 

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ピアニストの花田小梢(安原祥子)が金狐を持って立ち上がる。ピアノで最初の音を出してから聖知のロマノフの小枝が最初のメロディーを演奏し始める。2小節遅れてナナが火の鳥でスタートする。そしてこれまでピアノを弾いていた小梢も金狐でナナに2小節遅れでスタートする。
 
『パッヘルベルのカノン』である。
 
わりと馴染みのある曲なのでみんな熱心に聴いてくれる。
 
「『大阪で生まれた女』?」と訊いて「『パッヘルベルのカノン』!」と言われている客がいた。
 
実は坂本冬美が、『パッヘルベルのカノン』のオーケストラ演奏をバックにBOROの『大阪で生まれた女』を歌う、という凄いことをやったことがあるのである。彼はそれを耳にしたことがあったのであろう。
 
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この手の試みはClariSが『アメイジング・グレイス』をバックにNIRGILISの『sakura』を歌うとか、Sweetbox が『G線上のアリア』をバックに 『Everything's Gonna Be Alright』を歌うなど、様々なアーティストがやっている。
 

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夏の日の想い出・アルバムの続き(23)

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