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■春春(25)

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(C) Eriko Kawaguchi 2022-11-18
 
その日、歩夢がセーラー服で学校に出て行ったら、クラスメイトから言われる。
 
「あゆちゃん、セーラー服で登校することにしたの?」
「いや、それが出がけにお風呂場で水道を出したつもりがシャワーになっててさ」
「あぁ」
「学生服、ずぶ濡れになっちゃったから、仕方ないからこれ着て出てきた」
「なるほどー」
「お母ちゃんに異装届け書いてもらった」
「どんな?」
 
というので見せる。
 

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異装届け
 
2年1組 川口歩夢 2022年4月11日
 
制服が出がけにずぶ濡れになってしまったので、今日1日、私服で授業を受けさせてください。
 
保護者 川口珠望
 
「それ、私服じゃなくて制服だという気がするけど」
「個人的にはそう思いたい」
「これを機会にもうセーラー服で登校しなよ。応援してあげるよ」
「セーラー服で登校したーい」
 
朝のホームルームで担任の先生に異装届けを出して事情を説明すると
「ああ、全然問題無いよ」
と担任の先生は言ってくれた。
 
「でもそれ私服じゃなくて制服という気がするけど」
と先生は半ば冗談のように言った。それで歩夢は言ってみた。
 
「私これで毎日登校してもいいですか?」
 
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「え、えっと、それは申請書を保護者から校長に出してもらったら、話し合いの結果次第では」
と担任は焦ったように言った。
 

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ともかくも、それで、歩夢はこの日1日、セーラー服で学校生活を送ったのである。
 
「私トイレどうしよう?」
 
実はトイレのことは何も考えていなかった。
 
「もちろん女子トイレを使えばいい。一緒に行こうよ」
「ありがとう!」
 
部活にもセーラー服で出たが
「川口さんの普通の格好じゃん」
とみんな言っていた。
 
実を言うと、部活に行く時は、毎日セーラー服に着替えて参加していたのである。吹奏楽部の顧問が寛容な先生だったので、それで容認されていた。そして大抵、そのまま下校していたが、先生たちは特に注意しない。
 

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4月13日(水).
 
優子と夏樹は、昨夕まで基礎工事だけで何も無かった場所に、朝起きてみると立派な2階建ての家が建っていたので仰天した。その日の午後に引き渡しとなり、優子たちは慌てて準備をした。
 
14時ジャストに、播磨工務店の徳部と青池が来た。
 
まず千里が、播磨工務店の青池指定の口座に工事代金を振り込む。それで青池が千里に領収書と引き渡し証の入った封筒を渡した。それで播磨工務店の2人は帰って行った。
 
(千里は封筒の中身を優子・夏樹たちには見せなかったし、金額について双方何も口にしなかった。それで夏樹は、千里さんはきっと自分たちに話した金額よりかなり高い金額を払ったのではと想像した:優子は何も考えなかった!)
 
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その後、優子の父と夏樹が各々のパソコンを操作して千里の指定する口座に合計976万を振込み、夏樹が残額の借用証を提出して取引は成立した。
 
ここで宮春の口座は北陸銀行、夏樹の口座は千葉銀行だったが、千里は各々と同じ銀行の口座を指定してくれたので、振込手数料が最少で済んだ。
 
その後、少しおしゃべりしていた時、千里に電話が掛かってくる。
「はい。あ、ちょっと待って」
と言ってから、千里はスマホをいったん保留にすると、優子に訊いた。
 
「緑組の金石からなんだけど、荷物の運び込みの図面は書いてくれた?」
「あ!忘れてた!」
「じゃ書いて、金石が来た時に渡してもらえる?」
「うん。ごめーん」
「運び込みは明日の夕方くらいでもいい?」
「うん。夕方の方が人がいるから」
 
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それで千里は緑組の人に、用意しておいてもらうから現場で受け取ってと伝えていた。
 

「用紙ある?」
「あれ〜?どこ行ったかな」
 
探すが見付からない。
 
「じゃもう一部プリントするよ」
「ごめーん」
 
それで千里はバッグの中からパソコンとプリンタを出して、図面をプリントしてくれた。
 
その後、千里と夏樹で一緒に法務局に行き、登記を変更、あわせて抵当権を設定した。
 

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その間に優子は母に頼んで、奏音を幼稚園に迎えに行ってもらった。一方、優子は父と2人で(2台の車で)イオンに行き、布団を2組買って帰って来た。新築祝いもしたいので、今夜両親に泊まってもらうためである。
 
またユニットハウスから、自分たちの布団、奏音の布団を移動したが、取り敢えず1階の仏間に置いた(エレベータはあるけど、体力より気力が足りない)。また、電子レンジ・IHヒーター・ケトルをLDKに移動した。
 
「そういえば、家の前にずらっとグレーチングが敷いてあるんだね」
と父が言う。
「そういえばそうだね。なんか雨水溜めてトイレ流すのとかに使うと言ってたから、そのための設備かな」
 
覗き込むと深さ50cmくらいの溝になっているようだ。底が白いのは何故だろうと優子は思った。
 
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(雨水は集めて溜めて、屋根にも流し、屋根の融雪・冷暖房費の節約にも使う。青葉の家と同じシステム。実は少し実験させてもらっていて、その実験費用として“出精値引”をしてもらった。グレーチングが敷かれている意味は後述)
 

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そして・・・その後、頑張って荷物の配置図を書いた。これは現在ユニットハウスのほうに置かれているテレビと冷蔵庫、あとは本棚・ラックの類いの配置である。、
 
優子は図面に記入していて、家のレイアウト図の下にある四角い枠は何だろう?と思った。そういえば、前もらった図面にもあった気がする。
 

 
この時、優子は眼鏡を掛けていなかった(見付からなかったので)が、書かれている文字の先頭がmで、終わりもmで途中にrがある気がした(何て適当な見え方!)。
 
「メモランダム(memorandum)かな?」
と思い、そこに
「エレクトーン・クラビノーバは入らなかったら、2階中央の部屋に」
と書いた。
 
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その日(4/13 Wed) は、とても御飯を作る気力が無かったので、夏樹に法務局帰りに、お寿司とかお惣菜とかをたくさん買ってきてもらい、それで夕食にした。
 
「しかし一週間で家が建つって凄いね。そんな短期間で建てたようには見えないのがまた凄い。昔は家を建てるといったら半年かかったもんだけど」
と父は感心していた。
 
実は1夜で建ったというのは、言わないほうがいいよね?多分。
 
ユニットハウスに接続していた浴室は2階の浴室になっていたので、奏音はこの日、優子と一緒に2階の浴室で入浴し、アヒルさんやお魚さんたちと遊んでいた。
 
この日、両親は1階の和室で、優子・夏樹・奏音は1階の仏間(仏檀はまだ入っていない)で寝た。実は布団を、ユニットハウスから母屋に移動はしたものの、2階まで運ぶ気力が足りなかったのである
 
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翌日 4月14日(木).
 
優子はお弁当を作る気力が無かったが、夏樹が自分の分と奏音の分を作ってくれたので、助かったと思った。
 
この日の午前中は、優子、優子の両親の3人でユニットハウスの荷物を、新しい家に運び入れた。特に楽器類、CD/DVD関係、また重要な技術書などは業者さんには任せられないので、自分たちで運ぶ。
 
楽器類については、本棚から楽器を降ろしていったん和室に運び込み、優子と父で本棚を抱えて、エレベータで2階まで上げた。
 
「エレベータはいいね!」
「ほんと助かる〜。これ持って階段あがるんだったら、きつかった」
 
優子と夏樹の部屋に、段ボールを下敷きにしてその上に置いた。それで和室の楽器を取りにエレベータで下に降りる。父は訊いた。
 
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「1階だっけ地下だっけ?」
「へ?地下なんて無いよ。1階1階」
「いやパネルにBってあるし」
「汎用品を使ってるからじゃない?」
「あっ、そういうことか」
 
3往復して楽器類を2階に運び込むことができた。
 
CD/DVDや技術書は、楽器で疲れたので、取り敢えず仏間に放置した!
 

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お昼は作る気力が無かったので!ドミノピザを頼んで、3人のお昼御飯にした。
 
午後からは、食器とか鍋などの類い、それと着替えの類いをユニットハウスから移動した。残るはテレビと冷蔵庫などの大物だが、これは緑組さん頼みである。
 
また仏間に置いていた優子たちの布団と奏音の布団を頑張って2階に揚げた。これで今夜からは2階で寝られる。
 
高岡の実家の荷物の移動はたぶん5月になるだろうなと思った。
 

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夕方18時、“緑組”の金石さんが来て、荷物を優子が指定した場所に搬入・設置してくれる。ちょっと見た分には、特に壊れているものとかは無い感じであった。ユニットハウスの方に入っているテレビと冷蔵庫も移動してくれた。
 
しかし父は重たい洗濯機とかを金石がひとりで楽々抱えているので
「凄い腕力ですね!」
と感心していた。
 
質問される。
「今、ユニットハウスの方に仮に取り付けていたエアコンですが、設置先が指定されていないようなのですが」
「あっ」
 
実は全く考えていなかった!
 
「すみません。後で考えますので、適当に置いておいてください」
「分かりました。取付の代金は頂いておりますので、決まったらご連絡ください」
「ありがとうございます!」
 
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ということで、エアコンはユニットハウスから取り外し、そのまま1階の階段下のクローゼットの中に置かれた。
 

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更に質問(確認)される。
「すみません。エレクトーンとクラビノーバですが、この指示書ではミュージックルームの所に『入らなかったら、2階中央の部屋に』と書かれていますが、普通に入ると思うので、そのままミュージックルームに入れていいですか?」
 
「ミュージックルームってどこでしたっけ?」
「図面のここですが」
と言って、金石さんは図面の下のほうの“メモ欄”(と優子が思っていた場所)を指し示す。
 
「ちょっと待って」
と言って、優子は(やっと見付かった)眼鏡を掛ける。
 
これで文字が読める!!
 

 
すると一番下の“メモランダム” (memorandum) と書かれているかのように思っていた場所は、よく見ると“ミュージック・ルーム” (music room) と書かれていることに気がついた。
 
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「こんな所にミュージックルームとかあったんだっけ?」
 
「音楽をなさる方ですと、近隣に音が響かないように、地下に練習室を作られる方が多いですね。地下室は容積率に含まれませんし(*42)」
 
うっそー!?
 
それで念のため設置先確認で、金石さんと一緒にエレベータに乗り“B”のボタンを押すとゴンドラは1階から“下に”降りて行く。そしてドアが開いたらそこには20畳ほどの広い地下室があった。ただし、表側は全面掃き出し窓になっていて外光が差しこんでおり、結構明るい。でも一応明かりを点けた。
 
「ここの明かりのスイッチはオートにしておくと、人が来た時に自動で点くようですね」
「じゃオートにしておこうかな」
と言いつつ、優子は思考停止している。
 
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金石さんはレーザーメーターで距離を測り、やがて
「エレクトーンはこのあたりに置いたほうが音響的に良い気がします」
「ではそこにお願いします」
「クラビノーバはこの対向位置に置きましょうか。それとも並べましょうか?」
「じゃ対向位置に」
「はい」
 
違っていたら、クラビノーバなら自分と夏樹ででも動かせると思った。
 
それで緑組の人は音響的に良いという場所に防振マットを敷き、エレクトーンとクラビノーバを運び込んで。その位置に設置した。
 
(*42) 地下室の面積は、延べ床面積の3分の1までは容積率に算入しない。例えば総二階建ての家で1階と同じ広さの地下室を作ったら、地下室の面積は丸ごと不算入になる。但し、空堀りを作ることが条件である。
 
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14日の夕食後、両親は高岡に戻った。今日あまり肉体労働していない母が父の車を運転していった。
 
その後、優子は夏樹を地下室に連れて行った。
 
「これは凄い」
と言って、夏樹がエレクトーンで『エーゲ海の真珠』を弾いてみると、いい感じの反響が帰って来る。
 
「ここは防音室ではなく、本当に音楽室だね。ちゃんと音響設計されているよ」
「へー。凄い」
 
(優子はよく分からない)
 
「この音楽室作るだけで500万掛かる気がする」
「まあ全部合わせて1000万だから、いいよね」
「なんか申し訳無いくらいだね」
 

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掃き出し窓を開けて外に出てみると、そこから地上への階段があることが分かる。
 
「これつまり非常脱出口ということ?」
「空堀りだね。地下室を作る時は、外気に通じるこういうエリアを作る必要がある。空気の入れ換えと非常脱出口を兼ねるんだよ」
 
「でも逆にそこから侵入されない?」
 
2人は階段を上ってみた。天井に白い不透明のポリカーボネートか何かの板があり、その上にはグレーチングが置かれている。
 
「転落防止のためにグレーチングを敷いているんだね」
「そのためのグレーチングだったのか」
「更にその下にこの板があるから、万一グレーチングを開けて何かの作業をしている時に転落してもこの板で停まる」
「なんで溝の底が白いんだろうと思ってた!」
 
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「そして、グレーチングの上には2階サンルームの張り出しがあるから、ここにはあまり雨が降り込まない」
「うまくできてるね〜」
「サンルームを作ったのは、ひとつは廂(ひさし)代わりだろうね」
「なるほどー」
 

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夏樹はグレーチングをチェックした。
 
「このグレーチングは、下からはここのロックを解除すると簡単に外せるけど、ロックがポリカーボネート板より下にあるから、上からはこのワイヤーを切断しない限り、外せないようになってる」
 
「それかなり太いワイヤーだね」
「うん。消防署ならこれを切るカッター持ってると思うけど、切断する時は、かなりの音が出ると思うよ」
「それで防犯になってるんだ!」
 
「まあ掃き出し窓にちゃんと内側から鍵を掛けておけば、簡単にはそれも侵入できないしね。ワイヤー入りガラスだし」
 
この辺りは、播磨工務店のメンツが“関東司令室”や姫路の“ロビン”の家(多分jgirlの最後付近で書く)や現在美映が住んでいる家、浦和の家、伏木の青葉の新居、などで実験してきた成果だが、色々分かったことを元に以前の住宅にもフィードバックして改良している。
 
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