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■春春(12)

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「BLはボイラーで、MBXはメーターボックスかな」
「そうそう。ボーイズラブにホンダのオートバイではない」
「BATというのは?」
「バッテリーだよ。野球のパット置き場ではない。屋根に太陽光バネルを載せるから、昼間そこに電気を溜めて夜間はそこから使う」
「へー。凄い」
 
(再掲)

 
「EVは?」
「エレベータ。電気自動車じゃない」
「エレベータがあるんだ!?」
「荷物の搬入にも便利だよ」
「だよねー!」
 
「宅は宅配ボックスね」
「うん。これ作るのでその分LDKが狭くなるけど」
「いや、今の時代必要なものだと思う」
 
「2階にはサンルームがあるのね」
「事実上のヴェランダだよね。ただ金沢で窓の無いヴェランダ作ると、雪が降った時に純粋に雪積もり場と化す」
「そもそも冬の間は使用不能になると思う」
「だから窓を付けて、サンルームにする。これは非常脱出路を兼ねる」
「ああ」
 
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「ごめん。ヴェランダとテラスとバルコニーの違いが分からない」
 
「一般には結構混同して使われているんだけどね。建築屋さんによっても微妙に定義が異なるみたいだし」
「ああ・・・」
 
「ひとつの説明の仕方では、屋根があるものはヴェランダ(veranda) で、バルコニー(balcony) やテラス(terrace) には屋根が無い」
 
「へー」
 
「それで1階の床と同じ高さのがテラスで、2階以上にあるのがバルコニー」
「なるほどー」
 
「ルーフバルコニーって屋根が無いの?」
「ルーフバルコニーといのは、屋根付きのバルコニーではなく、下の階の屋根をちゃっかりバルコニーとして使っちゃった!というもの。実際にはただの屋根」
「なるほどー」
 
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「でも1階にあれば屋根の有無に関係無くテラスだと言う人もいる」
「うーん・・・」
「テラス(terrace)は元々“盛り土”という意味だから。だからテラ(terra)の親戚語」
「そう言われると1階というのが納得できる」
 
「ほかにも、玄関ポーチとかのポーチ、あとオープン・コリドールというのもあるんだけど」
「待って。今は説明聞くと分からなくなる!」
 
「でもまあ結局全部似たようなものということで」
 

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「1階の和室は奥で、私たちの部屋は2階の表側なのね」
「上下だと、セックスの音が響くでしょ?」
「なるほどー。それでずらしたのか」
 
実際には、両親はふたりとも西四命、優子と夏樹は東四命なので、運気の良い配置にすると、結果的にずれるのである。
 
「でもきれいに半間単位で部屋が区切られるのね」
「そうそう。これが(ムーラン・ハウジング式)ユニット工法の特徴なのよ。部品として工場で作られたユニットを組み立てていくから、中途半端なサイズのユニットは困るのよね。だから幅70cmのトイレとか幅120cmのパントリーとかは作らない」
 
「なるほどー」
 
「改築もしやすい。留めてるボルトを外して、入れ換える」
「ああ」
「将来的に何か必要ができたら、ある程度改造ができる」
「それはいいかも知れない」
 
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それでこの設計で問題無いということになった。
 
千里は持参のパソコンとポータブルプリンタで設計図のコピーをプリントした。
 
「じゃ、この設計図の上に、本棚とかタンスとかの置き場所を記入しておいてくれる?それを“緑組”に提示したら、そこに設置すると思うから」
 
「分かった。記入しとく」
 
千里は最後に言った。
「私もこれから金沢に移動するけど、ついでに多少の荷物を持ってこうか?」
「だったら楽器を頼める?」
「OKOK」
 
それで千里はインプレッサに、電子キーボード2個と管楽器(フルート、クラリネット、オーボエ、サックス、トランペット、トロンボーン、ホルン)を載せ、帰って行った。
 

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邦生が帰宅すると、真珠がウェディングドレスのカタログを見ていたので、邦生はドキッとした。もう結婚式挙げたい気分になったのかな。でも卒業前に結婚してしまうのも、ひとつの手だよなあと思う。
 
「くーにん“は”どのウェディングドレスがいい?」
と真珠が訊く。
 
「そうだなあ。これとか好きかも」
と言って、邦生はひとつのドレスを指差す。あまりゴテゴテしてなくて、シンプルなフォルムのものである。真珠は可愛いから、ドレスはシンプルな方が、本人の可愛さが際立つと邦生は思った。
 
「くーにんはそれか。じゃ、ぼくが選んだドレスと、くーにんが選んだドレスで並べてみるね」
と言って、真珠はパソコンを操作した。
 
パソコンの画面に、ドレッシーなウェディングドレスを着た真珠と、邦生が今選んだウェディングドレスを着た“邦生”が並んだ写真が表示される。
 
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「あ、くーにん、やはり本人が可愛いから、こういうのも似合うよ」
と真珠は言った。
 
邦生は画面を見ていて最初状況が理解できず、30秒くらい考えてから言った。
 
「まさか俺もウェディングドレス着るの〜〜〜?」
「ウェディングドレスじゃなくて、白無垢の方が好き?」
と真珠は邦生に尋ねた。
 

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4月5日の午後、千里から優子に電話連絡があった。
 
「私はまだ妙高なんだけどね。向こうからの報告で、もうボロ家の撤去は終わって、今日は昨日決めた設計図に基づいて基礎工事をしている最中らしい。これコンクリートが固まるまで一週間置かないといけないんだよ。それで建物が完成するまでのつなぎに、庭に1DKのユニットハウス置いてもらうから、取り敢えずそれを使って」
 
「分かった。ありがとう」
「荷物はこの仮住まいに運び込む?それとも新しい家ができてから運び込む?」
「そうだなあ。家はどのくらいでできるの?」
「基礎が固まったら一週間だと思う。だから4月19日の引き渡しかな。その日が建築吉日だから」
「そんなに速くできるの〜〜?」
 
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「ユニット工法だからね」
「じゃ、新しい家ができるまで、荷物預かってもらってていい?」
「OKOK」
 

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“緑組”の人はその日(4/5) 19:05にやってきた。
 
「遅れてすみません」
と言ったが、来たのは1人である。1人??と思っていたら、彼はまずは100kgほどもあるエレクトーンにプチプチを巻き付けた上で、ひとりで楽々と抱えて、階段を降りていく。その様子がまるでビニールの風船でも持っているかのようで危なげ無いので、優子と夏樹は呆気に取られて見ていた。
 
そしてアパート前に停めている2トン・トレーラー(?)に載せた。トレーラーの荷室内には、下に分厚いカーペットが敷かれているし、壁もクッション材が張り巡らせてある。また、エレクトーンを置いた後、床の固定装置をロックしていた。
 
優子たちは、こんな小さなトレーラーもあるのかと思って見ていた。
 
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彼は同様にしてクラビノーバも移動した。そして170kgもあるバイクも楽々と抱えて積み込んだ。そしてスティールラックと大型本棚は両手に持って運ぶ。更に段ボールなど両手に4個ずつ抱えて持ち出す。
 
「片手に5個以上重ねるのは会長(千里!)に禁止されてるんですよ」
などと言っていた。
 
それで1人でわずか30分の間に全ての荷物を運び出した。エアコンも手際よく取り外し、部品はまとめてビニール袋に入れていた。冷蔵庫・洗濯機・テレビも、各々プチプチを巻き付けた上で、ひょいと抱えてトラックに積み込んだ。荷物は全て、丁寧に運んでいた。投げたりは、しない!バイクやテレビなど、重量のあるものは全て床の固定装置で留めていた。また荷物の間には、クッション材をたっぷり入れていた。
 
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手際よく荷物を収納してから、彼は「ではお預かりします」と言って、トレーラーを運転して出発して行った。
 

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2tトラックてはなく、2tトレーラーを使用したのは、実は荷物を一週間程度預かることになったので、その間運転台は使えるようにするためである。
 
そして実際には、運転して運んで行くのが面倒臭いので夜中まで近くの拠点で休んでいて(飲酒は千里から禁止されている)、人の目が無くなった所でトレーラーだけ抱えて飛んで運んでいく。ガソリン代も高速代も不要なので(段ボール代とクッション代の3万円、保険代の4万円を除いて)実費3万ももらえたら充分であった(全額本人にあげる)。
 

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夏樹と優子は、運送屋さんを見送った後、お弁当で夕ご飯を食べる。再度戸袋とか、台所のシンク下とか、トイレの棚などまでチェックしてから、ふたりでMX-30に乗り、自分たちも出発する。
 
最終的な部屋の不動産屋さんへの引き渡しは、季里子に頼むことにしていたので、彼女の家に寄り鍵を預けた。季里子が許可したので、夏樹は来紗と伊鈴をハグしていた。
 
夏樹と優子で交替で運転し、京葉道路→東関東道→外環道→関越道→上信越道→北陸道と走り、小矢部川SAで朝まで寝る。そして朝御飯を食べてから、(4/6 Wed) 9時頃に千里に連絡した。
 
「おはよう。私もまだ工事状況は見てないんだけど、昨日の内に基礎工事は終わって、もう仮住まいのユニットハウスも置いたらしい。基礎はコンクリートが固まるまでは工事もしないから、一週間はうるさくないと思う。お昼にイオン金沢で落ち合おうか。現地に案内するよ」
 
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「ありがとう!」
 

一方、優子の両親は奏音の幼稚園の転校手続きをしていた。
 
4月4日夕方に“確定情報”として新しい金沢の住所を連絡してもらったので、その近くの幼稚園を調べ、急な転勤で孫娘を転校させたいと申し込んだ。
 
取り敢えず連れてきてというので、4月5日午後1時、奏音を連れて現地の幼稚園に行く。面接を受けて入園許可をもらう。奏音は4月8日(金)からは新しい幼稚園に通うことになった。制服は奏音のサイズのストックがあったので、それを買って帰って来た。
 
昨年度1年間通った幼稚園にも連絡を入れた。奏音の荷物が少しあるので取りに来てということなので、夕方、取りに行った。そして荷物を受け取った後、園長先生に「さようなら」と挨拶させた。
 
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6日は、朝9時半頃、優子から電話があり、2時頃、イオン金沢で待ち合わせしようということになったので、マクドナルドを買って、車の中で食べながら待機した。
 

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優子たちは10時すぎに小矢部川SAを出発。北陸道を走り、金沢森本ICで降りる。そしてイオン金沢に入る。マクドナルドの前で待ち合わせにしていたのだが、そこに行く前に途中で千里と遭遇した。結局一緒にマクドナルドを買って車に戻る。MX-30が荷物でいっぱいなので、千里のCX-5に、3人で乗り、そちらで一緒にお昼を食べた。
 
「取り敢えず現地見てもらった方がいいと思うから、このまま私の車で」
というので、MX-30は置いたまま、千里のCX-5で現地に向かう。
 
「ユニット工法ってネットで検索してみると、結構面白い工法みたいですね」
と夏樹が千里に言う。
 
「とにかく、安く速くできて、しかも地震に強いのが特徴です。プレハブや、その進化形の軽量鉄骨構造の家だと、壁や窓とかの部材を現地で組立てるけど、ユニット工法は既に完成している部屋や廊下の部品をほんとにポンと置いてボルトで締めることで完成します。高層ビルの小型版みたいな作り方で柔構造だから地震にも強いんですよ」
 
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「ああ」
 
「学生用アパートみたいなのは、6部屋のアパートが6個の部屋ユニットと階段・廊下のユニットを持ってきて組み立てて、3時間で建ちますよ」
 
「すごいなー」
 
「仮住まいの1DKというのは台所と居室ですか」
「6畳の畳の部屋と聞いています」
「お風呂とかトイレとかは?」
「バストイレ付きで頼むと言っておきましたから、付いてる筈です」
 
そんなことを言っている内にもう到着した。
 
少し先に播磨工務店の旗(九頭竜図)が立っている。
 
取り敢えず車を路上、家の少し手前の林の前に停めて降りた。住宅街の家である。家の前の道は7mくらいありそうだ。千里たちは家の左手(家に向かって右手)から近づいて行った。
 
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「あの白いコンクリートが基礎ですか」
「だと思います。コンクリートが乾くにはどうしても1週間掛かるんですよね。それが固まらないと、その上に構造物を置けないので」
 
などと言いながら、家の前まで来たのだが、全員固まってしまう。
 

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最初に声を出したのは夏樹だった。
 
「あのぉ、バス付きってこちらのバスたったんですか?」
 

(下手な絵ですみません)
 
千里も怒る以前に呆気に取られていた。
「あいつ・・・・」
 
そこには、基礎工事の行われている場所の横に小さなユニットハウスが置かれ、その隣に30人乗り程度の中型バスが置かれていた。
 
つまり with bath ではなく、 with bus であった!
 
※日本語でバスと呼ばれるもの↓
 
bath:お風呂
bass:低音、楽器のベース、魚の名前
bus:乗り合いバス(omnibusの略)、電子機器のバス
 
 
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春春(12)

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