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■春春(21)

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(C) Eriko Kawaguchi 2022-11-12
 
4月11日(月)の夜。
 
舞花は晃の部屋にノックもせずに入ってきた。
 
「勝手に入ってくんなよー」
「大丈夫だよ。オナニーしてたら、写真撮ってあげるから」
「写真撮ってどうするのよ〜」
 
「内緒。それで明日から練習だけどさ」
「僕、本当に女子たちと一緒に練習するの〜?」
「背の高い選手と対抗する練習相手にとてもいいのよ」
「まあ、そのくらいならいいけど、試合には出なくていいんだよね?」
「ちょっと手術受けてもらえば出られるようになるけど」
「勘弁してよ〜。無茶苦茶痛そうだし」
 
痛いというだけの問題なのか?
 
「それでさ。練習着になった時、足が露出するでしょ。その時、無駄毛がたくさん生えてたら変じゃん」
「男は生えててもおかしくないと思うけど」
「でも女子チームの中にそんな子がいたら、性別を疑われるからさ」
「それどう疑われるのさ?」
 
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「だから毛を剃ってよ」
「うーん。毛を剃るくらいは別にいいけど」
「じゃ私が剃ってあげようか?それとも自分で剃る?」
「自分でする!」
 
「じゃこれあげるね」
 
と言って、姉は電動シェーパーの箱を出す。水色の箱を開けて中身を出す。水色の本体と2種類の刃(?)が入っている。
 
「最初はこの櫛刃(くしば)ので剃って、短くなってから、この普通のヒゲ用と同様のヘッドで剃る。いきなりこちらのヘッドで剃ったら地獄の痛みがあるから」
 
「分かった」
 
「ドライでもお風呂場でも剃れるけど、お風呂場で櫛刃を使ったら毛の始末しといてね。排水口に詰まるから」
「了解」
 
「最初は濡らしてやった方が剃りやすいと思う。毎日剃ってたら、櫛刃は使わなくても大丈夫」
「ふーん」
「デリケートゾーンの毛はこちらの赤い細いやつで焼き切る」
 
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「そんな所の毛を剃るの〜?」
「可愛いビキニの水着とか着る時は必要だよ。焼き切る時は窓を開けておいた方がいい。結構臭いするから」
 
「そんなの着ないよ!でもこんなのいつ買ってたの?」
 
「日曜日に買っておいたけど」
「つまり僕を最初から女子チームに入れるつもりだったんだ!?」
 
「当然。性転換手術も予約しておいたけど」
「キャンセルして」
 
「女の子用ショーツとブラジャーもあげるね」
「要らない!」
 
でも姉は「スタンダードショーツ3枚組L」と書かれたビニール袋に入ったセットと、ベージュのブラジャー2枚を置いてから出て行った。
 

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4月12日(火)の夕方。
 
千里は邦生と真珠のマンションを訪れた。
 
「明日の結婚式の君たちの服装なんだけどね」
と千里は言った。
 
「はい」
「こういうことにしない?」
 
それで千里から話を聴いた2人は
 
「え〜〜!?」
と声を挙げた。
 

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4月12日(火)の放課後、春貴は8人の女子バスケット部員を、千里さんから借りたキャラバンに乗せて、津幡町の火牛アリーナまで連れて行った。8人は制服のまま集まって来た。現地に到着すると、春貴は晃にキーを預けて女子たちと一緒に体育館に入り、そこで着替える。晃は車内で着替えてから体育館に入り、鍵を春貴に返した。
 

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「大きな体育館だなあ」
「こういう施設作るという話になると、真っ先に野球場を作ったりするんだけど、建てたのがバスケット選手と水泳選手の姉妹だから、まず体育館とプールができちゃったんだよね」
 
「なるほどー」
 
受付で全員簡易検査キットにより感染検査が行われる。(遅れて館内に入った晃は別途検査を受けた)
 
「鼻が痛い」
「これだけは仕方ない」
 
全員陰性だったので入場が許可される。
 
森本メイが春貴の年間利用者証をH南高校女子バスケットボール部のものに交換してくれた。そして
 
「今日はポニーをお使い下さい」
と言われて、館内地図を渡された。
 

 
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体育館は通常は上記のように8つに区切られている(更衣室やトイレも各々専用のものを使用する:コロナ対策のため初期の状態からかなり改造している)。
 
2月までは中央の“猫帯”は使っていなかったのだが、コロナが少し落ち着き始めたことから、真ん中の空気の逃げ道が少ないトリコロールを除いて、タビーとショコラも開放することになったらしい。但し、タビー・ショコラが使われるのは、ラビット・コアラ・ポニーの“草食動物帯”が埋まっている時のみである。
 

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体育館は全ての窓が開けられており、空気はその窓の外に出て行く。トリコロールの天井から空気を送り出し、廊下で空気を吸引しているので、こういう強制的な空気の流れが作り出されている。おかげで、この体育館では1度もクラスターは発生していない。
 
春貴はまず自分も一緒にポニー内を10周走ってウォーミングアップし、ラジオ体操をした上で、ストレッチと柔軟運動もした。
 
春貴は晃が足の毛をきれいに処理して、白い肌の生足を曝しているのを見て「元々女の子になりたい気持ちがあるのかな?」と思った。そしたらできるだけ女子に準じて扱ってあげたほうがいいのかな??
 
実際女子たちに混じっていても、特に恥ずかしがっているような様子はなく、良い意味で埋没している。なお、彼は柔軟運動は姉の舞花としていた。
 
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その後、ドリブル100回というのをやったが
「木の床の弾み感触だぁ!」
などと2〜3年生は感動していた!(1年生は訳が分からない)
 
その後、ゴールを4個出してきて、2人ずつ組になってシュート練習をする。1人が返球係になって5球ごとに交替である。しかしボールがバックボードにも当たらず、向こうに飛んでいき、結構な距離を走ってボールを取りに行くケースがかなり多発していた(最初“歩いて”取りに行っていたので“走れ”と指示した)。つまり下手な人と組むとたくさん走る羽目になる。
 
30分ほどそれをやった後、今度は4人ずつ組になり、
 
1 シュートする係
2 それを妨害する係
3,4 リバウンドを狙う係(左右)
 
という役割分担で回していく。春貴は河世のシュートを晃が妨害するような順序にした。春の大会で1勝を挙げることができるかどうかは河世に掛かっていると考えた。
 
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たっぷり1時間ほど汗を流した後、ポニーを5周してラジオ体操をする。ここで舞花からの提案で、終わりの体操は“ラジオ体操第2”をすることにした。それからゴールを片づけ、モップで掃除をする。
 
「モップ掃除やってみたかったぁ」
と2〜3年生が言っているので、1年生が首をひねっていた(明日には分かる)。
 
「でも大会の時のモップ係って美しいよね」
「あれはもう芸術だよね」
 
体操まで終わった所で、晃はモップ掃除免除にした。鍵を渡して先に車に行き、着替えるように言った。そして他の女子と春貴が掃除の後、体育館内で着替えてから車に行った。
 
「ルミちゃんも一緒に着替えられたらいいのにね」
「やはり早く性転換手術を」
「取り敢えず次回からは女子制服を着てもらおう」
などと女子たちは更衣室で話していた。
 
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春貴は帰りは部員たちを各々の自宅前まで送った(細い道に入る場合はその道の入口まで)。全員を18:10頃までに送り届けた。(一応ルートは前日に確認してカーナビにもセットしておいた)
 
「18時過ぎてしまって、ごめーん」
と謝ったが、
 
「普段より早く自宅に到着しました」
とみんな言っていた。
 
初日はとっても充実した練習になった。
 

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なお、春貴はこの日の夜、邦生と真珠のネット祝賀会にリモート参加した。
 
余興では、杏梨・蒼生恵と“水泳部女子”3人組で『ギンガム・チェック』を歌った。ダウンロードしたアプリから流れる伴奏にあわせて歌えば、ちゃんとタイミングが合うという仕様で、リモート合唱ができるようになっている。
 
「でも吉田さん、すごいなぁ。女の子になって女の子と結婚するって。私ももしかしたら、女の子と結婚する道もあるのかも」
 
などと春貴は思った。
 

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少年は悩んでいた。
 
「うまくホックが留められない。これ難しー」
 

2022年4月13日(水・さだん).
 
吉田邦生と伊勢真珠は結婚式を挙げた。
 
邦生は水木金は有休をもらっている。真珠は学校に結婚式のため休むと連絡している。公休とかには、ならないものの無断欠席とかよりは印象が違う。
 
朝から、邦生の両親と弟、真珠の両親と姉兄が来て、吉田一家は瑞穂の部屋、伊勢一家は空いている2番目の部屋で待機する。明恵と初海が“親族お世話係”を引き受けてくれていた。
 
邦生と真珠は午前中に美容室に行き、髪をきれいにセットしてきた。
 
「おぉ、可愛い!」
という声が多数あがった。邦生の父は、つい見とれてしまっていた。
 
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(邦生は銀行に入った直後、短く髪を切ったら「短すぎ」と言われて伸びるまでウィッグを着させられていた。それ以来、セミロングの髪にしている)
 
「邦生(ほうせい)、お前バストがあるように見えるけど、まさかおっぱい大きくしたの?」
「そんなことしてないよ。ウェディングドレス着るから、パッド入れただけだよ(ということにしておこう)」
 
「なんだ。びっくりした」
 

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婚姻届は、“ひゃくまんさん”の婚姻届に邦生と真珠で記入し、邦生の父・善太郎、真珠の父・大蔵に、先週土曜日に、既に証人欄の署名をしてもらっている。
 
14時。ふたりとも白いドレスを着る。エンゲージリングを受け取りに行った時に着たドレスである。ふたりともマリッジリングを着け、真珠は更にエンゲージリングも着けた。明恵が2人にお化粧をしてあげた。
 
明恵がスペーシアにふたりを乗せて市役所まで行き、待機する。
 
14:37 月出となる。
 
15時頃、ふたりは市役所の窓口で婚姻届を提出した。
 
市民課の窓口の人が緊張した顔で
「おふたりとも女性ですか?」
と訊くが
 
「私は男です」
と邦生は男声で答え、自分の戸籍謄本の性別欄を指さす。窓口の人は2人の運転免許証も確認し、その写真も本人たちと見比べた上で(*39)ホッとしたような表情で
 
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「分かりました。これで受け付けます」
 
と言った。それで無事受け付けられ、婚姻届受理証明書も発行してもらった。
 
この婚姻届提出の様子は、明恵がテレビカメラで撮影していた。
 

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(*39) 邦生は下記のように免許を取っている。
 
2015(高3)自動二輪・普通
2016(大1)大型二輪
2018(大3)大型・牽引
2021(社2)免許更新
 
昨年夏に更新した時は、かなり女性化が進み、女性にしか見えない状態になっていた。それで免許写真ではお化粧などしていないものの、容貌は現在のものにほぼ等しいので本人確認には全く支障が無い。
 
(この免許証で運転できないのは大特のみ:どこかで取るつもりでいる。二種はバス会社に転職とかにならない限りは取るつもりは無い)
 
真珠のほうはこのように取っている
 
2016(高1)自動二輪
2018(高3)普通
2020(大2)中型
2021(大3)8月牽引, 12月大型二輪
 
卒業するまでには、四輪の大型免許も取るつもりでいる。免許写真は高1の時以来、女性にしか見えない状態で撮影している。真珠は高校に女子制服で通学していた:と本人は主張している。
 
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火牛ホテルに入り、ふたりともウェディングドレスを着せてもらった。邦生はちゃんと胸がある(ように見える?)ので、こういうドレスを着ても全く問題が無い。再度明恵の手で可愛くメイクされる。
 
そして17時から、火牛タウン内、辺来の里神社の結婚式場で、斎藤種雄宮司が祭主を務めて結婚式が行われた。
 
最初2人は人前式の形式で挙式するつもりだったが、話を聞いた宮司さんが
「くにおちゃんと、しんじゅちゃんなら、うちで挙げてあげるよ」
と言って、神前式での挙式になった。
 
この挙式に出席したのは下記である。
 
邦生側(4) 両親・瑞穂・山門
真珠側(4) 両親・瑠璃・金剛
 
この他、真珠の介添え役として明恵、邦生の介添え役として世梨奈が付き添っている。
 
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結婚式の様子は、幸花と初海が2台のカメラで撮影している。むろん、後日、『霊界探訪』で放送するつもりである。
 
千里が龍笛、宮司の息子・真雄さん(津幡町内・菊姫神社宮司代理)が太鼓を叩いて、辺来の里神社の専属巫女さん3人による巫女舞も奉納された。千里の龍笛を聴いて巫女さんたちが「凄い」と思わず声をあげていた。
 
三三九度と親戚堅めの式には能登の酒蔵・宗玄酒造の“純米大吟醸 Samurai Queen”が使用された。
 
宮司さんは婚礼の祝詞では
 
「富山県高岡市に住まいする吉田善太郎の“長女”吉田邦生(くにお)と、石川県X町に住まいする伊勢大蔵の次女・伊勢真珠(まこと)の婚礼(とつぎのいやわざ)を執り行わん」
 
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と奏上した。
 
邦生は式の最中、祭壇の傍に座って赤い小袖?を着て、こちらを笑顔で見ている8-9歳の女の子が気になった。宮司さんのお孫さんかな?
 

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