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■春春(3)

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時間が戻るが、春貴は3月8日、12ヶ月ローンで買った中古のパッソ(オレンジ)で能登空港に行った。ここで待っていると、やがて黒い機体のホンダジェットが着陸。青葉の姉・千里さんと、20歳くらいの女性、セーラー服を着た少女が一緒に降りてきた。
 
「こちらアキちゃんと、息子のアイちゃん」
と千里さんは2人を春貴に紹介した。
「息子って・・・女の子ですよね?」
「私、男ですけど」
とアイが言う。
「ごめんねー」
 
男でもセーラー服を着ているのか。まあいいけど。でもセーラー服を着たい男の子なら、むしろ女の子だと主張したいんじゃないのかなあ。でもまあ性別なんて人それぞれだよね?
 
「でもアイちゃん、学校はいいの?」
「もう春休みに入ったので」
「ああ、そういうこと!春休みの長い学校もあるんだね」
 
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(本当は猫なので学校には行ってない!)
 
しかし奈々美が「ねこ」と言ってたからびっくりしたけど、母娘(母子?)ともに人間じゃん、と春貴は思った。
 
「でも千里さんが一緒に来てくださったんですね」
「うん。ネコだけでは飛行機に乗れないから、私の付き添いということで連れてきた」
「ねこ?」
「お父さんも息子さんも可愛いネコでしょ?」
と千里さん。
 
「・・・ふたりとも人間に見えるんですが」
 
それにお父さん??アキさんも女性に見えるけど??
 
「ぼくと息子が人間に見えるなら眼科か精神科に掛かったほうがいいかも」
などとアキ。
 
「獣医さんがいいかもよ。去勢されちゃうかも知れないけど(*10)」
とアイは言っていた。
 
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(*10) アイは生まれて10ヶ月で去勢されている!何も内容を告げられないまま獣医の所に連れて行かれ、麻酔を掛けられて気がついたらタマタマが無くなっていた!
 
アキもアイが出来たことで、睾丸をまだ持っていたことがバレて、アイが生まれて間もない頃去勢された。更に昨年は尿道結石ができて、生死の境をさまよったものの、無事結石ごとペニスを切除されて生還している。結石予防のため、アイも10歳くらいになったらペニス切ろうかなどとハルが言っているので、アイは嫌だぁと思っている。
 

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春貴の車は、のと里山海道(旧・能登有料道路)を走り、津幡の火牛アリーナに向かった。津幡へは能登半島西岸の、のと里山海道を走るルートと、東岸の能越自動車道を走るルートがあるが、能越自動車道はトンネルが多いので走りにくい。富山方面に行くのでない限りは、のと里山海道がお勧めである。
 
そしてこの火牛アリーナで、この後、約3週間にわたって、春貴はアキ・アイの母娘?父子?からバスケット及び、バスケット指導の指導を受けることになったのである。
 
春貴は最初1週間くらい指導してもらえないかと頼んだのだが、奈々美からも、仲介してくれた千里さんからも、体育の時間にしかバスケットをしたことのない人がバスケットの指導がまがりなりにもできるようになるは最低3週間かかると言われ、今月いっぱい、3/8-3/29の約3週間の期間、指導をしてもらうことになったのてある。指導してくれるアキ・アイへの報酬は、千里さんが払ってくれるという話であった。
 
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実際に千里が払った報酬は各々に“銀のスプーン”(小魚入りの青袋)3週間分と“ちゅ〜る”3本である!アイは「毎日ちゅ〜るが欲しい」と言ったものの、お父さんのアキが「毎日食べてたらありがたみが無くなる」と言って週に1度もらえることになった。
 
ふたり(およびアイの母猫)は普段は、ハルから“もっと身体に良い”高級猫餌をもらっているが、身体に良い餌は必ずしも美味しくないので、この3週間は安い猫餌をもらえることになった。ハルも「まあたまにはいいか」と言っていた。でも与える量は厳しく指定された!
 

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火牛アリーナはライブなどをする場合は12000人が入る大会場になるが、ライブをしない時は、仕切りを立てて4000人クラスの3つのサブアリーナとして使用されている。各サブアリーナは約40m×60mあるので、公式サイズでバスケットコートを3個取れる。つまり各サブアリーナが普通の広めの体育館サイズあるという巨大体育館である。
 
各サブアリーナはサブ仕切りを立てて更に区切られている。
 
●ノース・ウィング(2分割)
 フォックス:女形ズ
 ウルフ:レディ加賀
 
●サウス・ウィング(3分割)
 ラビット・コアラ・ポニー:近隣の中学高校に格安料金で貸す
 
●セントラル・ハウス(3分割)
 タビー・トリコロール・ショコラ
 
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このセントラルハウスは、コロナが終息したら一般開放するが、当面は原則として貸さないことにしている。その端のショコラを、千里の顔で貸してもらえることになったのである。
 
「体育館の借り賃だけ払って」
「はい。いくらですか」
「1日分の使用料1000円の22日間で22,000円かな」
「分かりました」
「あるいは年間利用料3万円払ったら、いつでも使えるけど。遊泳プールとかも使える」
「微妙ですね!」
ということで、結局春貴は年間パス(2022.4-2023.3)を買ったのである。
 
「有効期限前ですけど」
「おまけで」
 
ちなみに千里さんは年間パスを持っており、アキとアイは“猫だから無料”らしい!
 

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3週間のメニューはこのようになっていた。
 
1週目 バスケを覚える
2週目 バスケを身につける
3週目 バスケの戦略と指導法
 
1週目の毎日のメニューは午前中にルールを学んだり、パス出し、シュート、ドリブルなどの基本練習をした。だいたいルールの指導はお父さん?のアキがしてくれて、実際のパスなどの練習はアイちゃんがパートナーを務めてくれた。
 
春貴は練習していて、これって1人での練習は難しかったな。絶対パートナーが必要だったと思った。
 
ちなみに練習前後の更衣室は、春貴は当然女子更衣室を使うが、アキとアイも女子更衣室を使っていたし、2人とも女性用下着を着けていた。ふたりとも結構なバストがあるように思えたが、性別のことを考えるとさっぱり分からなくなる。
 
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「まあぼくたちは、女の子であるハルの影武者だから、常に女装してるよ」
とアキは言っていたが、肉体的にも女性に見えるのですが!?性転換したの??
 

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アキとアイは夕方であがるが、その後は、高校女子のバスケットの試合のビデオを千里さんが提供してくれたので、それを見ていた。練習風景も映っている。練習風景は、千里さんの出身校・旭川N高校・女子バスケ部のもので、試合は、近隣の旭川M高校、旭川L高校(旧・旭川L女子高)、旭川C学園とのもの。見ていて「この子たち、みんな強い」と春貴は思った。
 
こんな凄い子たちを自分が指導できるだろうかと不安になるくらいである。
 
ルールも最初の週はごく基本的なルールを学んだ。24秒ルール、3秒ルール、8秒ルールに始まって、バックパスの禁止、トラベリング、ダブルドリブル、各種ファウルと何回ファウルをしたら退場になるか、またバスケット・カウント・ワンスローとか、ブザービーターとか、オルタネイティング・ポゼッションとか、いったことを学んだ。
 
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オルタネイティング・ポゼッション・ルールとか全く知らなかったので驚いた。確かにジャンプボールって公平なように見えて実際は背の高い選手のいるチームに圧倒的に有利だもんね。昔はジャンプボールしていた状況で、1回交代でボールの所有権をもらうというのは、いい方法だと思った。
 

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2週目に入ると、ルールも細かい問題になってくる。まずファウルの判定基準になる、シリンダーというものを習う。
 
「結構難しいですね」
「まあだいたい感覚だけどね」
 
またそれと関連して、フェイントの入れ方、視線の使い方などは実戦練習をした。また相手と1対1で対峙した時に、ロールターンで相手を抜く技も指導される。春貴が30分でマスターしたので
「運動神経いいね!」
と褒められた。
 
エルボーパスも教えられたが
 
「ボールが変な方向に飛んで行きます」
と言う。
 
「まあ概して本人にもどこに飛んで行くかは分からない」
 

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またタイムを取れるタイミング、選手交代できるタイミングを習ったが、難しすぎて一度には理解できなかった、また、チームのファウルがひとつのピリオド内で4個に達した場合、新たなファウルに対してはスローインではなくフリースローが与えられるというのも、難しい状況だなと思った。
 
“撞き出しのトラベリング”については実践指導される。パスを受けた後、左右の足を1歩ずつ床に着けた状態でボールを保持した時。そこからドリブルで移動しようとする場合、ボールが最初に床にバウンドする以前に1歩踏み出してしまうと、それはドリブルが始まる前に1ステップしたとみなされトラベリングを取られる。だからボールが床に当たった後で、踏み出す足が床に着くようにしなければならない。
 
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「こんなの意識したことなかった!」
「日本の審判にはこれ甘い人多いんだよ。でも間違い無く違反だから」
「確かにそうですよね!」
 
ランニングシュートでも、空中で相手の防御をかいくぐって体勢を変えて撃つダブルクラッチなども指導する。
 
「これ難しい」
と春貴は言うが
「いや、ちょっと指導しただけで出来る春貴さんの運動神経が素晴らしい」
とアキは言っていた。
 
夕方以降に見るビデオについても、インターハイなどのハイレベルな試合を観賞する一方で、旭川N高校の普段の練習の様子を最初から最後まで撮影したものも見せてもらい、これは物凄く参考になると思った。このビデオは3回くらい再生して、タイムラインを引いて分析した。
 
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また実戦練習ということで、練習に来ていた女形ズのメンバーと練習試合をさせてもらった。向こうの4人 vs 春貴・アキ・アイ・千里、という組合せである(男の娘チームvs女形チーム?)。“点数を付けずに”やったので、どちらが勝ったのかは分からなかったが、結構いい勝負だった気がした。やはり実戦でしか学べないこともあるなあと春貴は思った。
 
2週目の最終日にスクリーンプレイを習った。こんな画期的な作戦があったのかと驚いた。でもこういうプレイができるチーム、それに対処できるチームというのは、結構ハイレベルなチームだろうなと思った。
 

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3月22日は1日休みにさせてもらい、金沢まで行って卒業式に出席した。修士課程を修了したことで、春貴の教員免許は、一種から専修に変更になった。すぐに教育委員会と赴任予定校にも連絡を入れた。
 

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3週目になると、バスケットの指導法を主として千里さんから習うことになる。高校生女子の体力・運動能力を把握した指導ということも習った。
 
「でもも全てに共通することだけでスポーツは基礎が大事。ジョギングや筋力トレーニングで練習時間の3割くらい使うつもりでいいと思う」
「基礎無しでゲームばかりしても駄目ですよね」
 
「そうそう。プレイやゲームの指導については、そのチームのレベルにもよるよね。インターハイの代表の座を争うようなチームなら、外人選手対策も教えないといけないし、校長先生と話し合って、経験者をコーチとして雇った方がいい。ほぼ勝ったことのないチームなら、いかに楽しくフェアにプレイするかというのを指導していく。弱いチームに限って雑なプレイや、汚いプレイをしがちなんだよ。中高生には“悪いこと”は絶対に覚えさせてはいけないし、丁寧に正確にプレイすることが大事」
 
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と千里さんは言っていた。
 
「結局プレイが不正確だから、ボールを奪うだけのつもりが相手の身体に当たってファウルを取られるんだよね」
「それは無駄なファウルですよね
「うん。作戦上必要なファウルもあるけど、無駄なファウルは自分たちの首を絞めるだけ」
 
「でも悪いことと言うと?」
「フロッピングとか」
「何だっけ?」
「サッカーで言えばシミュレーション」
「ああ、あれはいけない」
 
「審判の死角で、ユニフォームをさりげなく引っ張るとか」
と千里。
「それやられたことある」
とアキ。
「あれうまい人いるんだよね」
と千里さんも言っていた。
 
女形ズに協力してもらい、紅白戦の審判もさせてもらったが、ルールの勘違いを副審の人にだいぶ指摘されて「すみませーん」と謝ったりしていた。でもすごく勉強になった。
 
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