広告:ニューハーフ恋子の告白-綾小路恋子
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■夏の日の想い出・星遮りし恋人(28)

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ところで新しくYe-Yoのマネージャーになった、秋田有花は、早速すぐ収録のあった『3×3大作戦』に出て行き、スタッフや出演者に挨拶をしていた。
 
アシスタントの森風夕子にも挨拶する。
 
夕子がビクっとする。名刺をもらってから
 
「Ye-Yoちゃんのマネージャーになられたんですか?」
と夕子は敬語で秋田有花と話す。
 
「ええ。6年ぶりの芸能界復帰になりました」
と秋田の方も礼を逸しないようにきちんと敬語で話す。
 
「Ye-Yoちゃんのマネージャーなんだ?」
「はい。色々教えて頂いております」
とYe-Yo.
 
森風夕子はひとこと言った。
「ご愁傷様」
 
Ye-Yoは「は?」という顔をしている。
 
そばで聞いていた恋珠ルビーは吹き出しそうになるのを必死でこらえていた。夕子のマネージャーは、有花はかつての上司なので困ったような顔をしている。
 
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でもルビーのマネージャー城沼咲子はベテランなので、遠慮無く笑っていた!
 

そういう訳で2021.05末時点での§§ミュージックのマネージング担当はこのようになっている。括弧を付けているのは副担当である。この他、若干の“付き人”レベルの長期バイトさんがいる。いわばマネージャー見習いのようなものである。労務問題を起こさないよう、タレント個人が付き人を雇うのは、原則として禁止し、事務所と契約を結ばせるようにしている(この業界ではしばしば付き人がタレントから辛辣なパワハラを受けていたりする。また労働時間が非常識に長くなりすぎがちである)。
 
他に、会計部門・システム部門・ファンクラブ部門・地方拠点部門にも社員がいて、全社員数は80人ほどに及ぶが、彼らはアーティストの付き添いや営業などには関わらない(コスモスが社長に就任した頃は社員は10人もいなかった)。
 
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アクア:山村勾美(主任)・高村友香・緑川志穂
ラピスラズリ:倉橋光枝
常滑真音:西岡空世・(村上麗子)
白鳥リズム:本田覚
姫路スピカ:具志堅満奈美
品川ありさ:河合友里(主任)
高崎ひろか:月原美架(主任)
西宮ネオン:山本明
花咲ロンド・石川ポルカ・原町カペラ:小野市花(主任)
山下ルンバ・桜野レイア:村田英世
七尾ロマン:星野遙香(2021新規採用 旧姓望月)
恋珠ルビー:城沼咲子(2021新規採用)
甲斐絵代子:秋田有花(2021新規採用)
今井葉月:吉田和紗・和城理紗
中村昭恵:横田毛理・(広橋窓佳)
大崎志乃舞・リセエンヌドオ:村上麗子
秋風コスモス・川崎ゆりこ:玉雪梓紗(主任)
信濃町ミューズ:原田友恵
信濃町ガールズ:広橋窓佳・佐々木春夏
スケジュール統括(サブデスク):美咲瞳(主任)
デスク(マネージング部長):沢村朋代
 
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ファンクラブ課長:崎山等
通販課長:正岡道恵
法務課長:笛吹葉子(弁護士)
システム課長:田崎仁
会計課長:溝口朋香
 

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5月8日(土)朝から、アクアの写真集の撮影は始まった。
 
アクア、桜井さんたち、それに信濃町ガールズたちも全員迷路のナビアプリを自分のスマホにインストールして、迷子になることがないようにしている。
 
それで最初はアクアMがお姫様衣装!を着けて、信濃町ガールズたちと一緒に迷宮内の鏡の通路の中で撮影する。ここでは数紀君以外9人が侍女の衣装を着けた。
 
「ボクはこれ着なくていいんですよね?」
「着たかったら着てもいいけど。可愛くメイクしてあげるよ」
「いいです!」
 
全てが鏡なので、撮影者まで映り込みやすい。できるだけアングルを気をつけているし、撮影者の後の鏡に一時的にカーテンを掛けて反射を抑え、また万一映り込んだ場合に編集で消しやすいように青いレインコートを着て撮影している。
 
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午前中迷路内で撮影してから、お昼(みんなはお弁当だが、アクアは体型に響かないようサンドイッチ1個だけ)を取った後、午後からは迷宮中央にあるお城で撮影をした。数紀には将軍の格好をしてもらい、男の娘3人と花咲ロンドが衛兵の格好をした。他の子は侍女の衣装である。
 
アクアはお姫様衣装で、数十種類を交換しながらの撮影である。
 
「あのぉ、王子様衣装での撮影はいつします?」
「うん。それは後でいいよ」
などと桜井さんは言っている。あまり男装のアクアを撮る気は無さそうだ。
 
夕方には桜井さん、助手の四家さん、アクア、お婆さん役を務める伊藤花子さん(コスモスの実母!(64歳)この役のためだけに呼んだ)の4人だけで塔の階段を昇り、糸車の部屋まで行って“倒れる眠り姫”のシチュエーションを撮影した。この尖塔はあまり重量耐性が無いので「入る場合も6人以内。できたら4人以内で」と言われている。
 
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「お母ちゃん、ついでに白雪姫にリンゴを渡すお婆さん、シンデレラでかぼちゃを馬車にする魔女の役もやってくれない?」
「いいよ。せっかく可愛い飛行機に乗せてもらってここまで来たし」
 
という訳で、コスモスの母にはその役もしてもらうことになった。むろんメイクや衣装は変える。同じ顔であることは問題無い。これは心理学でいえばグレートマザーの暗黒面の象徴である。東洋でいえば鬼子母神なのである。
 

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夕方で信濃町ガールズたちは旅館に帰し、アクア・葉月と桜井さんたちだけ、軽い夕食(アクアはおにぎりだけ)を取ってから、やっと男装写真を撮る。アクアFは「やっと出番が来た」と思い交替して出て行く。葉月にお姫様衣装を着せるがこれはアクアの顔とは差し替えず、そのまま葉月の顔で残す。今回の葉月の主たる役割は、男装のアクアのお相手のお姫様役であった。
 
「アクアちゃん、丸一日撮影してたのに元気だね」
「はい、ボクは元気さだけが取り柄です」
「おかげでいい表情が撮れるよ。でもなんか日中撮ったのより女っぽい気がする」
「あはは、すみませーん。男らしくなくて」
「いや、女の子っぽい方がファンも喜ぶ」
 
それで撮影は22時頃まで続けられた。
 
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「これ以上続けると明日に響くから」
と言われてこの時間で終了となる。
 
「じゃお風呂入ってぐっすり寝てね」
「分かりました」
 

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それで旅館の特別室に入り、お風呂に入ってから寝ようとしていたら、桜井さんが手配してくれた、マッサージの人が来る!
 
もう眠り掛けていたMが慌ててベッドの下に隠れ、Fがマッサージをしてもらったが、Fも疲れているのでマッサージしてもらいながら眠ってしまった。
 
でもマッサージの人にはボクが女の子だということきれいにバレたなあ、などと眠りに落ちていきながらFは思った。
 

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翌日の午前中はお城の外観をバックに撮影し、お昼の後、まずは七人の小人の小屋で撮影した。ガールズたちが小人に扮する。七人の小人の衣装を着けたのはこの7人である。
 
柴田数紀・花咲ロンド・山鹿クロム・三陸セレン・長浜夢夜・鈴鹿あまめ・花貝パール
 
その後、鏡の迷宮内とまたお城で昨日撮り損ねていた図を追加撮影した。この日も日中はずっとお姫様衣装で撮影した。夕食後、ガールズたちは帰す(そのままG450に乗せて熊谷に搬送する)。
 
コスモスは明日の撮影完了まで居る予定だったのだが、急用ができたらしく、ガールズたちと一緒に帰京した。
 
「コスモスちゃんほんと忙しいみたいね」
と桜井さんも同情するように言う。
 
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「10人分くらい働いていると思いますよ」
「赤ちゃんなんか作ってる暇無いね」
「やはり木取さんに産んでもらうしかないです」
「あはは。私も彼氏に産ませようかな」
 
それで以降は私だけが付きそうことになる。
 
今夜も桜井さんたち撮影班と男装のアクアFおよびお姫様衣装の葉月だけで撮影を続けた。
 
「日中も、もっと今みたいに女の子らしい表情すればいいのに」
「すみません。ボク男の子なので」
「そんなこと思っているファンは存在しないって。もう女の子だったこと、カムアウトしなよ」
 
ともかくもこの日も撮影は22時で終わった。
 
この日もマッサージの人が来たが、今日はフェイクバストを貼り付けたMがマッサージしてもらった。Mは2日間続けて10時間ほどの撮影をしていたのでマッサージされながらすぐ眠ってしまった。
 
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そして月曜日は水着での撮影である。
 
用意されている水着が、ハイレグだったりかなり布面積の小さなビキニだったりするので、今日撮影に応じるFは「きゃー」と思いながら撮影されていた。
 
「今日のアクアちゃんも女の子っぽいなあ。凄くいいよ」
と桜井さんは言っていた。
 
ハイレグの水着なんて、万一ちんちんが付いてたらこぼれてしまうようなかなり布が細いタイプである。なお、陰毛は前夜、和城理紗に頼んで丁寧に全部剃ってもらっている。
 
「あのお、男子水着は着けなくてもいいんですか?」
「そんなの需要無いから撮らない」
と桜井さん。まっいっか。私も苦笑する。
 
どうやら今日はMの出番は無さそうと思いながらもFは撮影されていた。Fは土日は夕方からのみの撮影だったので、あまり体力は消費していない。それでこの日は丸1日、元気に撮影に応じていた。
 
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水着でかなり撮ってから、人魚姫の衣装が出てくる!下半身はお魚さん仕様だが、上半身は貝殻ブラジャーのみである。
 
「これを着るんですかぁ!?」
とさすがのアクアFもためらっている。
 
私はFをそばに呼んで
「嫌なら拒否するよ。あるいはMに着せちゃう?」
と小声で彼女に言った。
 
「Mに着せちゃおうかなあ」
と彼女は悪戯っぽい笑みで言ったものの、左手を高くあげると
 
「アクア行きます!」
と言って、和城理紗に手伝ってもらって人魚姫の衣装を着けた。
 
これを着ると、自分では動けない!
 
山村マネージャーが抱えて移動してくれるので、それでアクアは撮影されていた。
 
「山村さん、腕力あるのね」
と桜井さんが感心している。
 
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「アクアは軽いから行けますよ」
「山村さん、さっすが男の子ね」
「あのぉ、私、建前上は女なんで」
「あ、そうだったね。ごめんごめん。アクアは建前上男の子らしいし」
「アクアもそろそろ女の子になったことをカムアウトすべきですよね」
「全く同意見」
というので、山村と桜井さんは何か意気投合していた!
 
しかしこの衣装ではバストがかなりあるのが明確に分かってしまう。でもまあいっかと私は思った。アクアにバストがあることなんて、今更だし!
 
この人魚姫のシーンでは、葉月に王子様衣装を着けさせた。
 
今日は昼食・夕食をはさんで22時頃までの長丁場になりそうだったので、本人たちのポリシーには反するだろうけど、私は和城理紗と話して、Mでも着られそうな水着はMに着せてFを休ませながら撮影を続けた(Mも念のため昨夜陰毛を全部剃ってもらっていた)。しかしあんな細いハイレグつけてもMのちんちんがこぼれないのは凄い?なと私は思った。本当に存在するのか?
 
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撮影は結局23時頃まで続いたが、おかげでFは最後まで元気だった。
 
「今日がいちばんいい絵が撮れた」
と桜井さんも満足だったようである。
 
「でもあんたほんと体力あるね〜」
と桜井さんは感心している。いや桜井さんの体力も大したものである。
 
「ね。1枚だけでもヌード撮らない?」
「ごめんなさい」
 
桜井さんが私を見るが、私も笑顔で首を振る。
 
Fとしては撮ってもいいのだろうし、彼女が撮りたいと言うなら私も認めるところだが、それを公開してしまうと、アクアが女の子になった(あるいは実は最初から女の子であった)と認めてしまうことになるので、Fとしては“自分が消えた後Mが困るだろうし”と考えてFも自制したようである。
 
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Fは自分が消えると思い込んでいるが、実際にはどちらが消えるか本当に分からないと千里は言う。両方ずっと残る可能性については「それに言及するとアクアはそれに期待し、本当に消えた時ショックすぎるからアクアの前では絶対言わないで」と千里は私とコスモスに言った。
 
 
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夏の日の想い出・星遮りし恋人(28)

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