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■夏の日の想い出・星遮りし恋人(26)

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今回、アクアがこの迷路で着る衣装は、ロミオとジュリエットと似たような時代のルネッサンス様式の王子様衣装数点、お姫様衣装!数十点(当然こちらが多い)、そして女子水着!!である。コスモスとしては、アクアの女子水着姿はあまり出したくないのだが、アクア写真集についてはアクアFが主導しており、実際、今回の迷宮建設費の§§ミュージック負担分も実はアクア本人が半額出している(写真集の売上げ利益も折半する:その代わり撮影料はゼロ)。そしてアクアFが“自分が存在していた記憶”を残すという観点から、コスモスは水着での撮影を認めた。
 
今回ヌードは無しである。
 
ヌード撮影に関しては、アクアFも昨年の撮影で結構満足している。
 
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被写体になるのは、お姫様衣装は主としてM!で、王子様衣装は主としてF、女子水着はFが着ける。フェイクバストでの水着撮影はファンに嘘をつく形になるので、したくない、という点でMとFの意見は一致した。もっともFは
 
「Mもおっぱい大きくしたら問題無くなるよ。千里さんに頼めばすぐ大きくしてくれるよ」
と言ったが、Mは
「それって生理も始まるんだよね?」
と言って拒否した。
 
(分裂前の)アクアは《じゅうちゃんさん》の悪戯(?)のせいで中学生時代ずっと生理を毎月経験している。だから実はMはFとの分裂によって生理の処理から解放された。でも先日唐突にちんちんが消失した後、女性内性器まで発生している可能性をアクアMは考えないようにしている。
 
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今回、一緒に写真に写る役として、女の子(侍女など役)は水谷姉妹、新人の鈴鹿あまめ・花貝パール、それに今井葉月と花咲ロンド、男の子(衛兵など役)は山鹿クロムと三陸セレン(この2人はセット扱いされることが多い)、新人の長浜夢夜、高崎ひろかの弟・柴田数紀(高1)、の4人を連れて行っている。この10人は、緑川志穂マネージャーが付き添ってG450に乗せた。私もこのG450に同乗して一緒に小浜に向かった。
 
撮影に参加した人はもう1人いるが後で説明する。
 
撮影は中高生の子たちが参加できるように5月8-9日(土日)にあらかた撮影し、月曜日にもアクアだけで撮影をすることになっている。
 

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ところで映画『ロミオとジュリエット』の撮影に使用した神奈川県内のオープンセットだが、体育館並みの広さがある大広間を見て、ΛΛテレビの鳥山プロデューサーが言った。
 
「これ取り壊すの?」
「映画の撮影は終わったし。パイプオルガンだけ、熊谷市の郷愁リゾートが買い取ることになってます。あれだけで制作費2000万円らしいし」
「ひゃー。でもそれ以外は解体?」
「置いてても使い道無いですしねー。そもそも映画撮影のための仮設建築物として許可を取ってるから、用が済んだら取り壊さないといけないんですよ」
 
「もったいない。ここでシンデレラの撮影とかしちゃいけない?」
「ああいいと思いますよ。そちらで使うなら大曽根に言っておきますよ。多分数ヶ月以内に取り壊せばいいと思うし」
と河村監督が快諾した。
 
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それでΛΛテレビで『シンデレラ』が制作されることになった。大和映像の好意でこの広間のセットをタダで使える。ΛΛテレビとしては『火の鳥』に続く童話シリーズ第2弾である。
 
鳥山は、最初アクアにシンデレラを演じてくれないかと言ったがコスモスは
「アクアは女役たけのオファーは受けません」
とはっきり断った上で、そもそも映画撮影が終わって、待ってもらっていた様々な仕事をこなさなければならないし、下旬にはライブもあり、その準備でも忙しいと説明した。
 

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それで鳥山はシンデレラにふさわしい10代の女優さんを探したのだが、様々な候補を模索した上で、結局ラピスラズリの東雲はるこを指名してきた。
 
コスモスは、はるこは演技力は微妙だけどなあと思ったものの、彼女のいかにも儚げな感じは、お姫様としては使えるかも知れないと考え、了承した(むしろ人魚姫なら似合う。白雪姫には全く合わない)。物語は正味1時間40分、CMを入れてテレビで放映する場合は2時間20分くらいになる。一般的な劇場映画と同じ尺である。ラピスラズリの主演なら、ビデオソフト化してもかなりのセールスが見込める、と鳥山は考えた。
 
それで制作会議に掛けて了承される。スポンサーも大手菓子メーカーとオモチャメーカーが乗ってくれて、話は進んだ。配役はこのように決まった。
 
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シンデレラ 東雲はるこ
姉 町田朱美
母 木平智美
実母 沢田峰子
父 谷川亨
魔女 榊森メミカ
王子 黒山明
 
シンデレラをいじめる姉の役を町田朱美が志願したのでそのままお願いした。下手な人をアサインすると、東雲はるこのファンから攻撃されそうだが、パートナーで親友の町田朱美なら全く問題ないので、鳥山さんも助かったと思った。原作では姉は2人だが、2人いても仕方ない気がしたので1人ということにした。
 
それで撮影は5月下旬に一週間ほどで行い、6月に放送する予定で、日程を組んだ。これはアクアが小浜で写真集の撮影をするのと同時期に撮影がスタートする予定である。
 

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5月6日(木) 早朝、午前3時。
 
“アクアたち”を乗せたホンダジェットが小浜市のミューズ飛行場に着陸した。熊谷の郷愁飛行場もここも、各々の自治体と『夜間はできるだけ離着陸しない』という口約束をしているだけなので、例外的にであれば離着陸することはできる。むろんできるだけ避けている。
 
今回は2人のアクアを連れてくるのに目立たないようにするため夜間に移動した。人目に付かないように千里が所有する体育館“小浜ラボ”の管理人室で仮眠してから、早朝、ここに回送してもらっていた千里の車“黒いインプ”で迷宮の前まで行った。
 
この車は本来は《こうちゃん》所有の車で、美映が一時期勝手に使用していたが、千里が美映から“買い取った”ので現在は千里のものである:こうちゃんが文句を言っていたが「鍵も掛けずに放置しておくのが悪い」と言って、彼には代金を払っていない!でもこの車は一時期アクアの送迎に使用していたので「この車なつかしー」とアクアたちは言っていた。
 
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迷宮の前で“アクアたち”を降ろすと
 
「広ーい」
と、ふたりは声をあげる。。
 
千里がふたりのスマホ(*5))にメールを送る。そのメールに添付したAPKファイルを開いて迷宮通り抜けアプリをインストールさせる。これは迷宮の一般公開後にはGoogle Play, AppStore にも登録する予定である。
 
「このアプリ入れておかないとマジで迷子になっちゃうからね」
「この広さの迷宮で迷子になると辛いなあ」
「100年後に発見されたりしてね」
「行方不明者の霊魂が彷徨ってるなんて都市伝説が出そうだ」
「あ、ここ夏にはお化け屋敷にしましょうよ」
「それいいね。若葉に言っておこう」
 
(*5)アクアMとFはプライベートには別々のスマホを使用している。それで実はMとFが電話して会話していたりする(遠距離にいると脳間通信は疲れる)。仕事用のスマホは内部のメモリーまで完全に連動する“クローン・スマホ”を使っている。プライベートスマホのアドレスや番号を知っているのは千里と和城理紗・葉月だけで、松田君やワルツ、コスモスやこうちゃんも知らない。実はNの使っていたプライベートスマホも存在するが、Fが持ち歩いている。3台は同じメーカーの同色同機種を同時に3台買ったものである。たまにMとFのが入れ替わっていて本人たちもギョッとする。
 
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入口の鍵を開けて中に入る。コントロールルームで照明のスイッチを入れる。
 
「すごーい」
 
鏡の迷宮が出現する。
 
「少し歩いてみる?ナビ無しで」
「それマジで迷子になりそうだからナビ使います」
「よしよし」
 
それで3人で一緒に“目的地”を目指す。
 
「千里さんはナビの画面見てないのに、どうしてそんなにスイスイ歩けるの?」
「私迷子になったことないし」
「言ってましたね!」
 
迷路のあちこちには、様々な昔話などのジオラマが作られており、センサーに手をかざすと、物語の説明が音声と文字で流れるようになっている(視覚障碍者・聴覚障碍者に配慮して文字と声の両方を使う)。これを見ながら迷路を進むのが楽しみになるし、またジオラマは同じものは1つしか無いので、道しるべの役割も果たすことになる。
 
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ストレートに歩いて行ったのでほんの10分ほどで“お城”に到達することができた。
 

「可愛い」
とFが声をあげる。
 
「女の子好みだ」
とMが言う。
 
「まあアクアは女の子だし」
と千里が言うと、Fは頷いているがMは不満そうである。
 
実は迷宮の内部に30m×30m×高さ8m程の空間があり、20m×10mサイズのお城が作られているのである。この迷宮自体、外観がお城(ロマンティック街道のノイシュヴァンシュタイン城 Schloss Neuschwanstein を意識している)のイメージになっているのだが、その中に更に小さなお城がある。ここは迷路を約半分通り抜けないと辿り着けない(ここを通らず“出口”に出るルートもあるので、運が悪いと見られない)。
 
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この内側の小さなお城(プティシャトー)はフランスのアンドル=エ=ロワール県(Le departement d'Indre-et-Loire) にあるユッセ城(Chateau d'Usse パリから300kmほど)を意識して造られている。ユッセ城は『眠り姫』のお城のモデルになった城とされる。本来のユッセ城は白い煉瓦の建物だが、ここにある“プティ・シャトー”は赤煉瓦で造られており、Fが思わず声をあげたように女の子好みの曲線を多用したデザインである。このお城だけで実は2億円掛かっている。
 
お城のモデルは『眠り姫』絡みだが、お城の前にはカボチャの馬車!が駐められている。玄関を入ると、上に上がっていく幅の広い階段があり、途中にガラスの靴が落ちているが、その裏に回り込むと女性の部屋があり、大きな鏡がある。これは白雪姫の鏡を意識したもので、色々な童話が混じっている。この城の仕様は、花咲ロンドとムーランリゾートの白崎秋菜企画室長(若葉や和実のエヴォン時代の同僚らしい)とでほとんど決めて、若葉・コスモス・桜井さんの了承を取っている。
 
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階段を昇って2階に行くと、眠り姫の寝室(chambre)を意識した部屋があり、大きな天蓋 (baldaquin) 付きのベッド、その傍に眠り姫と一緒に百年の眠りに就いた母后用の小ぶりの天蓋付きベッド、侍女用の簡素なベッドが並んでいる。また眠り姫が産んだ2人の子供用のベビーベッドもあり、既に可愛い赤ちゃんの人形が2体仲良く並んで幸せそうな寝顔を見せている。
 
部屋に置かれたアラビア時計は停まっているように見えるが、実は100秒に1回秒針が1つ動くというスロー時計である。1時間分進むのに100時間=約4日かかる。つまり4日に1度時報を打つ。
 
2階のもうひとつの部屋は床にビロード風の不燃性絨毯が敷かれており、人形で構成された楽団が一角に陣取っている。そして大きな壁時計は12時を指している。この時計はボタンを押すと11:45に戻り15分後に12時の時報を鳴らすようになっている。シンデレラ仕様の時計である!
 
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この2階から更に昇る螺旋階段がある。ここは迷宮を一般公開しても立入禁止区域にする予定である(アバターは行ける)。
 
3人はこの螺旋階段を昇った。ここは外から見ると尖塔になっている部分である(もうひとつの尖塔はダミー)。
 
結構昇った先に小さなドアがあり、中に入ると糸巻車が置かれている。ここで眠り姫は紡錘の先が指に当たって100年の眠りに就いてしまうのである。Fがわざわざその紡錘の先(丸めてある)に指を当てて
 
「あーれ〜」
とか声をあげてその場に崩れてみせる。
 
「私100年の眠りに就いちゃったから、Mが理史のお相手してあげてね」
「ボクは男に抱かれたくないよ」
「彩佳には入れられている癖に」
「彩佳は女の子だからいいんだよ」
「することは同じじゃん」
 
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千里はこの会話は聞かなかったことにしたが、もしMが妊娠しちゃったらどうしよう?と一瞬考えた。
 

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