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■夏の日の想い出・星遮りし恋人(16)

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2枚のCDが相前後してミリオンになるという事態で、舞音はスタジオμ、ヤングポップス、サウンド・フェリアという3大音楽番組に4週連続で呼ばれて毎週別の歌を歌った。『タイカジキ、カニエビ、イカタコ、サケマグロ』のほうは、幼児番組にも呼ばれて、幼稚園生の子供たちと一緒に歌ったりもした。舞音は、いかにも優しそうな雰囲気なので、子供たちに好かれるタイプである。
 
ラジオ局にも頻繁に呼ばれ、雑誌の取材、また雑誌の表紙のモデルになるなど、舞音は本当に忙しくなってしまった(幼児雑誌の表紙モデルも何度も務めた!)。
 
スケジュールが切迫してくると、仲の良い水谷姉妹、特に妹の雪花のほうがリハーサル役を自分から買って出てくれた。リハーサル役を使うなんて、私、売れっ子みたい、などと舞音は思ったが、本当に売れっ子になっていることをまだ舞音自身が充分認識していない。
 
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(ラピスラズリのリハーサル役は、ロマン&ルビーや甲斐姉妹がよく起用されている)
 
舞音のスケジュールが本当に密になって来たので、コスモスは、舞音へのオファーについて、バラエティやドラマの話は雰囲気が似ている恋珠ルビーや、甲斐姉妹・水谷姉妹などに代わってもらえるように頼み、舞音の仕事は音楽番組やそれに準じるもの中心で受けるよう、交渉係となる村上麗子に指示した(さすがにメイン・マネージャーの西岡空世(悠木恵美)にはまだこの手の交渉は難しい)。
 
結果的に恋珠ルビーの露出が増えて彼女のファンも増えることになった。ファンクラブの会員数が、春の時点では七尾ロマンが2.5万人、恋珠ルビーは1.1万人と結構な差があったのが、ルビーのファンクラブも7月までには2.3万人まで倍増してロマンに迫る勢いとなる。
 
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その日、七尾ロマンはコスモスの所に来て相談があると言った。
 
「どうかした?」
「私、初代ビデオガールの称号を返上しようかと思って」
「何で?」
「だって同期の舞音ちゃんの方がとってもたくさん売れているし。私は確かにオーディションではトップだったけど、これだけ売れ方に差が出たら、とてもトップを名乗れないと思って」
 
七尾ロマンのデビューシングルは15万枚、2枚目は9万枚のセールスだった。充分売れている部類である。特にゴールドディスクを取ったのは既に彼女が一流の歌手と認められている証(あかし)だ。
 
「気にすることないよ。第1回ロックギャルコンテストでも、優勝したものの性別違いで失格になったアクアが、繰り上げ優勝で初代ロックギャルになった、(高崎)ひろかより遙かに売れたけど、ひろかは別に称号返上したりせずに、堂々と初代ロックギャルを名乗って営業していたしね」
 
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「あ、そうですよね!」
 
「売れる売れないは時の運だよ。舞音は自分は、歌唱力ではロマンさんにまだまだ勝てないって言ってるよ」
 
「それ本人からも言われましたけど・・・」
「ルビーは何か言ってた?」
 
「私、あの子にも精神的にかなわないなあと思って。いつも落ち着いているし、ステージ度胸があるし。それに舞音ちゃん、急に売れたから、どうしてもやっかみを受けてる部分あるじゃないですか」
 
「そうだっけ?」
と言いながらも、コスモスはたぶん、あの子やあの子だろうなと思う。自分も唐突に売れたから、先輩から意地悪されたりしたけど、日野ソナタさんが優しくしてくれたし、同年代のケイさんにも随分慰められたよなと昔のことを思い出す。
 
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「ルビーちゃんは積極的に舞音ちゃんと仲良くして、みんなからの風除けになってあげてるんですよ。変なことされたら私に言ってねとか、みんなの聞いている所でわざわざ言ってたし。ルビーちゃんが舞音ちゃんを守ってるから、舞音ちゃんもだいぶやりやすいみたい」
 
「まあ、あの子の気配りも凄いね」
「私、ああいうのもうまくてきなくて」
 
「人はそれぞれ自分の性格があるんだよ。ルビーは元々人を立てるのがうまい。花ちゃんとか、フラワーサンシャインに転出したけど桜井真理子とかも、そういうのがうまい」
 
「花ちゃん見てると凄いと思います。本当に尊敬します」
 
「ロマンちゃんは、スター性がある。パッと目立つタイプなんだよ。ルビーちゃんが舞音ちゃんを守ってあげているなら、逆にロマンちゃんは彼女たちのことは考えずに、自分のスター街道を進めばいいと思うよ。最初の5〜6枚目まではふつうなかなか売れるものではない。あの大スターの小泉今日子さんだって、売れ始めたのは6枚目のシングル(『半分少女』)から。オリコン週間1位を取ったのは9枚目のシングル(『渚のはいから人魚』)が最初だよ。お給料も最初の1-2年は10万程度しか無かったって」
 
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「嘘!?最初の頃はそんなに売れてなかったんですか?」
「うん。それが40年現役を続ける大歌手になったのも凄いよね。まあ最初の3年くらいは下積みみたいな気持ちでいた方がいいかもね。実力のある人は、いづれちゃんと評価されるから」
 
「なんかそういう話聞いて少し気持ちが楽になりました。私頑張ります」
「うん。頑張ろう」
と言って、コスモスはロマンをハグしてあげた。
 
この日の会話でロマンもある程度ふっきることができたようだった。
 
ロマンが帰ってからコスモスは呟いた。
 
「しかしこれだけみんな売れると楽曲の調達が頭痛い。良質の楽曲書ける人の手はなかなか空かないし。その中で醍醐春海先生の3分の1と、大宮万葉先生はオリンピックが終わるまで手が空かないしなあ」
 
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高崎ひろかのファンたち、品川ありさのファンたちは、昨年の紅白では随分対抗もしたし、結果はギリギリ滑り込みセーフだったものの、今年は
「もうダメだぁ」
と諦めムードであった。
 
昨年は§§ミュージックから5組出たものの、1組はあくまでコロナで欠場したマラナーズの代理出場だったから、実際に§§ミュージックの枠は4つだった。今回その“4”が維持されるのか、元の3に戻るのかは不明だが、デビュー以来の連続22枚ミリオンという凄い記録を更新中のアクア、毎回50万枚以上のセールスをあげ、ミリオンも3回出しているラピスラズリ、そして今年3枚連続のミリオンを出した常滑舞音の3人は確実と思われる。
 
4人目(がある場合)は、やはり昨年の紅白初出場を契機にファン層がますます広がり、今年出したCDが2枚連続プラチナ(25万枚)を達成している白鳥リズムが有力である。
 
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ということで、その下でセールス的にほぼ並んでいる、ひろか・ありさ、姫路スピカは厳しいということになる。5人目が出る場合も若いスピカが優先されそうな気がする。昨年は恐らくひろか・スピカが並んでいたのを実績優先でひろかが選ばれたのだろうけど、今年は逆にその補償がされそうな気もする。
 
(更に彼女たちの下で、西宮ネオン・七尾ロマン・恋珠ルビーが似たようなセールスである。Ye-Yoはなかなか2枚目のCD制作の企画が進んでいない。ついでにマネージャーもなかなか決まらない)
 
ひろかなどあからさまに記者にその件を訊かれたものの、温厚なひろかは
 
「舞音ちゃん可愛いですね!元気だし。私もファンです。カーナビに入れていつも聴いてますよ。紅白出られるといいね」
と笑顔で答えた。
 
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このインタビューを聞いた品川ありさは
『クニちゃん、人間ができてる〜』
と思ってしまった。自分はあんな笑顔で答えられる自信が無いと思う。
 

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一方インタビューでは笑顔で答えたものの内心は心穏やかではなかった、ひろかは妹の愚痴まで聞いて、なだめる羽目になる。
 
「どうしたのよ?」
 
「なんか最近、私の扱いがテキトーでさぁ。アクアちゃんの代替とかでも私頑張ってるのに」
と松梨詩恩が言う。
 
「そんな適当なんだっけ?」
 
「城崎綾香さんが産休中だから、今うちの事務所には君しかいないから、とか言われて張り切ってたのに、羽鳥セシルちゃんがデビューするし、坂出モナちゃんが移籍してくるし、フラワーサンシャインも移籍してきて、私最近3番手くらいの扱いでさぁ」
 
3番手というのは、坂出モナ、羽鳥セシル、松梨詩恩という序列なんだろうなとひろかは思った。セシルは男の娘というのが何もディスアドバンテッジになってない。むしろ男の娘・アクアの代役として重宝されている。結局もう男の娘は市民権を得てしまったのだろうか。今度から履歴書の性別欄は3つにするようコスモス社長に進言してみようか?
 
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そしてモナは結婚を発表したというのに、人気がほとんど落ちていない。移籍金1円でモナを放出した○○プロは後悔してないか?と心配になる。でも普通結婚したアイドルなんて人気は無くなるものなのに。丸花社長も予想外のできごとだろう。あるいは事実上のレスビアン婚だから「誰か男のものになった」訳ではないので、男子ファンが離れないのだったりして!?ルキアちゃんも密かに性転換しちゃっていたっぽいし、などとひろかは思う。
 
「まあモナやセシルのことは考えずに我が道を行きなよ。お給料は去年よりあがってるんでしょ?」
「そうだ。それでさ、確定申告で払う税金が足りないのよ。税務署から早く払えと督促されててさ。お姉ちゃん貸してくんない?」
と詩恩。ひろかは申告期限はかなり過ぎてるぞと思いながら
「はいはい。いくら?」
と尋ねた。
 
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「1500万円足りないんだけど」
「ちょっと待て」
 
(結局アクアから借りて払った。セシルは“おキツネさんたち”の忠告で、ちゃんと税金分をキープしていた。モナは今回までは大丈夫である。なお妊娠で休業中の綾香は全くお金が無く、丸山アイから借りて払った)
 

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メインボーカル坂出モナの卒業で音源制作が停滞していたWindFly20は、新たなメインボーカル川中光梨(Flower Lightsから移籍)を迎えて3月中旬から(という建前で本当は2月から)音源制作を始め、4月14日(水)に約半年ぶりのシングルを発売することができた。取り敢えずランキング1位でミリオンも達成して、ホッとする。
 
更にFlower Lightsから移籍した山本洋子が(秋に卒業したメンバーの代わりの)サブボーカルとなったファレノプシス(Phalaenopsis)の9ヶ月ぶりのシングルもその翌週4月21日(水)に発売されランキング3位だった。
 
そしてこの2つのユニットの発売を待って、4月28日(水)に、フラワーサンシャインの初CD、坂出モナの初ソロCDが同時に発売された。
 
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フラワーサンシャインは、光梨が参加したWindFly20と洋子が参加したファレノプシスの発売を待った。モナは自分が抜けたWindFly20の発売を待ち、21日は常滑舞音の発売日だったのでそれを避けた。
 
すると坂出モナのCDが1位で40万枚のプラチナディスク、安原祥子と桜井真理子が新たなメイン・サブのボーカルになったフラワーサンシャインのCDも2位で12万枚のゴールドディスクとなったのであった。なお3位は石川ポルカの4万枚だが「3位なんてデビュー曲以来」と喜んでいた:結局§§ミュージック系で1−3位独占した。
 
立花紀子たちフラワーライツ出身のメンバーたちは
「ランキング2位なんて夢みたい」
「ゴールドディスクって信じられない」
「私たち、ひょっとしてメジャー歌手なのかしら」
などと感激していた。
 
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フラワーライツ時代はランキングで30位以上に入ったことが無かったし、1万枚以上売れたこともなかったらしい。
 
桜井真理子は思った。前の事務所やレコード会社が適当で、まともな曲も渡さず、まともな営業もしていなかったのでは?と。知名度だけは充分あったユニットなのに。
 
 
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