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■夏の日の想い出・星遮りし恋人(9)

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(C) Eriko Kawaguchi 2021-05-09
 
あけぼのテレビでは3月中旬から「お花見はバーチャルで」という30分番組を放送した。鹿児島から北海道まで桜前線を追いかけて北上しながら、各地の桜を愛でつつ、その地の名物も頂こうという企画である。
 
取材班がその日の桜を映像音声付きでレポートするので、スタジオで信濃町ガールズのメンバーが映像を見ながらリアルで現地から送ってもらった食べ物を頂くという趣旨である。
 
3月11日(木)広島から始めた。実は鹿児島より先に開花してしまったのである。
 
この日は広島市の平和記念公園から、開花宣言の出た桜を観賞しながら、レポーターの柳川夫妻がフリードスパイクの荷室に造ったダイニングで広島名物、お好み焼きを頂いているところをレポートした。そして、スタジオでも、この番組担当に指名された、常滑舞音(とこなめ・まね)と水谷康恵・雪花姉妹が広島のお好焼きを頂き
「美味しい!」
「生地と卵でサンドイッチになってるんですねー」
などと言ってほんとに美味しそうに頂いていた。食べたのは、みっちゃんのお好み焼きである。
 
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途中息抜きも兼ねて歌も入る。初日は常滑舞音が“招き猫”の歌を歌った。舞音自身が黒招き猫に扮し、水谷雪花に白招き猫に扮してもらった。
 
歌は曜日替わりとし、月曜は七尾ロマン、火曜は恋珠ルビー、水曜はラピスラズリ、木曜は常滑舞音、金曜は原町カペラが歌った。木曜は企画段階では石川ポルカだったのだが、常滑舞音のCDがいきなりゴールドになったので、ポルカが番組出演者でもある舞音に譲ったのである。しかし4月に入ってからはラピスのスケジュールが厳しくなり、水曜担当を石川ポルカに交代した。
 
いづれにしても、ヤング§§ミュージックである。
 

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12日は福岡市の舞鶴公園で博多ラーメン!辛子明太子も候補だったが、舞音が「博多ラーメン食べたい」と言った。ラーメンは一心亭のもので、伝統的な博多ラーメンを出している店のひとつである。テレビの取材ということで特に頼み込んで麺とスープを東京に送ってもらうことにしたが、調理人さんまで付いてきてくれた!(ホンダジェットで福岡空港から熊谷に搬送した:この飛行機可愛いね!と喜んでいた)それでスタジオでも本場の味が楽しめたが、舞音や水谷姉妹が強烈に濃厚な味に「替え玉で3杯いけそう」などと言う。すると舞音も水谷妹も本当に替え玉してもらい、喜んでいた。
 
(中高生の食欲は旺盛である)
 
13日は下関市の火の山公園(瓦そば)、14日は松山市の城山公園(鯛飯:じゃこ天も候補だったが、やはり舞音が鯛飯食べたいと言った)、15日は高知市の筆山公園(鰹のタタキ)、16日は大分市の大分城址公園(とり天)、17日は鹿児島市の仙巌園(薩摩揚げ)、と続いて行く。
 
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「要するにマネと水谷姉妹がひたすら食べまくる番組だな」
という視聴者の評もあった!?
 
これで4月23日札幌の円山公園(ジンギスカン!)まで、1ヶ月半のレポートであった。
 

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この番組のシステムはこうなっていた。
 
レポーターは、2人1組で、フリードスパイクで移動しながら取材するが、別途ロケハン担当のスタッフ(3人で各々別行動−アクア使用−各々週に2日は休み)が先行して現地に入っており、桜の状況を見てどの程度咲いているかを確認し、開花予想をするとともに、地元の名物をクール宅急便(*1)で東京に送る。
 
それでレポート当日にスタジオでも同じグルメを頂けるという仕組みになっている。(一心亭のように変則的な対応になった所もある)
 

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(*1)実は番組のスポンサーが黒猫運輸さんでこの宅急便を無料で請け負ってくれた。ついでに招き猫の歌を同社のCM曲に採用してCFまで制作した!それで招き猫の歌の“黒猫運輸バージョン”まで出ることになった。招き猫の歌の別テイク(運送会社っぽい歌詞に変更されている)に、c/wは『マネ・イズ・マネー』である。PVでは舞音が“札束風呂”!に入り、バニーの格好をした三陸セレンと山鹿クロムつまり美少年2人!を両脇に抱えている。舞音はこういう嫌らしい?大胆なショットがよく似合う。七尾ロマンとかには絶対させられない格好である。
 
このCDも50万枚売れる大ヒットになり、舞音は先に出したCDと合わせるとミリオンを達成したことになる(実際にミリオン認定された)。
 
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§§ミュージックで、これまでミリオンを達成したことがあるのは、アクアとラピスラズリだけである。白鳥リズムや姫路スピカも達成していない。つまり舞音は、いきなり§§ミュージックの3番手の歌手になってしまった。
 
この『とことこ・なめなめ・招き猫』(Kuroneko Mix)が3/20以降はこの番組の主題歌になった。
 

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レポーターは2組設定している。
 
1組は山口香里奈カメラマンと、レポーターの南田容子!(リセエンヌ・ドオ)、もう1組は、柳川裕希カメラマンと、夫でドライバーの春孝さんの夫妻である。
 
どちらも桜を追いかけて日本列島を縦断することになる。一応、月〜木曜が柳川夫妻の担当、金〜日曜が山口・南田ペアの担当である。ただし各々の居る場所の都合で、その日どちらがレポートするかは変わる場合もある。特に3月中〜下旬は九州と四国で同時進行したので、九州を柳川夫妻、四国を山口・南田組が担当した。本州に移動した後は、日本海側を柳川夫妻、太平洋側を山口・南田組がレポートした。
 
山口・南田ペアでは、車の運転も山口さんがする(一応南田も免許は持っている)。南田容子は顔立ちが姫路スピカと似ているので、視聴者の中には「あ、スピカちゃんがレポーターしてる」と思った人もあったようである。
 
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ロケハン組は各々アクアを使っているが、レポーター組はフリードスパイクを使用する。フリードスパイクの荷室にテーブルを置いてダイニングとして使えるようにしている。食事シーンの撮影は、リモコンで方角やズームを調整できる固定カメラを車に取り付けており、それで撮影する。小型のCCDカメラの映像にスイッチすることもできる。夜間はこの荷室が寝室にもなる(ひとりは後部座席で寝る)。つまり稼働中は車中泊である!(時々ホテルで休むこともある)
 
車中泊ベースにしたのは、コロナの折、ホテルに泊まるより車中泊のほうが安全度が高いという判断による。また車中泊派には常識だが、ホテルを予約しておいたら、そこまでは必ず到達しなければならないので、予定がくるったような場合に体力的に無理することになる。それに対して、車中泊なら、疲れたらそこで寝れば良い(高速のPAや道の駅を使う)。だから車中泊の方が体力的に楽なのである。
 
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食事も基本的にテイクアウトでお願いしている。少なくともお店での飲食は禁止である。一応カセットコンロや鍋も持ち歩いているので、簡単な調理は可能である。“サトウのごはん”の類は電子レンジが無くてもお湯に入れてボイルするとちゃんと戻ってくれる。加熱用具としてキャンプ用ストーブを持ち歩く人もあるが、車中泊に慣れた人は、カセットコンロが絶対いいと言う。燃料が切れたらコンビニで買えるからである。
 
2つのフリードスパイクは、視聴者にも違いが分かるように、荷室の内装を変えており、山口・南田組のは、ピンク系のカーテンやテーブル、柳川夫妻のは、ライトグリーン系のカーテンやテーブルを使用している。
 

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2021年4月8日(木).
 
上田信希(上田信貴:直江ヒカル)は真新しい女子標準服を着て、葛飾区のL高校に登校した。
 
本人としては男の子の服で登校するか、女の子の服で登校するか、かなり迷いがあったものの、やはり面接に(中学の)女子制服で行ってしまった以上、そして校長先生から「女子標準服を着て登校してきていいからね。ちゃんと先生たちには君のこと話しておくから」なんて言われた以上、やはり女子標準服でないとまずいかなぁと思い、ドキドキしながらこの服を着てきたのである。
 
コロナの折、電車ではなく、専任ドライバーさんに車で高校まで送ってもらうが、一緒に車の後部座席に並んで座った雪渡知香(七尾ロマン)から
「のぶさん、すごっく女らしい。私負けそう」
などと言われて、少しだけ自信が持てた。
 
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それでも入学式の受付で名前を言って受け付けてもらう時も
「あら、あなた男子なのでは?」
とか言われないかな、とドキドキしたし、座る席も男子の並びになってないだろうかと不安だったが、受付では単に
「入学おめでとうございます」
とだけ言われて桜のリボンを付けてもらったし、新入生の席は男女混合で単純五十音順で並んでいるようであった。
 
開式の辞→国歌演奏(歌わない)の後、校長の入学許可になるが、コロナの折、人数だけが言われて「○名の入学を許可する」と校長先生は述べる。
 
なお、在校生は出席しておらず、新入生と先生たちだけである。保護者も入場はご遠慮くださいとなっていた。それで両親は朝寮まで来て、記念写真を撮ってくれただけである。女子制服での記念写真は少しおもはゆかったが、父親も笑顔で「可愛いじゃん」と言ってくれたのは嬉しかった。父はやはり自分が女の子の格好をしているのを、若干不愉快に思っていた感じもあったから。母の方はもう3年くらい前から「早く性転換手術しちゃおうよ」と言っている。去勢手術も母に勧められて(唆されて)受けたが、物凄く気持ちが楽になったので受けて良かったと思っている。当時は自分に声変わりが来る日が恐怖だった。去勢前に精液は採取して保存したけど、自分が父親になる気はあまりない。
 
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校長先生の式辞の後、新入生代表が誓いの言葉を述べる。代表は女子だった。入試の成績がトップだった子かなあと持ったが、この学校は入試は無いので、実際は、中学時代に生徒会関係の活動をしていた人の中から選んだものである。
 
その後、PTA会長の祝辞、同窓会長の祝辞、生徒会長の「歓迎の言葉」、校歌演奏(録音再生)があり、閉式の辞で入学式は終了した。
 

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入学式の会場(体育館)を出て教室に入る。信希は1年1組になっていた。生徒は1クラス20名ほどのようである。女子が少し多い感じか。担任の先生は松永先生という30代くらいの女の先生だった。
 
自己紹介しようと言われる。
 
最初、赤木君という男子が立ち上がる。彼は中学時代はサッカーをしていたということだった。この高校ではラグビー部に入りたいと言っていた。2番目に井上さんという女子が立ち上がる。でも声が小さい。恥ずかしそうにしていて「もっと大きな声で」と注意されていた。「詩を書いたり本を読むのが好きです」などと言っていたが(すぐ前の席なので聞こえる)、今どきこんなか弱い感じの女子もいるのかと信希は思った。
 
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3番目が信希である。
 
「**中学から来ました上田信希です。好きなものは音楽と美術、好きな歌手はアクアさん」と言ったら、隣の席に座っている女子が「私もアクアちゃん好き!」というので、信希も微笑む。
 
「好きな画家はマリー・ローランサンです」
と言うと、隣の席の子は
「私もマリー・ローランサン好き!」
と言った。どうも好みが合うみたいだなと思い、信希は彼女に再度微笑んだ。
 
彼女は佐枝涼花(さえだ・りょうか)という子であった。
 

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信希の自己紹介が終わった後、次の子は女の子・・・に見えたのだが・・・少なくとも女子標準服を着ていたのだが
 
立ってみると身長が180近い感じである。そして
 
「##中学から来ました大城令耶(おおしろ・れいや)です」
という声が、野太い男声なので、ギョッとする。
 
「お花と、小鳥と、少女漫画が好きです。家で花壇作っていろいろなお花を育ててます。カナリアも2羽飼っています。漫画は『魔女怪盗LIP☆S』が好きです」
 
と言っている。あ、『魔女怪盗LIP☆S』はボクも好きだなあと信希は思ったが、彼女(ひょっとして彼?)の雰囲気に飲まれて何も言えない。
 
「あのぉ、大城さんの性別は?」
と恐る恐る訊いた子がいた。
 
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しかし担任がそれを遮って言った。
 
「大城さんはちょっと性別が不自由なのですが」
 
性別が不自由って言い方があるのか!?
 
「彼女は性格は普通の女の子ですから、女子の皆さん、仲良くしてあげてくださいね」
 
その先生の説明でみんな彼女(?)を受け入れてくれたようだ。そもそもこの高校は“規格外”の生徒が多いから、こういうユニーク(?)な子も許容範囲になるようである。
 

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夏の日の想い出・星遮りし恋人(9)

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