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■少女たちの晩餐(14)

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高岡は久しぶりにFKちゃん(高岡自身はTTと名乗っている)と話している内に彼女が持っているヴァイオリンが物凄い安物であることに気付く。
 
これは・・・形がヴァイオリンであるだけのおもちゃだ。こんなヴァイオリンで、あれだけ音を出せるのはこの子がヴァイオリンの天才だからだ。でも天才ならせめてもう少しまともなヴァイオリンで練習させてあげたいと思った。
 
「君、そのヴァイオリンは凄い安物という気がする」
「はい、150円で買ったものですから」
「150円なの〜〜!?」
とさすがに驚く。これインテリアの装飾用か何かに作られたものでは?
 
「だってお小遣い少ないし」
「ね、ね、僕がやってるバンドで今度、安いヴァイオリンをネタにした曲を作るんだよ(と今思いついた)。それで僕、古道具屋回ってこのヴァイオリン(鈴木製の中古)を3万円で買ったんだけど、君のヴァイオリンとこれを交換しない?ぜひとも150円のヴァイオリンを使いたい」
と高岡は提案した。
 
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「でも150円のヴァイオリンと3万円のヴァイオリンでは申し訳無いです」
と彼女は言ったが、最終的には
「だったらこの私の愛用のボールペンも一緒に差し上げます」
と言って冬子は高岡に自分が使っていたボールペンを150円のヴァイオリンと一緒に渡した。
 
このボールペンをもらってから、高岡は詩の作風が変わり、それまでの孤高な詩から、もっと柔らかい詩を書くようになった。
 
このボールペンは元々は、冬子が小学2年生の時(1999)に漫画コンテストに応募した際、努力賞としてもらったセーラー製のボールペンである。それをこの時高岡に渡し、高岡と夕香はこのボールペンで多数の詩を書いた。このボールペンは2012年2月に冬子の元に戻ることになり、主として政子が使用してローズ+リリーの多くの名作を生み出すことになる。冬子と政子はこのボールペンを“青い清流”と呼んでいる。このボールペンは2029年に冬子と政子の子供である、あやめに渡されることになる。あやめがこのボールペンで最初に書いた作品は『女の子になっちゃった男の子』である!(モデルは大輝)
 
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もうひとつの政子愛用ボールペン“赤い旋風”(これもセーラー製)は政子の死後、かえでの孫=冬子と政子の曾孫)キララに引き継がれる。キララが“赤い旋風”を引き継いだことを知ったあやめは、自分が使っていた“青い清流”を、冬子と若葉の曾孫(政葉の孫)やまとに託した。
 
政子と冬子は実際にはこの2本のセーラー製ボールペンに互換性のあるシェーファーの替え芯を入れて使用していた(ダマができにくい)。高岡は普通にセーラーの替え芯を使っていたようである。
 
(冬子の遺伝子上の子供は5人である。冬子を父とする子供が政子の産んだあやめ・かえで、若葉が産んだ政葉、奈緒が産んだミドリ。冬子を母とする子供がもも(父は正望)である。3人の女性が冬子の子供を産んでいるが、全員冬子の精子を勝手に使用して妊娠出産した子供である!)
 
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なお高岡がこの時冬子と交換で入手した150円のヴァイオリンをネタにして制作された曲が高岡の生前にワンティスが最後にリリースしたシングル『秋風のヰ゛オロン』である。この曲は『秋風のフィドル』という名前で出す予定で、加藤銀河もそれで了承していたのだが、加藤の上司から
「フィドルなんて誰も知らんからヴァイオリンにしろ」
とクレームが入り、ワンティスのメンバー(と実は加藤も)が反発して『秋風のヰ゛オロン』の名前でリリースしたのである。
 
この曲を出した後、ワンティスは初めてのアルバム制作のためシングルの制作はしばらくお休みということになる(ライブ活動は続けて大きなセールスをあげる)。
 
高岡生前のワンティス名義のシングルと(本当の)作詞者
 
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1 2001.04 無法音楽宣言(高岡猛獅)
2 2001.08 時計色の虹(高岡猛獅)
3 2001.11 琥珀色の侵襲(高岡猛獅)
4 2002.02 霧の中で(長野夕香)
5 2002.05 漂流ラブ想い(上島雷太)
6 2002.09 紫陽花の心(長野夕香)
7 2002.11 リズミトピア(長野夕香)
8 2003.07 秋風のヰ゛オロン(長野夕香)
 
初アルバムのために制作した楽曲は、高岡の死により発売停止になってしまい“幻のアルバム”と呼ばれた。そして更に、ワンティスの活動停止期間中にマスター音源データが行方不明になってしまい、結局2013年に再度音源を作り直し『グリーンアルバム』として発売された(一部入れ替えた楽曲や編曲変更したものもある)。この時、ギターを弾いたのは、結果的にワンティスの正式メンバーとなった中村将春(元クリッパーズ 1982生)である。
 
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冬子が高岡と別れて歩いていたら、同級生の奈緒及びその母と遭遇する。
 
「冬、何してたの?」
「河川敷でヴァイオリンの練習してた」
「河川敷は寂しいから危ないよ。変な男の人に変なことされたらヤバいし」
と奈緒が言うと、母も頷いている。
 
「そうかなあ」
 
河川敷の“住人”さんたちはみんな親切だけど。
 
「奈緒たちはどこ行くの?」
「国分寺に出て、私のブラジャー買ってもらおうと思って。そうだ。冬も一緒においでよ。ブラジャー買おうよ」
「なんでー!?」
「冬、ノーブラのことが多いけど、ちゃんと着けてないと体育の時とかおっぱい揺れて痛いよ。私が選んであげるからさ」
「えーっと・・・」
「お金持ってない?」
「今手元にあるのは2万くらいかなあ」
 
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この時期、冬子は民謡の大会で賞金稼ぎをしたり、民謡の演奏会の伴奏をしたりしていて、わりと資金力は豊かで、その資金を使って女性ホルモンの摂取を始めていた。それで胸が少し膨らみ始めていた。
 
「お金持ちじゃん。じゃ問題無いね。おいでおいで。**屋の駐車場に車駐めたまま郵便局行って、お金下ろしてたのよ」
「ああ、郵便局の駐車場、狭いもんね」
 
それで冬子はうやむやの内に奈緒親子と一緒に、国分寺のショッピングセンターでブラジャーを買うことになってしまった。
 

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札幌での診察が終わって、マクドナルドでやっと御飯を食べられて一息ついた津久美は
 
「じゃブラジャー買おうか」
と母から言われて、
「うん」
と嬉しそうに答えた。
 
父は車の中で休んでいるというので、母と2人で東急デパートの女性下着売場に行った。そして売場のお姉さんにサイズを計ってもらい、3Sのジュニアブラを買った。その他、冬に向けて暖かそうな下着を何枚か買ったし、普通の洋服売場に移動して、女性用の服もけっこう買った。
 
「じゃ今夜からはあんたは私たちの正式な娘だから」
「えへへ」
「将来は赤ちゃんも産めますよと先生は言ってたね」
「うん。元気な赤ちゃん産むからね」
と津久美は張り切っていた。
 
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その日は札幌市内のホテルに泊まり、翌日、旭川の家庭裁判所に行き、審判の申立書を提出した。その場で面談室に入り、女性の事務員さん(と思い込んでいたが判事さんだった!!)からいくつか質問され、津久美はそれに答えていった。
 
午後には留萌に戻り、学校に行って、病院で書いてもらった診断書を提出。また性別の訂正を裁判所に申し立てたことを説明した。教頭も担任も、そして校長も急展開に驚き、その場で、学校のパソコンを操作して、学籍簿上の津久美の性別を男から女に修正してくれた。あわせて読みも“つくよし”から“つくみ”に変更した。
 
「続柄はどうなりますかね?」
「三男あらため長女になります」
「分かりました!」
 
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この日は6時間目が学活だったので、そのまま担任・母と一緒に教室に行った。
 

担任の中沢先生がみんなに説明した。
 
「姫野さんは、最近どんどん女らしくなってきたので、札幌の大学病院で精密検査を受けた所、実は女性であるということが判明しました。それでこれ以降、女子児童として登校しますので、みなさん、女子として受け入れてあげてね」
 
教室内が騒然とするが、クラス委員の秀美は
「姫野さんのことはみんな女子だと思ってたよ。これまで通りだね」
と言い、それでみんな納得していた。
 
「ツクりんは、女子トイレ使ってるし、体育の時も女子と一緒に着替えてるし、これまでと何も変わらない気がする」
と生活委員の萌夏も言った。
 
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津久美の母が補足する。
「私もびっくりしたんですが、津久美は卵巣も子宮も膣もあって完全な女だそうです。ホルモンの濃度も女性ホルモンが高く、男性ホルモンは低くて、どちらも思春期の女子の標準値だと言われました。既に生理も来ています。ただ外性器に混乱があって、一見男のようにも見える部分もあるので、冬休みに手術して完全に女の子に見えるように修正して頂く予定です」
 
津久美本人が言う。
「そういう訳で『あんたは女』と言われてびっくりしたんですが、私も自分は女だと思ってたので(←半分は嘘)、嬉しかったです(←本当は男を辞めるのが少し惜しい)。冬休みにちんちん切って完全な女にしてもらいます(←本当は切っちゃうのには少し抵抗があるけど仕方ないと思っている)」
 
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「ちんちん切るんだ!」
と教室のあちこちから声があがる。
 
「実際には、クリトリスが大きくなって、ちんちんみたいに見えているだけなんだって。それを短くして、普通の女子のクリトリスのサイズに縮小する手術らしいです」
 
「なるほどー!」
と多くの児童の声。
 
「やはり私たちが言った通りだ」
と梨志や香織。
 
「じゃ冬休み終わったら、100%女子ね」
「うん。今はちんちん以外は女子」
「来年の修学旅行では女子みんなと一緒に女湯に入れるね」
「今年の宿泊体験では苦労したけど、来年は何も考えなくて良さそう」
「ツクりん、本当は宿泊体験でも女湯に入ったのでは?」
「お奉行様、どうかその件は追及しないでくださいまし」
「わいろ次第では考えよう」
「白い恋人買ってきたからみんなに配るよ」
「おぉ」
 
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11月14日(木).
 
この日は雪だった。昨日午後から降り出した雪は夜中も振り続けて、朝にはかなりの積雪となり、バスが遅れたり運休したりして1時間目の授業に間に合わない子たちも結構居た。奥深い集落に住んでいる子は、除雪車が来てくれるまで身動きできないということでお休みの連絡があったりした。
 
雪はしんしんと降り続いているので校庭は使えない。用務員さんが午前中に除雪機でいったん除雪したものの、その後更に積もり、とても走ったりするのは不可能な状態だった。
 
千里たちは、この日の4時間目は体育だった。が校庭が使えないので体育館でバスケットをしますということである。例によって男子・女子ともに各々半分のコートを使って、男子は7人対7人(2人休み)、女子は6人対5人(1人休み)で試合をした。ここでむろん千里は女子に入り、留実子はむろん男子に入っている。
 
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最初の方で、ボールをうまくつかめなかったり、ドリブルを失敗する子が相次ぐ。シュートをしようとしてボールをこぼしてしまう子も多発する。
 
「お前らどうした?」
と男子を指導している吉村先生が言う。
 
「寒すぎて、手がかじかんで、ボールが扱えません」
「シュートしようとしても指がまともに動かなくてコントロールできません」
「だいたいこの体育館、雪が舞ってますよ」
「もはやここは外と変わりません。窓際に雪が積もってるし。室内なのに」
 
「ストーブ入れて下さいよぉ」
 
これが本音だ。
 
女子からも賛同の声があがる。
 
「あまりにも寒すぎて、お腹がピーになりそう」
「避けすぎて足が凍結しそう」
 
吉村先生と桜井先生で話し合い、ストーブが4個搬入され(搬入したのは男子)、火が点けられると
「ストーブだ、ストーブだ」
と言って、みんなそこに群がり、手を温めている。
 
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「そろそろ温まったろう。ゲーム再開するぞ」
「え〜!?」
 
不満の声は出たものの、さっきとはみんな動きが見違えた。というより、やっとまともなゲームになった。
 
男子の方では留実子がダンクを決めるわ、相手シュートをブロックするわ、リバウンドを取るわで、八面六臂の活躍でチームを勝利に導いた。
 
「花和〜、やはりお前、ミニバスに欲しい」
「サッカー入ってるから無理」
「惜しいなあ」
「性転換は終わってるんだろ?」
「誰かちんこくれるといいんだけど」
「鞠古、お前のちんこをこいつに譲れよ」
と田代君が言ったら、鞠古君が何か考えているので、どうしたんだろうとみんな思った。
 
女子の方では優美絵がどんどんゴールを決めるのでとうとう「ゆみちゃんの邪魔はしない」という暗黙の了解が崩れてけっこう行く手を阻んだりする。しかしそれにもめげず、うまく相手の手の下をくぐり抜けたりして、この日20点も得点をあげた。
 
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千里は、女子の中では比較的長身の自分が中まで入って行ってシュートしたら悪いかなあと思い(千里は細いが高い)、もっばら遠くから撃ったが、それでもシュートした内の半分くらいをゴールに叩き込み全部で18点も入れて
 
「千里は遠距離の天才だ」
「さすがソフトボールのエース」
などと言われた。実は杏子もロングシュートの成功率が高かった。
 

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なおミニバスルールなので遠くから入れても2点にしかならない。
 
(千里は中学でスリーポイントのルールを知ってびっくりする)
 
「でも千里のシュートって距離が足りないってのがないね。上過ぎるのはあるけど」
 
「だって、ゴールより手前になったら、アウトになって確実に相手ボールになるじゃん。ゴールの向こうまで行くようなシュートだったら、ボードではねかえるからゲームは続く。誰か味方がそのボールを取ってくれるかも知れない。だから強めにシュートするんだよ」
 
「そっかー。気付かなかった」
「千里って意外に知能があるんだ」
「チンパンジーよりは頭がいいかも」
「うむむ」
 

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少女たちの晩餐(14)

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