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■少女たちの晩餐(2)

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「千里、泊まるつもりが無かったのならパジャマとか着替えとか持ってないのでは?」
「うん、持ってない」
「だったら、買うといいよ」
「そうしようかな」
「お金ある?」
「お金は念のため1万円持って来てるから大丈夫だと思う」
 
「じゃ私たちが選んであげるよ」
「え〜?」
 

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それで西武デパートに行き、千里の着替えをみんなで選ぶ。
 
「千里、ショーツのサイズは?」
「150穿いてるけど」
「もうおとな用のSでいいんじゃない?」
「そうかなぁ」
「サイズ計ってもらおうよ」
 
それで恵香がお店のお姉さんをつかまえて千里の身体のサイズを計ってもらう。
 
「あなたはもう女性的な発達がかなり進んでいるから、ガールズは卒業していいですよ。ショーツはS、キャミソールもS、ブラジャーはA55で」
「A55なんて小さなサイズあります?」
「ありますよ」
「おぉ!」
と歓声があがった。
 
それで千里は、恵香と美那の好みで、レースたっぷりでかなりハイレグの少しセクシーな白いショーツ(後で母が仰天する)、結構お姉さんっぽい感じのキャミソール(ベージュ)、それにA55のノンワイヤーのブラジャー(ペールピンク)と選ばれる。
 
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「これを・・・私が着るの?」
「4月からは女子中学生なんだから頑張れ」
 
更にパジャマはこれもお姉さんっぽいマドラスチェックのパジャマが選ばれた。全部で7000円ほどだった!いいお値段だと思った。さすがデパートという気もしたが、デパートだからA55なんてサイズがあったのかもね?
 

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千里の着替えを買った後はカラオケ屋さんに行った。ここで2時間くらいひたすら歌いまくる。
 
「蓮菜はマイクを離さない傾向がある」
「千里もマイクを離さない傾向がある」
 
と、この2人は非難されていた。
 
16時すぎにカラオケ屋さんを出て、駐車場まで行き、蓮菜の伯母・竹子の家に向かった。
 

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「凄いマンション」
「建物の高さは凄いね」
「何階建て?」
「うーん。それは見解次第だ」
「どういうこと?」
「伯母の家はこのマンションの17階にある」
「凄い高い場所にあるね」
「ところがこのマンションには4階・9階・13階が無い」
「はぁ!?」
 
「4とか9は日本では死とか苦と言って嫌われる。だから飛ばした。13もキリスト教徒の人が嫌がるから飛ばした。それでこの3つの階が無いから、最上階は20階なんだけど、物理的には17階」
 
「おばちゃんの家はその最上階?」
「表示上の17階。だから、物理的には14階」
 
「13ってなんで嫌われるんだっけ?」
「キリストの最後の晩餐の出席者が13人だったから」
「最後の晩餐って?」
「キリストは無実の罪を着せられて死刑になるんだけど、その捕まる直前の晩餐(ばんさん)にキリスト自身と12人の弟子が参加した。だから合計13人」
 
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「へー」
「ついでに言うと、日本で嫌われている4と9を足すと13になる」
「おぉ!」
「なんか凄い」
 
「もっとも東洋哲学では13は悪い数字ではない。易(えき)では天火同人といって、お友達で集まって何かしようよという卦(け)なんだよ」
「ほほお」
「東洋と西洋で意見が食い違うのか」
 
「というより易では4も山水蒙、9も風天小畜で、あまり悪い卦ではない。9は中国ではとっても良い数」
 
「ほほお。日本語だけの問題か」
 

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実際エレベータに入ると、ボタンの中に4,9,13 が無いので、みんな面白がっていた。
 
ボタンの17を押して上まで行く。1703の部屋に行く。
 
「お邪魔しまーす」
と言って中に入る。
 
「おお、女の子4人!」
と20歳くらいかなという感じの女性(長女の鈴恵:大学4年)が言う。
 
「私も女の子なんだけど」
と蓮菜の母。
 
「じゃ女の子5人ですね」
「こちらも今日はお父ちゃん居ないから女ばかり4人」
「全員女なら、パジャマ・パーティーでもいいね」
 

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「女の子ばかりなら、本音の食欲で行けるよね?」
などと言われて、ホットプレートを2枚並べて、焼肉をする。
 
「安いオーストラリア産牛肉で申し訳無い」
「いえ、安い方がたくさん食べられていいです」
 
ということで、女子9人で、オージービーフ1500gペロリと食べてしまった。むろん他にも、玉ねぎ・ピーマン・とうきび・もやし・キャベツなどなども食べている。
 
「結構お腹いっぱいになったね」
「おやつは一休みしてから」
 
「でもここ広いおうちですね。さっきトイレ行く時に迷子になりそうになった」
「迷子は大げさという気はする」
「部屋がたくさんあるし」
「5LDK2Sなのよね。だから今夜は笹ちゃん(蓮菜の母)は私と一緒に、蓮ちゃんはいつもの部屋に、お友達3人の内1人は連ちゃんと一緒で、あと2人は窓の無い部屋で申し訳無いけど、もうひとつの部屋に」
 
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守恵さんがホワイトボードに“部屋割”表を書いた。
 
R1 竹子・笹代
R2 鈴恵
R3 弓恵
R4 守恵
R5 蓮菜・A
S1 B・C
 
「じゃ、こうしよう」と言って蓮菜が名前を埋める。
 
R1 竹子・笹代
R2 鈴恵
R3 弓恵
R4 守恵
R5 蓮菜・千里
S1 恵香・美那
 
千里も恵香・美那も頷く。
 
“平和な”組合せだ。“千里が”陵辱!?される危険が無い!
 
「部屋はもうひとつあるけど、あそこに寝るのは不可能だと思うし」
「狭いの?」
「グランドピアノが鎮座してるから、寝るとしたらピアノの下に寝ることになるけど、たぶん朝起きた時に頭をぶつける」
 
「あ、それは絶対ぶつける自信ある」
という声がある。
 

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「でもグランドピアノがあるんですか。すごーい」
「見る?」
「見たーい」
 
それでぞろぞろとピアノ部屋に行く。
 
「おっきーい!」
「それほどでもないよ」
 
「S400Bですか?」
と美那が訊く。
「そうそう。これより大きなピアノはとてもこんな小さなマンションには置けない」
「いや、充分広いマンションだと思いますが」
 
「私がピアノ習い始めた年に買ったのよね〜。だからもう18年くらい経ってる」
と鈴恵。
 
「いや、こういう、いいピアノは長持ちしますよ」
と美那。
 
「美那の家にあるのは?」
「あれはとっても小さなC3」
「そんな小さいという印象は無かったけど」
「そもそもグランドピアノがあるだけ凄い」
 
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蓮菜の家はアップライトピアノである。
 

「この中でピアノが弾ける人?」
と守恵が言うと、蓮菜が
「ここにいるメンツは全員弾けるはず」
と言う。
「だったら、リレーでこのピアノを弾きまくろうよ」
「腹ごなしにいいかもね」
 
それで蓮菜から弾き始める。蓮菜は軽くモーツァルトの『トルコ行進曲』を弾く。
 
シラソ#ラ|ド レドシド|ミ ファミレ#ミ|シラ#ソラシラ#ソラ|ド
 
の方である(「ピアノソナタ11番」より)。
 
「そういうピアノ習ってる子なら誰でも弾けるような曲は私のために残しておいて欲しかったな」と恵香は文句を言ってからベートーヴェンのほうの『トルコ行進曲』を弾いた。
 
ソミミミ|ソミミ↑ミ|(レド)(シラ)ソファ|ミファソ|
 
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の方である(「アテネの廃墟」より)。
 
「トルコつながりか。だったら私はこれで」
と言って、美那は千里の知らない何だか美しい曲を弾いた。
 
千里は
「みんなすごいねー。私クラシックとか全然分からないから適当に弾きまーす」
と言って、フランス民謡『月のあかりに』(Au clair de la Lune) を弾いた。
 
Au clair de la Lune, Mon ami Pierrot
Prete-moi ta plume, Pour ecrire un mot
ファファファソラーソー、ファラソソファ×2
月の光の下で、私のお友達のピエロさん、ペンを貸してくれない?ひとこと書きたいの。
 
「おぉ、月つながりか」
と竹子おばさんが言った。
 
「え、何!?」
と千里は訳が分かっていない。蓮菜が説明してくれた。
「美那が弾いたのはベートーヴェンの『月光ソナタ』(Mondscheinsonate) 恵香とベートーヴェンつながり。千里が弾いたのは『月のあかりに』でお月様つながり」
 
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「つながってたんだ!」
 
「このまま連詩方式で行こうよ」
「連詩って?」
「多数の人で詩を書く。各々の人は前の人と関連する詩を書くけど2つ前の人とは必ず世界観を変える」
「なんか難しい」
「やってみれば分かるよ」
 

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それで守恵は『クラリネットをこわしちゃった』を演奏した。フランス民謡つながりである(月光とは無関係)。すると弓恵はベニー・グッドマンの『メモリーズ・オブ・ユー』を演奏する。クラリネットつながり(月のあかりにとは無関係)だが、弓恵さんの弾くリズムの前乗りが心地いいなと千里は思った(あまりジャズは聴いたこととがない)。
 
鈴恵はジャズつながりで『A列車で行こう』、おとなたちは「30歳以上はパス」と言ったので、蓮菜に戻って列車つながりで『フニクリフニクラ』、恵香はイタリアのCM曲つながりで『サンタルチア』と続く。
 
(フニクリフニクラはヴェスビオ火山の登山電車のCM曲、サンタルチアはナポリ湾の観光船のCM曲)
 
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「これはネタ切れは時間の問題だ」
と言って美那は“サンタ”つながりで『サンタが町にやってくる』を弾く。それで千里もだいぶ分かって来たので、クリスマスつながりで『ホワイトクリスマス』、守恵はクロスビーつながりで『世界一周』と続いて行く。
 
みんな「そろそろネタが尽きそう」などと言いながらも何とか続いて行き、結局3時間ほど、演奏は続いて
 
「あんたたち凄いね!」
と竹子・笹代姉妹も感心していた。結局20時半で“水入り”となった。
 

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全員パジャマに着替える。蓮菜たち4人は蓮菜の部屋で着替えたが、恵香と美那が
「千里のパンティから“こぼれない”」
と騒いでいた。
 
「何がこぼれないんだっけ?」
と千里は分かってないので不思議そうに訊く。蓮菜は
「こぼれるようなものがある訳無い」
と素っ気ない。
 
それからリビングに戻り、千里たちが持ち込んでいたケーキを食べる。竹子さんが美味しい紅茶を入れてくれた。トワイニングのセイロン・オレンジペコーだと言っていた。
 
ここから先は
「眠くなったら各自、部屋に行って寝る」
というルールでガールズトークである。おとな2人はケーキを食べた所で「0時までには寝なさいね」と言って奥の部屋に行った。
 
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「千里ちゃんすっごいお姉さんっぽいパジャマ着てる」
と守恵から言われる。
 
「私がパジャマ忘れたと言ったら、みんなで選んでくれたんですけど、お姉さんっぽすぎて恥ずかしい」
などと千里。
 
「いや、もうみんな6年生にもなれば女の子はおとなだもん。そういうの着ていいと思うよ。いつまでもキティちゃんという訳にはいかないし」
と守恵が言ったら
 
「ごめん、私マイメロ」
と蓮菜。
 
「あ、見えなかった。ごめーん!」
と守恵は言った。
 
守恵と蓮菜は隣り合って座っていたので、かえって隣は見えてなかったのである。
 

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