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■春歩(19)

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6月4日(土).
 
千里1が参加している、アメリカのWBDAは、結局レギュラーシーズンは2試合行われただけで、決勝ラウンドに突入してしまった!
 
それて千里はこの日、やっと試合をすることができた。しかしこちらは8人(当初より1人増えた)で、向こうは9人で少人数同士の戦いになった。
 
試合は一応勝った。
 

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6月4日(土).
 
吹奏楽の石川県大会が金沢市森林ホールで行われた。歩夢たちN中学吹奏楽部員は保護者の車に相乗りして金沢市に入った。歩夢と2人のフルート担当の女子(月奈・麻音)の合計3人で歩夢の母・珠望が運転するインサイトに乗り金沢に向かった。途中休憩したPAで、歩夢が他の2人の女子と一緒に堂々と女子トイレに入って行くので、珠望は
 
「あんた女子トイレ使うの?」
などと言ったが、月奈(るな)ちゃんが
 
「お母さん、歩夢ちゃんが男子トイレに入っていったら『混んでいるからといって女の子が男子トイレとか使ったらダメ』と叱られます」
と言ってくれた。
 
母は「うーん・・・」と悩んでいた。
 

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10時過ぎに金沢の会場に到着する。各自用意していたお弁当を食べてから、12時過ぎに大会は始まった。
 
大会は参加者以外は会場内に入れないので、生徒たちを運んだ保護者たちは駐車場で各車内で待機した。そもそも今回地区予選が行われたのも密を回避するためである。2019年までは予選無しで、県内の全参加校が金沢に集まって大会をしていた(2020年は大会中止)。今回は県大会の参加校は7校で、2時間ほどで大会は終わるはずである。
 
大会は13時から始まった“はず”であるが、歩夢たちは13:30に入場指示があった。ひとつ前の学校の演奏を聞き、消毒後、ステージに昇って、出番が次の学校の生徒だけがいる状態で、閑散としたホールで課題曲と自由曲の2曲を演奏した。そして演奏が終わるとすぐ無言で退席する。
 
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学校と学校の間に消毒作業が入るし、1校ずつ案内するので時間がかかる。それで7校の演奏に2時間も掛かった。
 

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「なんか息詰まる感じだった」
「地区大会はもっと緩かったのに」
 
「まあ地区大会は参加校が3校だったしね〜」
 
「感染者が出ると参加できないから、参加取りやめた学校も多かったし」
「この県大会も地区大会の優勝校が2校辞退して次点校が繰り上げ出場してるし」
 
「いや、うちも大会までに感染者が出ないか実はヒヤヒヤだった」
と顧問の先生も言っていた。
 

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現地解散して、あとは自由行動となる。歩夢が先日、一言主神社という変わった神社に行ったことを話したので、歩夢の母は車をAショッピングプラザに移動。母も含めて4人で、歩夢の記憶している一言主神社の場所に向かうのだが
 
「あれ?この辺だった気がするのに」
「案内板とかの類いも無いね」
 
歩夢は申し訳無いとは思ったのだが、真珠さんに電話してみた。
 
「ああ、一言主神社というのは、強い願いを持っている人だけが辿り着けるから、普通はどうやっても辿り着けないんだよ」
 
「え〜〜!?」
 
「ぼくも大学1年の時に、強い思いがあって辿り着けたけど、その後、お礼参りに行こうと思って探し回るけど、どうしても見付からなかった。北陸霊界探訪で加賀・能登・越中の寺社を取材して回った時も、再度探したけど見付からなかった。視聴者にも呼びかけて、行ったことのあるという人数人から情報をもらって、その情報を元に到達を試みたけど、やはり駄目なんだよね。でもこないだは、強い思いを持っていた歩夢ちゃんと一緒だから辿り着けた」
 
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「嘘みたい」
 
「代わりに、ぼくが君たちをいい所に連れてってあけるよ。Aショッピングプラザで待ってて。そちら何人?」
 
「おとな1名、中学生3人です」
「みんな女の子?」
と言われて歩夢は一瞬だけ躊躇してから
 
「はい」
と答えた。
 

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それで歩夢たちがショッピングプラザに戻ると、真珠さんはすぐ来てくれた。
 
そして真珠さんが案内してくれたのは、火牛スポーツセンターのアクアゾーンである。
 
「ここは2020年4月にグランドオープンする予定だったけど、折からのコロナの流行でCMを流すこともできず、夏の間だけ、人数限定で客を入れている」
 
「だったら経営が苦しいのでは?」
と歩夢の母が心配する。
 
「ここの社長さんは、お金が減ることが大好きだから、涙を流して喜んでます」
「はぁ!?」
 
「まあシーズン外でも〒〒スイミングクラブの会員は限定人数をオーバーしない限り使えるんだけどね。ぼくは特別会員だから、その連れということで、みんなを入れてあげるよ。ただ感染検査を受けてもらいますけど、いいですか?」
 
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「それは全然問題無いと思います」
と歩夢の母は言った。
 

「でも私たち水着を持って来てない」
「そのくらいプレゼントしますよ。一言主神社でがっかりさせたお詫び」
と真珠は言った。すると歩夢の母は
 
「そんなの申し訳無いです。私が出しますよ」
と言う。
「じゃ川口さんと半々で」
 
ということで、アクアゾーン2階にある、フェニックス・スポーツ津幡店で水着を選ぶ。
 
「何かここ色々安い」
「衣料品を含む綿製品はインド直輸入、シューズとかテニスラケットとかはケルメ本社との直契約だから。でも今の円安で少し高くなってるんですよ」
 
「高くなってこの値段ですか!」
 
「この足跡みたいなマークがケルメ?」
「そうそう。オーナーは元々スペインと関わりがあるらしくて」
「へー」
 
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歩夢の母は「私は見学」というので、真珠を含めて女子4人で水着を選ぶ。お店の人にサイズを計ってもらってから選んだ。
 
「みんなこの際、ビキニとか可愛いの選べばいいのに」
「ビキニを着るには、ある部分が不自由です!」
「大変ネ」
 
真珠もビキニではない普通の水着を選ぶ。
 
それで4人分の水着、ビニール製の水着入れ、バスタオルで24000円ほどだった
 
歩夢の母がカードで払い、真珠が半額の12000円を現金で渡した。
 

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その後、1階のアクアゾーンに行く。
 
フロントでは
「吉田さん、いつもお世話になっています」
と笑顔でスタッフの人が言って5人をまず待合室に通す。白衣の女性が出て来て
 
「簡易検査キットで検査させて頂きます。少し痛いですけどいいですか?」
 
「いいですよ」
 
それで綿棒を鼻に入れられるが確かに痛い!
 
結果は5分ほどで出て、全員陰性だった。このキットは陽性だと30秒で分かる。陰性の場合に5分待つのは遅れて陽性反応が出ないか念のため待つから。
 
それで入館証(ロッカーの鍵を兼ねる)を渡されたので、腕に巻き付けて中に入る。
 
「ここ料金は?」
と歩夢の母が訊く。
 
「特別会員は5人までの連れは無料で同伴できるんですよ」
「凄い」
 
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それでプールに行く。お母さんは見学なので、別の通路から入るが、真珠たち4人は更衣室に行く。女子更衣室に入ろうとした所で、歩夢が立ち止まって、もじもじしている。月奈ちゃんが気付いて
 
「一緒に入ろ」
と言って、歩夢の手を引いて、一緒に女子更衣室に入った。
 
「まあ、歩夢ちゃんが腕に着けてるロッカーの鍵はそもそも女子更衣室のロッカーに適合する」
と真珠は指摘した。
 
「じゃ、そもそも向こうには行けなかったね」
 
それで女子更衣室内の4つ並びのロッカーを使う。
 
それで着替えるが、服を脱いだ所で
 
「この身体で男子更衣室に入ったら犯罪だよ」
と月奈ちゃんも、麻音ちゃんも言っていた。
 

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それでシャワーを浴びてプールエリアに入る。歩夢の水着姿を見て
 
「うーん・・・」
とお母さんが悩んでいた。
 
シーズン前ということもあり、プールは空(す)いていた。お客さんはたぶん30-40人である(夏でも実は100人までしか入(い)れない)。
 
歩夢は全然泳げないみたいだったので、真珠が少し泳ぎを指導してあげた。他の子は25mプールで泳いだり、遊泳プールで水浴びをしたりしていた。
 
後半は4人でひたすらスライダーを滑った。
 
スライダーの階段に(一段空けで)並んでいた時に、女子高生っぽい人が真珠に話しかけてきた。
 
「北陸霊界探訪の、真珠(しんじゅ)さんですよね?取材ですか」
「いや、今日はオフで息抜きに泳ぎに来たんですよ」
 
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「ここ、いいですよね。人が少ないからスライダーもすべり放題なんですよ」
と楽しそうに言っていた。
 
「確かにこんなに空いてるスライダーはなかなか無いよね」
 
「私、これがやりたいから〒〒スイミングクラブの会員になったんですよ」
「そのためだけに会員になる価値あるかもね!」
 
ちなみに〒〒スイミングクラブの会費は利用回数に制限のある一般会員でいちばん下のコゾクラは月500円である。これでも月に2回入場できる。
 
回数制限の緩い上位会員は、フクラギ(4)→ガント(8)→ブリ(17)となる:北陸でのブリの出世ステップ名称である。回数制限無しの“クジラ”もあるが、現在のコロナの状況では月17回泳げるブリでさえ、その権利をフルに行使するのは難しいかも知れない。真珠はプライベートプールも利用できる特別会員。邦生と結婚したので入会を許可されて、年会費を払い特別会員になった。
 
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確かに人が少ないから、スライダーはほとんど待たずに滑れてよかった。
 
2時間ほど遊んでから、あがった。
 
「あんた更衣室どっち使ったの?」
と母が訊くが、歩夢は
「もちろん女子更衣室に決まってる」
と堂々と答えていた。
 
母はまた悩んでいた。母のおごりで、移動レストラン・ムーランでごはんをテイクアウトしてテラス席(屋外)で食べた。
 
そのあと17時頃に歩夢たちは真珠と別れてS市に帰って行った。
 
帰りの車の中で母は歩夢に尋ねた。
 
「あんた今月下旬からの水泳の授業、女子水着で参加する?」
「そのつもり」
「分かった。何か言われたら連絡して」
「うん。ありがとう」
 
去年の校長先生なら分からなかったけど、今年の校長先生なら認めてくれるかも知れない気がした。
 
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