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■春歩(8)

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4月30日(土)夕方。
 
舞花は晃の部屋に、ノックもせずにいきなり入ってきた。
 
「ノックくらいしろよー」
と晃は毎度文句を言う。
 
「あーきーらーちゃん、いいものあげる」
と言って、舞花が見せるのは、女子制服!?
 
「昨日街で卒業した先輩と遭遇してさ。今年2勝したと言ったら、凄い喜んでくれてさ。それで制服もしまだ持ってたらもらえません?と言ったらOKしてくれて、もらったのよ。念のためクリーニングに出して、今受け取ってきた」
 
姉の文章って、論理が成立してないよな、と晃は思った。
 
「・・・それをどうしろと?」
 
「あんた、ユニフォームでベンチに座ってると、どうも選手と誤解されてるみたいだからさ。制服で座ってたらマネージャーだというのがはっきりするなと思って。だからインターハイの予選ではこれ着てベンチに座りなよ」
 
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「女子制服着るとか恥ずかしいよぉ」
(↑嫌だとは言ってない)
 
「だったら、あんたも選手としてコートインする?」
「そんなことできる訳無い。ぼく男なのに」
 
「某所に美少年が行くと、即性転換手術して女の子に変えてくれる病院があるらしいよ。手術代もローンで払えるんだって。あんたならきっと手術してくれるよ。今から行かない?」
 
「今から〜〜〜!?」
「それが嫌なら、これを着てベンチに座るか」
 
「その二択なの〜〜?」
 

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「取り敢えず着てみてよ。試着試着」
「じゃ試着だけ」
と言って、晃は女子制服を受け取った。
 
姉がこちらを見ているので
「そっち向いててよ」
と言う。
 
それで舞花が向こうを向いているので、晃はズボンと長袖Tシャツを脱ぎ、恐る恐る女子制服を身につけてみた。
 
「もういいかい?」
「リボンの結び方が分からない」
「結んであげるよ」
と言って、舞花は晃の制服のリボンを結んであげた。
 
「かっわいー」
と舞花は喜んでいる。
 

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「記念写真、記念写真」
と言って、自分のスマホで撮影する。
 
「恥ずかしいよぉ」
「似合ってるよ。学校にもこれで登校しない?」
「そんなことしたら叱られるー」
 
などと言っていた時、
「晃〜、舞花も居るの?タイヤキ買ってきたから・・・」
と母の声がして、ドアが開く。
 
母の目の前に女子制服を着た少女が居る。
 
「あ、晃のお友達ですか?」
と母は言った。
 
「お母ちゃん、晃本人だよ」
と舞花は言った。
 
母は目をゴシゴシした。
 
「晃、あんた、“やはり”女の子になりたいのね?」
と母は言った。
 

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4月30日(土).
 
LFBの2021-2022レギュラーシーズンが終了した。千里(千里2B)が所属するマルセイユは最終戦は落としたものの、4位でプレイオフに進出した。
 

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5月2日(月・平日!).
 
歩夢はまた夢を見ていた。道を歩いていたら、ハンプティ・ダンプティのコスプレをした人がいたので、歩夢は一週間ほど前に見た、パーティーの料理で卵を2個出された夢を思い出した。
 
その人が風船をくれたので、何気なく受け取る。この“浮かぶ風船”って童心をくすぐるよね、などと思う。
 
それで紐を持って歩いている内に少し縮んでくる。空気を吹き込めばいいんだっけ?と思う。よく見ると、風船の上の方に2本の細いストローが刺さっている。下部には1本太いパイプが刺さっている。
 
どうして3本も刺さっているんだろう?どこから吹き込めばいいんだろう?と疑問を感じた。
 
そこで目が覚めた。
 
目が覚めた後、自分の下腹部の付近に風船があって、今はしぼんでいる気がした、それを膨らませるのは、もっとおとなになってからだよ、と誰かに言われた気がした。
 
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その日、学校では5時間目に体育がある。
 
歩夢は、着替えは、学校から割り当ててもらっている専用更衣室で着替えることになっている。歩夢を男子と一緒に着替えさせるのは、あまりに問題があるが、女子と一緒にする訳にはいかないのでは?と言われて、このような対応になっている。
 

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この日の昼休みは、吹奏楽部で
「昨日の総括をします」
という連絡があったので、歩夢は給食を食べてから、(専用更衣室で)セーラー服に着替えて部室になっている理科室に行った。
 
県大会までの練習スケジュールなどが伝達された。
 
その後、5時間目の体育のために体操服に着替えなければと専用更衣室に向かっていたら、その途中を友人のツバメちゃんとヒバリちゃんに身柄確保される。
 

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「何するの〜?」
「我々はプードル団だ」
「プードル??」
「ブンドル団(*13) の親戚だ」
 
昨日の夢でこの2人に女子トイレに連れて行ったもらったことを思い出す。しかし連行先は女子トイレでは無かった。
 
「君を女子更衣室に連行する」
 
え〜〜!?
 
「それまずいよぉ」
「いや多分問題無い」
「でも体操服が」
「あゆりんのスポーツバッグは持って来たよ」
とヒバリが言う。
 
「だいたい、あゆちゃんって、こうやって触っていても完璧に女の子の感触なんだもん」
とツバメちゃんが言っている。2人に両脇を抱えられて女子更衣室に入る。きゃー!っと思い下を向くが、中に居た女子たちは、特に騒いだりしない。
 
セーラー服を着た子が女子更衣室に入って来ても、誰も変には思わない。
 
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(*13) ブンドル団は『デリシャスパーティ♥プリキュア』に登場する秘密組織。
 

「はい、着替えて着替えて」
「もう!」
 
それで他の子の着替えを見ないように下を向いたままセーラー服を脱いでいたら、やっと、歩夢に気付く子が出た。
 
「あれ?あゆちゃんだ」
「今日からは女子更衣室使うの?」
「多分問題無い気がするんだけどね」
と体育委員!のツバメが言っている。
 
この時、ちょうど歩夢はセーラー服を脱いで下着姿になった所だった。
 

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「女の子の下着姿にしか見えない」
「あ、ちんちんはもう取っちゃったのね」
「ちんちん無いのなら、女子更衣室で問題無いよね」
 
歩夢はタックしているのでショーツに変な膨らみは無い。だからそれを見れば、既に男性器は除去済みなのだろうと思われる。
 
「でも胸が大きい」
 
「あゆちゃん、その胸はパッド入れてるの?」
と花凛ちゃんに訊かれる。
 
「先月まで入れてたけど、外したぁ」
と正直に答える。
 
「これかなり大きくなってるよね」
とヒバリちゃんが歩夢の胸に触りながら言う。
 
「どれどれ」
と言って、みんな触る!
 
「これほんとに生胸?」
「うん」
「これもう完全に女の子の胸だよ」
「私負けたぁ!」
などといった声。
 
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「このブラジャーのサイズは?」
「A60」
「この胸はAじゃないよ。Bあるよ」
「お母さんに言って、新しいブラジャー買ってもらいなよ」
「心臓を圧迫して、よくないよ」
 
「やはり大きいのにしないといけないかなあ」
「うん」
とみんなの声。
 

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この日は雨だったので、体育館でバスケットをした。男子と女子に別れ、各々を半分に分けて試合する。歩夢は当然女子の方に入れられた。
 
男子の試合は102対96というハイスコアゲームになったようだが、女子の試合はランニングシュートとかできない子も多いので、シュートがなかなか入らず、45対38というロースコアゲームになった。歩夢は3回シュートしたが、1本も入らなかった。
 
終了後は他の女子たちと一緒に女子更衣室に戻る。歩夢も2度目だし、そもそも自分の着替えがそこにあるので、さっきよりは少ない抵抗感で中に入ることができた。
 
汗を掻いたので、歩夢は下着を交換する。
 
歩夢は壁を向いて下着交換をするつもりだったのだが、身体を掴まれて
「こちら向きなさい」
と言われて半回転させられ、みんなの方を向いて着替える羽目になった。
 
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開き直って、ショーツを脱ぎ、新しいショーツを穿く。みんなの視線を感じる!
 
「やはりちんちんはもう取ってたのね」
「ちゃんと割れ目ちゃんもあったね」
「でも毛が無いのね」
 
タックのためには毛はいつも処理しておく必要がある。皮膚の柔らかい部分の毛を処理する必要があるので、歩夢は焼き切るタイプで処理している。
 
「私、発毛遅れてるのかも〜」
と言っておく。
 
「胸の発達も遅れてたから発毛も遅れたんだよ」
 
「でも、女子と一緒に着替えても何も問題無いことが明確になった」
「これからは女子更衣室使いなよ」
「そうだなあ」
「みんなとおしゃべりしながら着替えればいいよ」
「それは楽しい気がする」
 

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ブラジャーも交換する。また熱い視線を感じる!
 
生胸を触られる!
 
「ほんとにこれ大きいよ」
「乳首もかなり大きくなってる」
「誰かメジャー持ってない?」
というので、メジャーが出て来て生胸のサイズを測られた。
 
「アンダー62cm トップ73cm」
「差が11cmだからAカップではきついはず。やはりBカップ買ってもらいなよ」
「この胸サイズならB65で行けるはず」
 
「B・・・・」
 
歩夢は“Bカップ”という単語を頭の中で思考するだけで、ドキドキした。何だか嘘みたい。小学生の頃、姉の胸が膨らんできたのを見て羨ましく思っていた頃を思い出す。
 
「あゆちゃん、胸がこれだけ大きくなってきたら、きっと生理も来るよ」
とアカリちゃんが言う。
「せ、せいり!?」
 
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「うん、きっと来る」
と多くの子の意見であった。
 

この日、6時間目の終わり頃、地震があった。
 
S市は数年前から群発地震が続いており、みんな一瞬動きを止めたもののすぐ終わったので
「またか」
という声があがる。
「震度3くらいかな」
「4月頭に数発あって以来、1ヶ月ぶりくらいかなあ」
 

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放課後の部活の後、学校から(セーラー服を着て)帰宅する途中、歩夢はショッピングセンターに寄った。衣料品コーナーでスーパーフック2個入り×2セット買う。これで取り敢えずは乗り切ることも可能なはず。
 
“琥珀”が歩夢に声を掛けた。
 
「あゆちゃん、パンティライナーとかナプキンとか持ってる?」
「何個か持ってるけど」
「どちらも1パック買っておきなよ」
「・・・・・」
 
私、ほんとに生理が来るの?
 
でも琥珀ちゃんが言うことには何か根拠があるはずだ。
 

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それで歩夢は、ショッピグセンター向いのマツキヨに寄った。
 
買物カゴを持ち、まずはおやつのLOOKチョコをカゴに入れる。それからドキドキしながらナプキンコーナーに行く。実を言うと、歩夢は自分でナプキンを買ったことがない。
 
「だって私、初潮が来るの遅れてたしぃ」
などと思う。
 
まずはパンティライナーを選ぶが、歩夢は過去にいくつかサンプルでもらったり、友だちや姉から分けてもらったものを試着してみて、表面が硬いのは嫌だなと思っていた。店頭のサンプルなどにも触ってみて、ロリエの商品を試してみようと思った。買物かごに入れるが、入れる時どきどきする。
 
それからナプキンを選ぶ。
 
ナプキンってあまりにも種類がありすぎるよなと思う。どれ買うか迷っちゃう。取り敢えず、姉が使っているセンターイン、母が使っているエリス、以外のブランドにしようと思う。
 
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それでパンティライナーを選んだロリエの商品を見ていて、スリムガード羽無し無香料がいいかなあと思った。
 
今日みたいに、みんなに下着姿見られた時、厚いナプキン着けてたら、パンティに膨らみができて、そこにちんちんがあるのかと思われそうな気がした。歩夢はタックしているので、パンティに盛り上がりができることはない。それなのにナプキンで膨らんだら台無しだ。だから薄さは最優先だよねと思う。また、香料があると、それで母や姉に着けてること気付かれるかもと思ったので無香料にした。
 

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これだけ買うのが恥ずかしいので、他にもおやつを買うことにして、MKブランドのチョコ大袋とポテチもかごに入れて、レジに持って行った。
 
すると、レジのお姉さんが、ナプキンとパンティライナーを黒い袋に入れてから精算済みのカゴに入れてくれた。こういうことをしてくれることは知っていたけど、自分の買物としては初体験なのでドキドキした。
 
詰め台では、スポーツバッグの底のほうに生理用品の入った黒い袋を入れ、その上に、体操服や男子制服をかぶせ、いちばん上におやつの入ったエコバッグを入れた。
 
それで歩夢はお店を出ると、ちょっとした冒険をしたような気分で帰宅した。
 
 
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