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■春歩(9)

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(C) Eriko Kawaguchi 2022-11-26
 
5月3日(火・憲法記念日).
 
歩夢は遙佳に訊いてみた。
 
「ねぇ、お姉ちゃん、今Cカップ着けてるよね」
「うん。2月頃から少しずつCに移行した」
「古いBカップのブラ、残ってたら私にくれたりしない?」
「・・・あんたBカップになったの?」
「Aカップがきつくて」
「ちょっと待って」
と言って、遙佳は歩夢にまず上半身、裸になるように言った。
 
「あんたこれ、凄く成長してる!」
と驚いたように言う。
 
そして、メジャーを出して、歩夢のトップバストとアンダーバストを測ってくれた。
 
「アンダー62.5cm」
「トップ73.9cm」
と姉は言う。
 
昼間クラスメイトに測られた時よりアンダーもトップも数値が大きいけど、測定誤差かな。
 
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「これは立派なBだよ。Aじゃきついよ。でも、あゆ、あんた、女性ホルモン飲みすぎじゃない?」
 
「お母ちゃんから言われた量しか飲んでないよ」
「しばらくホルモン飲むの中断してみない?」
「そうだなあ。少し休んでみようかな」
「ブラは、あんたにならあげてもいいよ。今度の布紐類の日に捨てるつもりだったんだけど」
 
と言って、遙佳は、押し入れの中に入れていた市指定のゴミ袋から、不透明のビニール袋を取り出し、その中に入っていたブラジャーの中で、特に傷みがひどいものを除いて、歩夢に渡した。更に
 
「これも要るよね?」
と要って、Bカップ時代に使っていたキャミソールとブラウスもくれた。
 
「ありがとう。助かる!ブラウスもきついと思ってた」
 
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学校の男子の服装規定は学生服の下はワイシャツなのたが、歩夢がブラウスを着ているのは事実上黙認されている。
 
「あんた、いっそもう女子制服で通学したら?」
「叱られるよぉ」
「受け入れられると思うけど」
 

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5月4日(水・みどりの日).
 
歩夢はまた夢を見ていた。歩夢はベッドか何かに寝ていて、誰かに手を握られている。見ると、親友のヒバリである。
 
「あゆりん、頑張って」
と言われるので何を頑張るのだろう?と思う。
 
「ほら、腹式呼吸よ、ヒッヒッフーだよ」
 
え?え?
 
でも歩夢は「ヒッヒッフー」と言いながら呼吸していた。何かが身体の中で移動している!?
 
何何?と思っていたら、
「おめでとうございます!生まれましたよ」
と言われる。
 
え?まさか私、赤ちゃん産んだの?
 
と思ってよく見ると白衣の女性(助産師さん?)が抱いているのは、小さな卵であった。
 
「あゆりん、頑張ったね」
とヒバリが言う。
 
私、卵産んだの???
 
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5月4日(水・みどりの日).
 
春貴は運動ができる服装をし、着替えを持って、自分のパッソに乗り、高岡T高校に向かった。そこで“ゴーセイジョー”の練習に参加するのである。
 
校門を入る時に、胸が痛んだ。中学3年の時、このT高校を受けるか、C高校を受けるか迷った。結局T高校には微妙かもと思って1ランク落としてC高校を受けた。そこなら絶対確実に入れるはずだった。ところが当日風邪を引いてしまい、マスクして出て行って受けたものの意識が飛んだりしてまともに解答できなかった。それで楽勝のはずの高校を落としてしまったのである。
 
まさかC高校に落ちるとは思ってもいなかったので滑り止めも受けていなかった。それで越県して金沢の進学校の二次募集を受けた。春貴はもしかしたら自分の母校になっていたかも知れない高校の校舎を見上げて、涙が浮かんだ。
 
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指定されていた第2体育館に行く。既に3人来ている。
 
「おはようございます」
と挨拶すると
「おはよう」
という声が返ってくる。
 
「早く来たね!」
と矢作さんが言う。
 
「済みません。早く来すぎました?」
「まだみんなが来てない内に来られると、やってきた人ごとに、私、奥村さんを紹介しないといけない」
 
「ごめんなさい」
 

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「まあこの後、来る人には、自分で紹介してもらうということで」
と言っていたのは、高岡T高校の先生で横井さんといった。
 
「まあそういう訳で、H南高校の奥村先生ね」
「今年、新任で入りました、奥村春貴と申します。よろしくお願いします」
「バスケットの経験は?」
「中学高校の体育の時間にやっただけなんですが、女子バスケットボール部の顧問を頼まれまして、今必死に勉強している所です」
「それは大変だね!」
 
「高校時代とかスポーツはしてなかった?」
と訊いたのは、射水E高校の先生で、広丘さんと言った。
 
「高校時代は、してなかったんですが、中学と大学では水泳部に入っていて、大学時代は、インカレや国体に出ました」
「それはハイレベルだ!」
「じゃ運動神経はあるかな?」
「どうでしょうか。皆さんの足手まといにならないよう頑張ります」
 
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挨拶代わりにと言われて、ランニングシュート5本、フリースロー5本、スリーポイントショート5本と言われる。そんなことしている内に、また1人、氷見市のH高校の高森先生が到着した。お隣の高校だ!
 
4人の先生たちの前で春貴はシュートをしたが、ランニングシュートは5本中4本、フリースローは5本中3本、スリーポイントシュートは1本だけ決めた。
 
「これだけ入れたら充分合格点」
と広丘さんに入ってもらい
「ありがとうございます」
と春貴も笑顔で答えた。
 
この日はシュート練習、ドリブル練習、パス練習の後、1on1をしたが、さすがに1on1はほとんど勝てなかった。
 
「やはり未経験者じゃ辛いよね」
「でも何度か抜いたね」
「ラッキーでした」
「慣れるともっと勝てるようになるよ」
「頑張ります」
 
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最後に紅白戦をした。今日は出てきている人が10人で、5対5の交替要員無し!である。40分走り回ったが、なかなかハードだった。でも全員へばってないようで凄いと思った。春貴は2ポイントシュート3本と3ポイントシュート1本を決めることができて合計9点を取り
 
「結構頑張ったね」
と言ってもらえた(たくさんパスを回してもらった気はする)。
 
春貴は今日の練習を経験して、うちの部員たちにも1on1はやらせた方がいいなと思った。
 

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5月5日(木・こどもの日・端午の節句・女児節!).
 
歩夢はまた夢を見ていた。歩夢は何かの工事現場に居た。
 
長いコンクリートの円柱のようなものが立っているが、それは機械によって地面に押し込まれて行っているようだ。ビルの基礎工事か何かだろうか。
 
15mくらいの高さがあったものが、どんどん地中に埋もれていく。そして最後は30cmくらい、円柱の頂上部が地面に露出しているだけになった。
 
女性の現場監督さんが、その少しだけ露出した頂上部を優しく撫でていた。歩夢はなんだか凄く気持ちがいい気がした。
 

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5月6日(金).
 
H南高校女子バスケット部は、5月2日は部活をお休みにしたのだが、この日は最初の1時間化学実験室で、昨年のインターハイ女子決勝のビデオを見た。
 
「どちらも凄く強いですね」
「動きが速い。男子顔負け」
「背が高ーい。こんな選手にガードされたら、全ショット叩き落とされそう」
「あのシュートが入るって信じられない」
 
「まあこれが“日本”のレベルだよ」
と春貴は部員たちに言った。
 
「私たちは外国?」
「いや外国のチームはもっと強い」
「まあ“日本”行きの船に乗れる所くらいまでは頑張ろう」
 
「よし、みんな今日はシュート練習しよう」
と言って、部員たちは残り1時間、気合を入れてシュート練習をしていた。
 
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5月6日(金).
 
千里1は10ヶ月ぶりにアメリカの地を踏んだ。アメリカの女子セミプロ・リーグ WBDA に所属するフィラデルバーグ・スワローズの事務所を訪問する。
 
「Hello, Victoria Here」
と挨拶する。
 
すると、チームメイトのティファニーが
「Oh! Victoria, I love you」
などと言って抱きついてくる。
 
キスはブロックした!
 
「Stop, Stop!! What's going on?」
「You are the 2nd girl this year」
 
つまり、今年ここに来た選手は千里が2人目だったようである。
 
うっそー!?既に7-8人は来ていると思ったのに!
 
あはは・・開幕までに5人揃うかなぁ〜〜?
 

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毎年3割ほどのチームが脱退(というより消滅)し、新たに同数程度のチームが加入するというWBDA(旧WBCBL)であるが、2020年以降“選手が来米できない”ために参加チームが激減している。
 
WBDAは選手に報酬は支払わない。そのため、就労ビザを取らなくても選手になることができる。その逆転の発想で、世界中から“武者修行”したい選手が集まってきていて、それがリーグを支えていた。シーズンも夏におこなうので他国のリーグと兼任でここに参加しやすい。ところが、COVID-19で国境を越えた移動ができないため、選手が集まらず、参加不能になったチームが相次いでいるのである。
 
今年は参加を表明しているチームは今の所わずか10チームであるが、開幕までに選手が5人揃わず、開幕前にリタイアするチームが出る可能性もある。スワローズも今の所は全く予断を許さない!
 
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むろん何とか5人揃ってリーグに参加しても5人ぎりぎりだと試合の日に誰か1人休むと不戦敗になる(ルール上は20-0で負け)。
 

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5月6日(金・みつ) 16時。
 
優子と夏樹は、金沢市役所でパートナーシップ宣言をした。
 
1月28日に千葉市でパートナーシップ宣言をした時は双方ともウェディングドレスを着て、夏樹の兄姉なども出席したのだが、今回は単なる再宣言なので、2人とも上品なワンピース(お揃いのサンローラン:どちらがどちらのか分からなくなるが、どっちでもいいことにしている!)で、出席したのは、双方の両親だけであった。
 
夏樹の両親は、優子が千里に頼んで、Honda-Jetblackで往復運んでもらった。2人はビジネスジェットなど初めての体験で
 
「これ高くないのかね?」
などと言っていたが
 
「実は車で往復するのより燃料費は安いんですよ」
とパイロットのエリッサから聞いて驚いていた。
 
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「何せホンダ製ですからね〜」
「やはり日本のメーカーって優秀なのね」
 
「お父さんたちも1機如何ですか?」
「これ、いくらするの?」
「6億円ですよ」
「きゃー!」
「ジャンボ宝くじ当たったら買えますよ」
「当たったら考えてみよう」
 
「でもあんた日本語うまいね」
「もう10年以上住んでますから。日本の永住権も持ってますよ」
「へー。凄いね」
 

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この日は、パートナーシップ宣言の後、金沢の新居に入り、仏間・リビングをぶち抜いて距離を空けて座り、ホットプレート3枚で焼き肉をした。奏音がモリモリ食べていた(主としてウィンナーとか、ミニハンバーグとかチキンナゲットとか、の食べやすいものを狙っているが、お肉も結構食べていた。むろん野菜は食べない!)。
 
夜は夏樹の両親を2階中央の部屋(夏樹・優子・奏音が寝ている部屋の隣)に泊めた。南側の部屋だと、下が優子の両親の部屋なので、音を気にしなくていいように真ん中の部屋にしたのである。
 
この日、優子の両親は、高岡の実家にあった、優子と夏樹の布団を持って来ている。そして優子の両親がその布団に寝て、先日こちらで買った布団を客用として使い、夏樹の両親にそれで寝てもらった。
 
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2階に案内された夏樹の両親は
 
「2階にお風呂があるんだ?」
と驚いていた。
 
「1階にもあるよ」
「凄い家だね。建てるの高かったでしょう。外見もおしゃれだし。優子さんのお父さん頑張ったね」
 
夏樹の両親は、優子の父がお金を出したと思っているようだが、そのあたりはあまり触れたくないので、スルーしておいた。
 

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