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■春歩(16)

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5月28日(土).
 
H南高校女子バスケット部はインターハイ予選の3回戦に出るのにまた福野体育館まで来た。
 
試合は10時に始まった。相手は今度は15人の選手を揃えたチームである。ヘッドコーチが怖そうな先生で試合前から、選手を叱り飛ばしていた。松夜がその怒声を聞いてビビっていた。
 
しかしさすが(2回戦を勝って)3回戦に出て来たチームである。かなり強いチームと見た。相手チームの選手たちは、みんなよく練習している感じだった。
 
しかし!
 
H南高校の部員たちも頑張っていた。
 
相手はどんどんこちらの制限エリアに進入してきてランニングシュートで確実に得点していく。うちのチームの技術では進入を止めるすべは無い。またこちらは向こうの制限エリアには全く進入できない。しかしこちらは中に入れなくてもミドルシュートで点を取っていく。
 
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向こうのヘッドコーチの顔が次第に厳しくなってきた。
 

多分向こうはこの試合楽勝と思っていたのではないかと思う。毎年1回戦で敗退していた学校である。最初は4〜6番の選手が出ていなかった。でも、なかなか点差が開かないことから、第1クォーターの途中でその3人を投入してきた。
 
ところがその3人を投入しても状況はほとんど変わらなかった!
 
結局、うちの選手のレベルでは、相手のスターターであれ、控え選手であれ、簡単にこちらに進入してシュートを撃てる。またこちらの選手は相手が上手くても下手でも、どっちみち中に進入できない。
 
結果的に強い人を投入しても、何も違いが無いのである!
 
相手はこちらのパスカットを狙ったり、持っているボールを奪おうとしてきた。しかしこちらはそもそもパス練習などしていない。その時間があったらシュート練習をしている。それで元々パスが下手なので!少々パスカットされても攻める回数に大きな変化は出ない。ボールを奪おうとした時に、こちらの動きが(素人に近いので)相手の予想通りとはいかず、ファウルになってしまう例が多かった。
 
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そういう訳で、前半終わって、40-38とわずか2点差である。
 
ハーフタイムが終わって控室から出て来た相手選手の数人が手で頬を押さえていた。愛佳と舞花が顔を見合わせている。
 
「あれ殴られてるよね?」
「暴力反対」
 
第3ピリオド、向こうは異様に気合が凄かった。でも状況は変わらない!
 
相手のプレイが荒っぽくなり、ファウルが増える。
 
とうとう相手チームで最初から出ていた10番の選手が、5ファウルで退場になる。更にチームファウルがかさんで、向こうがファウルする度にこちらはフリースローをもらう。みんなミドルシュートをひたすら練習しているので、フリースローは高確率で決める。
 
それで第3クォーターが終わった時にはとうとう55-60と、こちらが5点リードする状態になっていた。
 
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第4ビリオドに入り、9番の選手、12番の選手と5ファウルで退場になる。あまりのラフプレイに審判が相手のヘッドコーチを注意した。するとヘッドコーチが
 
「うるさい、このヘボ審判。うちのファウルばかり取りやがって。どこに目を付けてんだよ」
と言った。
 
一発退場を食らった!
 
更に退場を命じられて怒って審判に掴みかかろうとしたのを選手たちが必死で押さえた。
 

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キャプテンがコーチを兼任する形で試合は続けられるが、キャプテンがみんなに声を掛けて、プレイは正常化した。
 
向こうのラフなプレイが無くなり、やっとまともなゲームに戻る。
 
しかしそれでも、こちらのプレイスタイルが離れてシュートする形なので、それをブロックしたり、或いはスティールしようとして、どうしても相手のファウルは起きる。さすがにこの後は退場者は出なかったもののファウルの度にフリースローをもらい、それもあって点数は競っていく。
 
最後はお互いに抜きつ抜かれつのシーソーゲームとなった。こちらが美奈子のスリーで85-86と逆転した時、時計は残り12秒だった。相手チームが速攻してくる。向こうのキャプテンがランニングシュートする。ボールはリングの上をぐるぐると回り・・・
 
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外にこぼれた!
 
リバウンドを河世が取り、すぐにセンターラインの所に居る美奈子にパスする。そこから美奈子が遠くのゴールに向けてボールを投げる。
 
でもボールが美奈子の手から離れる直前にブザー!
 
そしてこのシュートが入っちゃった!
 
シュートした本人もびっくりしていた。
 
無論この“ゴール”はノーカウントである。審判がゴール無効のジェスチャーをしていた。
 
整列する。
 
「86-85でH南高校の勝ち」
「ありがとうございました!」
 
愛佳が向こうのキャプテンに握手を求めると、向こうは「ごめんね」と謝って、それから笑顔を見せた。それで両者、健闘を称え合った。
 
なお、向こうのヘッドコーチ(顧問)は半年間の試合指揮禁止という重い処分が下されたらしい(つまり10月のウィンターカップ予選で指揮を執れない)。
 
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でもこれでH南高校は3回戦を突破、何と準々決勝に進出したのである!
 
「準々決勝って雲の上の世界と思ってた」
「君たちはその雲の上まで来たのさ」
「すごーい」
「さあ、優勝して讃岐うどん食べに行こう」
「頑張りましょう!」
 
横田先生に連絡すると、ほんとに驚いていた。
「頑張りましたね!」
「部員たちはよくやったと思います」
「女子に負けないようこちらも頑張らなきゃ」
 
春貴たちは着替えて退去した。勝利のお祝いに、コンビニのハンバーガーで腹ごしらえした上で!?、洋菓子店でケーキを買って車内で食べた(春貴はこの手の出費がかさんでいる気がする)。氷見に到着した頃、横田先生からの連絡で男子も2点差で辛勝して明日の準々決勝に進出したということだった。
 
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「おめでとうございます」
 
「お前ら負けたら男やめてもらって女子バスケ部に移籍だぞとハッパ掛けましたが、残念ながら女子バスケ部への移籍は無いようです」
 
「あはは。女子バスケ部への移籍は歓迎です。こちら交替要員が少ないから」
「ほんとによく8人で頑張ってますね」
 
そういう訳で男女ともにベスト8進出である。
 

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5月29日(日).
 
H南高校は女子バスケットボール部創設以来初めてとなる、準々決勝に参加する。今日の会場は、男女とも富山市である。男子は富山県総合体育センター、女子は富山市2000年体育館で行われる。
 
福間体育館に行くのには7時半に集合したのだが、今日は富山市なので、7時の集合とした。「眠いー」と言っていた選手も居たが
「車内で寝てていいから」
と言って出発する。それで無事8時過ぎ、2000年体育館に到着した。
 
今日はここで女子の準々決勝4試合が行われる。コートが2面取れるので試合は2試合ずつ行われ、11時頃までには4試合全てが終わる予定である。
 

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春貴は駐車場で部員たちと一緒に準備運動をし、筋をよく伸ばしてから入場する。入場の際も、バスケット協会の会員証を提示する。愛機の母だけは、アシスタントコーチとして届けてあるのでそれで入場した。
 
春貴たちは9時からBコートで試合が行われる。
 
「相手チームさん、まだ来てないんですかね」
「控室に居るのかな」
 
取り敢えず試合前の練習でみんなミドルシュートを撃ちまくった。その後、いつものように、晃をゴール前に立たせて、その防御にめげずにシュートする練習をした。
 
相手チームはまだ姿を見せない。
 
「どうしたんたろう」
 
やがて9時になる。春貴たちはベンチに座った。
 
相手チームが居ない。
 
館内呼び出しがある。
 
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「****高校の選手は速やかにメインアリーナ、Bコートに来て下さい」
 
誰も姿を見せない。
 

運営スターッフは学校に連絡を入れたようである。すると何とまだ移動中ということである。選手たちを乗せたバスが高速道路走行中に、前方で事故が起きて通行止めになったらしい。警察の誘導で少しずつUターンして前のインターまで戻されたらしいが、同校の選手を乗せたバスは事故現場のすぐ近くだったので、高速から出るのが遅れ、さっきやっと一般道路に降りて、今こちらに向かっている所らしい。
 
「事情は理解しますが、9:15までにコートに来ていただかないと没収試合になりますが」
と大会の運営責任者が向こうの顧問と話す。
 
「頑張ります」
「頑張るのはいいですが、交通違反はしないでくださいね」
 
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結局9:15の時点で相手はコートに到着していなかった。
 
審判が没収試合を宣告した、
 
この場合、20-0でH南高校の勝ちとなる。
 
「勝ちはいいけど、試合したかったよぉ」
と選手たちの声。
 
「まあ仕方ない。今日は帰ろう」
 
それでH南高校のメンバーは引き上げた。
 
横田先生に報告したらびっくりしていた。
 
「2020年以降はコロナによる出場辞退に伴う不戦勝というのはあるんですが、遅刻というのは珍しいです」
と言っていた。
 
相手チームが到着したのは9:30、アリーナに走り込んで来たのは9:35だったらしい。もちろん没収試合は覆らない。下道が混んでいて、移動に思った以上に時間が掛かったらしい。選手たちには気の毒だが、交通事故は不可抗力だ。
 
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一方、春貴は火牛体育館に電話を入れてみた。
 
「1件キャンセルになったので、空いてますよ」
「そこ使わせて下さい」
 
それで春貴は部員たちを津幡の火牛体育館に連れて行った。今日はサンダーバードを指定された。9つの体育館の内8つが完成しており、残るはフェニックスだけのようである。
 
そこで紅白戦をさせたのだが、試合中に、ふらりと千里(*22)がやってきた。
 
「頑張ってるね」
「ありがとうございます」
 
生徒たちが「誰だろう?」という感じの顔をしているので春貴は紹介する。
 
「こちら東京オリンピックにも出た日本代表のシューティングガード村山千里さん」
 
「えー!?オリンピックに出たんですか」
「すごーい!」
というので、
 
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「サイン下さい」
などと言われて、千里は8人全員にサイン色紙を書いてくれた。
 
「鳥が飛んでいくように見える」
「フェニックスだね。私は死んで生まれたから私にピッタリのサイン」
「死んで生まれた!?」
 
「お母さんの身体から出て来た時は息をしてなかった。ベテランの助産師さん身体をさすったり、ビンタしたり、激しく揺すったり、最後は台の上に叩き付けたら『おぎゃー』と産声をあげた」
 
「臍の緒が首に巻き付くか何かしてたんだろうね。それで仮死状態になってた」
「たまにこういう人あるみたいね」
 

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千里さんが試合を見ていたが、アウト・オブ・バウンズなどで試合が停まった時に簡単なアドバイスをしてくれた。
 
河世にはボールの回転を見ているように助言していた。
「ボールの回転を見ていたら、ボールがバックボードに当たった後、どちらに飛ぶか見当が付くんだよ」
と言って、実際に前回転のボール、逆回転のボール、横回転のボールをボードにぶつけてみせて飛ぶ方向が変わることを教えてくれた。
 
「こういうのって勘だけじゃないんですね」
「リバウンドは観察70%勘10%タイミング20%」
「ああ」
 
美奈子にはロングシュートを撃つ時の膝の使い方を丁寧に指導していた。
 
「君は足腰を鍛えるともっと入るようになる」
「やはりジョギングですかね」
「うん。夏の間にそれを鍛えなよ」
 
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晃にはランニングシュートを撃つ時の、目標の定め方を教えていた。
「君は背も高いし、センスを磨けば、かなり中に進入していけるようになると思うよ。チーム内で、敵の防御を突破して中に入れそうなのは、河世ちゃんと晃ちゃんだけど、性格的に河世ちゃんはセンター、晃ちゃんはパワーフォワードという感じだね。それで美奈子ちゃんがシューターとして開眼すると、これはかなり強いチームになるよ」
 

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「でもぼく、試合には出られないんです」
「なんで?」
「男なので」
「は!?」
 
「千里さん、その子は舞花ちゃんの弟さんで、背の高い選手との対決を練習するために女子バスケ部に参加してもらっているんですよ」
と春貴が説明する。
 
「だったら君は性転換推奨だな」
と千里さんが言うとも多数の拍手がある!
 
「交替要員も1人増えるし」
と五月が言っている。
 
「ちょっと簡単な手術を受ければいいよね」
なとと姉の舞花。
 
千里は言った。
 
「痛み無しでほんの2時間ほどで性転換させてあげられる方法があるんだけど。君さえよければ今から女の子に変えてあげようか?」
 
「今からですか!?」
と晃は狼狽している。
 
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「女子高生になりたいんでしょ?」
「別になりたくないですー」
「男の人と結婚して赤ちゃんも産めるようになるよ」
「5-6年、考えさせて下さい!」
「そんなに待つと、男っぽくなって女子選手で通らなくなるよ。取り敢えず睾丸だけでも抜かない?」
 
多数の拍手があるが、本人は
「取り敢えず今日は勘弁して下さい」
と逃げていた。
 
なお、バスケ部男子の方は、善戦虚しく、5点差で敗れ、BEST8停まりであった。
 

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(*22) この日、H南高校のメンバーを指導したのは千里6である。千里6は“統合千里”の代理で日本代表の試合に出たこともあるので、自身も間違い無く元日本代表である。
 
5月28日の段階で、1番はアメリカ、2Aは妊娠中(浦和にいる)、2Bはフランスとスペインを掛け持ちして(すーちゃんに半分は代理をさせている)、水泳日本代表のお世話をしている。3はバスケット日本代表の活動でオーストラリア。ということで、日本国内のオペレーションは主として千里4がしている。この日は4番に頼まれた6番が、少し指導してあげた。
 
 
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