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■夏の日の想い出・Long Long Ago(14)

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告別式で“故人が好きだった曲”というので、流れた曲がなんとワンティスの歌なので、宏美はびっくりした。思わず道雄・秋好・智史で顔を見合わせる。しかし4人とも困惑した表情になる。
 
「ねぇ、この歌知ってる?」
と秋好が訊く。
「聞いたことない」
と道雄。
 
「でも間違い無くこれワンティスだよね?」
「うん。これ高岡さんと上島さんのデュエットだよ」
「上島さんの声が物凄く若い」
 
4人は次郎さんの奧さんを掴まえて尋ねてみた。
 
「ああ、ワンティスというバンドなの?何のバンドか知らないけど、お父さんがこのCD大好きでよく掛けてたから、葬式でも流したのよ。棺に入れて送ってあげようと思ってたんだけど」
 
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「待ってください。これ物凄く貴重な音源である可能性があります」
「え〜〜〜!?」
と次郎さんの奧さんは驚いていた。
 

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4人は辰吉が大好きだったというCDを見せてもらった。
 
「JASRAC番号が入ってない」
と智史が言う。
 
「きれいにレーベルが印刷されてて、普通の人が見たら商業的に出版されたものと思うかも知れないけど、これは多分昇華型のプリンタで印刷したもの」
 
「ごく少数の関係者にだけ配ったものかも」
「恐らく今国内にこれ1枚しか存在しないかも」
「たぶんプロモーション版か、ひょっとしたらブートレグの可能性もある」
 

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「辰吉さんって、何の仕事をなさってたんでしたっけ?」
 
これは次郎さんが説明した。
 
「生まれは天川村なんだよ。尋常小学校を出た後は左官屋の弟子になったけど、招集されて満州に行った。終戦後、民間人のふりして命からがら日本に逃げ帰って、東京に出て印刷屋さんをしていた。それで親父は物凄く字が上手かったよ。その後、田舎に戻って、最初は奈良市でレコード屋に勤めていた」
 
「レコード屋さんですか!」
 
だったらその時にこのCDを入手したのだろうか?レコード会社がデモ版をレコード屋さんなどに配布することはわりとある。
 
「そのレコード屋さんが御所市に支店を作ったから、親父はその店長として御所市に赴任した。65歳になってから退職して、カラオケ・スナックを作った。これを90歳の年まで運営してから他人に譲って引退した。その後は、特に仕事はせずに、好きなカラオケと囲碁三昧の暮らしだったよ」
 
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ワンティスとは交差しそうで交差しない微妙な話だ。ワンティスは2001年4月にデビューし、2003年12月の高岡の死で活動停止した。2003年は辰吉が87歳の年になる。その時期は辰吉は、既にレコード屋さんもやめてるし、カラオケスナックもやめる直前くらいということになる。
 
しかし、ともかくもこのCDが物凄く貴重なものであることは理解してもらい、コスモスたちはこのCDを預からせてもらうことで了承を得た。
 

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葬儀はお昼前に終わったが、道雄と智史が親族に掴まってしまい、なかなか返してもらえない。仕方ないので、
 
「酔いが覚めたらレンタカーでも借りて帰って来てね」
 
と言って、放置して帰ろうかとした。ところが智史は
 
「待って。僕も帰る。今日の夕方に仕事があるから帰らないといけない」
と言い、結局、メロディーと“人質交換”!して、メロディーが飲み会に残り、智史はコスモスと一緒に帰ることになった。
 
コスモスは、セレナに両親の伊藤太郎・花子、メロディーの子供の薫・夕霧、そして完璧にダウンしてる感じの智史を乗せて関空に戻り、A318で熊谷に帰還した。
 
かなり泥酔した状態で飛行機に乗った智史は死にそうな顔をしていた。飛行中ほとんどの時間トイレに籠もっていた!
 
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(結果的に隔離になったかも!でも機体の大きなA318で良かったと思う)
 
コスモスはトイレの清掃をすることになる、ムーランエアのスタッフに謝っておいたが
「そのくらい平気ですから気にしないで下さい」
と笑顔で言われた。
 

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東京にもどったコスモスは、その足で水戸の上島邸を訪れた(10/21)。なお、薫たちはしばらく花子が預かることになった。
 
(チャイルドシートの付いた智史の車を太郎が運転して多摩市に戻り、コスモスは自分の車で智史を彼の姉!宝珠美玲の所にポストしてから水戸に向かった。太郎が使用中の代車は空港に置き去り:翌日美玲と義妹の七星の手で回送)
 
音源を聴いた上島は驚愕した。
 
「これは『ワンザナドゥ』だ」
と上島は言った。
 
「もしかしてワンティスの未発表アルバムですか?」
「音源が行方不明になってたんだよ」
「え〜〜!?」
コスモスはその話は初耳である。
 
「高岡が死ぬ直前に完成して、プレスを始める直前だった。これは多分そのプロモーション版ではないかと思う」
と上島は言う。
 
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「FM局とかに配ったもの?」
「恐らくそうだと思う。常識的に考えると数十枚しか作ってない」
と言って、上島はそのCDを詳細にチェックしていた。
 
「このCDはCD-Rだね。工場で生産したものではなくパソコンで少数焼いたものだよ」
「どうしてそんなものをうちの祖父が持っていたんでしょうね」
「お祖父さんはレコード屋さんを長くやっていたのなら、その人脈で誰かからもらったのかも知れないね」
と言ってから上島は言った。
 
「このCDを譲って欲しい。そして水上の追悼版として発売したい」
「水上先生も喜ぶと思います」
「お祖父さんのご遺族と条件面の交渉をしたい。僕をそこに連れて行ってくれない?」
「私はとても行けないですが、智史さんが行けるか訊いてみます」
 
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それでコスモスは智史にメールしてみた。彼からは折り返し電話があった。
 
「要件は分かった。でも仕事の都合がつかない。25日とかではダメ?」
 
10/25は月曜日である。芸能人は週末がどうしても忙しい。
 
上島先生に尋ねると25日でもいいという。それでコスモスは御所市の本家に電話し、次郎さんに電話に出てもらって、例のCDの件で、ワンティスの人がお話したいと言っていると伝え、25日の夕方とかに会えないかと打診した。すると、次郎さんは夕方からでは体力が無いし、自分は自由出勤なので昼間の方がいいということだった。それで、上島先生と田船智史が、25日午後に御所市に行くことになった。
 
あらためて智史に連絡して了承をもらう。
 
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「でも智史さん、かなり酔ってるみたいだけど、今日夕方からのお仕事大丈夫?」
「頑張る」
 
それでコスモスはムーランエアーに、"A318"のフライト予約、そしてレンタカー会社にも“8人乗りセレナ”の予約を入れた。
 

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10月23日(土).
 
恋珠ルビーが“主役”の光の精、水森ビーナが準主役のミチルを演じるドラマ『青い鳥』が放送された(チルチルは石川ポルカ)、ルビーは『魅惑の美少女シンデレラ・シンドルバッド』に主演して話題上昇中だし、ビーナはその『シンドルバッド』でシンドルのアシスタント役を演じていて、
 
「シンドルバッドのコンビだ」
と言われた。
 
ここで坂田由里が性悪女のチレットを演じていて、その演技力が、20代以上の人たちには注目されることとなる(小学生などには嫌われるが、由里はそれを覚悟で演じている)。それで、これまで全く無名だった坂田由里の名前がかなり多くの人に認識されることになったのである。
 
「この坂田由里の演技で、この劇が物凄く引き締まっている」
「§§ミュージックは次々と才能豊かな人が出てくるね」
と20代以上の層では評価された。
 
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そして10月24日、制作中の『八犬伝』の詳細な配役が発表されたが、坂田由里が玉梓と船虫を演じるという発表に、
 
「この人の悪役は見てみたい」
という声が多数あがったのである。
 
「取り敢えずビーナはもう高崎ひろか・松梨詩恩の妹ということでいいな」
とコスモスは呟いた。
 

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また§§ミュージックは、12/31-1/01 のカウントダウンライブ(あけぼのテレビ・★★チャンネル・ЮЮネット(AYS連合)同時放送)の出演者を発表した。今回、俳優業が中心の、中村昭恵と今井葉月は参加しない。また音楽活動を全くしていないリセエンヌ・ドオと大崎志乃舞も外れた。
 
■第0部 11:00-12:00
Prologue/信濃町ガールズ Introducing New Face
 
■第1部 12:00-13:30
白鳥リズム/ラピスラズリ/常滑真音
 
■第2部 13:30-19:30
水谷姉妹FlowerSunshine/甲斐姉妹/ColdFly5/恋珠ルビー&花貝パール/ 松梨詩恩&水森ビーナ/七尾ロマン/石川ポルカ/原町カペラ/西宮ネオン/高崎ひろか/品川ありさ
 
■第3部 19:30-23:45
信濃町ミューズFlowerFour/めろでぇず/ローザ+リリン/秋風コスモス/花咲ロンド/山下ルンバ/桜野レイア/川崎ゆりこ
 
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■第4部 23:45-1:00
姫路スピカ/アクア
 
第1部は特に明言されていないものの“紅白組”だろうなと多くの人が思った。紅白歌合戦の会場に移動しないといけないから、トップで歌わせるのだろうと。
 
司会は第0部が古屋あらた、第1部が鈴鹿あまめ、第2部が夕波もえこ/松島ふうか(途中で交代)、第3部は原町カペラ、第4部は花咲ロンド、を予定している。
 

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第3部は紅白とぶつかる時間帯で、花咲ロンドによれば
 
「見なくてもいいけど放送休止すると寂しいから流しておく番組」
らしい。今回は昨年やったような、紅白で§§ミュージックの歌手が歌う時間だけ演奏を中断するのはしないことも明らかにしている。
 
途中に箸休め?に、めろでぇずとローザ+リリンのお笑いタイムが入っている。めろでぇずの前が、フラワーフォーで、このスケジュールを見た道雄は
 
「俺たちはお笑い枠かぁ!」
と言っていた。
 
「女の子が“俺”とか言ってはいけません」
と花咲ロンド。
 
「お笑いじゃなくてマジなら、4人で性転換手術を受ける?病院紹介しようか?」
とゆりこが楽しそうな顔で言うと
 
「それは勘弁して〜!まだ男やめたくない」
と道雄は言っていた。
 
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ちなみにローザ+リリンの次の秋風コスモスも
「きっと私の時間までお笑い枠」
と言っていた。
 

1月1日には、今年も午後からローズ+リリーのニューイヤー・ライブが行われる。今年も、あけぼのテレビなどAYS連合を通したネットライブである。
 
しかしネットライブは、観客の宿泊先とか移動手段などを準備しなくてよいので、企画する側は楽だ!
 
ローズ+リリーのライブでは、司会は昨年同様姫路スピカ、ゲストに新人の美崎ジョナ・立山きらめきが登場する。
 

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10月25日(月).
 
理史の川口市のマンションの管理会社から「今すぐ崩れる恐れは無いことが判明したので、引越のために入るのはOK」という連絡が来た。それで、引越業者さんを手配して、10月29日(金)“たつ”に、川口市のマンションから、荻窪のマンションに荷物を移動してもらった。
 
でも理史も龍虎も忙しいので、この日はまだ実際に見に行くことはできなかった。荷物移動の指示は、わっちゃんにやってもらった。
 

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10月25日(月).
 
上島先生と田船智史はAirbus A318で熊谷から関空へ飛んだ。
 
「たった2人でこんな大きな飛行機を使うのは何か気が咎めるね」
などと上島先生は言っていたが、智史はコスモスがなぜこんな大きな機体をリザーブしていたのか、何となく理由が分かっていた。
 
関空から予約していたレンタカーのセレナで御所市の伊藤家を訪ねる。そしてこのCDがずっと行方不明になっていたワンティスの未発表アルバムの恐らくプロモーション版であることを説明した。そして充分な御礼はするので、このCDを譲って欲しいこと、またこれを元にワンティスのアルバムを販売したいということを申し入れた。
 
次郎は驚いたが、CDを譲るのも、アルバムを販売するのも全く問題無いと伝えた。そして謝礼は一切辞退すると言った。
 
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「だって、うちの姪(コスモス)が、そちらの業界には大変お世話になってますし、親父自身音楽の世界で飯を食ってきた人だし、そもそもこのCDは上島先生たちに権利があるものですよ」
と次郎さんは言った。
 
それで話はまとまり、18年前に発売されるはずだったアルバムが長い時を経て世に出る道筋が付いたのであった。
 
理想的にはおおもとのデータから再度ミックスダウンしてプレスしたい所だが、そのようなものが見付かる可能性は低いので、このCDをそのままコピーした形でプレスすることになるだろう。せいぜいノイズを減らす調整をするくらいである。
 

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2人はその日そのまま帰るつもりだったが、
 
「上島大先生にこんな田舎まで来て頂いた以上、何も歓迎せずに帰す訳にはいかない」
などと言って、次郎さんが豪華な食事(松阪牛の牛刺しくらいはいいが、フグは恐かった!)と美酒を用意して歓迎してくれた。結局その日、2人は伊藤家に泊めてもらうことになる。
 
東京では不祥事を起こしたミュージシャンとしてその地位は大きく低下しているものの、田舎では今でも多数のヒット曲を生み出した大先生なのである。
 
それで智史と上島先生は翌日、10/26に東京に戻るが、2人ともお酒を飲んでしまったので、レンタカーは次郎さんの娘さんが運転してくれた。
 
(娘さんがレンタカーを運転し、孫娘さんが自家用車を運転して一緒に関空まで行き、レンタカーを返して、帰りは一緒に自家用車で帰宅する。この時、セレナに上島先生が同乗して、やっと酔いが覚めてきた!道雄とメロディーを“搭載”し、自家用車に智史が同乗した)。
 
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道雄とメロディーはフライト中、ずっとA318のトイレに籠もっていた!!
 
「なるほどー。だからトイレが複数ある機体を使ったのか」
と上島先生は納得していた!
 

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夏の日の想い出・Long Long Ago(14)

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