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■夏の日の想い出・Long Long Ago(12)

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ベストアルバム『ランチセット2021』をリリースした直後、私は★★レコードの町添社長から電話を受けた。
 
「★★レコード30周年のCDボックスを出すんで、ローズ+リリーの曲も入れたいから、どれがいいか希望を出してくれない?」
 
「ああ。30周年ですか(*11)。それ何曲入りのCDボックスなんですか?」
「12曲×5枚で60曲入りの予定。諸事情で多少変動する可能性はある」
「なるほどー。分かりました。考えておきます」
 
60組も選ばれるのなら、まあ私たちが入ってもいいかなと思った。
 
この件に関して私は風花・詩津紅・七星さんの3人と話し合った。
 
つまりマリは入れてない!
 
(マリを入れたら収拾がつかなくなる)
 

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ローズ+リリーはリリースしたばかりの『ランチセット2021』を含めて4枚のベストアルバムを出している。私たちはまずその4枚のベストアルバムの中からダウンロード数の多い曲を抜き出した。
 
『神様お願い』『キュピパラ・ペポリカ』『夏の日の想い出』『影たちの夜』 『ピンザンティン』『天使に逢えたら』『あの夏の日』『言葉は要らない』 『Spell on You』『Long Vacation』『振袖』『愛のデュエット』『花園の君』 『雪を割る鈴』『苗場行進曲』『門出』『青い豚の伝説』『お嫁さんにしてね』 『フック船長』『異端修道士の洞窟』『H教授』『Atoll-愛の調べ』『君に届け』
『Burning Snow』
 

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「この24曲が候補かなあ」
「この中で『これがローズ+リリーの代表曲です』と言われていい曲を選ぼう」
 
「『神様お願い』は売れたけど楽曲の品質としては微妙だ」
「マリちゃん作曲だから仕方ない」
「『キュピパラ・ペポリカ』は売れたけど、代表作と言われたら恥ずかしい」
「歌詞が何語か不明だからね」
「上島先生とか千里ちゃんが書いた曲は取り敢えず外そう」
「『Spell on You』が代表曲と言われるとローズ+リリーの方向性を誤解される」
「ケイの迷走時期の作品だからなあ」
「『影たちの夜』『振袖』『Burning Snow』も本来のローズ+リリーの方向性とは少し違う」
「『影たちの夜』はロックだし、『Burning Snow』は未来音楽だし、『振袖』はジャンル不明の曲だし」
「『異端修道士の洞窟』は発禁処分になりそう」
「過激だからなあ。ケイの鬱期の作品だし」
「『雪を割る鈴』『苗場行進曲』はライブでやってこそ意味のある曲」
「『Long Vacation』と『H教授』は長すぎてこの手の企画に入れるのは迷惑だと思う」
「『あの夏の日』『天使に逢えたら』『Atoll-愛の調べ』は美しいけどインパクトが弱い」
 
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ということになり、下記が候補として残ったのである。
 
『ピンザンティン』『言葉は要らない』『花園の君』『青い豚の伝説』『君に届け』
 
「ローズ+リリーの方向性ということでいえば『言葉は要らない』が一番正統派」
「ただ楽曲の作りが微妙」
「元々ライブのオープニングで即興で歌った曲だからなあ」
「それをファンから『あの曲はCDに収録しないんですか』という問合せが多くて。慌ててライブビデオ見ながら採譜した」
「その手のライブで即興で歌ってケイ本人も忘れてる曲ってかなりの数がある」
「あの歌、歌詞の中に矛盾がある」
「それはわりと指摘される」
「まあ即興で歌った曲なら仕方ない」
「『青い豚の伝説』はアニメと一体の作品だからなあ」
「音だけで聞いてもあの作品の良さは分からない」
 
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「歌詞・楽曲・方向性・売上から、最高にいいのは『君に届け』だけど、新しすぎる」
「『花園の君』もいいんだけど、中学生時代の作品(*10)だからなあ」
「もう少し中期の曲がいいよね」
「だったら『振袖』だな」
「あ、賛成」
「え〜〜〜!?」
 
ということで、選考過程でいったん候補から外した『振袖』を★★レコードには推薦することになり、風花が!私のスマホを使って加藤部長に連絡した。
 
(*10)実際には『花園の君』を書いたのは、高校1年の9月である。
 

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(*11) ★★レコードは元々は自主制作のカセット!やCDを取り扱う小さなレコード屋さんだった。ところがその店が潰れてしまう。その時、多くのアマチュア・セミプロのバンドやフォーク歌手などから「無いと困る」「何とか営業継続できない?」という声があり、結局、その店に勤めていた5人が1人60万円ずつ出し合って、“有限会社★★レコード”を1992年3月5日に設立した。
 
創業者5人(オリジナル5)
 
星原博秋(1935)・羽根治人(1938)・須丸秀秋(1945)・松前慧子(1964)・町添幸太郎(1970)
 
1人60万ずつ出したのは、当時、有限会社の最低資本金が300万円だったためである。全員が同じ権限を持とうということで全員同額出した。それで当初からこの5人は全員取締役であった。もっとも、実際には当時大学生だった町添は松前からお金を50万円出世払い!で借りて60万円出資している。
 
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それで最初は潰れた店がやっていたのと同様の、自主制作CD,カセットの取り扱いをしていたのだが、その内、カセットやMDで持ち込まれた音源をCDに変換するサービス、CDを生産するサービス、そもそも録音してあげる作業(そのため防音のスタジオを作った)、アマチュアバンドの制作指導、時には編曲などもしてあげるようになる(その頃の町添のペンネームがマハトークである)。
 
また店で売るだけでなく、当時黎明期にあったパソコン通信を通して全国に通販するようになる。Big Modelのサーバーを運用しTri-Pに接続していたので、全国から安価にアクセスできた。音楽配信などのシステムが存在しない時代に、曲の触りをmidi化してish型式で公開してプロモーションをしていた。そしてサーバーを立てた結果、“東京から全国に売る(B2C)”のみでなく、全国のアーティストから音源が持ち込まれる(“全国から全国に売る(C2C)”)ことになり、営業エリアが事実上日本全国に広がって営業規模も数倍になった(1995年にWWWサーバーも立ち上げ、1998年にはそちらに完全移行している)。
 
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営業規模は膨らんでいき、店舗と別に事務所を持つようになり、1994年には株式会社に改組して社員は100人を越える。また中堅レコード会社MMレコードに委託してそちらの販売網で全国のレコード店に置いてもらうようになった。レコード店を通しての販売は、★★レコードの売上を倍増させ、通販とレコード流通網が、同社の販路の両輪となった。
 

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1996年には★★レコードの流通に協力してくれていたMMレコードの経営が行き詰まったことから、これを救済合併する。それで★★レコードは音楽の制作と販売の双方をおこなうレコード会社になった。そういう経緯で★★レコードには元々、制作部門には元の★★レコード系、営業部門にはMMレコード系の社員が多かった。この時、レコード協会に加盟し、まずは準会員となった。
 
★★レコードと共に成長したのが“ロングノーズ”である。彼らは1992年頃からライブハウスでアマチュアバンドとして活動していた。当時はマハトークこと町添が事実上のプロデューサーだった。★★レコードの営業活動が拡大するのと共に彼らの売上も大きくなっていった。★★レコードは2000年にレコード協会の正会員に昇格(年間出荷額5億円以上が必要)したが、そのセールスの3割くらいをロングノーズの売上が占めていた。
 
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(ロングノーズのメンバー3人の内、堂崎隼人は2021年現在★★レコードの取締役、松崎連鹿はTKRのアドバイザーの地位にある。またバンド解散後に前川優作のプロモーションをするために畠山裕光が2002年に設立したのが∴∴ミュージックである。
 
2001年以降、★★レコードの売上の中心は、ワンティス、モンシング、ラララグーン、ドリームボーイズ、スカイヤーズ、ハイライトセブンスターズ、などと変遷してきているが、CD Boxを作るなら、恐らくはそのトップを飾るのがロングノーズになるのだろう。
 
★★レコードの歴代社長は村上を除いて★★レコードの創業者である(創業者のひとり羽根治人は1998年に離脱)。村上はMMレコード出身。
 
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1.星原博秋(1935) 1992.3-2001.6 (制作部長:羽根→須丸)
2,須丸秀秋(1945) 2001.6-2007.6 (制作部長:松前)
3.松前慧子(1964) 2007.6-2016.6 (制作部長:町添)
4.村上時二郎(1950) 2016.6-2019.6 (制作部長はそのまま)
5.町添幸太郎(1970) 2019.6- (制作部長:加藤)
 

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臨時オーディションで即採用された残り2人は、いづれもオーディションの翌週末に東京に出て来た。荷物を運ぶためにG450を迎えに行かせている。
 
10/16 G450:熊谷→仙台→熊谷/Honda-Jet:熊谷→仙台→熊谷
 
朝一番にG450を仙台まで飛ばして、立川心桜を荷物ごと連れてくる。熊谷から東京まではミニバンで運んだ。
 
引越の手伝いに親御さんと2人のお兄さんも一緒に来ている。本来女子寮は男子禁制だが引越の手伝いということで特別に立入を許可している。
 
「すっごいきれいな寮ですね。広いし。僕が住みたいくらい」
などとお兄さんが言うので
 
「性転換してお兄さんも信濃町ガールズに入ります?」
などと花ちゃんが言うと下のお兄さん(高2)が
 
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「悩んじゃう」
などと言っていた!
 
悩むのか?
 
付き添いの家族は、引越作業終了後、Honda-Jetで仙台に送って行った。
 
その日の夕食の時間に館内放送で川崎ゆりこが彼女を紹介した(コスモスは八犬伝の撮影現場に行っている)。
 
「紹介して頂きました立川心桜(たちかわ・ここな)です。出身地は女の川と書いて女川町(おながわちょう)、名前は立った川と書いて立川(たちかわ)。下の名前は心桜(ここな)です。コロナではなく“ここな”です。でも実家にはコロナのストーブがあります。うちの父はコロナビールが好きです。祖父は以前コロナ・マーク2に乗っていました。伯父は東北大学で太陽コロナの研究をしていました」
 
という紹介には結構みんな笑っていた(どこまで本当なのかよく分からない話だ)。
 
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「名前が例の病気に似ているので、COVID-19(コヴィッド・ナインティーン)、新型コロナウィルスによる感染症の流行が始まって以来『コロナ、コロナ』とからかわれて、ついでに『コロナが来た。逃げろ〜』とか言われて、みんなに避けられていたので、お陰でクラスに感染者が10人も出たのに私は無事でした」
 
などと言うのには、笑っていいのかいけないのか、みんな困っていた!でもCODID-19 の発音が美しかったので英語は得意なようである。
 

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10/17 G450:熊谷→松山→熊谷/Honda-Jet:熊谷→松山→熊谷
 
日曜日は松山空港2往復で愛媛県西条市の榊原瑞菜を連れてきた。彼女も夕食時間に川崎ゆりこが紹介して、本人にも自己紹介させた。
 
「愛媛県西条市(さいじょうし)から出て参りました榊原瑞菜(さかきばら・みずな)です。未熟者ですが、みなさん、よろしくお願いします。好きな歌手はアクアさんと、松原珠妃さん。好きな小説家は西尾維新さんと梨木香歩さんです。好きな画家はマリー・ローランサンさんとルノワールさんです」
 
などと言っている。花ちゃんは彼女の自己紹介を聞いて、心桜が8位で、この子が12位だった理由(わけ)が分かったと思った。
 
「もう一言(ひとこと)、何か自己アピールして。得意なこととか」
と花ちゃんが言ってあげる。
 
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「えっと、えっと、得意なことは、円周率を200桁まで言えることです」
 
寮生たちが「へー!」という反応。
 
「じゃ“204桁”まで言ってみよう」
と花ちゃん。
 
「え〜〜!?204桁ですか?」
とは言ったものの、唱え始める。
 
「3.1415 9265 3589 7932 3846 2643 3832 7950 2884 1971 6939 9375 1058 2097 4944 5923 0781 6406 2862 0899 8628 0348 2534 2117 0679 8214 8086 5132 8230 6647 0938 4460 9550 5822 3172 5359 4081 2848 1117 4502 8410 2701 9385 2110 5559 6446 2294 8954 9303 8196 3765」
と彼女は小数点以下204桁目まで唱えた。
 
「こういうの得意そうな・・・安原祥子ちゃん、合ってた?」
「200桁目までは合ってたけど、その先の4桁は3765ではなく5713です」
と安原祥子。
 
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(本当は201-204桁目は4428.安原祥子は適当に答えている!それを堂々とまるで本当のことのように話すのが祥子の凄さである)
 
「あれ〜、違ってました?電卓のキーを打ち間違ったかなあ」
「電卓で円周率を計算するのはしんどそうだね」
 
というやりとりをして、花ちゃんは瑞菜が、最低限の応答能力を持っていることを確認した。これなら何とか使える。“中学生の内は”。
 
どんなことを言われても、何を要求されても、何らかの反応をしなければならないのがタレントというものである(だからタレントと禅問答は似ている)。「分かりません」とか「できません」とか言うのは素人未満、無言になってしまうのは問題外である。
 
 
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夏の日の想い出・Long Long Ago(12)

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