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■夏の日の想い出・Long Long Ago(10)

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マリは唐突に歌い出した。
 
「コーベンターイン、コーベンソンタック
コーベンターイン、コーベンジーラ
コーベンターイン、コーベンラーマ
コーベンターイン、ブードゥーヤー!」
 
そして私に尋ねた。
 
「これ何の歌だったっけ?」
 
「それは多分これだと思うな」
と言って、私は正しい歌詞で歌ってあげた。
 
「プー・フシグター、ブージェット・サンツェ
プー・フシグター、ブージェット・ネーバ
プー・フシグター、ブージェット・マーマ
プー・フシグター、ブードゥー・ヤー!」
 
いつも太陽がありますように
いつも空がありますように
いつもママがいますように
いつも私がいますように。
 
「あ、その歌だ。何て歌?」
「Пусть всегда будет солнце(プー・フシグター、ブージェット・サンツェ). 『いつも太陽がありますように』という歌だよ」
 
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「童謡だよね?」
「うん。基本的には童謡だと思う。そして反戦歌」
 
「へー!」
 
「戦争に反対し、平和を求める歌だよ。ソビエト連邦時代の歌って、やたらと戦死者を称える歌とかが多いけど、その中で珍しい平和を求める歌。歌詞の中には『兵隊さん、やめて』とか『みんなが平和を求める』といった歌詞が出てくる」
 
「確かにソ連時代の歌にしては珍しい。『カチューシャ』なんて、戦争に行った彼氏の留守を健気に守る娘の歌だし」
 
「プロテスト・ソングや平和を希求する歌って、『花はどこへ行ったの?』とか『イマジン』とか、どうしても、私たちは英語の歌を多く知ってるけど、平和を求める気持ちを広めていくには、色々な国の言葉で歌った方がいいよね」
 
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「それ賛成」
 
「だから、この歌はたくさん歌うといいと思うよ。ロシア語を理解する人たちに平和への思いを持ってもらうためにも」
 
それで私はyoutubeに上がっている動画を政子に適当に見せてあげた上でこの歌の歌詞も適当なサイトを開いて見せてあげた。
 
↓はこの歌の歌詞を解説しているサイトのひとつ
http://tostar.s70.xrea.com/always/always.htm
 

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「1928年、コスチャ・バランニコーヴァという4歳の女の子が“всегда”(フシグダ。英語なら always)ということばを覚えて、楽しくなって、こんな詩を書いた」
 
Пусть всегда будет солнце,
Пусть всегда будет небо,
Пусть всегда будет мама,
Пусть всегда буду я.
 
プー・フシグター、ブージェット・サンツェ
プー・フシグター、ブージェット・ネーバ
プー・フシグター、ブージェット・マーマ
プー・フシグター、ブードゥー・ヤー
 
いつも太陽がありますように
いつも空がありますように
いつもママがいますように
いつも私がいますように
 
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「この詩をたまたま目にした児童心理学研究者さんが雑誌で紹介して、面白い詩だということになって、子供の詩を集めた詩集に収録された。それを偶然目にしたデザイナーさんが、自分の描くポスターの中にこの詩を掲載した。すると、そのポスターを偶然見たレフ・オシャニンという詩人がその4行詩を取り込んだ、平和を希求する詩を書いた。それにアルカディ・オストロフスキーという作曲家が曲を付けて、この歌は生まれた。そして1962年に発表された」
 
「なんか凄い偶然の連続」
 
「だからこの歌が生まれたこと自体が奇蹟だと思うよ。最初の女の子の詩から歌ができるまで34年掛かってるけどね」
 

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歌詞の大意
 
丸い太陽、周りの空。それを男の子が描いた。彼は紙にその絵を描いて署名した。
 
(※)
いつも太陽がありますように。
いつも空がありますように。
いつもママがいますように。
いつも僕がいますように。
×2回
 
親愛なる友よ、良き友よ。人々は切に平和を求める。心臓が35回動くように、その言葉を繰り返しても疲れない。
 
(※繰り返し)
 
待って、兵隊さん。聞いて、兵隊さん。人々は爆弾を怖がっている。千の瞳が空を見上げている。私の唇は断固として言う。
 
(※繰り返し)
 
災厄は嫌だ。戦争は嫌だ。少年たちのために立ち上がろう。太陽よ永遠なれ、幸福よ永遠なれ。それが人の訴える所。
 
(※繰り返し)
 
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私は更に説明した。
 
「サンクトペテルブルク(旧レニングラード)には、第二次世界大戦の時の“レニングラード包囲戦”で命を落とした子供たちを追悼する生命の花というモニュメントが立っているけど、その花びらに平和を希求する思いから、この歌の歌詞Пусть всегда будет солнцеが刻まれているんだよ」

(この写真はwikipediaから引用)
 
「たくさん子供たちが死んだんだろうね」
「だからこの歌を歌おう」
 

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政子は私の話を聞いていたが、ふと言った。
 
「ね、この4行詩を書いたのは女の子だよね」
「そうだけど」
「でも、このオシャニンさんの詩では男の子になってるけど」
「オシャニンさんは元の詩を書いたのが女の子とは知らなかったのかもね」
「性転換しちゃったんだ!」
と政子は楽しそうに言った。
 
でもその日、政子はずっとこの歌を歌っていた。
 
そして夜中になってから言った。
 
「この歌を次のローズ+リリーのシングルに入れようよ」
「いいと思うよ。★★レコードを通して使用許諾を取ってもらうよ」
「よろしく〜。私、日本語訳を書くね」
「じゃその訳詩と、そのマリちゃんの詩のロシア語訳を付けて先方に照会してもらおう」
 
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ところで、臨時昇格オーディションが行われた10/9-10日、アクアは9日には古那屋での出会いの場面、10日には芳流閣での決闘のシーンを撮影した。この2つのシーンは、物語の中では、芳流閣のシーンの続きが古那屋なのだが、芳流閣のほうは多数のエキストラが動員されるので日曜日にしか撮影できない。それで撮影順序は逆転した。
 
ここで芳流閣のシーンでは現八役の白鳥リズムと抱き合って転がるシーンがあり、古那屋では小文吾の吹き替え役の山本コリンが胸を押して水を吐かせるシーンがあって、どちらもFにしか務まらない。それでこの2日間、信乃を演じたのはFである。
 
Mは休みだったので、代々木のマンションでベッドに寝転がって台本を読んでいた。ところがそこにコスモスから電話が掛かってくる。
 
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「アクア、悪いけどちょっとΛΛテレビまで行ってきてくれない?」
「私、今撮影中なんですけど」
「分かってる分かってる。ちょっとクイズ番組に出てくるだけなのよ。実は舞音ちゃん予定してたら舞音ちゃんのドラマの撮影がずれ込んでるみたいでさ」
「分かりました。行ってきます」
 
確かに舞音を予定していたのなら、ガールズの子とかでは代役が務まらない。東雲はるこは機転が利かないのでクイズ番組には使えない。自分か町田朱美・白鳥リズムあたりだけど、白鳥リズムも町田朱美も今日八犬伝村で撮影している。結局自分が行くしかない(“アクア”だって撮影中なのに!)。
 
それで彩佳に車で六本木のΛΛテレビまで送ってもらった。彩佳には「時間が分からないからマンションに戻ってて」と言って帰し、局に入って、聞いていたスタジオに行く。
 
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プロデューサーさんは舞音のスケジュールがずれこんで来られそうにないので誰か代わりの者を行かせると聞いて不機嫌だったのが、来てくれたのがアクアだったので急にご機嫌になった。
 

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それで1時間の番組を2時間ほど掛けて撮影。
「お疲れ様でしたー」
「アクアちゃんありがとね」
 
などと言われてスタジオを出た。それで彩佳に迎えに来てもらおうと思っていたら、バッタリと美高鏡子さんと遭遇する。
 
「おはようございます」
「おはようございます」
と挨拶をかわす。
 
「あれ?アクアちゃん、熊谷で撮影だったのでは・・・そうか、あんたMか」
「あ、はい。そうです」
 
「今時間ある?」
「帰ろうとしていた所なんですけど」
「じゃ、ちょっと来て」
「え〜〜?」
 
ということでアクアは美高さんに引っ張っていかれた。次の予定がありますと返事すべきだったと後悔したがもう遅い。
 

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連れて行かれたスタジオに理史がいるのでギョッとする。
 
向こうもギョッとしている。
 
アクアは両手の指を曲げて合わせて“M”のかたちを作った。それで彼はここにいるのがMの方であることを認識してくれたようで頷いていた。
 
「アクアちゃんがちょうど2時間くらい時間が取れるらしいのよ」
と美高さんは言う。
 
待て。ボクは時間が取れるなんて言ってないぞ。
 
「だからさ、厳蔵(ごんぞう)の恋人役の女の子、アクアちゃんにやってもらおうよ」
 
何〜〜!?理史の恋人役!???
 
しかし鳥山プロデューサーは
「おお、それはいい。アクアちゃんが出るなら予算は取るよ」
などと言っている。
 
アクアは言った。
「待ってください。このドラマは松田理史君の初主演作なんです。それなのにボクが出演したら、それが話題になってしまい、折角の初主演の松田君に悪いです」
 
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「だったらアクアちゃんは顔を映さない。後姿だけということで。配役にもクレジットしない」
と美高さん。
 
「ああ。それでもいいよ。実は恋人役を演じる予定だった内野涼美ちゃんが撮影前の感染検査で陽性判明して降板したんで、困ってたんだよ」
と鳥山さん。
 
また代役かい!
 
「どうだろう。顔も出さないし、クレジットもしないというのでは。もちろんギャラはアクアちゃんにふさわしい額を出す」
「分かりました。でしたら松田君のギャラを超えない範囲で」
「うん。それで行こう」
 
(理史のことばかり考えていたので、アクアは自分が女役だけの仕事を受けたことに気付いていない!)
 

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ということで、アクア(アクアM)が理史の恋人役を演じて『大工と鬼六』の撮影は進められたのである。アクアのスケジュールが厳しいことから、この日は厳蔵(ごんぞう)の恋人が出る場面のみをひたすら撮影した。
 
アクアが台本を渡されてさっと斜め読みするとすぐ演技が出来るので、共演の獄楽(鬼六役)が感心していた。
 
3ヶ所ほど、理史と抱き合うシーンもあり『キャー』とアクアMは思ったし、理史もさすがにドキドキしているようだったが、お互いに恥ずかしがりながらラブシーンを演じている感じが出て初々しくてよかったと言われた。
 
むろん理史は『ロミオとジュリエット』での失敗で自戒して自分の感情を殺して演技したし、また今日の相手はMだと分かっているので、冷静さをキープできたようであった。
 
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でも最後にキスシーンまであった!
 
「本当にキスしちゃわない?」
などと鳥山さんが言う。
 
「それボクがアクアとバレたら松田君が殺されかねないのでやめましょうよ」
とアクアは言ったが、理史は、どうしよう?みたいな顔をしていた。
 
結局寸止めで勘弁してもらった。でも半止めでも、理史はかなりドキドキしていたようだった。でもそのドキドキ感が良いと言われていた。
 
(2時間と言われたのに結局4時間掛かった)
 
そういう訳で、アクアは理史の初主演作に共演することになったのである。
 

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羽鳥セシルはその日、白河夜船社長に呼ばれた。
 
「正式発表は来月だけどさ、セシルちゃん、紅白が決まったから」
「紅白・・・って何でしたっけ?」
「NHKの紅白歌合戦に決まってるじゃん」
「えっと、紅白歌合戦の何が決まったんでしようか?」
「君が紅白歌合戦に出ることが決まったんだよ」
 
「え〜〜〜〜!?」
とセシルは超絶驚いた。
 
「あのぉ、他に出るのは?」
「うちの事務所からは君1人だけど、§§ミュージックからは4組出るよ」
 
4組というのは、アクアちゃん、常滑舞音ちゃん、ラピスラズリに、もう1人は白鳥リズムちゃんかな?去年も出たし、とセシルは頭の中で考える。でも私も出るの〜〜〜?
 
「まだ未発表だから人には言わないでね。リズムちゃんとは同級生とか言ってたけど、彼女とも、人が居る所では話してはいけない」
 
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「で、でも、坂出モナちゃんとか、松梨詩恩ちゃんもいるのに」
「その2人はほとんどお芝居の仕事しかしてないから。CDをたくさん売ってるのは君だからね」
と社長は言う。
 
そうかなあ?モナちゃんのCDもかなり売れてる気がするけど、と思ったが、モナの場合、前の所属プロダクションに配慮して今年は見送ったのかもという気もした。結婚したアイドルなんて無価値と思われて放出されたのに、かえって若い女子には支持されてWindFly時代より売れている感じだ。
 
「うちの事務所から紅白の出場者が出るのは初めてだからさ、頑張ってね」
と社長が言うので
「はい、頑張ります」
とは言ったものの、私が紅白〜〜!?と思うと、夢でも見てるんじゃないかという気がした。
 
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