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■夏の日の想い出・秘密の呪文(9)

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(C) Eriko Kawaguchi 2021-03-20
 
2021年1月4日(月)、今年も3ヶ月間放送のドラマ『少年探偵団IV』の初回放送が行われた。今回はアクアが小林少年、北里ナナの双方を演じ、新人の羽鳥セシルが地上波ドラマ初登場(お正月のバラエティには数本出ている)。2000万円(?)掛けて制作した豪華なフルートを使用するという話題付きであった。予告編が何度も流されていたこともあり、20%を越える高い視聴率となった。
 
ΛΛテレビでは、この番組で使用したフルートを1月5日から1ヶ月間、六本木のテレビ局エントランスに展示すると、いったん発表したのだが・・・テレビ局の社長にコロナ対策大臣から直接電話が入り、エントランスでの展示は中止になった。
 
代わりに、ΛΛテレビでは、6階の40畳ほどの部屋に展示室を設置。事前予約方式(入場は無料)にして、密にならないようにコントロールすることにした。
 
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展示品は最初触ってみられるようにするつもりだったが、これも感染拡大防止の観点から、見るだけに変更された。
 
展示するのは下記である。
 
“ロマノフの小枝”:ルビー・サファイア入プラチナフルート(キイ:ピンクゴールド)
 
“ロマノフの小枝のイミテーション”:番組内ではタングステン製という設定だったが、実際には洋銀のプラチナメッキ、宝石は安価なダブレット。
 
“ロマノフの小枝のレプリカ”10本(販売用)
 
レプリカを販売しちゃう!というのは、制作費を少しでも回収したいテレビ局上層部からの要請だったらしい。レプリカは洋銀のプラチナメッキ(これはイミテーションと同じ)だが、キイはピンクゴールドではなく、赤銅である。だから本物とは少し色合いが違う。填めてある宝石は、ルビーやサファイアではなく、レッドクォーツとブルークォーツである。青いラインは本物と同じウルトラマリン(ラピスラズリを原料とする顔料)でペイントしている。1/10-10/10という“限定ナンバー”の刻印入りである。
 
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なお普段使い出来るように、宝石(というよりパワーストーン)は取り外して使用することもできるようになっている。取り外した時の保管用ポケットが付属のフルートケース内部に設置されている。
 
これを1本12万円(アクア・本騨真樹・セシルの直筆サイン付き)で販売しようという魂胆である。アクアにしてもセシルにしても、12万円もするレプリカが売れるのかなあと半信半疑だったが、1月中に10本完売して、びっくりした。
 
更には、歌手の芹菜リセが「さすがに本物は買えないけど、そのイミテーションでいいから欲しい」
と言って、200万円で買い取っていった。それで展示期間中は“売約済”の札が付けられていて、展示終了後に引き渡された。むろんアクア・本騨真樹・セシルのサイン付きである。
 
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そして更に展示終了間際になって、本物の“ロマノフの小枝”が欲しいという人まで現れた。
 
レインボウ・フルーツ・バンドのフェイである。
 
ライブとかで使いたいというので、彼女(彼?)なら、番組のイメージを損なわないしということで2500万円で売り渡すことにした。
 
アクアとの“リモート食事会”付きである。フェイは一緒に食事しながら
「アクアちゃん、今年こそは『女の子になりました』と公表して、来年の成人式には振袖着ようよ」
などとアクアを唆していた。
 
「アクアは成人式に振袖を着ると思うか?」というネットアンケートでは全ての投票がYesに入って、Noの投票は1件も無かった!フェイ自身は5年前の成人式では「ボクは男の子だけど、背広とか紋付き袴より振袖の方が可愛いし」と言って振袖を着ている。
 
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その後、レインボウ・フルーツ・バンドのライプのクライマックスでこの“ロマノフの小枝”を使用するのが定着し、ライブも大いに盛り上がることになる。普段は銀行の貸金庫に入れておき、ライブの時だけ持ち出すらしい。普段は普通の(?)プラチナのフルート(1000万円)で練習すると言っていた。
 
そういう訳でこの豪華なフルートの制作費は完全に回収できて更に売却益まで出たのであった。
 

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もっともフェイは片付けができない人である。夫(妻?)のヒロシから
「おーい。プラチナのフルート、こんな所に転がしておくなよ。踏んで曲がったらどうすんのさ?」
などと叱られているのは内緒である。
 
「ごめーん。でもこないだ曲げちゃったヨーちゃんのちんちんもまだ元に戻らないね」
「あれまだ痛いんだけど」
「痛かったら、いっそちんちん元から切っちゃう?」
「いやだ。マコこそ、いいかげん、ちんちん切るつもりは?」
「子供産むのに妥協して戸籍は女に変更したけどボクは男の子だから、絶対にちんちんは無くしたくない」
「まあいいけどね」
と可愛いミニスカート姿でヒロシは言った。
 
なおフェイは“どちらもある”ので、ヒロシが男役の時は通常の男女のセックスとほぼ同じである。クリトリスの代わりに少々大きいものがあるだけである。もっともフェイは入れられるより入れる方が(気持ち良くて)好きで、ヒロシは入れるより入れられる方が(楽で)好きなので、男役はフェイがする方が多い。従って妊娠確率はヒロシの方が高い!?
 
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一応フェイの出産予定日は5月である。多分出産するのはフェイであり、ヒロシではない。
 
ヒロシは「そういえばマコとの馴れそめは、ローズ+リリーさんの『愛のデュエット』のPV撮影だったなあ。マコ可愛かったなあ、などと思い出していた。
 
むろんフェイの方はそんなこと、きれいさっぱり忘れている。
 

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1月1日(金)にデビューシングル『ココと子ギツネのロンド/風の中のココ』を発売した羽鳥セシルだが、当日ローズ+リリーのライブで歌った直後から、動画サイトにPVを流した。
 
PVは2種類あり、ひとつは四国で撮ったもので多数のおキツネさんがCGで書き込まれており、可愛いと評判だった。もうひとつは、ライブでやってみせたように、2人のセシルが並び、1人が歌を歌い、1人がフルートを吹く動画である。これを見て、双子のユニット?と思った人もあったようである。
 
セールスも好調で、デイリーランキングでは1位、週間ランキングでも12月30日に発売されたアクアの『探偵王子』(少年探偵団IV主題歌)に次いで2位であった。
 
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歌番組からも声が掛かり、1月6日のスタジオμに出演して生歌唱を披露した。4日(月)の『少年探偵団』の放送で注目されたばかりだったこともあり、視聴率が物凄いことになった(実は1月5日の『茶道家元殺人事件』でも注目された)。
 
この日は、フルートについては、甲斐絵代子が吹いてあげた。彼女は年末に体調を崩して、カウントダウン・ライブも欠席し、小浜でのローズ+リリーのライブには常滑舞音が出たのだが、どうもかなり体調を回復させたようであった。
 
(セシルとYe-yo(甲斐絵代子)は後に一時期「この2人は不仲では?」「共演NGなのでは?」という噂が立つのだが、ちゃんと共演シーンはあったのである)
 

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「セシルちゃん、性転換したという噂がありますけど」
と司会者のレイシー(スリーピーマイス)が訊くと
 
「そうなんですよ。ローズ+リリーさんのライブに出たら性転換しちゃって」
と言って
「これ男の子時代の私の写真です」
と言って、大胆に学生服を着た写真を見せる。
 
しかしそれを見たレイシーは
「女の子が学生服を着て男装しているようにしか見えないんですけど」
と言っていた。
 
「あ、私も男の子でした」
などとフルートを吹いた甲斐絵代子まで言っている。
 
「まあ性転換トリオかな」
などとセシルが言うと
 
「ボクは性転換してないんだけど」
とキーボードで伴奏した木下宏紀。
 
「あ?そうでした?ごめんなさい。木下さんは性転換済みとある人から聞いていたものだから」
とセシル。
 
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「まあスカートくらいは穿くけどね」
と木下宏紀は笑って言っているが、木下さんの男装なんて見たことないと、甲斐絵代子は思っていた。
 
ちなみに木下宏紀は性転換済みだよとセシルに吹き込んだのは姫路スピカである。
 
なお、木下宏紀に伴奏をさせたのは、セシルも甲斐絵代子も生放送初体験だったので、経験の長い彼(彼女?)を付けてあげたからである。木下君は2016年のロックギャルコンテスで10位になり、信濃町ガールズに参加した現役信濃町ガールズの最古参である。ドラマ等の出演経験も多いし、CDこそ出していないものの、実はCM曲などはこれまでに何曲も歌っている。
 

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なお、甲斐絵代子がこの番組で使用したフルートだが、お姉さんの甲斐波津子が買ってあげたという洋銀製のフルートである。
 
元々お姉さんがフルートを吹いていたので、彼女もフルートを吹くようになり、その時、元々お姉さんが吹いていた白銅フルートを妹に譲って、お姉さんは新たに洋銀製のフルートを親から買ってもらったらしい。しかしお姉さんがビデオガールコンテストに上位入賞して東京に出て来たので
「しばらくフルート吹けないかも」
と言って、洋銀フルートをいったん妹に譲った。
 
ところが実際には足立区の女子寮は練習環境が整っているし、部屋も防音なので、フルート練習できそうということで
「悪いけど返して」
と言ったということである。
 
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それで甲斐絵代子が洋銀フルートを返しに来た所を川崎ゆりこがスカウトしたのである。それで結局妹も信濃町ガールズに入ったので、甲斐波津子は
「入団のお祝いに」
と言って、自分がそれまでもらっていたギャラで妹に洋銀のフルートを新たに買ってあげた。
 
そのフルートを現在、甲斐絵代子は使用しているらしい。
 
ギャラなんてまだ大してもらっていなかったろうから、貯金とかも使って?有り金はたいたのだろうと思う。美しい姉妹愛だなと思ったが、こんなことを政子などに話したら、2人に総銀のフルートを買ってあげるとか言い出しかねないので、政子には話してない。
 
そんなのは野暮すぎるというものである。
 

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ところでローザ+リリンの付き人を昨年春以来務めているデンデン・クラウド(芸人クラウド→芸者クラウド→電車クラウド→デンデンクラウドと改名)だが基本的には多忙なローザ+リリンの運転手とか使い走りをしているのだが、彼に10月以降、新たな仕事が加わっていた。
 
10月2日にマリナが産んだ秋保ちゃんのお世話である。マリナはコスモスの命令!で9月中旬から産休に入り、出産後、約1ヶ月休んで11月から仕事に復帰した。それで秋保ちゃんにお乳(マリナが搾乳して冷凍している)をあげたり、おしめを替えたりする作業をマリナが仕事に出ている間、三鷹のマンションでしているのである。
 
マリナより少しだけ仕事が少ないケイナが先に帰宅すると
「それだけ赤ちゃんの世話ができるようになったら、お前いつ嫁に行っても困らないな」
などと言う。
 
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俺、嫁に行くのかなぁ?身体が随分女性化してるけど、などとクラウドは悩んでいた。彼は自分のお股の“割れ目”のいちばん奥側にある何か凹みのようなものの正体については深く考えないことにしている。
 

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夏の日の想い出・秘密の呪文(9)

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