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■夏の日の想い出・秘密の呪文(5)

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(C) Eriko Kawaguchi 2021-03-13
 
2021年ローズ+リリーのニューイヤーライブ、前半のステージが終わると緞帳が降りる。振袖姿の姫路スピカが出てくると
「今からローズ+リリーは15分ほどお休みを頂きます。その間に今年デビューします新人さんの歌をお聴き下さい」
 
姫路スピカが話している間にステージ中央近くに、スタンドマイクと、キーボードが手早く設営される。伴奏を担当する常滑舞音(黒いドレス)がそこに就く。
 
「最初は1月6日発売『私のサンタさん』を歌います、七尾ロマンちゃんです。彼女は今年度のビデオガールコンテスト優勝者・初代ビデオガールです」
 
拍手が起きて、白いお姫様ドレスを着た七尾ロマンが入ってきてお辞儀をする。
 
振り返って常滑舞音を見て頷く。
 
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が、常滑舞音は首を振った。
 
ロマンが首を傾げる。舞音はキーボードの所を離れてロマンの傍に寄り何か言った。ロマンが「あっ」と声をあげた。
 
そして観客席に向かってもう一度お辞儀をした。そしてマイクを持つと
 
「七尾ロマンと申します。右も左も分からぬ新人ですが、アクアさんみたいな大歌手になれたらと思っています。よろしくお願いします」
 
と言って再度ペコリと頭を下げる。この口上を言い忘れそうになったのを舞音が教えてあげたのである。
 
それで再度舞音の方を見てアイコンタクト。頷き合って伴奏がスタートする。8小節の前奏を置いて、ロマンは歌い出した。
 
デビュー第一声である。
 

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デビューの時というのは緊張するものである。ロマンは充分度胸のある子だが、それでも相当の緊張があったろう。今日は幕間で歌う新人3人の中でトップ・バッターで出て来た。プレッシャーはハンパ無い。普段出来ていることができなくなる。それにしても常滑舞音は凄い。彼女だってロマンと同期だし、同い年なのに、しっかりサポート役に徹している。
 
今回、新人三人の伴奏については、風花が弾く予定だったが、スピカが
「マネちゃんにやらせませんか?」
と提案し、私もそれは面白いかも知れないと思い、舞音を呼んで打診したら
「ぜひやらせて下さい」
と言った。
「だってその分、ステージに出られるって美味しいです」
ち彼女は付け加えた。
 
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こういう姿勢はとても良い傾向なので、やらせたのである。
 

ロマンの歌が終わり、彼女はお辞儀して「ご声援ありがとうございました」と言い、下手に退場する。
 
姫路スピカが舞台袖に姿を現し
「七尾ロマンちゃんでした。歌うまいですよね。私とか完全に負けてます。次は§§ミュージックの友好プロダクシュン、♪♪ミュージックから、本日デビューします羽鳥セシルちゃんです。セシルちゃんは先程は泉を守る娘を襲う男、そして狩衣姿の男から五衣唐衣裳姿の女に変身しちゃう役を演じました。それで女の子になってしまったので、新学期からはセーラー服で学校に通うそうですが、歌手としても少女歌手としてのデビューになります」
 
観客はジョークなのかマジなのかよく分からない気分で聞いている。セシルについては、プロデューサーの雨宮先生から
「性別が曖昧な感じで頼む」
と言われていたので『雪が白鳥に変わる』で少女に変身する少年役をしてもらったのである。アルバムのPVでは町田朱美がしてくれた役である。
 
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「それでは羽鳥セシルちゃんです。曲はフルートの吹き語りで『ココと子ギツネのロンド』です」
とスピカは言って引っ込む。
 
多くの観客は何気なく聞き流したのだが、一部「フルートの吹き語りって何?」と思った人たちがいた。
 
ともかくも小鳥柄の小紋を着た羽鳥セシルが、銀白色のフルートを手にして、下手から登場する、客席がどよめいたが、それは彼女に続いて、書生のコスプレ?をした川井唯が彼女を守るように出て来たからである。
 
一部の観客は、伴奏者かと思ったようだが、唯はセシルをはさんで、常滑舞音と対称になるくらいの位置に立った。セシルが口上を言う。
 

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「みなさん、こんにちは。本日デビューします羽鳥セシルと申します。女の子になってしまったので今後は女の子歌手ということでお願いします」
 
セシルは言葉を続ける。
「でも今歌った七尾ロマンさん、すごく上手いですね。私なんか、逆立ちしてもとてもかなわないと思いました。この後、出てくる恋珠ルビーさんもうまいんですよ。それで正統派歌手が2人続くと耳が離せなくなるから、その間に耳休めで色物の私の歌で少しお休み下さい。トイレに行くなら今ですよ」
 
「ちゃんと聴くよー!」
という声が掛かるので、セシルが声の聞こえた方角にお辞儀する。
 
「それでは『ココと子ギツネのロンド』。今日は吹き語りバージョンで聴いて下さい」
とセシルは言った。
 
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それでセシルがフルートを構える。常滑舞音の伴奏が始まる。前奏にセシルがフルートを入れる。物凄いパワフルな音なので、本当に休んで他のサイトなど見ていた人が「おっ」などと言って、あけぼのテレビの画面をトップに出す。前奏が16小節入ってそろそろ歌かなと思った所で突然セシルが2人に分裂した!
 
観客がどよめく。
 
2人に分裂した内、客席から見て右手のセシルはフルートを吹き続けるのだが、左手のセシルはフルートを口から離して歌い始めた。
 
歌とフルートは絡み合うように曲が進行する。
 
やがて緞帳の上を多数のキツネが走り回る。これは原始的なレーザー光線を使った映像である。ここで注意深い観客は、走り回っているキツネが“フルートを吹いているセシル”の近くには寄らないことに気づき、分裂の仕組みにも気付いたようである。
 
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セシルは間奏では歌っていた方のセシルもフルートを口に当て、2人のセシルでフルートの二重奏をした。コーダでは今度は2人のセシルがユニゾンで吹く。そして終曲と同時に2人のセシルが合体した。
 

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激しい歓声と拍手が小浜のミューズシアターにこだまする。セシルが客席に向かってお辞儀する。
 
姫路スピカが拍手しながら出てくる。
 
「凄かったですね。今の分身の術はどうやったんですか?」
「アクアさんから習ったんです。アクアさんは忙しすぎるから、いつも3人に分身して、お仕事してるんですよ。私は習い立てだから、まだ2人までしか分身できないんです」
とセシル。
 
「ああ、やはりアクアって3人くらい居ますよね」
「でも本当はシンデレラ日美子さんのお陰なんです」
と言ってセシルが上手の方に手を向けると、ボディスーツ姿のシンデレラ日美子が上手袖から顔を出し客席に向かって手を振った。
 
「そういう訳でシンデレラ日美子さんでした」
とセシルが言うとあらためて盛大な拍手が贈られる。
 
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「そして伴奏してくれたのは常滑舞音ちゃんでした」
とセシルは伴奏者を紹介する。実は七尾ロマンが紹介するはずが、緊張していて紹介し忘れたのである。
 
「常滑舞音ちゃんとはアクアさん主演のドラマ『少年探偵団IV(フォー)』でも共演したんですよ」
と言うと、舞音が
 
「セシルちゃんがフルートソロで、私がピアノ伴奏ですね」
と舞音も自分の所のマイクで答える。
 
「そういえば、さっきからセシルちゃんが持ってるフルートの端についてる宝石のようなものが気になっているんですが」
と姫路スピカが言う。
 
「実はこのフルートは『少年探偵団IV』で使用する小道具をお借りしてきたんです。ところでスピカさんはフルート吹きます?」
 
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「音が出る程度ですね」
「音が出たら凄いですよ」
とセシルは言ってから
「だったら、これ持ってみて下さい」
といってセシルがフルートをスピカに手渡す。
 
「わっ」
とスピカが声を挙げる(マジで知らされていなかった)。
 
「何この重さは?」
と言ってからスピカは
「もしかしてこれプラチナ?」
 
「そうなんです。これプラチナのフルートだから、普通の銀のフルートの倍の重さがあるんですよ」
 
「いや、銀は普通ではない。私が持ってるフルートは白銅だ」
「私も中学1−2年の頃は白銅のフルートを使っていたんですけど、壊れちゃって」
「それでプラチナにした?」
「これはドラマの小道具ですよ〜。お借りしてきただけです。だから、万一の場合にそなえて、ユイさんにボディガードしてもらっています」
 
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「それでユイさんがいたのか」
というスピカに応じて、川井唯は右手をあげて応じる。
 
「ちなみにこちらはアクアのバックバンド・エレメントガードのドラマーでユイさんですが、柔道五段の腕前なんですよね。それでしばしばボディガード役にもかつぎだされています」
とスピカは説明する。
 
「それでこのフルートの端に填まっているルビーやサファイアみたいなのは?」
「ルビーとサファイアですよ」
「嘘!?こんなに大きいのに?」
「実は合成ルビーと合成サファイアなんです」
「びっくりした。こんな大きな天然ルビーに天然サファイアは国宝級ですよ」
「合成でもこの大きさのものを作るには半年かかるそうです。その間、ずっと高温高圧を維持しなければならないから製造コストが凄い高いらしいですね」
 
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「なるほどー。だったらこのフルート、もしかして3000万円くらいする?」
「製造費は非公開なんですが、噂によると1800万円くらいしたらしいですよ」
「ひゃー!マジ高かった」
「詳しくは1月4日の『少年探偵団IV』の放送をご覧下さい」
 
「要するに番宣なのね?」
「そうなんですよ。それでこのフルートを小浜まで持ち出す許可が出たんです」
「でもいい目の保養になった」
「番組が放送される翌日の1月5日から月末までΛΛテレビのエントランスに展示されるそうですから、東京近辺の方は見てみて下さい」
「おお、それは見なければ」
 
「それではよろしくお願いします」
「羽鳥セシルちゃんでした!」
 
それでセシルがフルートを持って退場する。川井唯も一緒に退場する。そしてスピカは
 
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「それでは最後のゲストです。1月13日にデビューする恋珠ルビーちゃんです。彼女も今年度のビデオガールコンテスト優勝者・初代ビデオガールです。ロマンちゃんとルビーちゃんは同点優勝でした。歌は『サンバ・シャポン』です」
 
とスピカが言う。拍手の響く中、今日3人目のゲスト、恋珠ルビーがミニスカ+タイツの赤いボディコン衣装を着て登場する。
 
この衣装そのものにどよめく。アイドルの衣装ではない。
 
「こんにちは、恋珠ルビーです。名前は“恋する”の“恋”に、真珠の“珠”の字を書いて、カタカナでルビーです。この字を書くと“こいじゅルビー”さんですか?とか言われるんですが“こいたま”です。“こいじゅ”では、湯桶読みになっちゃいますよね。実は私は、沖縄県の宮古島出身なんですが、宮古島の神話で“こいたま”という女神様がいて、そこから取った名前です。宮古といっても東北の宮古市じゃなくて、南の島の宮古島です。それからルビーは私の誕生石なんですよも。私は7月1日の生まれ、ホロスコープ出してみたい方のために出生時刻までお伝えすると、2006年7月1日4時25分です。太陽は蟹座の8度、月は乙女座の7度になります。蟹座はツンデレな星座らしいですが、私は積ん読が得意です。あ、それから私より一週間早くデビューします七尾ロマンちゃんですが、彼女は獅子座です。8月7日の、月遅れの七夕に生まれたからロマンなんだそうです。可愛くていいですね。歌も凄く上手いし。セシルちゃんじゃないけど、私も彼女には、かなわないっ!て思いますよ」
 
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と恋珠ルビーは一気に口上を言い、七尾ロマンが言えなかったことまでフォローしてしまった。
 
「それでは聴いて下さい。『サンバ・シャポン』です」
 
伴奏者の常滑舞音と頷き合う。ルビー自ら手に持っていたアゴゴベルで、トンタタタントン・トタンタタントン・トンタタタントン・トタンタタントンというサンバのリズムを刻みだし、それに合わせて常滑舞音の伴奏もスタートする。そして舞音の伴奏が4小節入ったところで、ルビーは歌い出した。
 
その軽快なリズムと歌唱に観客の手拍子も、前乗り気味にタンタンタンタンと打たれ、それに合わせてルビーは細長い脚で軽快なステップを踏んでいる。間奏ではまたアゴゴベルでサンバのリズムを打ち、間奏の終わり付近ではアピート(サンバホイッスル)まで吹く。観客は物凄くヒートアップした。
 
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彼女は歌い終わった後、コーダでもアゴゴベル、そしてアピートも入れた。そして最後には宙返りをしてみせて、観客り物凄いどよめきを呼んだ。
 
凄まじい拍手の嵐となった。
 
姫路スピカが出て来て「恋珠ルビーちゃんでした。格好良かったですね。もう一度拍手」と言い、大きな拍手の中、ルビーは退場した。
 

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夏の日の想い出・秘密の呪文(5)

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