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■夏の日の想い出・秘密の呪文(7)

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演奏が終わると盛大な拍手があった。私は「龍笛、醍醐春海。笙、栗原リア」と紹介した。
 
ヴァイオリニスト2人、栗原リアが退場する。千里は龍笛をスタッフに渡してキーボードの所に行く。世梨奈(Fl)・美津穂(Cla)が入ってくる。
 
『H教授』を演奏する。
 
この曲も初披露の時は、物語の展開に不安を感じながら観客が聴いていたが、もう何度も演奏しているので、多くの聴衆が話の結末を知っている。それで安心して楽しい顔で聴いている感じだった。
 
演奏中に上手からH教授に扮する白衣姿の宮本さんが出てくる。そして歌で女が出てくる所で、今回はこれだけの出演となる風花が出てくる。そして歌の内容に合わせてパントマイムをする。インターネットにつなぐために鳩を飛ばすところは本当に服の中に隠していた鳩を飛ばした。実はシンデレラ日美子さんが手品のネタに飼っている鳩である。最後は赤ちゃんまで出てくるが、これは『とりかへばや物語』で使用した自動人形である。
 
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演奏が終了する。みんな笑顔で拍手をしてくれている。私は
「H教授・宮本越雄、女・古城風花」
と紹介した。
 
ふたりが上手に消える。
 
青葉・山森さん・香月さんが入ってくる。
 
『Atoll(アトール)-愛の調べ』を演奏する。
 
2017-2018年の不調から抜け出すきっかけになった曲で、自分としてもかなり良い感触があった。セールスも180万枚(DL含む)売れている。沖縄本島の近くにある“ルカン礁”(Rukan atoll)という美しい環礁を見た印象から書いた曲だ。
 
3人のキーボーディストが入っているが、詩津紅はピアノ、山森さんはフルー管系の音、そして千里は電子音系の音を入れている。環礁の美しい姿には電子音がわりと似合う。それは聖なるものと交信しているかのような音である。
 
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同じメンツで『雪を割る鈴』を演奏する。
 
宮本さんがバラライカを持ち、千里がバヤンを持つ。
 
バラライカはいいとして15kgのバヤンを抱えて演奏できる人は多くない。ロシアではたくましい男性奏者が街頭で本当にこれを抱えて演奏しているのだが、女性でこれをできる人はひじょうに少ない。さすが日本代表のバスケット選手である。
 
七尾ロマンと恋珠ルビーが、お揃いのサラファンを着て入ってくる。そしてスローな演奏に合わせて踊り始める。
 
1分半ほど演奏した所で、上から薬玉(くすだま)が降りてくる。そして大きな剣を持ち、ウェディングドレスのような衣装をつけた坂出モナが入ってきた。そして近藤さんの合図で
 
「えいっ!」
と大きな声をあげて剣を振るう。
 
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薬玉が割れて多数の小さな鈴が飛び出す。
 
(クス玉は剣が当りさえすれば電気的な処理で自分で割れるようにできている)
 
曲が突然アップテンポになる。七尾ロマンと恋珠ルビーがサラファンをさっと脱ぐと、下にはミニスカタイプの青いテニスウェアを着ている。テンポの速い曲に合わせてハイテンポで踊る。
 
坂出モナはウェディングドレス(?)なので激しい動きはできないものの、身体を揺すりながら手拍子を打っている。
 

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そして終曲。
 
「ダンサー、七尾ロマン・恋珠ルビー。鈴割り役・坂出モナ」
と私は紹介した。
 
「続いて『青い豚の伝説』」
 
モナは退場するが、ロマンとルビーは引き続き、この曲でもダンスする。
 
更に『コーンフレークの花』『フック船長』と演奏する。
 
『フック船長』ではフルートの吹き手が足りないので羽鳥セシルにフルートに加わってもらったが、今回は“宝石付きフルート”ではなく、普通の?フルートを使用していた。宮本さんがいつものようにメトロノーム係(チックタック鰐を表す)で入っている。
 
ラスト付近で目覚まし時計が鳴り始め、宮本さんが止めようとするもののどうしても止まらない、やがて、宮本さんが取りだした“お玉”で叩いたら止まった。これもいつもの演出である。
 
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曲は終わるが宮本さんは、お玉を見ながら首をひねっている。そして客席の方に向ける。客席から
「ピンザンティン!」
という声が返ってくる、
 
宮本さんが手に持っていたお玉を私に渡し、更にもう1本取り出すとマリに渡す。そしてお玉を振りながら『ピンザンティン』を演奏した。
 
「サラダを〜作ろう、ピンザンティン、素敵なサラダを」
「サラダを〜食べよう、ピンザンティン、美味しいサラダを」
 
客席の1000個のプロジェクタの中でも多数の人たちがお玉を振ってくれた。その様子がまた、あけぼのテレビの回線を通して全国に中継される。また最前部に並んでいる100人の(バーチャルな)信濃町ガールズたちがお玉を振るのもテレビには映る(私たちには見えない)。
 
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「応援ありがとうございました」
と私はアナウンスする。スタッフが入ってきて、月丘さんが演奏するマリンバを移動して、詩津紅が弾くピアノと背中合わせの位置に持って行く。
 
「次はいよいよ最後の曲になりました」
 
と言うと客席からは「え〜〜!?」という声が返ってくる(日本の観客は本当に約束事が分かっていて律儀である)。
 
「昨年2020年は本当にコロナで大変な1年でした。志村けんさんが亡くなり、岡江久美子さん、高田賢三さん、ジスカール・デスタン元大統領、ダース・ベイダー役のデビッド・プラウズさんが亡くなりました。オリンピックは延期され、甲子園は中止になり、様々な大会・お祭りが中止。マスク不足から様々なマスクが手作りされ、全国民に10万円が支給。学校が3ヶ月お休みになり、三密を避けてソーシャルディスタンスを取り、リモート授業、リモート出勤が普及しました」
 
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「コロナ以外では、九州で豪雨、安倍首相が退任して、イギリスはEU離脱、ヘンリー王子が王室離脱、香港は荒れ、バイデンがトランプを破りました。そんな中、鬼滅の刃が受けて緑と黒の市松模様がはやり、高校生の藤井聡太が棋聖・王位の二冠を取り、大坂なおみが全米オープンに優勝し、野口聡一さんはスペースシャトル・ソユーズ・クルードラゴンと3ロケットを制覇。スーパーコンピューター富岳は世界一になり、そして昨日、嵐が活動休止しました」
 
「新しい年が明けました。今年は良い年になるといいですね。それでは最後の曲、『時の鏡』です」
 

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私とマリは背中合わせでハンドマイクを持ち歌う、近藤さんと鷹野さんは背中合わせでギターとベースを弾く。七星さんと世梨奈が背中合わせでフルートを吹く。生方さんと荒井さんが背中合わせでヴァイオリンを弾く。詩津紅と月丘さんは背中合わせの位置でピアノとマリンバを弾いている。ドラムスの酒向さんだけがひとりでドラムスを打っている。
 
私たちは本当に今年が良い年になりますようにという願いを込めてこの歌を歌った。
 
そして終曲。
 
私とマリが向き合い、近藤さんと鷹野さんが向き合い、七星さんと世梨奈が向き合い、ヴァイオリンの生方さんと荒井さんが向き合う。そして月丘さんが弾いているマリンバごと、詩津紅のピアノを中心に180度グルっと公転!して、詩津紅と向き合う形になった。
 
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このマリンバと月丘さんの回転(自転ではなく公転)には観客の間に物凄いどよめきがあった。これを初めて見た人が大半だったようである。
 
拍手が鳴り響く中、私とマリは客席に向かって大きく頭を下げる。
 

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そこに司会者の姫路スピカが入ってくる。
 
「以上でライブは終わったのですが、通常ならここからアンコールになる所、放送枠で納めなければならないので、ここからアンコール代わりにボーナスステージということで2曲お願いします。それでは『影たちの夜』」
 
それで大きな拍手の中、『影たちの夜』の演奏が始まる。
 
普段の年ならここでこれまでの出演者が全員ステージに再登場して、密集!して踊りまくるのだが、今年はそれかできない。それでテレビの枠の右側と下側ぎ切り取られて↓のような状態になる。
┏━━━┳┓
┃   ┃┃
┣━━━┛┃
┗━━━━┛
そして、右側・下側の部分に、各々の部屋に居る出演者が映し出され、一緒に踊ったり歌ったりしたのである。
 
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今回のライブでは、大型の楽屋は用意していない。各々個室の楽屋で着替えたり休憩したりするようになっている。だから今回は進行係の鱒渕さんは、各々にスマホで呼びかけてステージに呼び出す形式で行った(反応が無い場合は白石・竜木が部屋まで走って行ってノックして注意する)。
 
なお各個室にはトイレも付いているし、ティーサーバー・コーヒーサーバーも用意している。また食事は電話かメール1本でデリバリーする体制を取っているので(協力:藍小浜)、部屋の外に出る必要はほとんど無かった。
 

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お祭りのような『影たちの夜』が終わった後、伴奏者が全員退場し、あけぼのテレビの画面もステージを映す映像だけになる。
 
私はスタインウェイのコンサートグランドピアノの前に座り、マリは私の左側に立つ。ピアノの向こう側から移動カメラが私とマリを映す。
 
ブラームスのワルツ(ミードドミ・ミードドミ・ファソファミレミ)をモチーフにした前奏に続き、私たちは『あの夏の日』を歌う。
 
この曲を書いた2007年夏から13年半。色々な想い出が頭の中に蘇ってくる。『A Young Maiden』を発表した時は「マリちゃん、まさか赤ちゃん産んだ?」とか言われたけど、マリも本当に2人の子持ちになった。
 
でも独身!
 
それで未だに男性ファンは減らないようである。
 
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どうもいくら赤ちゃん産んでも誰かと結婚しない限りは「誰の物でもない」という状態にあるようだ。そのマリはいつものように私の左側で歌っている。
 

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私は時計の秒表示を見ながら演奏している。
 
歌が終わる。
 
コーダを弾く。
 
そしてピアノの最後の音が余韻を残して減衰していく中、私は椅子から立ち上がり、マリと一緒にステージ前面に出て、客席に向かって深くお辞儀をした。
 
大きな拍手が響く中、放送は終了した。
 

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今回のライブの『雪を割る鈴』の剣で薬玉を割る役は、愛心の推薦で坂出モナにやってもらったのだが、彼女がウェディングドレス姿で出て来たのは、私も話を聞いていなかったので、びっくりした。
 
この件は、ライブを観ていた人たちの間からも「なんでウェディングドレス?」という声が多数あがっていた。
 
この件に付いて、坂出モナはライブの後、1月1日の夕方に、所属事務所の○○プロとの連名で報道各社にFAXを送って次のようなことを発表したのである。
 
・坂出モナは12/31付で WindFly20を卒業したこと。
・坂出モナは○○プロとの契約を更新しなかったこと(12/31付で自動消滅)。
・坂出モナは弘田ルキアと婚約したこと。
・結婚式は2人が高校を卒業した後2022年3月におこなうこと。
 
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WindFly20の中でも特にファンの多い子のひとりだけにこの件は大きな衝撃を与えた。
 
「でもルキアって女の子になりたいのかと思ってた」
「テレビではいつも女装してるし」
「というかほとんど女性タレント扱いだし」
「既に性転換しているという説もあった」
「いや、本人はいつもそれ否定していた」
「単に恥ずかしがって否定しているのだと思ってた」
「ひょっとしたらレスビアンかも」
「もしかしてウェディングドレス同士で結婚とか」
「そういえば今日もルキアは十二単(じゅうにひとえ)着ていた」
 
記者会見を開いて欲しいという意見が圧倒的だったので、行きがかり上、私がお膳立てをすることにした。○○プロでWindFly20を管理していた丸花社長に電話して承認を取った(*2)上で、私と坂出モナ・弘田ルキアの3人で、代表取材ということで、あけぼのテレビが記者会見を放送した(★★チャンネルとЮЮネットも(無料で)同時配信した)。
 
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(*2)○○プロは、事実上、丸花社長系、浦中副社長系、津田元専務系、の3つの派閥の集合体であり、この3つは各々独立して運営されている。WindFly20は丸花社長系であった。ローズ+リリーはこの3つの派閥に跨がって活動していた特異な存在だった。
 

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夏の日の想い出・秘密の呪文(7)

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