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■春動(19)

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「そういえば、くにちゃんってヒゲ生えてるの見たことないけど、脱毛してるんだっけ?」
と初海が訊いた。
 
「それは脱毛した」
と邦生は言い、説明する、
 
「俺水泳部だったからさ。水泳部では体毛があると水の抵抗になるから、男もみんな体毛はきれいに剃ってる。でも毎日剃るのって面倒じゃん。それでいっそレーザー脱毛したら?と言われて、うまく乗せられてやっちゃった。体毛はどうでもいいけど、ヒゲ剃らなくていいようになったから、助かってる」
 
「ああ。水泳のためだったのか」
 
「筒石さんもレーザー脱毛しちゃったね」
「楽だよ」
 
「水泳してたのか」
と初海が言っている。
 
「くにちゃんは県大会とかなら上位に入れる実力」
と青葉は言う。
 
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「でも大学出た後は、あまり練習してないから衰えてると思う」
「津幡に来ればいいよ。くにちゃんならいつでも泳いでいいから」
「それは行ってもいいかな。結構気分転換になりそうたし、時々運動はしたいし」
「泳ぐ時は女子水着着けてね」
「なんで?」
「あそこは女子専用だから。筒石さんも女子水着つけてるよ」
「筒石さんの女子水着姿はあまり想像したくない」
「うん。目を遣らないほうがいいよ。女子水着つけるとスピードアップするというので、筒石さんは楽しそうだけど」
「スピードアップするだろうな!」
 
「くにちゃんが女子水着を着けた姿は、実際に女子の水着姿にしか見えないだろうね」
と幸花が言うと
「それは間違い無いね」
と真珠が言っている!
 
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「じゃぼくがくーにんの水着を選んであげるよ」
「お前に任せるとビキニとか選ばれそうだ」
「なんで分かったの!?」
 
「一応競泳用の水着以外は使用禁止ね」
と青葉は言っておいた。
 
例によって、布恋はビキニで泳いでいて取れてしまい。ジャネに叱られていた。竹下リルなどは、公式水着は高いし着けるのが大変なので、普段は学校で使っているスクール水着で泳いでいたりする。
 

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青山さんや邦生の“女性化”で盛り上がって、結局夜1時頃に各自の部屋に入り、寝た。各部屋の押し入れには布団が3組ずつ置かれているのでその内の2つを出して使用した。明恵から、感染防止のため、布団の枕は反対向けてという指示があったので、全員それに従った。
 
青葉は布団がちゃんと乾燥機に掛けてあるようなので感心した。
 
(感染防止対策もあり、使用した布団は毎回乾燥機に掛けてから押し入れに戻す運用をしている。これは真珠と伊川峰代が話し合い、手の空いてる人が布団乾燥機を掛けるようにしている。布団の数が多いので、乾燥機は2台ある)
 
むろん邦生はリビングの隅に自分の布団を敷いていた!
 
明恵は夜中真珠がいなくなっていたので、邦生と少し一緒に寝たんだろうなと思った。真珠は朝にはこちらの部屋に戻っていた。
 
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朝は、千里が割と早起きして、食パンが充分あるのを確認した上で、邦生から鍵を借りて、コンビニまで行きサラダを買ってきた。そしてウィンナーをボイルし、スクランブルエッグを作って7人分の朝食を作った。
 
6時半頃明恵が起きてきたので、彼女に皿を並べてもらって、そこに玉子とウィンナーとサラダを盛り付ける。その間に千里はお湯を沸かしてクノールのカップスープを人数分作った。千里と明恵で各部屋に声を掛け、みんなを起こす。
 
「完璧に熟睡してた」
と青葉。
 
「まあ疲れたろうね」
 
「朝食にサラダとかスープが付いてるのが素晴らしい」
「サラダはコンビニで買ってきたやつだし、スープはクノールだし」
「朝はギリギリになること多いから、なかなかそこまで余裕無いよね」
 
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「でもこのマンション、学校にも行きやすい気がする」
と初海が言っている。
 
「**番系統の東部車庫行きのバスに乗ればいいよ」
と真珠。
 
「帰りは**番系統に乗って、放送局に行けばいいし」
と明恵。
 
「そうか。バイクは放送局に駐めたんだった」
「まあ自然に夕方はまた放送局に集まることになるね」
 
「今週は、竹本(初海)さんはリモート授業だよね」
と邦生が訊く。
 
真珠が今週はリアル授業で毎日大学に行っているので、明恵は真珠と同じで、初海は反対の組なので、リモートのはずだ。
 
「はい。授業が終わるまでここに居ていいですか」
「もちろんもちろん。あ、W-Fiのパスワードを」
「それはこのスマホに登録してるから大丈夫です」
 
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「なるほどねー」
「ほんとにここは宿泊所だ」
 
「でも郵便局行ってこなきゃ」
と初海。
 
「郵便物なら出してきてあげようか」
と真珠。
 
「いや。これ払ってこないといけなくて」
と言って“青紙”を見せる。
 
「切符切られたの?」
「ええ。兄が」
「ああ」
「給料日までお金無いから貸してと言われて」
「働いてるお兄さんより大学生の初美ちゃんの方がお金持ってるのか」
 
「青葉さんのドライバーの報酬もらってるから。青葉さんが不在で、仕事全然してないのに」
「私たちも何もせずに報酬だけもらってるー」
と真珠。
 
「いや。お仕事は時間拘束だから、仕事があるないに関わらずちゃんと報酬は払うよ」
と青葉。
 
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(でも真珠は「青葉さんまだ戻って来てないから」と言ってビール飲んでた!実家で飲むと叱られるから、邦生のマンションで飲んでる)
 
「ま、それでトイチで貸すことにしました」
「おお、高利貸しだ」
 
「でも何やって切符切られたの?」
 
「指定時間進入禁止の標識に気付かなくて、入っちゃったらしいんですよ。そこスクールゾーンで7:00から8:30まで軽車両以外・車両通行禁止だったのを、8:29に進入したらしくて」
 
(軽車両とは自転車やリヤカーの類い。軽自動車ではない!!)
 
「惜しい!」
「いや、警察ってそういう時間に張ってるんだよ」
 
「8:30なんて、小学生はみんな登校済みで、8:30まで規制する必要無いのに。8:10くらいで解除すればいいのに、とか文句言ってました」
 
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「違反者ホイホイだったりして」
 
「警察って、スピード違反の取り締まりでも、誰も見てないだろうと思ってついスピード出しちゃいそうな所に隠れてるよね」
邦生。
 
「直線の快走路で、80km/hくらいで走りたくなるのにスピード規制がなぜか50km/hみたいな所には警察がよく居るんだよ」
と千里も言っている。
 
「あれ汚いよね。私もそういう場所は気をつけてる。絶対先頭にならないようにする。万一先頭になったら速度厳守。誰かが追い越していったら、それに付いてく」
と幸花。
 
(↑幽霊ワゴン車に簡単にやられそうだ)
 
「誰も居ないだろうと思って安心する所に、実は見張りがいるんだよ」
と真珠が言った。
 
青葉は「ん?」と思ったものの、その場ではあまり深く考えなかった。
 
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リモートで授業を受ける初海以外はみんな出掛ける態勢になった所で、真珠はルンバを起動した。
 
「あ、ルンバが居るんだ」
「ぼくのペットだよ」
と真珠は言っている。
 
「ほほお」
「しっかりお掃除してくれるいい子だよ」
「うん。確かにルンバはいい子」
「前のアパートではルンバの通り道を確保できなかったけどね」
「あのアパートじゃ無理だったね」
 

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この日は全員バイクを放送局に駐めているので、真珠が邦生の Ninja1000 を借りて明恵を後ろに乗せて大学まで行った。
 
真珠は大型二輪の免許を取ったのは、ついこないだ12月(邦生が不在なので、それでNinja1000を乗り回していた)なのだが、普通二輪は高校2年の時に取得しているので大型二輪でも2人乗りが可能である。二輪免許取得から既に4年経過しており、高速道路での2人乗りも可能だが、邦生から「大型二輪取ってから1年経つまでは高速2人乗りは禁止」と言われている。
 
幸花・青葉・千里はタクシーで放送局に移動した。
 
そして邦生は徒歩で銀行まで行った!
 
服装は、唯一の紳士用スーツを銀行に置いたままなので、真珠から女性用のビジネススーツ(ボトムはもちろんスカート!)を着せられそうになったのを拒否して、ワイシャツに適当なズボンを穿く。フリースのジャケットの上にダウンコート(もちろんレディス仕様)を着て歩いて行った。歩いても、ほんの10分ほどで到着した。この距離だから、女子たちのたまり場にされるよなあと改めて思う。
 
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(金沢市の中心部まで歩いて10分なんて、物凄く良い場所に住んでいる)
 

放送局に戻った3人は、幸花が別の番組の仕事で呼ばれて行ったので、青葉と千里は、取り敢えずこれまでのビデオを再度見て、2人だけで再検討した。
 
「人形美術館はさ、こういうことしたらどうだろう?」
と千里がある提案をする。
「それはいいかも知れないね。でもその資金は?かなりお金かかるよ」
と青葉は尋ねる。
「それはこういうことしたらどうかな」
と言って千里は別の提案をする。
「ああ、それなら行けるかも」
と青葉も言った。
 
「だったら、今日か明日にも一度S市に行きたいね」
「うん。急ぐ必要がある」
 

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お昼頃、幸花が別件の仕事を終えて戻って来た。
 
「疲れた、疲れた」
と言って、毎日放送局にお弁当を売りに来ている業者さんから買ったお弁当を食べている。千里と青葉はさっき一緒に金沢名物・笹寿司を食べた所である(千里姉のバッグから出て来た。製造日が今日なのに!一体いつ買った?)。
 
「そちら何か発見ありました?」
と訊くので、青葉は午前中に千里と話したことを言った。
 
「それ神谷内から石崎部長に言ってもらいましょう。たぶん放送局が後援できますよ」
「そういう形にできると、オーナーさんもやりやすいでしょうね」
 

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