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■春動(4)

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青葉は10月29日から熊谷に来たのだが、11月6-7日には、宇都宮の日環アリーナ栃木屋内水泳場で“第4回日本社会人選手権水泳競技大会”が開かれたので、編曲作業を中断して、宇都宮まで行って来た。
 
800m自由形と、400m個人メドレーに出たが、どちらも優勝した。青葉は五輪では800mは金メダルを取ったものの、400m個人メドレー(iM)では金堂多江が金メダルで青葉は銅メダルだった。今回、金堂が五輪で出した日本記録には及ばなかったが、雪辱を果たした形である。800m, 400iMともに、2位はその金堂多江であった。(今回高校生の竹下リルは参加していない)
 
800mの3位は同じ津幡組の南野里美、400iMの3位は彼女のライバル永井蒔恵であった。南野は長身なので長距離のほうが有利である。今回金堂は200iMでは金メダルを取っている。また五輪代表を直前の怪我で泣く泣く辞退した広嘴さんが200iMで銅メダルを取得した。彼女はマジックテープ式の“転ばぬ先の糸”を足に巻いていた。糸を巻いたまま競技に出るのは違反なので、直前に外し、離水したらまた巻くのである。これがその後も彼女のスタイルとなり、結構真似する選手も出た。
 
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〒〒スイミングクラブのスタッフである、田中世梨奈はこの大会まで選手たちのサポートをした後、東京に移動して『ワンザナドゥ』の制作に参加した。彼女は親友の鶴野明日香のマンションに居候する。
 

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12月7-9日には、“作曲家アルバム”の最後の取材が行われた。この番組は、青葉とケイが、ラビスラズリとともに様々な作曲家のお宅を訪問する企画である。今回取材したのは下記である。
 
12月7日(火) 丸山アイ
12月8日(水) 望坂拓美
12月9日(木) 大宮万葉
 
アイの所には“ケイおよびラピスラズリ”と一緒に行ったのだが、インタビュー中に“ケイ”が奥の部屋から出て来て
「あ、ごめん。まだやってた?この場面カットしてね」
と言って、奥に引っ込むという一幕があった。
 
これは翌々日には「やはりケイは複数居た!」として報道されたが、ケイ本人は匙を投げて何もコメントしなかった。でも和泉やマリが「ケイはどう見ても5〜6人居る」とコメントしていた!
 
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「やはりあの仕事量をひとりでできる訳ないよね」
「ケイは実際は10人くらい居るらしいよ」
などという噂も立つ。
 
丸山アイは
「アクアは7人:日月火水木金土、醍醐春海は6人:青青黄赤緑菫、ケイは10人ドレミファソラシド#♭、東郷誠一先生は20人、上島雷太先生は40人、居たはず」
などと言っていた。
 
「青を2回聞いた気がする」
「青は表と裏が居る」
「へー!」
 

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「醍醐春海は3人だという説も聞くのですが」
などと、青葉は投げ槍気味に言った。
 
すると丸山アイはこんなことを東雲はるこに聞いた。
 
「ここに細菌を入れた瓶があって、この細菌は1分ごとに倍に増殖するとする。細菌が瓶いっぱいになるまで増殖するのに1時間=60分かかるとした時、細菌が瓶の半分になるには何分かかる?」
 
町田朱美が「あぁ!」という顔をしたので、彼女はこの答えを知っているようである。しかし東雲はるこは知らなかったようで、少し悩んでから
 
「60分でいっぱいになるのなら、半分は30分くらいかなという気もするけど、これ後の方になるほど増殖速度があがりそうだから、47分くらいですか?」
 
「ブッブー」
と言って、アイは不正解であることを示す。
 
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「朱美ちゃんは知ってるみたいね」
「はい。59分です」
「正解」
 
「え〜〜〜!?」
と、はるこは驚いている。
 
「だって1分で倍になるんでしょ?59分で半分になったら、その1分後の60分で半分の倍になって、いっぱいになる」
と朱美は解説する。
 
「あっそうか!」
 
「倍々ゲームの恐ろしさって、結構みんな理解してないよね」
とアイは言う。
 
「ドラえもんのバイバインを掛けられた栗まんじゅうは、2時間50分で東京ドームの体積になり、6時間50分後には地球の体積、8時間35分後には太陽の体積、9時間15分後には、中性子星になる限界質量を超えて重力崩壊し、中性子星になる。この時間ではドラえもんのロケットはせいぜい火星軌道くらいまでしか飛べないから、この中性子星が持つ重力に太陽系は丸ごと飲み込まれて、太陽系は滅亡する」
 
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「恐ろしい・・・・」
 
「あれどうするのが正解だったんですか?」
「燃やせばいいじゃん」
「あ、そうか」
 
「あけぼのテレビがアクアとか常滑真音のネットライブで、しばしば回線容量の95%とか98%とか行ってるけど、あれはとても危険な状態。本来、設備の使用率は50%以下に抑えておかないといけない。50%行ってたら、何かの拍子に100%行く可能性がある。これまで破綻しなかったのは単なる幸運にすぎないよ」
とアイは、ケイに言った。
 
「確かに危険だと思っていた。設備増強を考える」
とケイも答えた。
 
「飛行機には最高速度と巡航速度がある。通常最高速度で飛ぶことはない。それは機体に無理が来る。巡航速度に抑えておかないと、何かあった時にどうにもならなくなる。ケイちゃんは陸上やってたから“快調走”を知ってるよね」
 
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「うん。あれもそうだね」
 
「快調走というのは8割の力で走る練習なんだけど、8割で走るって、結構きついんだよね。その状態でたくさん練習することで鍛えられる。全力走とかしたらしばらく動けなくなるから練習にならない。全力とはいざという時に出すものだよ」
 
「全くそう思う。常に全力を求められたら、全力出してるように見せて、実際には上手にサボる人だけが生き残る」
 
アクアが突然言われて白鳥の湖を踊った時とかが全力だろうなとケイは思った。
 
「アクアもしばしば2〜3人居ると言われているけど、彼女の活動量を見ていると、3人くらい居てもギリギリくらいの状態。その状態で運用していたら絶対破綻する。だからアクアは実際には7人くらい居ないとあの負荷には耐えられないはず。だからアクアは絶対7人いると思う」
 
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「うーん・・・・・」
 
(アクアのことを“彼女”と呼ぶことには誰も突っ込まない)
 
「醍醐春海なんて、しばしば同じ時間に遠い場所で同時に活動している。割と堂々と。日本とアメリカで同じ時間に行われる2つの試合に同時に出たり、試合中に別の場所でライブに出演してたり、バスケットの大会と剣道の大会に同じ時刻に出ていたり」
 
確かに千里姉は大胆すぎるよなあと青葉も思う。ん?剣道??
 
「その3人がフル稼働状態では、持ちこたえられない。だから醍醐春海は実際には5〜6人居ないとあの多忙さには耐えられない。つまり醍醐春海は実際は最低6人、もしかしたら7-8人居る」
とアイは言った。
 
青葉は本当に千里姉はそのくらい居るかもしれない気がしてきた。
 
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青葉はしばしば千里2と千里3がお互いに相手の振りをしているのに欺されている。あれは京平君にさえ見分けが付かないようだ。
 
それを考えると、千里4・千里5・千里6とかも存在して、それが千里2や千里3の振りをしていたら、誰もそのことに気付かないのではと思った。
 
だいたい千里1,2,3は極めて複雑に出入りしている。それで複数の千里が同時に姿を見せることはめったにない。それは5人か6人の千里の内の誰かが“千里たち”が遭遇しないように調整しているからかも知れないという気さえしてきた。
 
千里2は日本で活動している一方で、フランスリーグでも活動している、それは千里2が日本とフランスの間を数分で移動する手段を持っているからだと思っていたが、実は元々日本にいる千里2とフランスにいる千里2は別人なのかも知れない。遠くに居てもアクアたちみたいに肉体が連動していたら、フランスリーグで鍛えた身体を日本に居る千里2も使えるはずだ。
 
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アクアたちの場合はその調整作業を和城理紗と竜崎由結が共同で行っている。しかしアクアは3人に分裂していたのが2人に戻ったと本人たちは言っているけど実は元々アクアも5〜6人いたのかも知れない。
 

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12月8日に小山市で望坂拓美を取材した後、取材陣一行はこのシリーズ最後の取材者である大宮万葉、つまり青葉自身を取材するため、飛行機で熊谷から能登空港に移動した。
 
青葉の自宅は、高岡の伏木にあるが、これまで住んでいた家が区画整理に掛かり、10月13日に、伏木地区内に新たな土地を買って、そこに新しい家を建てることにした(10/19土地購入)。その打合せを播磨工務店とした後、青葉自身は10/29熊谷に来て、トリビュートアルバムに関する作業を始めたため、建築の進行については全く把握していなかった。
 
母から11月13日にその新居が出来たと聞き、青葉は仰天する。工事開始からわずか半月である。それで引越作業は、千里が桃香と一緒に行き、千里姉の友人と一緒に荷物を移動してくれた。
 
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そして青葉自身はこの作曲家アルバムの取材で、初めて新居を見ることになったのである。
 

行ってみて、青葉は唖然とする、
 
「設計図と全然違うじゃーん!」
 
後で千里姉から説明されたが、要するに10月13日に打ち合わせて書いた概略設計図にはひじょうに多数の問題があることに、播磨工務店の南田社長が気づき、南田と千里で再度3日くらい掛けて詰めた所、設計が大きく変わることになってしまったらしい。
 
↓青葉の新居・完成図

 
でも事前に言って欲しい!!
 

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中央に広いLDKや子供たちのためのプレイルームがある。子供部屋は、浦和に住んでいる4人(早月・由美・京平・緩菜)に加えて千葉の季里子の家に住む2人(来紗・伊鈴)まで泊められるようになっている。各子供部屋からはプレイルームに簡単にアクセスできる。
 
青葉のための創作部屋は、構想を練るためのピアノルームに、スタインウェイのコンサートグランドが鎮座しており、楽曲のまとめに使用する作業部屋には、DTMシステムを入れたパソコンと KORGのキーボードLP-380が用意されていた。
 
屋根には120枚もの太陽光パネルが載っており、この家で使用する電気はこの太陽光パネルで全てまかなえる。敷地内に降った雨を浄水して地下のプールに使用し、プールやお風呂の排水はトイレを流すのに使用する。また貯めた雨水は、浄水装置に通す前に屋根の上を流すようになっていて、これが夏は冷房、冬は暖房(+屋根の融雪)の効果があり、冷暖房の使用電力が小さくて済むようになっている。全体的にとてもエコな家である。
 
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青葉はこの自宅の取材が終わると、ケイやラピスラズリと一緒に熊谷に戻った。そして、トリビュートアルバムのアレンジ作業を続けた。
 
この作業が終わったのは12月15日(水)である。青葉は熊谷からいったん浦和の千里家に移動した。また邦生たちがしていた、トリビュートアルバムの伴奏作業も12月17日には終わった、青葉も邦生たちも1月1日のローズ+リリーのライブに参加してもらうので、引き続き、東京に年内は滞在してもらうことになった。
 
年末年始はタレントがみんな忙しくなるので、実は伴奏の手が足りない。それで邦生たちは毎日のように放送局に行き、誰かの伴奏をしていた。トランペッターはギターやキーボードなどに比べてかなり人数が少ないので、随分重宝された。音源制作にも多数参加している。なんかアクアのアルバムの制作中より忙しいぞと邦生は思った。
 
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「ありがとうございます。女性トランペッターは元々少ないのでとても助かります」
「あ、いえどうも」
 
そんな感謝されると「私男です」とは言えない気がした。
 

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邦生が12月下旬、結構な頻度でテレビに出演しているのを、北陸に残る高校や大学の同級生、水泳部のメンバーたち・元メンバーたち、またH銀行の同僚たちは
 
「おお、クニちゃんが出てる」
と注目していた、
 
「でもすっかり女の子してるねー」
「やはりクニちゃん完全に女の子になったみたいね」
「うん。性転換手術は完了したんだろうね」
などと彼女たちは噂していた。
 
むろん邦生は性転換もしていなければ、女装もしていない!
 
女装していないのに女に見えてしまうのは、邦生の天然である。むろん彼は女性ホルモンなども飲んだりはしていない(本人談)のだが、真珠や明恵の目には、最近女らしさが増幅しているように見える。真珠は実際邦生がトランペットを吹いている映像を見てあまりの可愛らしさに胸がキュンとした(真珠は元々バイセクシュアルで結構可愛い女の子が好き)。
 
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真珠などは「くにちゃん、生理来たのかなあ」などと思っているが、幸花や明恵は、たぶん邦生も広紀も女性ホルモンを飲んでいるのだろうと思っている。
 
 
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