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■春進(2)
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立山煌や薬王みなみが出演している揚浜フラフラの『フラフラダンス』では、その後、『シンデレラ』、『かぐや姫』、『オズの魔法使い』など色々な寸劇をして、煌は色々なお姫様役をやらされた。薬王みなみも、シンデレラの母親、倉持皇子、木こり、などサブの重要キャラを演じ、ふたりの掛け合いが下手なコメディアンより面白いとして視聴率は上昇した。煌(きらら)も、みなみもフラフラの無茶振りにうまく対応するので、楽しい寸劇になっていた。しかし結果的には“立山きらら”としてのキャラが定着してきた。
長門&陸奥の『虹の八色』での『きららちゃんの英語レッスン』も好評だった。買い物とか、勧誘の断り方とか実践的な会話がおこなわれていた。
『銀座アルジャン亭』でもきららの評価は高くなった。
目の不自由なお婆さんを肩に手を置かせて席にガイドしたり、若いカップルに絡んでいるチンピラを柔道のワザで床に叩き付けるなんてシーンもあった。
視聴者から「きららちゃん、かっこえー」という声。
ぜひ次はセリフのある役でという声も強かった。そもそもそれまでセミレギュラー的であった色々な番組から出演要請の頻度が増え更に「立山きららちゃんをぜひレギュラーに」というオファーも増え、キャパを超えたので、コスモスとゆりこは調整に悩んだ。
「今オファーの多さでは、アクア・舞音の次が、きららだな」
「取り敢えずアクアのCM代理要員からは外しましょう」
「うん。本人の時間が取れん」
代理はある程度本人の人気も高い人でないと務まらない(スポンサーが納得しない)。現在アクアの代理CMをやっているのは、町田朱美・松梨詩恩・白鳥リズム・薬王みなみ・立山きらら、だったが、きららは外して、恋珠ルビーを入れることにした。
またバラエティやクイズ番組などには、能力の高い、麻生ルミナ・紺青セイラ・氷川チャイム・鏡家トマト、キャラが立つ広瀬みづほ・春野わかな、なども積極的に送り込んだ。
(月城たみよ・川泉パフェは“半分男の子”みたいなポジションになる。きららに代われるのは、むしろ純粋な女の子!)
能登半島では地震の復旧もかなり落ち着いてきたので公共の給水所での給水は縮小された。それで珠洲市や輪島市の〒〒テレビ救難所、ムーラン七尾や朱雀林業能登支店の私設給水所はかえって利用者が増えた。お年寄りや女性には水を入れたポリタンクをスタッフが車まで運んであげるのも喜ばれた。20kg近いポリタンクの運搬は結構辛い。
富山大学で教養科目履修のために1年間富山市に行っていた遙佳と舞花は高岡市内の学部(芸術文化学部)で専門課程を受けるため、高岡に戻ってくることになった。青葉は
「うちの2階に住んでいいよ」
と言った。ムーランの佐藤さんからも
「“お菓子の家”に住んでいいよ」
と誘われたが、結構立派なマンションなので、タダで住まわせてもらうには申し訳無いので、青葉の家の部屋を借りることにした。実はキャンパスにもこちらからのほうが近い。
(“お菓子の家”(メゾン・ドウ・ガトー maison de gâteau)とはムーラン伏木店と菓子神社の間にある6階建てマンション。ムーラン伏木店や菓子神社社務所に外には出ずに移動できる。ムーランのスタッフや神社の神職・巫女などが住んでいる。オーナーは若葉だが、事実上運用はムーラン店長の佐藤さんに任されている)
front:小掬(千里の眷属)
101 真珠の別荘(霊界探訪伏木分室)
102 佐藤純(ムーラン店長)
103 斎藤花代(菓子神社宮司)
104 コンビニ
201 中川浩美(和菓子担当)
202-205 神社の巫女さんなど
3F 空き
4-6F 一般入居者(不動産屋さんに管理委託)
それでガトームーランのスポンジ製作拠点も富山市から青葉の家に移動した。“千里”は青葉の家に隣接するスタジオ(所有者はコスモス)の隣にお菓子作り用の作業場を建てたので、舞花たちはここにオーブンなどのお菓子作りの道具も移動してきた。
ふたりはここに簡易ベッドやワークデスクやイーゼルも持ち込んだようである。菓子作りの待ち時間にお勉強とかもするのだろう。回線は青葉の家のwi-fiが使える。
焼き上げたスポンジは、遙佳が車でムーラン伏木店に運ぶ。この作業場には屋根付きカーポートが付いているので雨に濡らさずに製品を運べる。
その日、アクアは代々木のマンションから春日部のスタジオに向かおうとしていた。マンションのエントランス近くに居たら、白いボルボが停まり運転席から誰かがこちらに手を振るので、今日は誰か代理のマネージャーが送迎してくれるのかなと思い、表に出てみた。
「お早う、アクアちゃん」
「アイさん!」
それは丸山アイだった。
「どこか行くの?」
「春日部のスタジオに」
「朝早くから大変だね。送ってあげるよ」
「すみません」
アクアは誰か迎えに来ているだろうけど、電話しとけばいいだろうと思い、アイさんなら間違い無いだろうし、と思って彼の車に乗った。実際にはいちばん警戒すべき相手であった。
車は近くの出入口から首都高に乗る。アクアはマネージャーに連絡しておこうと思い、
「ちょっと電話しますね」
と言ってスマホを取り出したが、発信できない1?なんでー?と思っていたら、突然運転席からアイが消えた!
「え!?」
とアクアは驚く。
「アイさん?」
と呼びかけるが返事は無い。運転席無人の車が走り続ける。
4月6日(土)、青葉はミュージシャンアルバムの取材をおこなった。
早朝からAYAを迎えた。彼女のスケジュールが午前中しか取れないので、早朝からの取材になった。
「AYA(あや)のみなさんでーす」
と朱美が言う。
「こんにちはー」
と挨拶するのは、ゆみ1人である。
「最初は3人だったんですよね」
「そうなんです。あすか・ゆみ・あおい、3人の頭文字を取ってAYAだったんです。でも2人辞めちゃって私だけが残ったんですよね」
「そしてAYAがまた醍醐先生と関わっている」
「メジャーデビュー前のインディーズ時代にお世話になりました」
「私は雨宮先生からAYAのライブに連れて行かれて、この子たちが歌う楽曲を書いて、と言われただけなんですけどね」
「メジャーデビューのシングルも醍醐先生が最終ミックスしてくださったんです」
「半分だけね。もう一曲は雨宮先生がやった」
「6年前にも再度お世話になって」
「あれは今度は雨宮先生の旦那さんの三宅先生から頼まれて楽曲を書いたんですよ」
「あと楽曲以外でも私の車がベーパーロック現象を起こしてブレーキが利かなくなったのを助けてもらいました」
「偶然同乗してたからね。何とかして停めないと、こちらも死んじゃうから頑張った」
「さすが国際ライセンス持ちですね」
「あれは私の腕では停めきれなかったです」
「車の片側を壁に擦りつけて減速するんだけど加減を間違うと壁に激突して全員死亡するからね」
「だから難しいですよ」
「皆さんもペダルブレーキの使い過ぎには気を付けましょう」
ネットでも
「ベーパーロックはほんと怖い」
という声があった。
「壁に擦りつけて停めろとは言うけど、確かにそれも難しい。車は猛スピードで走ってるから」
「エンジンブレーキ使えと言うと時々、私の車にはエンジンブレーキって付いてないんですけど、というボケかます奴が居る」
「ボケてるならいいけど、マジで言ってたら怖い」
「アルバム『ツイン』は良かったですね」
「ありがとうございます、妹(遠上笑美子)とデュエットで10曲ほど歌ってみました。コーヒータイムとかにでも一度聴いて頂けたら」
カメラが一瞬、遠上笑美子を映す。手を振っている。
ピアノ室での歌唱でも『ツイン』から『みずうみ』を実際に遠上笑美子とのデュエットで、東雲はるこの伴奏で歌った。
アクアを乗せた運転席無人の車は走り続けていた。電話がどうも使えないようなので、アクアは、九重を呼ぼうと思った。しかし彼は能登半島地震の対処のため能登半島に行っていたはずだ。それで、勾陳を呼ぼうと思った。
しかし勾陳にコネクトできない!?
九重にも呼びかけてみたが、やはりコネクトできない。
りっちゃん・わっちゃんにも、千里さんにもコネクトできない。
車は首都高から東北自動車道にはいって走り続けている。アクアは取り敢えず車を停めねばと思い、運転席に移るとブレーキペダルを踏んだ。
が、ブレーキが利かない!?ハンドルも操作できない。カーブには自然に追随して曲がっていく。まるで自動運転されているかのようである。
アクアは考えた。
そして少し寝ることにした!
一方、春日部のスタジオ
「アクアちゃんはいつ来るの〜?」
「送迎担当のマネージャーも連絡が取れないと言ってます」
「あまりの忙しさに逃亡したな」
「山村さん」
と監督が声を掛ける。
「少し休ませてあげたいのは山山だけど、彼が来ないと作業ができない。“どちらの”アクアでもいいから連れてきてよ。最悪代役の子でもいいから」
「分かりました。どれか連れてきます」
と言って山村マネージャー(勾陳)は出て行った。
青葉邸には10時頃、KARIONを迎えた。
「KARIONの皆さんでーす」
「こんにちはー」
サンルームにはKARIONの4人が並んでいる。朱美がコメントする。
「なお今日はいつものケイ先生は急用のためお休みで、代わりに丸山アイさんに同席してもらっています」
丸山アイが手を振っている。
「まだそのジョーク続けてるの?」
と呆れたように千里が言う。
「そそ。ケイと蘭子こと水沢歌月は別人だから」
とアイが言う。
「早紀ちゃんもジョークが好きだねー」
「いや千里ちゃんには負ける。アクアが男の子だなんて、もはや誰も信じてないジョーク続けてるし」
ネットの声
「この2人なんかあるんだっけ?」
「この2人はいづれも日本で5本の指に入る強力な霊能者」
「ほほお」
「醍醐さんは北陸ローカルの番組『北陸霊界探訪』の“金沢コイル”としてその片鱗を見せている」
「丸山アイも“鳴滝桜空”の名前で、長崎県ローカルの番組『西海綺譚』で色々凄い所見せている」
「そうだったのか」
「この2人が共著したタロットの解説書もある」
「あれ私も買った。解説が凄い深い」
「へー」
「どちらも凄く忙しいから、誰か適当な紹介者が居ない限り仕事は受けない。だから、知る人ぞ知る凄腕霊能者だよ」
「ほほお」
「アクアの半分は男の子だよ」
と千里は言う。
「でも、ぼくアクアと温泉で一緒になったことあるよ」
とアイ。
「アイちゃんと一緒になったということは、やはり男だね」
千里とアイが笑って視線を交わす。
「ところで、そろそろアクア返してくんない?」
「まあいいよ。あの子も少しは休めたみたいだし」
「ありがと」
それで千里はアイが教えてくれたポイントに勾陳を送り込んだ。
「わ!?何だ?何だ?」
と勾陳は焦っている。
後部座席で寝ていたアクアが目を覚ます。
「あ、こうちゃん。丸山アイさんの車に乗ってたらアイさん、どこかに消えちゃったんだよ」
「分かった。俺に任せろ。何とかする」
「ぼくまだ寝てていい?」
「ああ。春日部に着いたら起こすよ」
「よろしくー」
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