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■女子中学生たちの出席番号(1)

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(C) Eriko Kawaguchi 2022-01-07
 
“母に車で送ってもらった”千里は、蓮菜からの連絡で1組に割り当てられているのは分かっていたので、生徒玄関を入ると、履いてきた靴を1年1組31番の所に入れ、青いミズノのスポーツバッグから上履きを出して履き、1年1組の教室に行った。
 
恵香たちから
「やっと出て来たか」
と言われながらも
「なぜセーラー服を着てない?」
「髪が長いままだ」
などと色々突っ込まれる。
 
やがて担任の先生が朝の会のために入ってくるので、千里は前に出て行き、1週間休んだことを詫びた上で、母に書いてもらった欠席届と病院でもらった診断書を提出した。そして体調が万全になってから髪は切りたいと言った。担任は「うん。お母さんから聞いてるよ。お大事にね」と言ってくれた。
 
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千里は欠席届とともに先生に、校費の預金口座振替依頼書、家族調査票、就学援助の申請書などを提出した。この家族調査票は倒れる直前、4月6日の夜に千里が書いていたもので、それを中身を確認せずに提出したので、このようになっていた。
 
生徒氏名:村山千里(むらやま・ちさと)
性別:女
生年月日:平成3年3月3日
現住所:留萌市C町*番**号
電話:0164-**-****
家族構成
村山武矢  昭和36年8月18日 父 漁船員
村山津気子 昭和42年6月23日 母 会社員
村山玲羅  平成4年7月23日 妹 小学生
 
千里の性別は女と書かれている!
 
でも千里はそのことに気付かないまま提出した。千里は学籍簿上も女なのでこの書類はそのままファイルに添付されることになる。
 
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「そういえばなんで体操服なんだっけ?」
「すみませーん。出がけに制服にヤカンのお湯をこぼしてしまって。今日はこれで授業受けさせて下さい」
 
「ああ。それならいいよ。でも君の学生証の写真を撮影してなかったからさ。2〜3日中でいいから、この印刷屋さんに制服で行って写真を撮ってもらって」
 
と言って担任は印刷屋さんの名前と住所を携帯の画面で示す。
 
《有限会社・黄金印刷 留萌市K町6丁目2-22 TEL 0164-**-****》
 
「すみません。ここの地図出ます?」
「ちょっと待ってね」
と言って、先生が操作するとその付近の地図が表示される。
 
「ああ。このあたりですね。分かりました」
 
「クラス名と出席番号・名前を言ってね」
「はい」
 
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その後、千里は入学式の日にしていなかった自己紹介をした。
 
「入学早々1週間休んでしまいました。N小出身の村山千里です。音楽と体育が好きです。部活は、何もする予定はありません」
と言ったが、同じクラスになっている玖美子から
 
「剣道部の入部届は出しといたからねー」
と言われた。
 
「村山さんは、小学校時代は、団体戦の大将で、個人戦でも準優勝2回・3位1回で剣道1級の腕前です」
と玖美子は更に続け、他の小学校から来た子たちから
「すごーい」
という声もあがっていた。
 

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朝の会が終わった後、教科書を取りに来てと言われたので、菅田先生と一緒に職員室に向かう。ところが、その途中で( セーラー服姿の)小春に遭遇する。
 
千里は小春が“独立して”稼働していることに驚いた。
 
「千里〜、たまたま職員室に行ったら、村山さんの教科書持ってってあげてと言われたから持って来たよ〜」
 
「わっ、ありがとう」
と千里は言って、教科書の入っているビニール袋を受け取った。
 
「深草さん、ありがとね」
と菅田先生。
「いえいえ」
「重いのに。ごめんね」
と千里は言う。それで千里は小春と一緒に教室に戻る。
 
「千里、髪を長くしておく時は結んでおかないといけないんだよ。これで結びなよ」
と言って、小春は黄色い玉のついた髪ゴムを2個渡す。
 
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「ありがとう」
と言って千里はその髪ゴムを受け取り、髪を2つに分け、各々を髪ゴムで留めていた。その作業中は、小春が教科書を持ってあげていた。
 

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小春が教室に入り、教科書の入った袋を千里の机の上に置くと、千里が入って来て
「あ、小春、教科書持って来てくれたの?ありがとう」
と言った。
 
「まあついでがあったからね」
と小春は言った。
 
すぐに1時間目・国語の授業が始まる。最初に出席を取るが、「村山」と呼ばれて千里が「はい」と返事をすると、
 
「おお、出て来たか。もう大丈夫か?」
と言われる。
 
「はい、おかげさまで」
「大事にな」
と言われて、点呼は進んだ。
 
この時間が終わってから、千里は前の席の小春に訊いた。
 
「そこの空いてる席は誰?」
 
千里の前に小春が座っているが、その隣の席が空いているのである。
 

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┏━━┳━━┓
┃空き┃小春┃
┣━━╋━━┫
┃鞠古┃千里┃
┗━━┻━━┛
 
「ここは沙苗なんだけどね」
と小春は困ったように言う。
 
すると蓮菜がこちらにきて「千里ちょっと話がある」と言って教室の外に連れ出した。
 
階段傍のスペースに連れ込む。
 
「大変だったんだよ」
 
と言って、蓮菜は千里に、沙苗が入学式の日以来休んでいること、他の子には病気で休んでいるということにしているが、実は入学式前日の6日午後に家出して、幸いにも発見されたものの、衰弱していて木曜日にやっと意識回復したことを話した。そして家出の原因が“男子中学生”として通学したくないということだったというのも話す。
 
「それ全然他人ごとじゃない。お見舞いに行きたい」
「じゃ放課後、一緒に行こう」
 
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ということで、千里は授業が終わったら沙苗のお見舞いに行くことにしたのである。
 

2時間目は社会であった。
 
千里は社会とか理科は苦手なので、授業を聞いている内に眠くなってきた。それでトントンと誰かに肩を叩かれるので目を覚ます。
 
目の前に先生の顔がある。でも肩を叩いたのは隣の席の鞠古君だったようである。
 
「村山さん、まだ体調悪そうだね」
と先生。
 
「いえ、大丈夫です」
「ところで、奈良時代は何年に始まったかな?」
「え、えーっと、泣くなウグイス、平城京で、797年ですか?」
 
前の席に座っている小春が頭を抱えている。
あれ〜?違ったかなと思う。
 
「まあ今、僕が黒板の前で言ったばかりだったんだけどね。平城京が使われはじめた奈良時代の始まりは、なんと素敵な平城京で710年だね」
「あらあ」
「これは“なんと”という感嘆詞と平城京の別名“南都(なんと)”を掛けている」
「へー」
「“鳴くよウグイス”は次回やるけど、“鳴くな”じゃなくて“鳴くよ”だね。それで平城京ではなく平安京。“鳴くよウグイス平安京794年”“鳴くな”にしちゃったから、年数が違っちゃっうね」
と先生は言う。
 
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「この子、いい箱作ろうを1185年じゃなくて1852年と答えたことあります」
と美那が言う。
「さすがに鎌倉幕府が19世紀ということはないね」
 
「あと、この子、よく数字が入れ替わってるんですよね。円周率は3.41と答えたことあるし」
と恵香が言う。
「ああ。数字のまとまりで覚えてるのね」
と先生。
「でも君、お友だちによく理解されているみたい」
 
「はい。いい友だちを持ちました」
と千里は開き直って笑顔で答えた。
 

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その2時間目が終わったところで千里はトイレに行こうと思った。それで教室を出て人の流れで見当をつけ、こちらかなと思って行く。男女表示を見て、男の方に入ろうとして、キャッチされる。
 
「村山、お前何やってんの?」
と、千里の身体を捉まえて言ったのは鞠古君である。
 
「まだ熱あるのか?こちらは男便所だぞ。お前の入るのは向こう」
 
千里は困惑した。
 
「私・・・女子トイレ使っていいんだっけ?」
「やはりお前まだ熱がある。今日は早く帰ってぐっすり寝ろよ」
と言うと、自分で女子トイレのドアを開け!、千里の背中を押して女子トイレに押し込んだ。
 
女子トイレのドアを平気で開け、女子の背中を平気で押すのが、さすが鞠古君である。さっきの授業中も千里の肩に触って起こしている。これが沙苗やセナだと恥ずかしがって他の女の子に触れない。
 
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女子トイレに入ってしまって、千里はドキドキしたものの、誰も騒がない。列に並んでいる子たちの中には千里を知っている子も何人もいる。3組になっている穂花が
「千里、何日も休んだみたいだけどもう大丈夫?」
などと心配そうに声を掛けた。
 
「うん。もう熱は下がった。ありがとう」
と答えて、千里は、こちら使っていいのかなあと思いながら、列の進行を待った。
 
そして順番が来て個室に入ると、千里は普通に体操服のズボンとパンティを下げ、座っておしっこをする。そしていつものように、おしっこの出た付近をトイレットペーパーで拭いた。
 

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1時間目と2時間目の先生は男の先生だったせいか、気付かなかったようだったが、3時間目の英語の時間は女性の鶴野先生で“そのこと”に気付いた。
 
"Anybody, Please read the textbook"
と先生は言い、生徒名簿を見て
 
"Ms Murayama"
と指名する。
 
千里はなんで"Ms"と呼ばれたんだろうと思いながらも
"Yes"
と言って立ち上がり、教科書のテキストを読んだ。
 
千里の流暢な発音に先生が感心するようにしている。そして読み終わると
 
"You are an excellent speaker!"
と言って、千里の発音と朗読を褒めてくれた。
"Thank you"
"But why your hair is so long?"
"Sorry. It's because I've been sick for a week. When I'm being enough well, I will cut my hair"
 
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"All right. Take care"
"Thank uou"
"But if you have long hair even for a while, You should tie it in one or two or three"
"I see. I will tie my hair"
 
この会話は理解した人は教室の2割程度だった!
 
先生は千里が流暢な英語ですぐに返答をするので感心していた。
 
即返答できるということは、千里が、学校だけで英語を習った人にありがちな「英語を日本語に翻訳し、日本語で返事を考えて、それを英語に直す」のではなく、「英語を英語のまま理解し、英語で返事を考える」 "Think in English" ができていることを示す。これは英語に満ちた環境で英語を覚えた人や、英語の初期指導を Think in English 主義者から受けている人でないと、なかなかできない。
 
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むろん千里は前者である。英語やフランス語を話す友だちと会話していたから自然に Think in English, Penser en Francais になっている。
 
但し、こういう人は英語をいちいち日本語に訳してないから「日本語で言って」と言われると「これ日本語では何と言うんだっけ?」などと悩むことになり、学校英語の点数はあまりよくなかったりする。
 
千里の能力は、外国語にしても音楽や体育、また数学にしても“いい点を取りにくい”けど、実践的な能力が高い傾向にある。
 

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千里は先生に言われたので、髪を結ぼうとしたのだが、ヘアゴムが無いことに気付いた。しまったぁと思っていたら、前の席の小春が
 
"Use these, Chisato"
 
と言って、可愛いコバルトブルーの玉付きヘアゴムを2個渡してくれたので
 
"Thank you, Koharu"
と言って、それで髪をまとめた。
 

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4時間目は音楽であった。音楽室に行き、パート別に着席する。
 
「私、テノールかなあ」
などと千里が呟いていたら
「まだ寝ぼけているようだな」
と蓮菜に言われて、ソプラノの子が並んでいる席に連行された。音楽の藤井先生は千里がこの日最初なので、念のため千里の声域をチェックしてくれた。
 
「村山さん、凄い声域持ってるね」
と感心される。
 
千里は下はアルトのいちばん下の音G3から、上はハイソプラノのE6まで出た。
 
「3オクターブ歌手になるのも時間の問題だな」
と鞠古君。
「念のため言っておくが、君はテノールの下の音(C3)は出ていない」
と美那。
 
ということで問題無くソプラノで歌うことになった。この日は先週から練習していたという『エーデルワイス』の三部合唱を歌ったが、ソプラノはE4-D5という1オクターブの曲である。ソプラノに来ている子たちはこの範囲はだいたい出るのだが、いちばん上のD5で結構苦しんでいた子たちもいた。
 
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蓮菜が
「千里はこの曲をオクターブ上で歌えるはず」
と言う。
「それは是非聴きたい」
という声が多数あるので、千里は乗せられて(千里は、おだてに乗りやすい)美那のピアノ伴奏でオクターブ上で『エーデルワイス』を歌ってみせた。
 
「すごーい!」
という声多数で、拍手をもらった。
 
「でも私、声変わりが来たら、こんな高い声出なくなるかも」
などと千里が言うと、蓮菜が額の所に手をやっている。
 
藤井先生は
 
「女子の声変わりでは、低音が少し広がるけど、高音はほとんど変わらないよ」
と言っていた。
 
玖美子がニヤニヤしていた。
 

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