広告:メイプル戦記 (第2巻) (白泉社文庫)
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■女子中学生たちのフェイルセーフ(4)

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そういう訳で、2003.4.6-10の事件では、千里はせっかく女の子になっていたのに、死ぬ運命を回避した代償のような形で男の娘に戻されてしまった。しかしここで男性器が1セット余ってしまった。
 
アイの男性器を取り付けるために、千里(Cu)から取り外した男性器である。
 
「この男性器どうする?捨てる?」
「ゴミだよね」
「待って。それは使い道があります。ゴミは減らしましょうう」
「何に使うの?」
 
「実は千里の友だちの鞠古知佐くんが、近い内に、男性器を除去する手術を受けることになりそうなんですよ」
 
「男性器を除去して女の子になるの?」
「それが女の子にはなりたくない男の子だから困ったもので」
「なぜ女の子になりたい訳でもないのに男性器を除去する?」
「ペニスに腫瘍ができてるんです。かなり酷い状態で、彼は今、排尿の度に激痛に耐えています」
「それでペニスを切らないといけないのか」
「可哀想」
 
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「だから、千里から取り外したペニスを鞠古くんに付けてあげましょうよ」
「それはいいけど、それではその子が産む子供が遺伝子的に千里の子供になってしまう」
 
鞠古が産む訳ではないと思うが。
 
「睾丸は彼のをそのまま使う」
 
「あ、似たようなことを2年半前にした」
とP大神。
 
「翻田常弥の孫の和弥の事件ね」
 
「今回の鞠古くんの場合、まだ予定が変わる可能性あるけど、恐らくペニスと睾丸を除去して、女性ホルモンの投与をおこなうと思う。この病気は男性ホルモンで進行するんですよ」
 
「そんなことしたら、ほとんど女の身体になる」
 
「だから彼が治療を受ける前に、彼の睾丸を千里の睾丸に交換しておく」
「ああ」
「それで鞠古くんのペニスと睾丸が医者の手術で除去・廃棄されるけど、この睾丸は実は千里のものという訳で」
「千里の睾丸は不要だな」
 
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ほとんどゴミ扱いである。
 
「それで多分2-3年経って再発のおそれが無くなった所で、女性ホルモンの投与は終了すると思う。その段階で、彼に千里のペニスと、退避させておいた彼自身の睾丸を戻してやる。すると彼は男性能力が復活する」
 
「睾丸を除去して女性ホルモンを投与している間におっぱいは膨らむよね」
「おっぱいがあるのは問題無いと思う。男湯に入れないだけ」
「おっぱいもちんちんもあるって、ある意味理想体」
「そう悪くない気がする」
 
などと勝手なことを言われている。
 
「素晴らしい。それで行こう」
「ゴミを減らすには、リユース・リサイクル・リデュース」
「いい、リユースだね」
 
ということで、千里の男性器の使い道も決まったのである。
 
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(津久美1cm→早紀4cm→千里15cm→鞠古、というドミノ移植)
 
なお、鞠古くんの男性器除去手術は、千里の努力により回避され、またP大神たちは千里のパワーに驚くことになる。それで男性器リユースの方法も一部シナリオが改訂された。
 

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千里が暫定的に?「男の子」にされ、戸籍も男性戸籍が復活したことから、周囲の人間の記憶が操作された。これは主としてP大神が主導しておこなっているが、小春に霊的ガードをされていた蓮菜には記憶操作は及ばず「何かおかしなことが起きた」と考え、取り敢えずみんなに話を合わせておいた。
 

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大神様たちは、合体した千里(Cu)には、台木にしたCdの身体が表面に出ていると思っていたのだが、これ以降、2017年の再分裂までの間、実際には様々な形態の千里が多くの人に目撃されている。
 
この千里四重体(Cu Chisato United = Chisato Tetramer) は次の4つのサブユニットから成る。
 
C2(千里2) 外性器=女、性腺=女(津気子)、胸あり
C1(千里3) 外性器=女、性腺なし(小春の左卵巣あり)、胸あり
C1p+K(千里1) 外性器=女(小さなペニス付き)、性腺=女(千里)+小春の右卵巣、胸無し
Cd(千里0) 外性器=男、性腺=男、胸無し
 

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中学時代から高校1年の夏に掛けて、「千里の男性器を確認」した人もあったし「千里は間違い無く女の子」であることを確認した人もあれば、千里は身体を女性化させている途中であると認識した人もあった。
 
男性器を確認した人は、Cd (Chisto clone doll)の男性器を見ていると思われる。
 
C1,C2,Cp+K が出す女性ホルモンの影響で、Cdの性腺は次第に機能を失い、またC1p+K, Cd のバストも少しずつ膨らんでいく。千里が中学1年〜高校1年くらいの性別移行期に、この“膨らみ掛け”のバストを目撃した友人も多い。
 
高校時代に千里は数回貴司とセックスしているが、実際にセックスしたのは一貫してC2(千里2)のボディである。
 
千里は剣道のほうでもバスケの方でも性別検査を受けているが、剣道では「間違い無く完全な女性」と診断され、普通に女性剣士として扱われている。これは恐らく、C2(千里2)かC1p+K(千里1)のボディが検査されたものと思われる。
 
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一方、バスケの性別検査では、「外性器は女性型だが、卵巣や子宮は無い」ことから、性転換手術で造った人工的な女性身体と判断された。これはC1(千里3)のボディが検査されたものと思われる。それで千里は最終的な性転換が起きた2019.4.13以降にバスケ協会に自然性転換したことを届け出るまで、性転換選手として扱われていた。
 
なぜ様々なボディが観察されるのかは、神様たちもよく分からず、首をひねっていた。
 

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なおCuには病院着を再度着せておいた。C1,C2が着ていたセーラー服、トレーナーやダウンコートは紙袋に入れて千里の自宅(現在無人)に戻しておいた。C2が持っていたスポーツバッグ(買物中に持っていた)もそばに置いた。ついでに下着類はP大神の眷属・カノ子が洗濯してあげた。(今回カノ子やミミ子は、ひたすら雑用係)
 
千里は4月7日0:10に倒れて病院に運びで込まれた後、尿道カテーテルを挿入されて導尿されていた。この倒れて入院して導尿された個体は C1p である。この個体の外陰部は女性型であり、千里は陰唇内の女性尿道口から4cmほどのカテーテルを入れられている。
 
小春が合体して C1p+K になっても、外陰部はちょっとペニスが付いただけで?陰唇があり、女性の位置に尿道口があるのは変わらないのでカテーテルはそこに挿入されたままであった。千里はこの状態で2時間半、鉄道唱歌を歌っている。導尿されているから、その間トイレに行く必要も無かった!
 
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4人の千里が合体させられた時は、いったんカテーテルを抜いて合体作業をして、合体後に男性器を立派なものから少し萎縮したものに交換した。それで他の神様たちを帰した後、後事を託された、A大神の眷属・ミミ子が男性用のカテーテルを挿入しようとしたら、なぜか千里の外陰部は唐突に女性型に変化した。
 
ミミ子は首をひねりながら、女性型の外陰の尿道口から女性用のカテーテルを入れた。このカテーテルは4/10 12時頃、病院の女性看護師の手で抜かれた。この時は確かに千里の外陰部は女性型であった。ところが、13時頃、千里はトイレに行ったが、この時、千里はペニスの先から排尿している。4つの千里の身体の内、排尿機能のあるペニスが付いているのは Cd のみなので、この時点ではCdが表に出ているものと思われた。
 
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つまり千里の表面に出る個体は不安定でフレキシブルなのでは?とミミ子は想像したが、この時点ではまだ観察時間が短く断定できないので、A大神本体の許可を取り、しばらくは千里に付いてて観察しておくことにした。
 
ミミ子は過去に、双子になる予定が受精卵が融合して1人の個体として生まれて来た子で、2種類の身体が不安定に切り替わる子を500年くらい前に見たことがあった。千里は今それに近い状態にあるのではとミミ子は想像した。
 
しかし実は千里の状態については「さまざまな個体が表面に出ている」という考え方だけでは、説明が付かないことを、A大神はすぐ認識することになる。
 

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Timeline
4.06
18:00 A大神が千里をduplicateする。C2(千里2)を持ち帰りC1を残す
21:00 P大神が千里(C1)の卵巣等を津気子に戻す
21:10 P大神が千里にエストロゲン注射をする。
21:20 P大神が千里のcopyを取る。オリジナル(C1:千里3)を持ち帰りC1pを残す。
21:30 C1が勝手に抜け出し、沙苗を発見する。
22:00 村山家に残った千里(C1p)が突然不安を感じて鬱状態になる
4.07 00:10 千里(C1p)が倒れ病院に運び込まれる
09:00 S中の入学式
16:00-17:00 蓮菜が玲羅を自宅に呼ぶ。千里の着替えを持って行ってあげて、沙苗の母と遭遇。千里と沙苗の病室も訪問。
4.09 18:00 蓮菜が社務所門柱のランプを神殿深部にある炎から移して再点火する
18:30 少し体調が回復した小春が千里と合体する (C1p+K)
21:00 千里と小春が沙苗を三途の川から呼び戻す。
22:00 千里(C1p+K)が元気になっちゃう。
23:00 Q大神が千里をクローン体(Cd)と入れ替えようとして保留
23:51 千里死亡予定日時。死神がやってくる。千里は死ぬ前に1曲歌いたいと言い、死神は許可する。
4.10 02:12 千里の歌が終わる。死神は生命の火を取れず退散。
03:00 合体!
06:00 熱はきれいに下がっている
12:00 千里は点滴・導尿終了(外陰部は女性形)。つまり動けるようになる。
12:30 沙苗、千里からセーラー服をもらう。
13:00 トイレに行く(外陰部は男性形)。
4.14 07:50 千里が母に送られて初登校
08:20 千里がバスに乗って初登校
 
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千里は医師からエストロゲン注射はされていない。夢の中で見たのは、P大神の眷属・カノ子に数回にわたって注射してもらったのが変形して記憶されたものと思われる。また医師はお薬など出していない!女性ホルモン製剤を出したのは小春の願いに応じてくれたP大神の工作である。
 

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千里は4月14日朝の時点で、自分が小学4年生の時から事実上女の子になっていて昨年12月には性別の訂正を申請し、1月にそれが認可されたことを忘れていた。千里の母や妹の玲羅も同様で、千里も母や妹も、千里のことは「女の子になりたい男の子」と思っていた。
 
朝起きてからいつものようにトイレに行き、女の子式に割れ目の中からおしっこをしたが、もうそれが習慣になっているので、何も考えなかった。
 
母・妹と一緒に焼き魚(売り物にならない雑魚を焼いて朝御飯にすることが多い)で朝御飯を食べてから着替える。この時、千里は、自分が法的に男であるなら、不本意だけど学生服を着て登校しなければと思った。ところが学生服が全く入らない。
 
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千里本人の意識に反して、千里の身体が女性形になっているので、入るわけがない。
 
セーラー服なら入るのだが、そんなことしたら叱られると千里本人は思っているので、結局体操服で学校に出て行くことにした。
 
「私も付いていくよ」
と母は言ったが、千里は
「お母ちゃん、4日間も会社休ませてしまったから、それでまた遅刻したら主任さんに小言(こごと)を言われるよ。ひとりで大丈夫だよ」
と言った。
 
それで千里は母に4/7-11の5日分の欠席届を書いてもらい、署名捺印してもらって、病院の診断書も添えて提出することにする。
 
「学校まで送るだけ送るよ」
と母が言うので、母が運転するヴィヴィオの後部座席に、体操服の千里と、普通の服の玲羅(小学5年生)が乗り、送ってもらった。玲羅は兄(?)と並んで座っていて、
 
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『お兄ちゃん“女の子の香り”がする。やはりこっそり女性ホルモン飲んでるのかなあ』
などと思っていた。
 
津気子はN小前で玲羅を降ろし、S中前で千里を下ろして、職場に向かった。
 

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津気子たちが家を出て数分後、“布団から飛び起きた”千里は、時計を見て
 
「遅刻だ、遅刻だ!」
と思った。
 
母も妹も居ないので、自分があまりにも起きないから放置されたかと思う。朝御飯も残ってないようなので、ヤカンでお湯を沸かし、食パンを焼きながら急いで着替える。
 
パジャマの上下を脱ぎ、自分の衣裳ケースの中のワイシャツを手に取るが
「これあまり着たくなーい」
と思って、ブラウスの方を着ちゃった。
 
トイレに行くが、ちんちんの先からおしっこするのが物凄く不愉快だ。
「私、ちんちん無くなってて、身体から直接おしっこしてたような気もするけど、あまりにも女の子になりたい気持ちが募って見た夢かなあ」
などと思った。
 
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元々千里は自分が見た夢と現実の境目が曖昧である。それでしばしば蓮菜や恵香に笑われている。
 
ロッカーに掛かっているセーラー服を手に取る。
 
「御飯食べる間だけでも着てよう」
と思って、そのスカートを穿き、上衣も着てリボンを結ぶ。その状態で、ヤカンのお湯でカップスープを入れ、オーブントースターで焼き上がった食パンにマーマレードを付けて食べた。
 
「このままセーラー服で登校したいなあ」
と思いながら、“母の字で”欠席届を書き、署名捺印した。学校に出す書類を面倒くさがる母に代わって千里が代筆するのは、日常茶飯事である。
 
「あれ?通学用に買ったリュックがない」
と思う。
 
仕方ないので、千里は以前から使っていたデイパックに、ノートを5冊、それに筆記具を入れた。筆記具も、先月旭川で買った筆入れが見当たらず、仕方ないので、小学校の時に使っていた筆入れにシャープペン3本と消しゴムなどを入れ、かばんに入れた。
 
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ふと時計を見ると7:45である。
 
「きゃー!もう着替える時間が無いよぉ。叱られたら着替えればいいし。えーい。このまま学校に行っちゃえ」
 
などと千里は言うと、一応学生服はスポーツバッグに入れ、なぜか食卓の上に置かれていたバスの定期を持つと、結局、セーラー服のまま、家を飛び出し、バス停まで走った。
 
 
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