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■女子中学生たちのフェイルセーフ(2)

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千里の死亡予定日時は、2003.4.9 23:51:47 であった。しかし何とか千里を死なさせないようにしようと、数人の人物(?)が、密かに工作活動を行っていた。
 
それで4月6日夜から9日深夜に掛けて、このようなことが起きたのである。
 

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4月6日の夕方、最初に介入したのはA大神である。超大物神様のひとりで、小春の上司に当たる。A大神は度々、小春から千里を何とか助けて欲しいと訴えられ、表面上は「そういう例外は許されない」とは言っていたものの、“こっそり”千里を生かし続けるのは構わないだろうと考えた(この時点では千里が人間として死んでしまうから、自分の眷属にしようと思っていた)。
 
そこでA大神は、4月6日夕方、神社での仕事を終えた後、セーラー服を着たまま、スーパーで買物をしている最中の千里を、こっそりduplicateしてしまったのである。このタイミングを狙ったのは、スーパーはP神社から遠く離れた留萌の市街地にあり、P大神の結界の外であることと、そもそもスーパーは雑多な気で満ちているので工作事がしやすいからである。
 
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つまりここで千里はC1, C2 という同質の2人に分岐することになる。
 
千里の夢の中ではduplicateされた千里が、どちらが死ぬかというので揉めるのだが、実際にはA大神は千里をduplicateしたら、即片方(便宜上C2と呼ぶ)を自分の本拠地に連れて行ってしまった(どちらも同じ千里だからどちらでもよい)。
 
だから、留萌にはC1だけが残り、表面的には何も変わっていない。C1は買物を終えるとバスで自宅に戻った。セーラー服姿なので母が慌てるが千里は
「お父ちゃん、寝てるでしょ?だから問題無いよ」
などと言っていた。父は安眠できるように居間の衝立の向こうで寝ているので、千里が居間を通過しても気付かない。むろん千里はジャージ+トレーナーに着替えてから晩御飯を作り始めた。
 
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ここでC1,C2は、女性体型(バストあり)で外陰部も女性型である。この外性器は実は3歳の時以来千里が所有していたもの。卵巣・卵管・子宮は津気子のものが退避されている。実はこれが後の“千里2”のルーツである。
 

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続いて介入したのはP神社のP大神である。
 
P大神は3歳の時に千里の寿命を倍にしてあげた本人であり、小春からは度々再度寿命を延ばしてあげてと言われていたが、故なくそのようなことはできないと言い続けてきた。でも内心は何とかしてあげたいと思っていた。
 
それで“4月9日に千里が死ぬ”という予定を変えることができないなら千里のコピーを取って、そのコピーさんが死ねば、問題無いのではないかと考えた。
 
予定では千里は4月6日22時に倒れて、9日23:51に死亡することになっていた。それで倒れる予定の少し前、4/6 21:00 頃に、千里のコピーを取りにきた。
 
ところがここで、千里の体内に津気子の女性生殖器が退避されていることに気付いた。千里はもうすぐ倒れるので、その前にこの女性器を戻さなければ、千里の体調不良が津気子の生殖器にもよくない影響が及ぶと考える。それでこれらを千里の体内から外して津気子の体内に戻した。
 
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ただし、長年性腺の無い状態で暮らしていた津気子にいきなり卵巣を移植したら、ホルモンバランスが崩れて津気子は倒れるだろう。それで卵巣や子宮を戻しはしたものの、その機能をいったん眠らせておいた。つまり更年期を過ぎた状態の卵巣に近い状態にした。この後、1〜2年掛けて少しずつ機能を復活させていくつもりである。
 
一方千里はいきなり卵巣が無くなると、こちらもホルモンバランスが崩れるので、自分の眷属・カノ子に命じて、取り敢えず千里に女性ホルモンの注射をしておいた。そしてこの状態で千里(夕飯を作った時の格好の上にダウンコートを着ている:室内が寒いから)のコピーを取り、本物は秘密の場所に隠した。
 
つまり千里の家に残ったのはコピーであり、本物は秘密の場所に居る。この千里は、外陰部は女性型だが、卵巣や卵管・子宮は無い。実はこれが後の“千里3”のベースである。これはA大神がduplicateしたC1そのものである。つまり千里2と千里3は元々duplicateされた存在で同じ能力を持っているのである(性腺の有無だけの差)。
 
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留萌の家に残されたのはC1のコピーであり、これを便宜上C1p (C1 coPy) と書く。これが実は後の“千里1”のベースである。コピーなので、どうしてもC1(千里3)よりはパワーが少し落ちる。ただP大神としては、単なる“死ぬ役”だから、多少の品質劣化はいいだろうと思った。
 

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C1, C1p はいづれもP大神の眷属・カノ子の手で女性ホルモンの注射をしてもらってはいるものの、やはり本当に卵巣がある状態とは違う。それで、23:00頃になるとホルモンバランスが崩れてしまい、精神的に不安定な状態になった。そして 4/7 0:10 にトイレに行こうとして倒れ、病院に運ばれてしまう。
 
結果的には本来は22:00頃に倒れて病院に運び込まれる予定だったのが2時間ほど遅れただけである。千里が倒れたのには大神も焦ったが、どうせ倒れる予定だったのだしと思い、C1pに関しては放置した。オリジナルのC1については、千里と相前後して死亡する予定の小春の卵巣の片方を勝手にC1の体内に移動させてしまった。
 
これでC1の方はホルモンバランスを回復した。
 
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そしてちょっと目を離した隙に、沙苗の悲鳴のようなものを感じ、P大神が作った秘密の場所を勝手に抜け出し、沙苗の探索に出て行ってしまった。(沙苗が病院に運び込まれた段階で回収)
 

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さて、小春本人は2004年秋頃に自分は死ぬのだろうと勝手に思い込んでいたようだが、実は小春は千里の数日後に消滅(死亡)する予定だった。
 
その小春は突然卵巣が片方消えたので、急にホルモンバランスが崩れて物凄く体調が悪化した。通常の生理痛の数倍の激しい苦痛がある。それで小春も寝込んでしまった。
 

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ともかくも留萌の自宅に残った千里(オリジナルではなくコピーの死ぬ役)C1pは倒れたので病院に運び込まれる。
 
A大神は、P大神がきっと何かするだろうと思っていたので、P大神が千里のコピーを取って、そのコピーを自宅に残したのも見ぬ振りをしていた。
 
ところが、ここで神様たちに全く計算外のことが起きてしまうのである。
 
体調の急激な悪化で2日ほど寝ていた小春は、自分はもしかしたら千里とほぼ同時に死ぬのではないかと考え始めていた。
 
ところが4月9日 18時すぎ、小春は急に体調が少し回復した。小春はなぜ回復したのかは分からなかったが、この小康状態(?)を利用して千里を助けるための最後の手段に出た。
 
それは自分が、千里と合体してしまうことだった。
 
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ふたりが合体すると、並列回路になって、千里の“命の線”が途切れた時は自分が生命エネルギーを流してあげることができる。自分自身の寿命もあまり残っていない気がするけど、千里が死んでいる時の“ふせ”をする程度なら、自分の残り寿命で、なんとか、まかなえるのではないかと小春は考えた。
 
また、小春は、自分の体内で、iPS細胞から作った千里の遺伝子を持つ卵巣・卵管・子宮などの女性生殖器を育てていた。自分が千里と合体すれば、多分この生殖器も千里の身体の中に入るのではと想像した(いまいち自信は無い)。
 
またそもそも千里の急激な体調悪化は、これまで千里の体内にあった卵巣が津気子の体内に戻され、ホルモンバランスが崩れたことにもあるのでと想像していた。大神様がカノ子に命じて何度か女性ホルモンの注射をしてくれていたようだが、多分注射では足りないのでは?千里の体内に卵巣が戻れば、多分千里の体調は改善される。
 
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それで小春は禁断の法(こんな法を小春が知っていたことにP大神は驚いた)を使って、千里と合体してしまったのである。
 

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小春の体内で育てていた卵巣が千里の体内に入った効果は物凄く大きかった。
 
この千里オリジナルの卵巣(左右1対)以外に、実は合体した小春の卵巣(1個はC1がもらったが1個残っている)も女性ホルモンの生産に寄与した。
 
千里は急速に体調を回復させる。千里自身は何度か身体のバランス復帰を自分で試みていたものの、これまでは卵巣が無かったため、そのパワーが得られなかった。しかし小春のまさに献身で卵巣が戻ったことから、パワーを出すことができたのである。
 
この時、千里は三途の川を渡ろうとしていた所を小春に呼び止められ、更に戻るついでに沙苗も三途の川の途中から連れ帰った夢(?)を見ている。
 

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千里が物凄いパワーで自身の体調を回復させてしまったのに、P大神もA大神も驚いた。自分は千里の力量を見誤っていたかもと、2人とも思った。
 
千里は自分の身体をチェックしていて“異変”に気付く。
 
「なんで、ちんちんがあるの〜〜?」
『あ、ごめーん。千里のちんちん、私が預かってたから、それも戻っちゃった』
 
4年生の秋に、津気子の卵巣・子宮を千里の身体に退避させた時、卵巣が出す女性ホルモンの影響で、ちんちんは萎縮してしまうかもということで、これを小春が預かっていた。つまり小春はこの2年半ほど、実は“ペニスのある女の子”状態だった(通常は陰唇内に隠しておく)。
 
(小春にも卵巣があるから当然ペニスは萎縮するが、人間である津気子の卵巣よりは、キツネである小春の卵巣の方がずっと小さいから女性ホルモンの量も少ない。だから萎縮する程度も小さくて済む)
 
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しかしその退避させていたペニスが、この合体で千里の身体に戻ってしまった。ただしこのペニスの尿道は膀胱とは繋がっていない。尿道口は通称の女性の位置にある。また千里には前立腺が無いので、このペニスには射精能力も無い。
 
「なんで、おっぱいが無いの〜〜?」
「キツネには乳房が無いから」
 
豊かな乳房を持つのは、人間以外にはジュゴンくらいである。普通の動物には乳首はあっても、“豊かな乳房”は存在しない。しばしばホルスタイン牛は“でか乳”の代名詞とされるが、ホルスタインはたくさんお乳を出すものの、牛なので豊かな乳房は存在しない。だから「ホルスタインみたいなおっぱい」というのは、よく母乳を出すおっぱいであり、乳房自体は膨らみが無いのである!(赤ちゃんには実用的だが、性的パートナーには非実用的なおっぱい)
 
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それで小春が合体したボディ (C1p+K) は、内性器としては一応卵巣があるものの、胸は平らで、ペニスがある状態になってしまった。この身体は基本的には千里の身体がベースだが、ところどころ小春の身体の影響が出ている。
 

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合体が行われたのが 18:30頃で、千里は22:00頃までには体調を回復させてしまった。
 
この時点でP大神は
「せっかく小春が献身して千里の体調を回復させたけど、どっちみち、あと2時間で死亡する」
と思って、様子を見ていた。
 
ところが23時頃、ここにA大神・P大神が想定していなかった人物が現れる。
 
“千里”を連れたQ大神である。
 
Q大神はベッドに寝ている“瀕死の千里”を自分が連れて来た“千里”と交換しようとした。(もはや蛍光灯のランプ交換でもする感覚)
 
ところが“瀕死”の千里がベッドに居ると思ったら、ベッドに居るのは“元気”な千里である。
 
「嘘!?なんでこの子、こんなに元気なの?後1時間で死ぬ予定の人物に見えない」
とQ大神は思った。
 
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A大神が出て行く。
 
「あなたは!?」
とQ大神が驚く。こんな超大物が出てくるとは、Q大神側も想定外である。むろんA大神の姿を見て、P大神も仰天した。
 
「ちょっとこちらへ」
「はい」
 

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それでQ大神も自分が運ばせて来た“千里”と一緒に、A大神が作り出す特殊な空間に隠れた。
 
「それは?」
とA大神はQ大神に尋ねた。
 
「身代わり人形です。私、初詣の時にこの子を見初めて。でも寿命が残り少ないの分かったから、身代わりを作って死神さんにはこの身代わりを連れて行ってもらおうと思ったんです。それであの子から体細胞を採取して、3ヶ月ほどの促成栽培で、この人形を作りました(ブロイラーか!?)」
 
その体細胞を採取した時に、千里の心臓が停まってしまったので、Q大神も焦ったのだが、そばに居た妹がすぐに蘇生させたので、この子どうなってんの?とQ大神は思った。
 
「この身体は、魂は無いし意識も無いから自分では動けないけど、遺伝子情報をクローンしているから、生命(いのち)の炎はオリジナルと見分けが付かない筈なんです」
とQ大神は言った。
 
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(この“お人形”を以下Cd と書く。Chisato clone doll)
 
「だったら、いよいよの時は、私がこのお人形とベッドに寝ている千里を入れ替えるから、ここでちょっと見物してない?千里はひょっとしたら死神に勝つかも知れない気がして来た」
 
「分かりました」
「P大神もこちらにいらっしゃいよ」
「恐縮です」
と言って、こちらの空間にP大神もやってくる。
 
その時、Q大神はこの高次空間に“千里”が何人も居ることに気付く。
 
「何〜〜?この多数の千里は?」
 
この時点で“千里の身体”は4つに分岐している。
 
C2 A大神が保持(外性器は女で津気子の卵巣。胸あり)
C1 P大神が保持(外性器は女だが性腺無し+小春の左卵巣。胸あり)
Cd Q大神が保持(千里をクローンしたお人形(男の子:後述))
C1p+K ベッドに寝ている(外性器はほぼ女性だがP付き。千里の卵巣(左右)+小春の右卵巣。胸なし)
 
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4/9 23:51.
 
車椅子に乗って鞭を持った死神さん・・・もとい!大鎌を持った死神さんがやってきた。それで千里の生命の火を奪おうとするが、千里は死神さんの手を遮った。
 
そして「歌を1曲歌いたい」と言うので、死神さんは許可した。
 
千里が歌い始めたのは鉄道唱歌である。
 
死神さんは歌1曲くらい3-4分で終わるだろうから、歌が終わってから千里の生命の火を地獄に持って行けばいいと思った。基本的にはその日の内に生命の火を地獄に持って行けば死神さんの仕事は終わる。
 
ところが鉄道唱歌は長い!
 
いったん「一曲歌ってよい」と許可した以上、途中で停めることはできない。それで死神さんはイライラしながら千里の歌を聴いていた。
 
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そして長い長い歌が終わり、やっとこれで千里の生命の火を持って行ける・・・と思ったら、千里の体内に手を入れられない。
 
あまりにも歌が長すぎたため、日付が変わってしまい、もう死神の権限では生命の火を奪うことができなくなってしまった・・・と死神さんは思ったようである(真実はA大神だけが気が付いていた)。
 
死神さんは泣く泣く手ぶらで引き返していった。
 

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