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■夏の日の想い出・点と線(2)

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政子は文句を言った。
 
「これ外国産のばかり!」
「えっと・・・」
 
政子が食べているのは出前の天麩羅そばなのである。いつも頼んでいるお店が店休日だったので他のお店に頼んだのだが、どうもお気に召さないようである。
 
「わりと美味しいと思うけどなあ」
と私は言った。
 
しかし政子は文句を言う。
 
「このそば粉は中国産だと思う。混ぜている小麦粉はオーストラリア産、海老はインドネシア産、それにつけている小麦粉はこちらはたぶんカナダ産で使用された卵はオランダ産の卵液。そばと天麩羅の衣で別の産地の小麦が使われているから、この海老天と麺は別の製造所で作られたものだよ。ネギはベトナム産。調味料だけど、砂糖はタイ産、醤油に使用されている大豆はアメリカ産で、しかも遺伝子組み替えされた大豆が使われている。これ独特の風味があるんだよ。自然界には元々存在しないもの。化学調味料だけ国産だな」
 
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「なんか凄いね!」
と言いながら、なんでそんなに産地が分かるんだ?と私は疑問を感じる。
 
「ひとつの丼の中に入っていて、一見セットであるかのように見えるけど、実はぜーんぶバラバラ」
 
「まあ世の中、そういうものが多いよ。私たちが出してるCDとかもディスクそのもの、中に封入するパンフレット、プラスチックケース、外側のビニールのカバー、全部別の所で生産されてまとめられているからね」
 
「でも根本的にこのおそば、美味しくない」
「だったら私がもらおうか?」
「ううん。食べる」
 
と言って政子はきれいにそのそばを汁まで完食し、更にあと2杯も食べちゃった!(4杯頼んで、私(+あやめ)が1杯で政子が3杯)
 
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ローズ+リリーのカウントダウン・ライブは2015年から始めてこのような会場を使ってきた。
 
2015 安中榛名特設会場 3万人
2016 宮城県M市特設会場 5万人
2017 博多ドーム 3万人
2018 小浜市特設会場 5万人
 
1番凄かったのが2016年でファンクラブ枠41000人に対して10万人以上の応募があった。2017年はマリの結婚憶測騒動などがあり不安だったが、大林亮平の援護射撃のおかげで騒動は収束。ファンクラブ枠21000人に対して5万人以上の応募があって何とかなった。昨年はマリの妊娠でさすがにカウントダウン自体できないだろうと思ったのだが、妊娠中のマリがステージ下の控室で座って歌い、ホログラフィをステージに出演させるという手法で実施。ファンクラブ・一般ともに抽選にしたが合計9万枚分の応募があった。2017年の応募は7万人くらいだったのに!
 
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「要するにマリちゃんが結婚するかもという話になると人気は落ちるけど、出産は人気に影響しないんだな」
などと、ゴールデンシックスの梨乃などは言っていた。
 
今年も昨年と同じ場所なのだが、特設会場ではなく同じ場所に建設された恒久的な施設、ミューズシアター、ミューズアリーナを使用する。
 

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ここで何万枚発売するかについて私と七星さんと加藤制作部長の3人はかなり話し合った。これが8月中旬くらいのことであった。
 
「ローズ+リリーの『Atoll-愛の調べ』は現時点で150万枚売れている。7万人行けると思う」
と加藤部長は言う。沖縄本島近くにある“ルカン礁”を見た感動から書いたこの作品は、私自身も久々の快心作で、個人的には『青い豚の伝説』以来の出来だと思う。これでローズ+リリーのシングル連続ミリオンは16に伸びた。
 
2013.01.02(水) RL12『夜間飛行/ピンザンティン』 110万枚
2013.03.20(水) RL13『言葉は要らない』110万枚
2013.04.24(水) RL14『100%ピュアガール』120万枚
2013.08.28(水) RL15『花の女王』 130万枚
2014.04.09(水) RL18『幻の少女/愛のデュエット』110万枚
2014.07.16(水) RL19『Heart of Orpheus』 140万枚
2015.03.11(水) RL20『不等辺三角関係』130万枚
2015.07.29(水) RL21『コーンフレークの花』190万枚
2015.12.23(水) RL22『振袖』195万枚
2016.04.27(水) RL23『ちゃんぽん』150万枚
2016.11.09(水) RL24『その角を曲がればニルヤカナヤ/来訪』170万枚
2017.11.15(水) RL25『青い豚の伝説』180万枚
2018.01.01(月) RL26『Four Seasons』140万枚
2018.08.29(水) RL27『お嫁さんにしてね』200万枚
2019.03.27(水) RL28『天使の歌声』160万枚
2019.07.23(火) RL29『Atoll-愛の調べ』150万枚
 
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「先日コスモスと一緒にミューズ・シアター、ミューズ・アリーナの引き渡しに行ってきたんですが。実際両者の間の壁も一時的に外して、ステージに身長165cmの丸山アイに立ってもらい、私とコスモスでアリーナの一番端から見たんですよ」
と私は言う。
 
「うん」
 
「豆粒人形という感じでした」
「まあそんなものだろうね」
 
「アリーナの最後列からステージまでの距離が240mです。実際のアクアの身長は丸山アイより低い156cmなので、たとえれば2.4mの距離にある1.56cmの豆人形なんです」
 
「かろうじてそこに居るというのが分かる程度かな」
と七星さん。
 
「角度にすれば156cm÷240m = 0.0065 になります。東京ドームのライブではスタンド席の一番後ろからステージまでだいたい180mくらいで角度では0.00866で、これは実は太陽の視直径(0.009)に近いのですが、それより25%小さい。アクアのライブなら、それでもまだ行けるかも知れませんが、ローズ+リリーのステージとしてはどうかと思うんですよね」
と私は主張した。
 
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「だったら?」
「ミューズシアターの方は使わずに、ミューズアリーナのみ使おうかと思うんですよ」
「すると販売数は?」
「端にステージを置いた場合で5万、センターステージにした場合で4万ですね」
 
「昨年はマリちゃんが実物では出演せずにホロスコープ出演だったのに9万も応募があったんだよ。今回は産休明けだから、見たいという人はもっと増えると思う。それならできるだけ多くの人にチケットを配るべきだと思うんだけどね」
と加藤さんは言う。
 
「ホロスコープじゃなくてホログラフィかな」
と七星さんが訂正する。
 
「それそれ。ホロスコープって何だったっけ?」
「ホロスコープは占星術ですね」
「あっそうか」
 
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「宿泊はどのくらい確保できるんですか?」
と七星さんが質問した。
 
「旅行代理店・地元の観光協会・★★クリエイティブ3社による実行委員会を構成して、実は昨年のカウントダウン直後から動いてもらっているんだけど、京阪のホテルとのセットも含めて今の所6万人分くらい確保できる見込み」
と加藤さん。
 
「それは凄い」
 
「この中には、そのミューズ・アリーナの床を7m上げて2階建て状態にして各々に簡易ベッドを6000個並べて合計12000人を収容するというのも入れている」
 
「それ壮観でしょうね」
 
「1階は男性、2階は女性で男子禁制、男の娘さんは別棟の小浜ラボに」
 
あれは別棟という訳ではないんだけどなあと私は思う。しかしローズ+リリーのファンには、私の性別問題もあり、MTFや女装趣味の人は多いのである。
 
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7万枚の販売を主張する加藤さんと4〜5万枚という線の私の主張は平行線だったのだが、七星さんが妥協案を出した。
 
「昔、大分でローズ+リリーのライブをした時に、ライブ自体はキャパ1000人のハルモニアホールでやって、隣の1万人入るコンベンションセンターで同時中継のライブビューイングしたことありましたよね」
 
「ああ、やったね!」
と加藤さんも懐かしそうに言う。2012年12月のことである。当時はまだ大観衆の前で歌うのが怖いとマリが言い、“リハビリ”をしていた時期である。
 
「今回もそれでいきませんか?」
と七星さん。
 
「だったら2万人のミューズシアターで生ライブをして、5万人のミューズアリーナで同時中継するの?」
と加藤さんが訊く。それではセールスがかなり小さくなるだろう。加藤さんは不満そうである。
 
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「逆ですよ。ミューズアリーナ5万で生ライブをして、ミューズシアター2万でライブビューイングするんです。アリーナは総立ちでしょうけど、シアターはゆっくりと座り心地の良い椅子に座ってご鑑賞下さい、と」
と七星さんは説明した。
 
「いいね!それ!」
と加藤さんはその案に賛成した。
 
私も5万人のアリーナで歌うなら、シアターとの境界にステージを設置した場合に最後尾の席との距離は140mになるので、まあマシかなと妥協することにしたのである。
 
それで2019年のカウントダウンライブは、ライブ本場が5万人(入場料8800円)+隣の会場でのライブビューイングが2万人(入場料6600円)という構成で行くことが決まったのである。むろん隣接する会場でのライブビューイングというのは、当然ながら本人たちがサプライズ登場して1曲歌うような演出を期待することになる。
 
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それで私たちは9月上旬のイベント詳細発表をするべく準備作業を進め、宿泊も旅行代理店や地元観光協会を通して予約作業を進め、体育館に導入する簡易ベッドも大量に発注した。
 
ところが・・・である!
 

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夏の日の想い出・点と線(2)

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