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■夏の日の想い出・やまと(13)

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(C)Eriko Kawaguchi 2017-02-25
 
10月6日。波歌(しれん)たち“三つ葉”が出演する新番組『3×3大作戦』の初回放送が行われた。
 
予告編通り、3つのチーム“葉っぱチーム”、“香炉チーム”、“子猫チーム”のメンバーが色々なことに挑戦しようということなのだが、初回に与えられた課題は
 
《肺活量を鍛えるぞ》
 
ということであった。
 
番組アシスタントの金墨円香が説明する。
 
「君たちは歌手の卵だけど、歌手は歌がうまくなければならん。歌の下手な歌手は伸びたインスタントラーメン並みに不味い。歌をしっかり歌えるようになるには、まずは肺活量を鍛えることが大事。肺活量が無いと細かく息継ぎしながら歌うことになって、歌の情緒も何もなくなってしまう」
 
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司会のデンチュー殿山が突っ込む。
「三つ葉はまだ歌手の卵かも知れんが、スリファーズとか桜野みちるとかはもう卵ではないのでは?」
 
スリファーズは2010年デビューで★★レコードの中堅歌手である。いつも1万人クラスの会場を満杯にするし、ゴールドディスクも何度も出している。桜野みちるも同じく2010年デビューで、いまや§§グループの看板歌手である。年齢的にはみちるがスリファーズの3人より2つ年上である。
 
円香は答える。
 
「香炉組はまあ育った卵かな。信濃町組は一部親鶏もいるが、過半数がまだ卵だから」
 

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「それで何をするんですか?」
と“香炉チーム”スリファーズの春奈が質問する。
 
「肺活量を鍛えるにはやはりマラソンだな。だから練習して全員でマラソン大会に出場するぞ」
と円香は言った。
 
「え〜〜〜!?」
という声があがる。
 
「マラソンなんかやらせたら、腕や足が太くなって、アイドルとして問題にならないか?」
とデンチューの昼村が指摘する。
 
「今時針金のように細いアイドルなんて需要は無いよ。そんな細いアイドルを公共の電波に乗せて流したら、中高生の女の子たちが自分たちもあのくらい細くなろうと無理なダイエットをする。それは生理不順ほか様々な身体の不調を引き起こし、寿命も縮むし子供を産むのにも差し支える。これからは、安定した体格でしっかりした歌が歌えるアイドルがトレンドだな」
 
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と円香は言った。
 
「歌はうまくなりたいですよ」
と三つ葉のシレンが言う。
 
「よし。では頑張ろう」
と言って、9人は最初どこかの陸上競技場に連れてこられた。熊谷市総合陸上競技場というテロップが出る。そしてそこに登場したのは元女子マラソン選手の松山優実さんである。
 
「よし。それではみんなでリオデジャネイロ五輪を目指すぞ!」
と松山さんが言うが
 
「それもう終わってますけど」
と円香から突っ込まれている。
 

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テレビを見ていて政子が言った。
 
「前から思ってたけどさ、この番組って、デンチューの2人よりアシスタントの円香ちゃんのほうが司会的な役割をしてない?」
 
「それはネットでもかなりそういう指摘がある。円香は機転が利くし、うまいタイミングでうまいことが言えるし、気配りが物凄いよ、あの子は。逆に司会者のはずのデンチューはそのあたりができない。あと、面白い話があった時、円香は顔色一つ変えずにそれを話すことができる。ところがデンチューの2人は自分たちが笑ってしまう。これはコメディアンの根本ができてない。コメディアンは人を笑わせることがお仕事なのであって、自分が笑っちゃいけないんだよ」
 
と私は言う。
 
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「この番組って全部台本?」
 
「基本的には台本だよ。ただ、一部敢えて台本無しで撮る部分もあるし、一部の出演者にわざと台本を見せずに撮る場合もある。その時、素(す)の反応が出るのが面白い。波歌(しれん)ちゃんとか、円香とかがそういう場合にいい味を出しているんだよね」
 
「ああ。三つ葉の3人は結構素でやらされているなというのは思った」
 
なお、この番組は前半がその「マラソンの練習」の様子が映り、後半はスタジオで3チームはミニゲームをやらされ、今日は若さで体力にまさる三つ葉チームが美事優勝していた。
 

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10月9日(日・大安)。私たちの大学時代の友人・博美が結婚式を挙げた。
 
私と政子が大学時代に最も仲良くしていたのがこの南野博美ともうひとり、丸山小春の2人で、一時期2人には「影武者ライブ」の影武者も務めてもらっていた。ふたりがローズ+リリーの歌を街頭でギターとカホンを演奏しながらカバーして歌っているように見せて、実際には歌は観衆に紛れた私と政子が歌うという形で、実は政子の“リハビリ”をしていたのである。
 
それで2人には何度かローズ+リリーの公式公演でも出演してパフォーマンスをしてもらったことがある。また博美には最近、私が書いた曲のスコア入力の作業も手伝ってもらっていた。
 
私と政子はおそろいの振袖(型押しの京友禅)を着て、結婚式に出かけて行った。なお、花嫁が手描き友禅の大振袖を着ることを確認の上この服を選んでいる。
 
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披露宴の司会はその親友の小春がしていた。
 
大学生時代の友人たちが他にも何人も来ており、私たちは束の間の昔話に花を咲かせた。私たちは今日は歌わないつもりで、政子とふたりでヴァイオリンとピアノの合奏をしようかとも思っていたのだが、花嫁が「歌って、歌って」というので、まああいいかと思い、私自身が式場のエレクトーンを弾きながら『振袖』を歌唱した。
 

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10月10日。アクア主演『時のどこかで』の第2回の放送が行われたが、意外な展開に視聴者は驚いたようであった。
 
福島先生に脅かされたショックでタイムスリップした和夫(アクア)が辿り着いたのは、原爆が落とされる直前の長崎ではなく、明智光秀の夜襲を受けて陥落寸前の本能寺であった。
 
信長を演じるのは何と大林亮平である。政子が「きゃー!」と叫んでいたからこの様子では本人からこういう役をすることは聞いていなかったのだろう。そして森蘭丸は谷崎潤子であった。
 
大林亮平は昨年の『狙われた学園』で英光塾の主宰者・京極を演じた。谷崎潤子は今回のドラマの脚本を書いている花崎弥生さんの出世作『僕は北条政子』の主演(男の娘の北条政子役)である。ドラマの実質初回ということで、こういう大物の起用があったのだろう。
 
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信長は最初は弓で闘っていたが、弓が全部折れてしまったので、槍で闘う。しかしその槍も折れてしまったので、女たちに「お前たちは襲われないはずだから、逃げろ」と言って奥の部屋に入り、自害しようとする。
 
その時、掛け軸の後ろで様子をうかがっていたアクア演じる和夫が出現した。
 

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「何者だ?」
と驚いて振り返り、刀を抜いた信長であったが、アクアを見ると
 
「不思議な格好をしているが、女子(おなご)か?女子であれば、今すぐ脱出せよ。女ならば明智の軍勢も見逃してくれるはず」
と言う。
 
「私も脱出しますが、大臣様(*1)も一緒に参りましょう」
 
(*1)当時信長は右大臣を辞任した後、左大臣に推挙されるもその就任を延期。朝廷は「太政大臣・関白・征夷大将軍のいづれかに任じたい」と要請。信長はそれに返事をしたが、何と返事をしたかは記録に残っていない。その返事の直後に本能寺の変が起きてしまった。
 
「わしはここで自害する。人生五十年と思ったが、四十九で逝くのは少しだけ心残りじゃ」
 
「大臣様はここで消えるお方ではありません。このまま日向守(明智光秀)殿に天下を譲られますか?」
 
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すると信長は怒るようにして立ち上がった。
 
「キンカ頭やサルや徳川にはやれん。権六(柴田勝家)か五郎左衛門(丹羽長秀)なら、まだ良いが」
 
「ではこれをお召し下さい」
「なんだと〜!」
 

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アクアが信長に示したのは女の着物であった。
 
アクアは更に電気カミソリを取り出し、信長のヒゲを剃ってしまう。(最初は櫛刃を出してあらかた剃り、そのあと短い毛を剃るモードにして完全に剃った)
 
「お主は南蛮の者か?不思議なものを持っておるな」
と信長は感心したように言う。
 
そして髷を切って垂らして女の髪のようにし、アクアに勧められるまま、女の着物を着た。
 
「時間がありません。参りましょう」
と言った時、ふすまが開く。
 
血だらけになって瀕死の森蘭丸が崩れるように入ってくる。
 
「殿!?」
と言って驚いている。
 
「蘭丸殿、私は殿を連れて外に出ます」
「では私が殿の身代わりになります。殿、懐刀を頂けませんか?」
「うむ」
 
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それで谷崎潤子の森蘭丸は、今信長が着ていた服を着ると、信長の懐刀を持ち、腹に突き立てて果てた。
 
それを見て、アクアの和夫が大林の信長を促して外に出る。
 
何度か血走った顔の武士が目の前に出てくるが
「何だ、女か。女なら行け」
と言って2人を通してくれた。
 
そうして火の手もあちこちであがる本能寺から、和夫と女装の信長は脱出した。
 
そこに数人の忍者が駆け寄る。
 
「大臣様でいらっしゃいますね。私、信雄様(*1)の配下、柘植三之丞と申します。お供つかまつります」
 
(*1)信長の二男で北畠家を継いだ。
 
その時、戦闘の流れ矢がこちらに飛んできた。
「きゃっ」
とアクアが声をあげたところで画面がブラックアウトする。
 
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未来的な風景。
 
映画でニナ・ソゴルと会った場所に雰囲気は似ているが、調度などはかなり違っている(ことをネットの住人たちが確認して書き込んでいた)。
 
そこに出てきたのは未来的な服装の木田いなほである。
 
映画の展開かと思ったら、少し会話が違う。
 
「僕はニノ・ソゴル。ケン・ソゴルの弟なんだ。兄貴ったら、どうも古い時代にタイムリープしたみたいなんだけど、肝心のタイムリープ刺激薬を忘れて行っちゃってさ。これ無しでどうやって戻って来るつもりなのかね。もし、まだラベンダーが存在した時代まで行っているのなら、その成分を抽出して作る方法あるんだけどね。やり方は高校の化学でも習っているし」
 
結局、和夫はケン・ソゴルの弟ニノからタイムリープ刺激薬をもらって現代に戻る。そして深町和彦=ケン・ソゴルから、先週末に理科実験室で起きた事件のあらましを聞いた。
 
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ケン・ソゴルが和夫からもらってタイムリープ刺激薬を使って未来に戻り、別れ際にふたりが握手して、「また会えるかもね」と言う所で第2回の放送は終了した。
 

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「いなほちゃんの男装も可愛かったね〜」
と政子は放送内容に満足そうであった。
 
「でも何で男装してたんだろう?いなほちゃん、実は男の子で、映画では女装していたとか」
 
「まさか。だって女の子の声だったよ」
「アクアは中学3年でまだ声変わりしてないんだから、いなほちゃんも声変わり前なのかも。あるいはタマタマ取っちゃったとか」
 
「そんなことは無いと思うけどね〜。男の子で女装してたんなら、映画の時に騒がれているよ」
と私は言っておいたが、政子は勝手にあれこれ妄想しているようであった。
 

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10月17日。私たちはコスモス畑で有名な生駒高原に向かった。ここのコスモスが咲き始めるのはだいたい9月下旬だが、やはり壮観な雰囲気になるのは10月の中旬くらいなので、そのタイミングを待っていたのである。
 
ここで『コスモスの園』のPV撮影を行い、その記憶の新鮮な内に福岡市内のスタジオで音源制作を行うことにした。
 
このPVには秋風コスモスに出演してもらうことにし、まだデビュー前の姫路スピカも一緒に宮崎県小林市の生駒高原まで行った(スピカは『祗園祭の夜』にも出演してもらっている)。そして私とマリ、コスモスとスピカの4人で咲き乱れるコスモスを背景にお散歩したり、お茶を飲んだりする様子を撮影した。
 
かなり撮影が進んだ所で、コスモスが唐突に訊く。
 
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「ねぇ、まさか私を宮崎県まで呼んだのは、名前の語呂合わせのため?」
「そうそう」
「私忙しいのに!」
 
確かに社長業自体が大変だろうし、アクアに関する処理でかなり時間を取られているだろう。
 
「ごめーん!」
 
「次のアクアの曲は私たちで書いてあげるから」
「コスモスちゃんにも1曲書こうか?」
「ああ、それはもったいないからいい。せっかくの名曲を私なんかが歌ったら台無しだから」
などとコスモスは言っていた。
 
「代わりにスピカのデビュー曲を書いてよ」
「いいよ」
 
「取り敢えず、今日は宮崎牛のステーキごちそうするから」
「じゃ最上級のを」
「了解了解」
 
それでPVを撮影した後は宮崎市に出て特上の宮崎牛のステーキを食べた後、シーガイアのシェラトン・グランデ・オーシャンリゾートのスイートルーム(偶然にも空いてた!)を取ってあげたら
 
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「何だかVIPになった気分だ」
と言って、少しは機嫌が直ったようであった。
 
もっとも、結局「広すぎて落ち着かない!」と言ってスピカ(デラックスツインを取っていた)を呼んで、ふたりで寝ていたようである。
 

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宮崎の後は、私たちはコスモスたちと分かれて福岡に移動し、福岡市内のスタジオで、2日がかりで『コスモスの園』の音源制作をおこなった。
 

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夏の日の想い出・やまと(13)

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