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■夏の日の想い出・男の子女の子(14)

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田所さんと別れてから、電車で帰ろうと思ったものの、本屋さんに寄って行こうかと思い直し、新宿に移動した。それで紀伊国屋の方に歩いて行っていたら、バッタリと、彩佳・桐絵・麻由美の3人組と遭遇する。3人とも龍虎のクラスメイトである。
 
「どこ行くの?」
と龍虎は訊いた。
 
「バレンタインのチョコ買いに」
「すごーい。新宿まで出てきたんだ?」
「まあ他にも用事はあったんだけどね」
「デイヴィッド・ハミルトンの写真展があってたんだよ。凄く美しかった」
「へー。Hな写真とかじゃないの?」
「その女性のヌードが美しいんだ」
「中学生が見てもいいの?」
「一応15歳以下禁止だった」
「でも高校生の振りすれば問題無い」
「そうか」
「だから少しお姉さんっぽい服着てきた」
「なるほどー」
 
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「龍はお仕事?」
「終わった所」
「じゃバレンタインのチョコ買うのに付き合わない?」
「いいよー。ボクも買わなくちゃと思ってた」
「ほほお」
 

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それで結局4人で伊勢丹まで歩いて行く。バレンタインの特設スイーツ・コーナーに行くと、まるで女子校に来たかのように女の子たちでいっぱいである。
 
「でも龍とはよく一緒にバレンタインを選んでいる気がする」
と桐絵が言う。
 
「私は小学1年の時からもうこれで7年連続だな」
と彩佳。
 
「凄い」
「龍ちゃん、誰に贈るの?」
「お父さんと、もうひとりお父さんのお友だちで、ボクと良く遊んでくれていたおじさん」
 
龍虎が毎年バレンタインを贈っているのは、田代父と上島さんである。なお、龍虎の事務所内では「虚礼廃止」ということで、お互いにバレンタインやホワイトデー、誕生日プレゼントなどは原則としてしない取り決めになっている。
 
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「へー」
「好きな男の子とか居ないの?」
「ボクは男の子には興味無いよぉ」
「まあ女の子にも興味無いよね」
「うん。実はそう」
「女の子には興味無いみたいだなというのは感じてた」
 

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「しかしいろんなチョコがあるね〜」
「見ているだけで楽しいよね」
 
などと言って見ていた時、女子高校生っぽい3人組がチョコを選んでいた。
 
「今年誰に贈るの?」
「私は**さんと**さん」
「ああ。**さん人気だもんね〜」
「たぶんチョコが20-30個集まるよ」
「彼女にしてもらえるとは思わないけど、ちゃんと『ありがとう』と言って受け取って握手してくれるから好き〜」
「まあ恋愛可能性が無いと思うと、結構こちらも気軽に贈れる」
 
「**子は今年もタレントさんに送るの?」
「うん。今年はWooden Fourの本騨真樹くんと、スカイロードのkatahiraくんとあとアクアちゃんに送る」
「おお」
 
そんな会話を耳にして、桐絵たちは一瞬お互いの顔を見合わせた。当のアクア本人がまさかすぐ近くに居るとは思いもしないだろう。
 
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「ねね、こないだふと思ったけど、もしかしてkatahiraってキャタピラーから取ったの?」
「そうそう。スカイロードは全員建設土木機械系の名前なんだよ。リーダーはkomatsuだし、kubota, katahira (Caterpillar), keitoは実はカトウ(KATO)の英語読み。加藤製作所は除雪車とかクレーンのメーカー。kitagawaもクレーンとかのメーカー。そもそもskyroadって実は橋のこと」
「そうだったのか!」
 

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ところで今日のアクアは七分丈のジーンズにハイソックス、バッシュに上はブルーのダウンコートを着ている。ちなみに彩佳はピンクのダウンコートを着ているが、これは先日アクアが夜帰宅する時に借りたものである。むろん翌日には返した。
 
「でもそういうタレントさんとかに贈って受け取ってもらえるの?」
とひとりの子が尋ねる。
 
「買って自分で包装して送ったらダメ。お店から直送にしてもらうんだよ。そしたら福祉施設とかに寄付してくれるはず」
 
「へー!」
「個人が包装したものは、頭のおかしな人が変な薬とか自分の体液とか混ぜていたりする危険があるから全て廃棄される。お店の包装がされているお菓子を個人が発送したものとかも、注射針でそういうの入れてたら見た目では分からないじゃん。だから個人発送の物は問答無用で廃棄」
 
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「なるほどー」
「お店からの発送というのが必須なんだよ」
「でもそれだとメッセージとか添えられないよね?」
「それは別途ファンレターで出すしかない」
「なるほどね〜」
 
「メッセージカード添えて発送してくれるお店とかないの?」
「それは郵便法違反になっちゃうらしいんだよ」
「面倒くさいね!」
 

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「だけど、プレゼントしても本人は受け取ってくれなくて、福祉施設とかに贈られるんでしょ?何か意味無くない?」
とひとりの子が訊く。
 
「ところが、ルールを守ってお店からの直送でプレゼントしてくれた子限定で特別なお礼ハガキがもらえる事務所もあるんだよ」
 
「へー!」
 
「Wooden Fourの場合はメンバー5人の誰に出した場合でも、5人が全員映った写真の絵はがきでお返事がもらえる。他には出ない、このお返事専用の写真を使うんだよ」
 
「微妙にファンの心をくすぐるやり方だ」
 
「アクアちゃんの場合はどうなるか分からないけど、あそこの事務所はこれまでのアーティストの場合、各々の宛名のタレントさんのライブショットとか写真集とかに収録されたののアングル違いみたいな写真の絵はがきでお返事を出してくれている。多分アクアちゃんもそういう処理になると思う」
 
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彩佳たちは「へー」と言って顔を見合わせる。
 
「そうなの?」
と桐絵が訊くと
「ボクも知らなかったけど、他の人と同様の処理でと言ったから多分そうなると思う」
「ほほお」
 

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「アクアちゃんなら女装写真だったりして」
などと女子高生たちは言っている。
 
「実は密かにそれを期待している」
「でもあの子、すっごく可愛いよね。実は女の子ってことないの?」
 
「あの子、声は女の子みたいな声だけど、話し方が男の子の話し方なのよ。だから男の子というのは間違い無い」
 
これにも桐絵たちは顔を見合わせて「へー!」という表情をする。
 
「あるいは女の子になりたい男の子だとかは?」
「その疑惑はあるけど、取り敢えず今はあんな美少年の弟がいて『お姉ちゃん』とか言われたらとか夢見てる」
 
「ああいう弟が居たら、私絶対女装させてる」
「うん、それ同感」
「おちんちん切って女の子になっちゃわない?とか言葉責めして、その気にさせたくなる」
 
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「やはり食事に女性ホルモン混ぜて次第に女性化させていくとか」
「おっぱい膨らんで、おちんちん小さくなっちゃったところで眠り薬飲ませて病院に拉致して、手術して女の子にしちゃう」
 
「そういうの妄想している子、かなりいるみたいだよ〜。その類いの書き込みはネットでかなり見た。スカートとかブラジャーとかプレゼントした子もかなりいるみたいだし」
 
彩佳たちは苦笑しながら、女子高生たちのそばから離れた。
 

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バレンタインを選び終わった後、マクドナルドに入って少しおしゃべりをする。
 
「龍って、男の子の話し方も女の子の話し方もできるよね」
と彩佳が言う。
「え?そうだっけ?」
と麻由美が言う。
 
「学校の授業とか、あるいは男の子と話しているときは男の子の話し方してる。でも女の子と話してる時は女の子の話し方してる」
と彩佳。
 
「『ぼく』というのも2通りのイントネーションがあるなと思ってた」
と桐絵。
 
「男の子と話してる時は僕と言う」
と龍虎は言う。
「女の子と話してる時はボクと言う」
と龍虎は話し方をチェンジして言った。
 
「今の前半は男の子が話してる感じだった」
「後半がいつもの龍だ」
 
「ついでに言うとスカートとか穿いてる時はしばしば『わたし』とか『あたし』とか言うこともある」
と彩佳。
 
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「この3人にはあたし、スカート姿もかなり曝してるなあ」
と龍虎は苦笑しながら言う。
 
「今の『あたし』って凄い自然だった」
 
「脳内でスイッチ切り替える感覚なんだよ。切り替えに0.3秒くらい掛かる」
と本人。
「そのスイッチ切り替えた時に表情も変わる」
「ふふふ」
「男の子モードになってる時は雰囲気も男の子になっちゃうからこちらも緊張する。でも女の子モードになってる時は他の女の子の友だちと同じ。何も緊張しない」
 
「龍と一緒に居ても男の子のそばに居る気がしない」
と桐絵は言っている。
 
「本人が女の子になりきってるからね」
 
「要するに龍って天性の女役ができる俳優なんだ」
と麻由美が感心したように言う。
 
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「歌舞伎とかの家に生まれてたらすごい女形(おやま)になってたと思う」
 
「スイッチ切り替えたら、お股の形も変わってたりして」
「まさか!」
「龍、今、おちんちんあるよね?」
「あまり自信無ーい」
と龍虎は苦笑しながら言った。
 

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「そういえば龍って個人的にバレンタインもらったことある?」
 
「無い。ボクは女の子の友だちからは女の子の一種みたいに思われているんだと思う」
 
「ああ、確かに私もそういう認識のような気がする」
 
「龍といちばん親しい気がする彩佳は、龍に贈ろうと思ったことは?」
 
「一度もそういうことを思った記憶は無いな」
と彩佳。
 
「やはり龍は恋愛対象外だよね。いい意味でね」
と麻由美。
 
「うん。だから龍とは安心しておしゃべりできるけどね」
と桐絵。
 
龍虎は彼女たちの言葉に微笑んでいた。
 

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「でもスカートとかブラジャー贈ってる子がいるとか言ってたね」
 
「実はここに来る前に今の時点で届いているプレゼントの山を見てきたんだよ」
 
「おお、やはりもう来てるのか?」
「スカートとかもあると言ってた。実はこれまでもスカートとか可愛い下着とかのプレゼントは来てる」
「それどうするの?」
 
「福祉施設とかに贈るのもあるし、まあ一部は自分で着てもいいかなというので、もらってくる」
 
「龍が女物の服を着ているのは今更だよね」
「そういえば一緒にブラ選びしたことあった」
「桐絵のお母ちゃんと一緒にランジェリーショップに行った時、一緒に行ったよね」
「なんか行くの断りにくかったし」
「まあ龍はランジェリーショップに居ても違和感無いから」
 
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「でも買わなかったよ」
 
「あれ龍はどんなブラ選ぶかなと密かに期待してたのに」
「ボクはブラの試着できないし」
「でもサイズは測られてジュニアブラのSでいいと言われていた」
「でも実は龍はA65のブラで行けることを私は知っている」
「こないだから、ローズ+リリーのマリさんとか、XANFUSの音羽さんとか、先輩の川崎ゆりこさんとかから、随分ブラジャーとか、ブラとパンティのセットとかもらった。みんなB65とかC65のをくれたから、カップが余っちゃって」
 
「それはパッド入れたらいいと思う。バッド持ってないの?」
「持ってるけど、パッドまで入れたら女装になっちゃうし」
 
「ブラ着けてる時点で女装じゃん!」
 

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2月8日(月)、青葉が修学旅行(名目上は研修旅行:本来富山県の高校では修学旅行は行われていない。今回の研修旅行も社文科のクラスのみらしい)でヨーロッパに行くので、8日朝は桃香と千里が成田空港に見送りに行った。帰国は2月15日である。(高岡からバスで往復なので、学校発は7日夕方、学校着は16日朝)
 
その7日から9日に掛けては、医師の国家試験が行われ、葵照子(琴尾蓮菜)やGolden Sixの常連メンバーのひとりである前田鮎奈などが受験した。
 
そしてその試験が終わった9日の夜、試験を受けた蓮菜と鮎奈をねぎらおうと、私のマンションに数人の友人が集まった。
 
なぜ私のマンションに集まることになったのかは実はよく分からない。
 
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最初集まったのは、主役?の蓮菜と鮎奈、カノンとリノン、千里と桃香、まだ医学生の奈緒。これに私と政子であるが、昼間来ていて帰りそびれていた和実とあきらと小夜子も話の輪に加わった。ついでに淳まで呼び出されて会社が終わった後、こちらに来た。
 
途中で鮎奈が眠くなってきたと言って帰宅。カノンとリノンも明日音源制作があるからと言って離脱したが、それと入れ替わるように11日発売予定のCDをわざわざ持って来てくれた織絵(音羽)が「あ!お酒がある」と言って座り込み、そのまま根をはやしてしまった。
 
そのあたりから話題は何だか怪しい方向に行き始めた。
 
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夏の日の想い出・男の子女の子(14)

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