広告:放浪息子(4)-BEAM-COMIX-志村貴子
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■夏の日の想い出・分離(4)

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樟南『長い夏休み』は「二年間の休暇(別名「十五少年漂流記」)」を下敷きにした作品であるが、この作品の中では無人島に漂着した子供たちが「男ばかりではつまらないから5人くらい女の子になってもらおう」と言ってジャンケンで負けた数人が強制改造(?)されてしまうという無茶な展開になっている。但しイグニスという子はジャンケンをする前に全員一致で「君は女の子になれ」と言われてしまう。
 
(イグニスはラテン語で「火」を表し、ラテン語の「水」であるアクアを意識している)
 
見学していた政子は樟南さんに電話を掛けて許可を取り、歌詞の一部を改造して「より萌える」ようにしていた。イグニスという名前を入れたのも政子である。美空や小風もその改変に大笑いして賛同していたが、和泉が「ちょっとぉ、そこまで書いていいの〜?」などと言っていた。
 
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曲としては軽快なファンクっぽいサウンドで仕上げた。政子はキハーダ(*1)で演奏にも参加しているが、政子によるとこの音は「ある物を潰す音」を表しているそうでその話を聞いたDAIさんが嫌そうな顔をしていた。
 
(*1)動物の顎の骨をそのまま使った楽器で、水戸黄門のオープニング冒頭のキシャ〜ンという感じの音が、これである。★★レコードが持っているものを借りだしてきた。
 

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マリ&みそら/春美『おむすびいっぱい』は、マリとみそらが共同で書いた詩に「5人目のKARION」である春美(長丸穂津美:スリーピーマイスのLC)が曲を付けてくれたもので、昼寝している間におむすびが転がってきて私のお口に入ってくれたらいいな、などと「食の達人」(?)らしい歌詞が綴られている。
 
穂津美さん自身のピアノ伴奏だけというシンプルな演奏で収録した。この曲の歌唱にはマリも参加しており、五重唱になっている。
 
岡崎天音/大宮万葉『白兎開眼』は「白兎海岸」(鳥取県)を敢えて字を変えたものである。ワニを欺して海を渡ろうとした白兎が、怒ったワニに皮を剥がされそうになるが、そこで開眼してスーパー・パワーアップし、逆襲してワニたちと戦うという荒唐無稽なストーリーである。
 
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この曲のPVは実際の白兎海岸にあるウサギの形をした淤岐島(おきのしま)の映像もまじえて構成した。大宮万葉(川上青葉)は、受験勉強で忙しい中、この楽しい詩に明るい曲を「快く」付けてくれた(と政子は言っていた)。
 
この曲には篠笛をフィーチャーしており、風花が吹いてくれた。
 
スイート・ヴァニラズ『戦え赤ずきん』も、赤ずきんが狼に逆襲するという物語である。どうも最近は「戦う白雪姫」の映画が何本も作られるなどヒロインは戦わなければならないようである。
 
MINOさんのトランペットの聴かせ所がたくさんある曲である。
 

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残りの6曲については実は私と和泉、千里の3人で話し合い、名義のバーターを行った(蓮菜はお医者さんの仕事が忙しいので千里に「任せる」と言ったらしい)。レコード会社の方から「森之和泉+水沢歌月」であまりおふざけして欲しくないという要望があったので、それに応えたものである。それで名義と実際の制作者が一部入れ替わっている(印税等は本来の作者に払う約束)。
 
『ツンデレかぐや姫』     名義:照海 実際:泉月 
『待ちくたびれたシンデレラ』 名義:照海 実際:泉月 
『白雪姫は死なず』     (名義通り泉月) 
『目覚めた眠り姫』     (名義通り泉月) 
『鬼ヶ島伝説』        名義:泉月 実際:照海 
『夏祭りの夜に』       名義:泉月 実際:照海 
 
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『鬼ヶ島伝説』は美しい曲、『夏祭りの夜に』は熱い曲で、私はこんな曲が書けるというのは千里は今ほんとうに精神的に充実しているなと思った。前者はアコスティック的に、後者はリズミカルにまとめている。風花の篠笛、私の胡弓、寺入霧の三味線など和楽器を取り込んでいる。寺入霧(スリーピーマイスのティリー:穂津美の親友)は実は三味線が「名取り寸前」の腕前である。初期のXANFUSのアルバムでもその腕前を披露している。名取りになるには御披露目や上納金で無茶苦茶お金が掛かるので、名前は取らないことにしたと彼女は言っていた。
 
『ツンデレかぐや姫』『待ちくたびれたシンデレラ』『白雪姫は死なず』、『目覚めた眠り姫』の4曲は実はこのアルバムを企画した時に和泉が一晩で書いた4つの詩にもとづいている。和泉にしてはコミカルな詩である。正確にはこの4つの詩を書いたことから『メルヘンロード』というアルバム企画を和泉は思いついたのである。
 
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この時実は、もうひとつ『戦う赤ずきん』というのもタイトルだけ考えたらしいのだが、それについてはエリゼに丸投げして、向こうで作ってもらった。エリゼはタイトルを少しだけ変えて『戦え赤ずきん』にして、戦わなければいけないけど怖いよぉ、という微妙な心情をうまく表出して、元気な曲に仕上げてくれた。
 
この和泉+歌月で書いた4曲はいづれも「拡大トラベリング・ベルズ」だけで演奏する形になっている。メンツは今回こうなっている。
 
Gt.相沢孝郎/相沢海香 B.木月春孝 Dr.鐘崎大地 Sax.黒木信司 Tp.児玉実 KB.長丸穂津美/川原夢美 Gl.森之和泉 Vn.水沢歌月 Fl.秋乃風花
 

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このKARIONの音源制作は、12月・1月に精力的に進め、2月中旬までに全ての録音作業が終了した。相沢孝郎さんが忙しかったことから、彼が曲を付けた『雪の世界』が制作の順序としては最後になった。私たちはアルバムの曲順としても、この曲を最後に置こうと決めた。冒頭はやはり泉月の曲にしたいということで『白雪姫は死なず』にする。結果的に曲順はこうすることにした(括弧内は名目上の作者)。
 
前半 
『白雪姫は死なず』(泉月)『目覚めた眠り姫』(泉月)『戦え赤ずきん』(SV)『待ちくたびれたシンデレラ』(照海)『ツンデレかぐや姫』(照海)『鬼ヶ島伝説』(泉月)『白兎開眼』(天万) 
後半 
『長い夏休み』(樟南)『おむすびいっぱい』(マリ&みそら/春美)『こぶたの姉妹』(広花)『青い鳥見つけた』(櫛信)『まぼろしの君』(雪鈴)『夏祭りの夜に』(泉月)『雪の世界』(福孝) 
 
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政子はけっこう私にくっついてスタジオまで来て、美空と色々おしゃべりなどしていたが、私が出かける時刻に政子が起きない雰囲気の時は、★★チャンネルに勤務していて、結果的に物理的にとっても近い所に居る琴絵か仁恵を呼び出し、政子の監視係をしてもらっていた。時には私たちの専任ドライバーの佐良しのぶさんが来てくれることもあった。
 
ともかくも「絶対にマリをひとりにするな」というのが松前社長からの厳命である。
 
佐良さんが来てくれている時は政子はけっこうリーフを出して運転の練習をしながら車内でたくさん歌って歌の練習も兼ねていたようである。
 
また「霊的に怪しげな」郵便物や贈り物などの類いをチェックするのに中村晃湖さんや、そのお弟子さんの船木冴子さんが交代で週に2回ほど来てくれていたが、年が近いこともあり船木さんは結構政子たちのおしゃべり相手を務めてくれていたようである。
 
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船木さんは「ほぼ毎回」怪しげなDMの類いを1〜2通は回収して行っていた。そんなに高頻度に怪しいものが来ているというのは、私も驚きであった。その話を○○プロの中家課長としていたら
 
「いや、ケイちゃんたちの所に来る贈り物関係はうちでチェックしている訳だけど、物理的に怪しいものはチェックする度に2〜3個あるから、霊的に怪しいものだって、そのくらいあって不思議ではない」
 
と言っていた。ローズ+リリーへのファンレターや贈り物は○○プロ気付で送って欲しいことをファンクラブ会報やホームページでは告知している。
 
「そんなにありますか!」
 
「カミソリとか白い粉、あやしげな液体の入ったものとか、注射針を刺した跡のあるお菓子とかは日常茶飯事だしね。でもうちも霊的なチェックは考えた方がいいなあ。中村さんは余力は無いだろうか」
 
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「かなりお忙しいみたいですが、お弟子さんなら何とかなるかも知れませんね。今度一度話してみますが、高いですよ」
 
「今いくら顧問料払ってるの?」
「月200万円です」
「ひゃー」
 
「実際には半分以上実費なんですよ。その手のものは処分するのも大変なんです。霊的に破壊または凍結封印した上で物理的にも破壊する必要があるから単純に焼却すればいいというものでもないんですよね」
 
「なるほど。でもやられたら損害はそんなものじゃ済まないもん。検討したいから連絡取ってもらえない?」
 
「いいですよ」
 
この件は中村さんの所ではとても余力が無いということで、結局栃木県在住の霊能者で中村さんや青葉の知り合いでもある村元桜花さんが対応してくださることになった。結果的にはローズ+リリーへの贈り物は村元さんと船木さんで二重チェックされることになった。
 
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KARIONのアルバム制作作業はPVの撮影なども含めて2月下旬には完了した。それで私たちは、なかなか東京に戻ってこない相沢孝郎さんの様子を見るのも兼ねて、弟さんの霊前にお参りしてこようということで、日程を調整した結果、2月25日(木)に、相沢さんの実家を訪れることにした。
 
2月29日(月)が百日祭にあたるらしいが、平日なので2月27日(土)にその霊祭(仏式の法要に相当)が行われるということで、和泉たちはそれまで出てから日曜日に東京に戻ってくることにしたが、私は28日に震災復興支援ライブがあるので、27日の朝ちょっと顔を出しただけで、その後、大阪に出て新幹線で福島に入る。政子の方はその間、仁恵が泊まり込んでいてくれて、27日夕方に風花も来てくれて仁恵と政子の3人で福島に移動する。
 
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つまり私はこういう日程になる。
 
2月25日(木)東京→奈良 26日(金)相沢さんの実家旅館に滞在 27日(土)奈良→福島
 

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25日の朝、KARIONの4人とマネージャーの花恋、相沢海香さん、霊祭に出席するトラベリング・ベルズの他の4人(黒木・木月・鐘崎・児玉)、それに相沢さんと色々話したいということで畠山社長も入れて11人で東京駅に集まる。それで新幹線ホームに行くと、ちょうど到着した新幹線から千里が降りてきた。
 
「おはよう。奇遇だね」
と千里ともっとも古い付き合いである美空が声を掛ける。千里はびっくりしたようで
「おはよう。関西方面でライブとかあったっけ?」
などと訊く。
 
「いや、ちょっと法事なんだよ」
と美空。
 
「あれ?相沢さんが居ない。もしかしてその関連?」
と千里はそこにいる一同を見て言う。
 
「うん。実は相沢さんの弟さんが11月に亡くなって。アルバム制作中でお葬式とかも行けなかったし、ちょうど百ヶ日法要だから行って来ようと」
 
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「へー。でも蘭子、今週末は福島なのにいいの?」
「福島のライブに出るのはローズ+リリーのケイで、ここに居るのはKARIONの蘭子だから問題ないらしい」
「まだその話やってんだ!?」
と千里も呆れている模様。
 
しかしそんな立ち話をしている内に、間もなく発車しますというアナウンスが流れる。
 
「あ、乗らなきゃ」
と美空。実際他のメンツはもう車内に入っていて残っているのは私と美空だけである。
 
「じゃ、私はこれで」
と千里は言ったのだが、美空は
「まあまあ」
と言って千里の手を引っ張って車内に連れ込もうとする。
 
「ちょっとぉ。私は東京に戻ってきた所なのに」
「いいじゃん。ちょっと車内でおしゃべりしようよ」
 
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入口の所で揉めているので、駅員さんが寄ってくる。
「お客さんたち、乗るんですか?」
「乗ります!」
 
ということで、3人で列車内に入る。私たちが乗るとすぐにドアが閉まり、列車は動き出した。そういう訳で、千里は美空に連れられて、一緒に新幹線に乗ってしまったのである!
 

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「千里、ごめん、東京で用事あった?」
と私は言う。
 
「ううん。私は大阪から戻ってきた所で。今は3月19日からの全日本クラブ選手権に向けてずっと練習している所だから今日1日休んでも何とかなるよ」
と千里。
 
大阪というのはきっと細川さんと会ってきたのだろう。
 
「だったら、千里も奈良まで付き合おう」
と美空。
 
それで結局、千里は車内で京都までの切符を買って私たちと一緒に座る。座席は3列の所に当初は 美空/小風/花恋、和泉/私/海香 と座る予定だったのが花恋が遠慮してくれて他の席に移動し(玉突き方式で結局畠山さんが千里が車内で買った座席に座った)、美空/千里/私、小風/和泉/海香 という配列になった。
 
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「国盗りの移動見てたら、千里あちこち行ってるね」
と美空が言う。
 
どうも美空から勧誘されて千里も国盗りを始めたらしい。ふたりと川崎ゆりこ・秋風コスモス・カノン・リノンが同じ「同盟」に所属していて、千里は移動距離で得られる「城下町」のポイントをゆりこ・美空とシェアしているという。特に千里とゆりこの移動距離がハンパ無いので美空は「もうけ、もうけ。城下町の人口がどんどん増える」と言っていた。
 
「私はもう半分はレッドインパルスの選手みたいな扱いになってるから。先週はチームに帯同して鹿児島まで行ってきたし、27-28日は今度は秋田に行ってくるんだよ」
 
「南から北まで凄いね」
「じゃ27日には秋田に行かないといけないのか」
「じゃ明日26日までは私たちと一緒に奈良で」
「え〜〜!?」
 
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夏の日の想い出・分離(4)

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