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■春虎(10)

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「ぼくは物心ついた頃から、男の服を着た記憶が無い。お兄ちゃんのお下がりの服を渡されても着るの拒否して、女の子の服を着てたらしい」
「徹底してるね」
 
「幼稚園も女子制服で通って、小学校の時もスカート穿いてること多かったし、女子トイレ・女子更衣室使ってたし、身体測定も女子と一緒に受けてたし、中学も高校も女子制服で通学したし」
 
「凄いじゃん」
 
「あきちゃんは、ぼくのこと最初、男の子になりたい女の子と思ってたって」
「MTFとFTMって結果的に形態が近いからなあ」
 
真珠の“骨格”が明らかに女の子であること、身長も150cmくらいと小柄。そして真珠には喉仏っぽいものも無いし、体毛も薄いことから、邦生は、真珠が恐らく小学生の頃から女性ホルモンを飲んでいたのだろうと想像している。でもそういう“舞台裏”のことは敢えて訊かない。多分男性能力を喪失していたから、女子更衣室の使用なども認められたのだろう。実際彼女は射精の経験が無いと言っていた。最初はオナ禁してたのかなとも思っていたが、むしろ睾丸未発達だった可能性が高い。
 
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「部活は女子ソフト部に入って女子と一緒に練習してたけど、公式戦には出ない。練習試合にはたくさん出たけどね」
 
「練習試合だとこちらも向こうもそういう選手に出て欲しいと思うよ」
「でもぼく、女子とほとんど筋力が変わらないから『なーんだ』と言われた」
 
「あはは。でも楽しかったでしょ?」
 

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「うん。楽しかった。でも全然女らしくないと言われる。あきちゃんは髪伸ばしてるけど、ぼくはショートカットだし。そもそもぼくって、ぼく少女だし。高校時代に女の先生に指導されて、あらたまった場所では“私”と言えるようになったけどね」
 
「ぼく少女も可愛いと思うよ。だいたい男か女かなんて、厳然と区別できるものじゃない、性別曖昧な人は多いよ。性別は二分法ではなく程度で言うべきもの。男25%女75%とか」
「ぼく自分では男30女70くらいかなと思う」
「もう少し女が強い気がする。多分女85くらい」
 
「そうかな。くーにんは男40女60くらいでしょ?」
「自分では男90くらいのつもりだけど」
 
「いや、半々に近いと思うよ。そろそろくーにんも『本当はぼく女の子になりたい。ちんちん取ってもいい?』とかカムアウトしよう」
 
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「なりたくない!ちんちんも取りたくない!」
 
「じゃ取り敢えず去勢手術か豊胸手術受けない?」
「どちらも嫌だ」
「だったら造膣手術するとか」
「ちんちんは取りたくないって」
「ちんちん温存したままヴァギナ作る方法もあるらしいよ」
「ヤオイ穴かい!?」
 
陰茎は根部まで辿っても、陰茎海綿体が恥骨下部、尿道も膀胱の所までしか無い。女性の外陰部を見てみれば分かるように、女性の膣は当然膀胱・尿道よりずっと後ろにある。だから陰茎を傷つけずに膣を設置することは原理的には可能なはず??
 
↓股間超略図

 

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熊谷で若杉千代のトリビュートアルバム用の編曲作業をしていた青葉は、3月29日に最後の曲の編曲を仕上げ、東京の花ちゃん(川内峰花=山下ルンバ)に送信した。30日の午前10時頃に「これで行きます。ありがとうございました」という返信があり、今回の一連の青葉の作業は終了した。それでお昼には助手の南田容子・立花紀子と簡単な打ち上げをしてプロジェクトを解散することにした。
 
11時頃、ケイから電話がある。
「青葉、日本選手権まではこちらに居るよね?」
「それは分かりません(警戒している)」
「ミュージシャン・アルバムの取材をしたいんだよ。こちらもラピスラズリの日程を調整するから、3日くらい時間取れない?」
「そのあたりは何ともいえません(とっても警戒している)」
「午後そちらに行くよ。まだ居るよね?」
「さあ、どうでしょうか」
「まあ取り敢えず行くよ」
 
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ということで電話を終えた。青葉はこのままだと次から次へと用事を頼まれて練習時間が全然取れなくなる危険があるぞと思った。
 
どこか逃げる?
 
でもどこに逃げよう。高岡に戻っても幸花にあれこれ頼まれそうだしなあと悩んだ。コロナが無ければ海外逃亡したいくらいだ。
 
なお、青葉は桜坂プロデューサーが退職し、神谷内が「いしかわ・いこかな」の全体を見ることになり、幸花が霊界探訪の責任者になったことは、神谷内さんからの直接のメールで聞いている。
 

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青葉たちはお昼を食べたら解散するつもりだったのだが、ケイが来るというので、一応それを待つことにした(本音としてはどこかに逃亡したい)。
 
13時頃、3人でおやつを食べていたら、突然コテージのドアが開いた(コテージは自動ロックなので閉めれば鍵が掛かる。だから通常開けることはできない)。
 
そしてショッカーの怪人の格好(つまり全身タイツに顔までマスク)をした女性(胸があるので女性と判断した。でも男の娘かも?)が4人、乱入してきた。南田容子が「キャッ」と声を掛ける。立花紀子は呆れて見ている。
 
「ショッカーだ。お前を拉致して改造人間にする」
とリーダー?っぽい人物が青葉に言う。4人の内のひとりはテレビカメラを持って撮影している。
 
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「ちー姉、何の冗談?」
と青葉が脱力したように言う。
 
「チーター女とイルカ女のどちらになりたい?」
「その2択なの〜〜?」
「お勧めはイルカ女だ。水泳で世界記録更新できるぞ」
「イルカだと人間の大会の出場資格が無い気がするし、泳法違反になっちゃう!」
「あるいはアシカ男にしてもいいぞ。ペニスがデカくていいよ」
「男にするのは勘弁して〜!!ちんちん要らない!」
 
「取り敢えず拉致する」
と言って、ショッカーの戦闘員たちは青葉にわざわざ猿ぐつわと目隠しをし、コテージの外に連れ出してしまった。カメラで撮影していた人物も後を追う。
 
立花紀子は青葉がいつも持っているバッグをそのカメラを持った人物に渡した。
「これ大宮先生のバッグです」
「ありがとう」
と言って、カメラ係は言ってから出て行った。
 
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(コテージ内を監視しているAIはテレビカメラが一緒だったことで、犯罪ではなくドラマか何かの撮影と判断した)
 

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「何なの〜〜〜!?」
と南田容子。
 
「仮面ライダーごっこでは?」
と、立花紀子は呆れたように言った。
 
「この後、どうする?」
「ケイ会長が来るのを取り敢えず待とう」
「そだねー」
 
30分ほどして、ケイがコテージに来た。ケイはちゃんとドアベルを鳴らし、南田容子がカメラで確認してドアを開けた。
 
中に居るのが南田容子と立花紀子だけなので
「青葉はプールに行った?」
と訊く。
 
「ショッカーに扮した醍醐春海先生に拉致されて行きました」
と立花紀子が答える。
 
「先を越されたか!」
とケイは天を仰いだ。
 

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さて、青葉を拉致した一行は、表に駐めてあったカートに乗ると、堂々と道を走って行く。白雪城のそばを通るので、並んでいる人がみんなこちらを見る。
 
「私たち顔を隠してるから大丈夫よね」
「青葉さんだけが見えてる」
「なんか恥ずかしー」
 
カートは白雪駅で停まる。そのまま郷愁ライナーに乗って!郷愁飛行場に向かった。郷愁ライナーにも乗客が居たが、みんな知らんぷりしている。何と言ってもテレビカメラが他の4人を撮しているのが説得力がある。みんな映画かドラマの撮影なのだろうと思っているようだ。
 
そのまま飛行場前で降り、Honda-Jetblackに乗りこんだ。空港の職員も普通に案内してくれた!やはりテレビカメラの効果は絶大である。
 
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タラップを登る所は危ないので目隠しを外す。青葉が千里に脳間通信で
『抵抗しないから、猿ぐつわも外してよ』
と言うので、猿ぐつわも外す。
 
「この色の機体は初めて見た」
「私が個人で買った機体。特別塗装」
「へー!」
 
「青葉ちゃん、お疲れー」
 
と笑顔で言っているパイロットは、エリッサ・ヴェルニエさんだ。“琴沢幸穂”のとりまとめ役をしている天野貴子さん(事実上の千里姉の秘書)の友人らしい。スペイン人だが、日本の永住権を持っており、コロナが流行り始めた2020年春以降は日本国外には出ていないと聞いた。千里姉としても使いやすいパイロットなのだろう。
 
飛行機が離陸してから、全員覆面を脱ぐ。
 
青葉は前向きの席で、その前が真珠。青葉の横が初美でその前が明恵である。千里は離陸の時は補助席に居たが上空に達すると、サロンに来て床に座った。
 
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「青葉さん、済みません。どうしてもこれ以上は青葉さんが居ないと制作が進まない状況なので」
と全員を代表して真珠が謝る。実はこの中で唯一の〒〒テレビスタッフ(AD)である。
 
「だから私が青葉を拉致しようと言った」
と千里。
「全くもう」
と青葉。
 
「事件が解決したら、すぐ熊谷でも浦和でも八王子でも、どこでも好きな所に連れてってあげるから」
 
「八王子って何があるんだっけ?」
「アクアの家の地下に、五輪の時に使った臨時プールを移設してる。25mだけど」
「そんな所に移設したんだ!」
「アクアの家が八王子にあること自体、ほとんど知る人間がいないし、アクアは絶対秘密を守ってくれるから、干渉されずに練習できるよ」
「それいいかも知れない」
 
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「君たちも、このことは誰にも言わないでね」
 
と千里が言うと、明恵・真珠・初海が「はい」と返事した。
 

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「で、どういう事件なの?例の白いセダンの話?」
と青葉は脱力したように尋ねた。
 
「そちらはあまり進展無いんですよ。それより急浮上した案件があって」
 
と言って、真珠は“白い虎の怪”事件の概要を説明した。時々明恵が補足する。青葉は途中から目を瞑り、腕を組んで考え込んでいた。
 
「猛獣が出るという点では巨大熊事件と少し似てるね」
「ええ。でも今度のは見た人が全員“虎がいたような気がしたけど、気のせいかも”と言っているんですよ。現実的存在感が無いんですよね」
「普通の取材チームなら“気のせい”で片づけてしまうだろうね。そして飲みすぎに注意とか、夜中にひとりで出歩くのはやめようとか」
 
「でも霊界探訪は違う」
 
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「これ放っておけばその内出なくなる気がする」
「だからその前にドイルさんのパワーで処理を」
 
「ちー姉は現場を見た?」
「見てない。青葉に先に見てもらったほうがいいと思って」
 
つまり千里姉が先に行って“うっかり”解決してしまったら、番組にならないから、青葉がそこに行くまでは千里姉も行かないようにしていたということだろうなと青葉は思った。遠慮しなくてもいいのに!
 
「明恵ちゃんは現場を見たんでしょ?何か感じなかった?」
「気のせいだとは思うんですけど」
「いや何でもいいから言ってみて」
「何か鉱物系の臭いを感じた気がしました」
「なるほどねー」
 

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Honda-Jetblackは (3/30 Wed) 15時頃に能登空港に着陸した。
 
そこから千里のMazda CX-5 に5人で乗ってS市に向かう。例によって運転するのは初海である!明恵は青葉・千里のバックアップとして必要だし、真珠は取材の責任者なので、結果的に初海がドライバー役にならざるを得ない。
 
「初海ちゃんは就活の進行状況は?」
「公務員狙ってるんですけどね。私コネとか無いから、どうなることか」
「初海ちゃん、1年生の時から公務員特別授業を受けてたもんね」
「凄いよね。私とかとてもそんな余力無かった」
などと真珠は言っているが、真珠は遊ぶのに忙しくて余分な授業に出られなかったのではと青葉は思った。2年生以降はコロナで自粛したようだが、1年生の時は、赤い公園のツアー全会場制覇したとか言ってたし(津野米咲が亡くなった時はしばらく喪章を付けていた)。
 
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真珠と明恵は「変な予断を与えることになるかも知れないけど」とは断った上で、飛行機の中、そして車の中で、様々な類話かと思えるものを語った。
 
・一休さんと屏風の虎
・傾城反魂香(絵に描いた虎が現実化し、それを絵筆で消す)
・安部公房の「魔法のチョーク」
・「陰陽師」の「梔子(くちなし)の女」
・ゴーレムを崩す方法
 
「無関係の話も多いと思いますが」
「いや充分参考になるよ」
と青葉は言った。
 
やがてS市に到着し、ホテルに入る。
 
そのホテルの部屋で、これまでの取材ビデオ(全部で6時間くらいある)をこの夜に3時間、一晩寝て、翌日(3/31 thu) の午前中に残り3時間ほど見てもらった。奈良や京都に取材に行って来たものも含まれている。
 
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「この朝護孫子寺、私も一度行ってみたいなあ」
「いい所でしたよ」
 

青葉は
「少し寝る」
と言って寝てしまう。明恵・真珠・千里も少し寝ることにする。初海が起きて待機している(青葉が逃げないよう見張り!)。
 
青葉は『きっと、ちー姉の眷属も見張ってるだろうな』と思い、逃げるのは諦めて自分を眠りに導いた。
 
でも、ちー姉の眷属って多分20-30人居そうだけど、3人あるいは6人の、ちー姉にどう対応してるんだろう?1人5〜6人ずつ??それとも全員が全眷属をランダムに使っている!??(*11)
 

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(*11) 基本的には、美鳳さんが付けてくれた十二天将は千里本体?である1〜3番に付いている。播磨工務店は元々千里4の眷属であるが、2番も支援する。ハルコンズは最初3番が管理していたが、コシネルズが1番の担当だったのが一時的に能力を失い3番が見るようになったので、ハルコンズは2番に託した。このようなグループに所属しない数人の眷属があるが、各々の事情は書き出すと100行くらいを要する。
 
天野貴子(きーちゃん)千里の最終守護神だが、彼女は4〜6番を知らない。実は彼女は4番の眷属なのだが、きーちゃん自身、そのことに気付いてない。
 
花星は基本的に5番の眷属だが、元々彼女を拾ったのは4番。
 
湖鈴(コリン)は4番の眷属である。
 
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和城理紗は千里1の眷属だが、葉月に付けていて、葉月が過労死しないように注意している!
 
(カブちゃんや豆腐ちゃんに代理をさせる:カブちゃんは葉月の代役を務めるため声変わり防止で睾丸を(ついでにペニスまで)取り外されたが、結局まだ返してもらってない!時々「ちんちん欲しいよぉ」と泣いている)
 
祐川紡貴(月夜)とエリッサ・ヴェルニエ(工藤映玲南・絵姫)は、きーちゃんの友人なのでサポートに加わるが誰かの眷属ではない。
 
キタキツネたち(小町と小糸の子孫たち:つまり2家系ある)は元々は“千里Y”の眷属であったが、現在その管理は千里6が引き継いでいる。
 
竜崎由結は龍虎の眷属である。
 

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春虎(10)

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