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■春虎(7)

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翌日午前中、取材内容と再現ドラマの内容をホテル内の部屋で見た幸花は
 
「よし。情報を募集しよう」
と言った。
 
そして金沢に戻ると、3月18日放送予定の『霊界探訪』の中に「S市周辺で、虎を見た気がする」という方がありましたら、ぜひその時間帯と場所をお知らせ下さい」というメッセージを組み込んだ。
 
そういう訳で、6月放送分の最有力候補として取材が進んでいた“白いセダン”がうまくまとまらなかった場合の予備として取材をしていた“白い虎の怪”についても、2月末段階で、ここまで取材は進んでいたのである。ただ、この時点では、この話がどこまでまとまるかは良く判らなかった。
 
なお3月18日放送分のビデオは、この後、3月14日に“車の勝手移動犯”の件を組み込んで再編集される。
 
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Timeline
 
2.14 青葉逃亡
2.18-19 信貴山・鞍馬寺・貴船の取材
2.26-27 S市で虎取材(遙佳再現ドラマ)
3.01 邦生に投資課への異動辞令
3.04 神谷内が「いしかわいこかな」担当に。霊界探訪の指揮は幸花に。
3.5-6 仙台で震災イベント
3.13 車勝手移動犯つかまる。
3.14 放送ビデオ再編集
3.18 人形の移動S市→金沢
3.18深夜 霊界探訪(動く人形の怪)放送
3.19 ビスクドール展はじまる
3.22-23 明恵たちが再度S市取材。桜坂に会う。
3.30 青葉が熊谷で若杉千代トリビュート・アルバムの編曲作業を終える
 

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邦生は3月1日同じ金沢支店内の渉外課から投資課への異動を命じられた。てっきり他の店舗への異動と思っていたので、びっくりしたが、おかげで邦生は少なくとも真珠が大学を卒業するくらいまでは一緒に暮らせることになった。
 
※邦生の知らない内部事情↓
 
青葉がワンティス・トリビュートアルバムの伴奏者として邦生をスカウト。

銀行が“顧客として有望な”青葉に協力して邦生を東京に長期出張。

便宜を図ってもらったお礼に青葉が銀行に80億の融資を申し込む。

青葉を逃さないため、邦生の他店への異動予定がキャンセルになり、金沢支店内での異動に
 

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しかし邦生は投資のことなど、さっぱり分からないので、3月1-2日に渉外課の自分の担当客先を同僚の大野由海に引き継いだ後、3月3,4日、7-11日は投資のことを勉強し、また投資課の他の人のお客様との応答をモニターで見て勉強した。5-6日は仙台まで往復してローズ+リリーのライブに参加したが、車で送ってくれた千里さんは「投資は一度自分で体験したほうがいい」と言って、投資ゲーム(?)のid/passを送ってくれた。
 
それで邦生は口座に入っている1000万円を様々なものに投資して、それを増やすというゲーム(?)を始めた。彼は1000万円の内、200万円をドル預金に換え、100万以内でFXをし、100万円は仮想通貨を買い、200万は複数の投資信託を買った上で、残り400万円を様々な会社の株式に投資して、日々値動きをチェックしていた。国債は買う意味が無いという結論に達した。国債より定期預金の方がよほどマシと思った。
 
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「投資の基本は常に相場を見ていることだなあ。やはり最初に失敗したのは3日も放置していたせいだ」
と邦生は思った。
 

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ところで邦生は、“ある理由”で2016年以降、身体の女性化が進んでいて、最近は女性にしか見えない容姿になっていた。ただしバストが膨らんだり、男性器が萎縮したりはしていない(実は僅かに萎縮しており男性ホルモンも弱くなっているが、勃起能力・射精能力は失われていない。実は体臭も女性の体臭に変化している)。喉仏は消滅し、撫で肩になって、腰の骨も女性的になっているし、脂肪が付いて曲線的な体型になっているので、彼の女子水着姿は女子の水着姿に見えてしまう。(筒石さんは女子水着を着けても男にしか見えない。春貴の水着姿は中性的:彼女は骨格が男性なので仕方ない)
 
それで実際邦生は紳士用のズボンが穿けなくなって、入社式で着た男性用スーツなどは、金沢の名鉄エムザ百貨店で、ウェストとヒップのサイズを指定して、イージーオーダーで作ってもらった服であった(*9).日常的に穿いているパンツは、もう4年くらい女性用のものである。レディスパンツは、前の開きのファスナーが無かったり!あっても短いので、立ってトイレができず、邦生は4年ほど男子トイレの小便器を使用していない。
 
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(*9) スーツを作る時、うまく世梨奈に乗せられて、ブラジャーを着けて行ったので、このスーツはバストに余裕のある作りになっていた。このスーツは、ずっと銀行の更衣室内のロッカーに置いていたものを2月14日に自宅に持ち帰った。でも放置されていたので、真珠が編集部に持ってきてしまっていた!これが2月27日の再現ドラマで使用された。邦生は自分のスーツが行方不明?になっていることに未だに気付いていない。
 

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邦生は性格的には元々、女子に警戒されないタイプで、小学生の頃から友人は男女半々くらいだったが、大学に入った後、女子の友人は増えたのに男子の友人はほとんど増えてないことに本人は気付いていない(女子化のせいだと思う)。大学の水泳部でも、青葉や蒼生恵・杏里などの女子部員とはよく話すものの、中原君や来里君などの男子部員とは事務的な話以外はあまりしていない。奥村春貴とは割と話していたが、彼は在学中に性転換しちゃった!
 
(最近の)邦生は雰囲気が女性的だし、名前の邦生(ほうせい)はしばしば“くにお”と誤読され女子の名前と思われるので、新入社員研修の時から性別を間違えられ、女子のグループで研修を受けることになり、お化粧の練習などもさせられた。性別は訂正しておきますと言われたのに、実際の現場に配属されても、性別は訂正されておらず、初日はスカートタイプの女子制服を着て勤務するハメになった。
 
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長谷知香課長に言って、男子の制服をもらったものの、男子のズボンが入らない!それで、特に事情がある女子社員のために用意されている女子用スラックスをもらい、それを穿いている。これはそもそも前開きが存在しない(女子には必要無い)ので、結局邦生は男子トイレの個室を使用している。
 
そもそも邦生の社員証は女子として登録されていたので、彼は女子更衣室・女子トイレには入れるものの、男子更衣室・男子トイレには入れなかった。これも長谷さんに頼んで、男子の社員証を発行してもらったが、女子の社員証もそのまま持っててと言われた。更に邦生のロッカーは女子更衣室から移動してもらえなかったので、結果的に邦生は入社以来2年弱にわたり、朝夕は女子更衣室で着替えている。トイレは男子トイレの個室を使っているが、しばしば女子トイレのお花の交換などを頼まれ、女子トイレの中にも入っている。
 
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女子行員の多くは彼をMTFかFTMかなのだろうと思っている雰囲気がある(MTF説とFTM説は拮抗している。半陰陽説もある。初期の頃あったゲイ説は消滅した)。一方男子行員の多くは彼を普通の女子と思っている!(ごく一部、MTFと思っている人もある)彼がお化粧していないことについては、アレルギーか何かで特に認められているのだろうと思われているようである。お客様も、ノーメイクの邦生をわりと好意的に捉えているようだ。特に若い女性の顧客には受けが良いようで、邦生が渉外課時代に担当した企業・商店の多くが、女性社長や、女性の役員がいる会社であった。(それで引き継ぎも女子の大野由海が引き継いだ)
 

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邦生は11月1日から1月3日まで、(青葉の用事で)東京方面に出張していて、1月4日から銀行に復帰した。彼が出張している間に、彼の男子制服(上着だけだが)は、同僚の伊川峰代と南田里菜の悪戯で処分されてしまい!代わりに同じサイズの女子用の上着と、クリーニングしたスラックスとがロッカーに置かれていた。
 
「くにちゃん、絶対女子制服であることに気付かないよ」
 
などと言っていたら、案の定邦生はそれが女子制服に入れ替わっていることに本当に気付かず、それを着て勤務していた。彼がそのことに気付いたのは2月24日に玉梨乙子に指摘されてからである。邦生は男子用制服が紛失しているので、再度もらえないかと長谷課長に言ったものの
 
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「別にどちらでもいいじゃん」
 
と言われてもらえなかった。それで、やむを得ず、女子制服(但しボトムはスラックス)を着て勤務している。
 
セクハラっぽい気もするが、みんな邦生は元々女子の服が着たいのだろうと“理解”されている!だから峰代は親切で彼に女子の服を着せようとしている。
 
長谷にしても入社時には男子に女子制服を着せる訳にはいかないと思い、彼に男子制服を支給したが、2年間彼を見ていて、くにちゃんは実質女子だなと判断したので、もう男子制服は渡さなかった。そもそも女子更衣室で他の女子の下着姿など見ても何も感じてないようだから、やはり心は女の子なのだろうと判断していた。
 

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また長期出張中に、なぜか(?)男子の社員証が無効になっていたので、これは長谷さんに頼んで再発行してもらった。
 
邦生は元々子供の頃、従姉の服を譲ってもらって着ていたので、右ボタン・左ボタンのどちらの服でも普通に着られる(その服が更にお下がりとして瑞穂に渡されていた:邦生はおとなしい性格なので服が傷まない)。
 
ちなみに、彼は入社以来、自分の健康保険証と年金手帳が「性別:女」になっていることに、いまだに気付いていない。それで健康診断も2度受けているが、30歳未満で婦人科検診が無いこともあり、何のトラブルもなく女子として健診を受けた(心電図の技師は乳房を切除したFTMさんかと思ったふしがある)。彼は6年間にわたる“女性化”により、実は心臓も女子の心臓サイズまで縮小している。但し水泳をしているだけあり、肺活量は8000ccある。
 
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「まあ、世の中、気のせいということ多いよね」
と千里が言うと
 
「同意。世の中にあふれてる“霊現象”の大半は、ただの気のせいですよ」
と幸花が言っていた。
 
明恵も
「その手の話の95%は、気のせいか思い違いなんですよ」
と言っている。
 
「“白いセダン”の話は絶対、ただの気のせいだと思う」
と幸花。
 
「私もその意見に賛成」
と明恵も言っている。
 
「“体調が悪い”とかも気のせいというの結構ある。体調不良を訴える患者に、ある医者があれこれ検査して異常が無いので困り果てて『これこういう症状の時によく効く薬です』と言って、生理的食塩水の注射をした。すると患者の症状はきれいに収まって『先生あのお薬とっても効きました』と言われたという話がある」
 
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「まさにプラシーボ効果だな」
 
「でもそもそも患者さんって、注射してもらうと、それで治る気がするんですよ」
と真珠。
 
「あるよね〜。単にお薬出しただけでは納得しない」
と初海。
 
「だから昔のお医者さんの得意技はブドウ糖注射」
「ありそう」
 

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「ドイルが手がけた案件で、時々あったらしいよ。クライアントに霊現象に関わっているならあるはずの“跡”が無く、現場に行ってみたもののどこにも怪しい所が無い。それで御札を貼って、大祓の祝詞あげて帰ってきた。するとその後『すっかり怪異は収まりました』と言われた、と」
と千里が言っている。
 
「まあ元々気のせいだしね」
と幸花。
 
「青葉さんは、わりとその現場に行って一瞬で悪霊を浄化してしまうことありますけど、一瞬で終わったというのでは有り難みが無いでしょ。クライアントも不安に思うし。それで、もう処理が終わってるのに、おもむろに数珠を取り出して般若心経あげて『処理が終わりました』とか言うことよくあります」
 
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と、結構青葉の助手を勤めた明恵が言う。
 
「そうそう。それもある。東京の瞬法さんなんかもよくそれやる」
と千里。
 
「まあ演出だよね〜」
と幸花は言っていた。
 

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