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■夏の日の想い出・花と眠る牛(2)

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その日、私が熊本でのKARION公演を終えてローズ+リリー公演のある福岡まで戻ってくると、政子は楽屋でAYAのヌード写真集を眺めている。
 
「あ、さっそく買ったんだ?」
「私が買いに行くと言ったら、窓香ちゃんが私が買ってくるというからお願いした」
と政子が言っている。
 
「マリさんを公演前に外出させたら、花枝さんに叱られます」
と窓香は言っている。
 
今回、ローズ+リリーのツアーには甲斐窓香(△△社の月羽涼香の妹。つまりローズクォーツのサトの義妹)が付いてくれている。昨年のツアーには桜川悠子が付いてくれたのだが、悠子は人が良いので、わがままな政子にかなり振り回されていた。それで今回は花枝の判断で選手交代となり、悠子はローズクォーツの方に付いている。渡部賢一グランドオーケストラにはベテランを付けた方がいいだろうという大宮副社長の判断から、○○プロの秋田有花さんを付けてくれた。篠田その歌の最後のマネージャーを務めた人である。
 
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「凄くきれいに撮ってあるよ」
と言って政子は写真集を見せてくれる。
 
「うん。きれいだね」
「撮影したの、新庄幸司さんじゃん」
 
「新庄さんには私たちも写真撮ってもらったね。着衣だけど」
「うん。大学1年の時と2年の時に撮影して写真集出したね。あの時ヌードも撮ってもらってたら良かったなあ」
 
「そんなことしてたら、お父さん、芸能活動再開、絶対認めてくれてないよ」
「だよね〜」
 
「ネットの反応見てたけど凄い。これかなり売れてるっぽい」
「まあ、売れるだろうね。人気絶頂でこういうの出したら」
「よくお父さんが許してくれたなあ」
 
「いや、多分お父さんの許可は取ってないと思う。20歳すぎてるから法的には親の承認は不要だし」
「そう?」
「ゆみちゃんち、どうも色々事情が複雑みたいだよ」
と私は言う。
 
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「そういえば、ゆみちゃんがお父さんやお母さんの話をしてるの聞いたことないな」
と政子。
 
「妹さんのことさえ、めったに話さないよね」
「ゆみちゃん、妹さんがいるの!?」
 
「それ自体、知らない人が多いよね」
 

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ローズ+リリーとKARIONのダブルツアーは順調に進んでいた。それと並行してローズクォーツ、渡部賢一グランドオーケストラの公演も進んでいた。
 
4月26日はKARIONが横浜、ローズ+リリーが幕張。(RQ:東京赤坂, GO:札幌)
4月27日はKARION・ローズ+リリー共に那覇。(RQも那覇, GO:仙台)
4月28日はKARIONが熊本、ローズ+リリーが福岡。(RQ:福岡)
4月29日はKARIONが福岡、ローズ+リリーが小倉。(RQ:広島, GO:東京)
5月3日はKARION・ローズ+リリー共に札幌。(RQも札幌, GO:福岡)
 
そして今日5月4日はKARION東京国際パティオ、ローズ+リリーが横浜エリーナである(ローズクォーツは横浜フューチャーホール、渡部賢一グランドオーケストラは大阪)。
 
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その日はゴールデンウィーク中ということもあり、KARIONの楽曲作詞者のひとりで福島市の大学に通っている櫛紀香さんがKARIONライブにゲスト出演するために来ていた。政子は櫛紀香さんにまた会いたいと言って、私と一緒にKARIONライブのある東京国際パティオまで出て来た。
 
「え?櫛紀香さんの本名って《よしだたくろう》なんですか?」
と政子は驚くように言ったが
 
「割と常識だと思ったな。2chとかにもよく書かれている」
と美空は言った。
 
「知ってた?」
と言って政子が左右を見回すと、和泉と私は頷くのに対して、小風は
「私も知らなかったぁ!」
と言っている。
 
「でも有名フォークシンガーとは全然字が違うんです」
と言って櫛紀香は
 
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《芳田卓郎》
 
と字を書いてみせた。
 

「でも櫛紀香という名前は性別を誤解させるよなあ」
と言いながらも政子は楽しそうである。政子はその手の話が大好きなのである。
 
「性別を間違えられるといったら★★レコードの松前社長なんかが凄いよね」
 
「うん。松前慧子さん」
と言って私は櫛紀香さんの本名の隣に字を書いてみせる。
 
「これで《さとし》と読むというのが無茶。中高生時代に、定期券を見せて、あんたこの定期券違うと言われたこと何度もあるって」
 
「それで大学生時代には違うと言われないように女装で通学してたんだっけ?」
「勝手な妄想話をでっちあげないように」
 
「冬は高校時代、いつも女子制服だったんでしょ? 性別男の定期券を持っててとがめられたことない?」
と小風が訊いたが
 
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「冬は性別女の定期券を使ってたんだよ」
と和泉がバラしてしまう。
 
「そうだったのか。だったら何も問題無いね」
と小風。
 
「私、高校時代は学生服で通学してるけど」
「だから今更そういう嘘をついてはいけない」
 
「松前社長の名前は、三木のり平さんの本名なんかと似たパターンだよね」
「則子と書いて《ただし》だよね。九州の方の駅長さんにも、やはり《子》が付く男性が以前いたよ。松浦駅だったかなぁ。その人はお父さんが、昔は小野妹子とか聖徳太子とか子が付くのは男だったんだとか言ってたって」
 
「その理屈が無茶だな。だいたい聖徳太子って名前じゃないじゃん」
「単なる後世の呼称。個人名は厩戸だよね」
 

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「でも今回のツアーに諫早とか甲府とかが入っている理由が、やっとファンにもバレたみたいね」
と小風は楽しそうに語る。
 
「うん。今回はメンバーの出身地を回るからね」
 
「ローズ+リリーはマリちゃんの出身地・諫早と、ケイの出身地・高山に行く。KARIONは私の出身地・水戸、みーちゃんの出身地・大阪、和泉の出身地・甲府に行く。蘭子の出身地・高山にも行きたかったけど、同じ日に高山でローズ+リリーが公演して、適当な会場が同じ高山市内に取れなかったからこちらは岐阜市でやるけどね」
 
と小風はほんとに楽しそうに解説する。
 
「いっそ同じ会場でKARION, ローズ+リリーのダブル公演ができないかというのも検討したみたいだけど、周辺の交通の問題で警察側が難色を示したのと、KARION公演の後でトイレとかに隠れていて、そのままローズ+リリー公演まで見ようとするファンが出た場合に対処できないというので、断念したみたい」
と和泉は言う。
 
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「ローズ+リリーはユニット誕生の地・宇都宮でもやる」
と私が言うと、小風が
「KARIONの誕生の地ってどこだろ?」
と訊く。
 
「2007年11月10日に初めてこの4人が一堂に会したんだよ。**市のスタジオで。だから私はそれがKARION誕生の日だと思ってる。その意味では今日の東京公演がKARIONの里帰り公演」
と和泉は言う。
 
「あの時、ゆきみすず先生に言われて4人で一緒に歌ったからね」
と美空も言った。
 
「確かにサインの最初の日付も2007.11.10だからね」
と私も言うが、少し付け加える。
「ただ、KARIONのメンバーの契約書は2007年12月17日に発効したはず」
 
「よく覚えてるね?」
「その契約書発行前日の16日に例の大事件があったからね。あれは契約発効日の夜からテレビでスポット流す、というスケジュールで進行してたんだもん」
 
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「そうか、そうだった。でも、あれはしんどかったね」
と和泉が言う。
 
「もっともその日も都内のスタジオに4人が集まったね」
「うん。それで新たにPVの撮影をした」
 

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「ね、冬。私と冬が最初に会った場所ってどこだろ? 高校?」
 
「中学時代にも一度会ってるよ」
「え!?」
「中学1年の12月に、政子、吹奏楽部の演奏会に出たでしょ?」
「あ、出てると思う」
「その時、政子、フルートの調子がおかしかったようで、さかんに振ってたんだよね」
「ああ。何か詰まってる感じだったんだよ、あれ。終わってからよくよく点検したら、掃除用の紙が入ってた」
「政子らしいや。それで政子がフルートを振りすぎて客席に飛ばしちゃって、そのフルートが命中したのが私」
 
「えーー!? そうだったんだ? 飛ばしたのは覚えてるけど、どんな人にぶつけたかは覚えてないや」
 
「不思議な出逢いだね」
と和泉が言っている。
 
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「もっとも、政子が福岡に住んでいた時代に、一度海の中道のプールで会ってたかも知れないけど私もさすがに当時のことは記憶が曖昧なんだよ」
 
すると政子は少し考えていた。
 
「私、海の中道のプールには1度しか行ったことない。その時、遠くから来た女の子数人と遊んだ記憶がある」
 
「女の子数人と遊んだ? あ、じゃ私じゃないね」
と私は言ったのだが
 
「待て」
と複数の声。
 
「マリちゃんって小学校に上がる年に東京に引っ越したんだったよね?」
と小風が言う。
 
「そうそう」
「それってさぁ。冬が幼稚園の頃、既に女の子になっていて、幼稚園時代のマリちゃんと遊んだと考えれば、何も矛盾が無い」
と小風。
 
「その説に賛成」
と和泉と美空が言う。
 
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「私、その時、その女の子たちと一緒に歌を歌ったんだよ。そしてその子たちに褒められて、少しだけ歌に自信を持つことができたんだよね」
と政子が言う。
 
「つまり、冬と政子ちゃんが最初に一緒に歌ったのは福岡ってこと?」
 
「いや、私は男の子なんだから、それは違う子だよ」
と私は言ったが
 
「当時から女の子だったに違いない」
と全員から断定されてしまった。
 
花恋は笑っていたし、櫛紀香さんは感心したような顔をしていた。
 
「ローズ+リリーの本当の誕生の地は福岡の海の中道ということで確定だな」
と小風は楽しそうに言った。
 
私もさすがに藪蛇だったかなと後悔した。
 

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「だけど何だかんだ言って、ケイってちゃっかり1日に公演3つ掛け持ちしちゃってるね」
と政子は楽しそうに言う。
 
「ちゃっかりじゃなくて、結構きついんですけど」
と私が言うと
「まあ、きついだろうね」
と小風も笑いながら言う。
 
「ローズクォーツの公演は11日で終わりだから、その後はKARIONとローズ+リリーだけになって、随分楽になる」
 
5月11日以降は、17日が水戸/宇都宮、18日は幕張/東京、24日は甲府/松本、25日は長岡/新潟、31日は富山/金沢、6月1日は岐阜/高山、7日は米原/大津、8日は岡山/広島、14日は長崎/諫早、と来て最後はKARION大阪、ローズ+リリー神戸で打ち上げである。
 
「アイドルの公演とかでは1日に3〜4回ライブやるのもあるけどね」
「アイドル自体が消耗品扱いだからなあ」
「アイドルになりたがってる子はいくらでもいるからね」
 
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「でもローズ+リリーはデビュー当時土日に1日16ヶ所キャンペーンなんてのもやってる」
と私が言うと
 
「ああ、それは消耗品扱いだ」
と小風に言われる。
 
「KARIONはそこまで凄いのはしてないな」
と和泉。
 
「それ20分ずつ歌ったとしても320分、5時間20分になるね」
と美空。
 
「喉を痛めないように私自身も政子にものど飴を舐めさせていたよ。移動中の車の中ではひたすら寝てたし」
と私。
 
「まあそれで私は消耗して、復活に時間がかかった気もする」
と政子は言う。
 
「私もそれでその時期に先行する1年くらい前からの記憶が曖昧だったり矛盾してたりするんだよね」
と私も言う。
 
「いや、冬の話はその時期でなくても矛盾に満ちてる」
「まだ私たちに隠してることあるよね、きっと」
 
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などと言われて私はたじたじとなる。
 
「でもピンクレディの人たちとかも活動していた時期の記憶がほとんど無いって以前言ってた」
「あれはあまりにも酷使しすぎ」
「日本では大丈夫だろうけど、某国の歌手とかだと、それに性接待まで入るんだよなあ」
「いや日本でも、かなり怪しい事務所がある」
 
「うん。こんな事務所に大事な娘をあずける気が知れんと思うほど酷い事務所もある」
 
「まあ、私たちが運が良かっただけという気もしないではない」
「それでも30-40年くらい前からすると、この業界も随分健全化してきたって一度浦中さんが言ってたよ」
「ああ。昔はほんとに酷かったろうね」
 
「多分芸者さん扱い」
「というか事務所も置屋感覚」
 
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「やはり、吉田拓郎さんたちのフォーライフが設立されたり、ぴあが出来てチケット販売の流れがまるで変わったり、最近だとAVEXの活動とかで、システムも刷新されて、新しい血が入ることで正常化してきたんだと思う」
 
と小風が言うと、櫛紀香さんがビクッとした顔をする。
 

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夏の日の想い出・花と眠る牛(2)

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