広告:ぼくは、おんなのこ-Beam-comix-志村貴子
[携帯Top] [文字サイズ]

■夏の日の想い出・公然の秘密(6)

[*前p 0目次 8時間索引 #次p]
1  2  3  4  5  6  7  8 
前頁 次頁 時間索引目次

↓ ↑ Bottom Top

午後から新曲発表記者会見が行われるた。
 
「休養明けということと、私たち4人とも大学を卒業してふつうの社会人になりましたので、新たなスタートということで、その記念に今回は特別に5曲構成としました。お値段が普段より少し高くなってしまいましたが、曲数が多いということでご理解を頂ければと思います」
と和泉は述べる。
 
「あのぉ、新たなスタートというと、今回蘭子さんが入って4人になられた訳ですが、その件についてコメントを頂けませんか?」
 
「蘭子はKARIONのデビュー以来、ずっと居ましたし、いつも一緒に歌っていましたから、特に変わりはないかと思いますが」
と和泉は笑顔で言い切る。
 
「蘭子さんって、ローズ+リリーのケイさんですよね?」
「蘭子は中学3年の時以来の私の親友ですが、彼女がKARIONの活動以外で何をしているかまでは私は知りません」
 
↓ ↑ Bottom Top

などといった感じで、この日の記者会見では、記者の質問と和泉の回答が噛み合わないまま進行したのであった。和泉が落ち着いて笑顔で答えているのに対して、かえってそばに付いているだけの滝口さんの方が緊張した面持ちであった。
 

↓ ↑ Bottom Top

ネットでは今回のCDの曲名について議論がなされていた。
 
「全部4人を象徴している」
というのが結論であった。
 
「『愛の三角錐(Love Tetrahedron)』だけど、本来三角錐の英語は triangular pyramid. Tetrahedronは四面体ということ。確かに三角錐と四面体は同じものだけど、わざわざこういう英語を添付するというのが憎い」
 
「『NEWS』というのは歌詞の内容を見たら確かにニュースなんだけど、NEWSという単語自体が4つの方角(North, East, West, South) を表している」
 
「『ビートルズのように』って、ビートルズは4人じゃん!しかもデビュー前に1人交替している所もKARIONと同じ」
 
「08年組でやってた楽器を考えると、和泉がリードギター、小風がリズムギター、美空がベースで、蘭子がドラムス。ビートルズでデビュー前に交替したのも、ドラムスのリンゴ」
 
↓ ↑ Bottom Top

「『時空を越える恋』だけど、時空というのはつまり4次元だよ」
 
「『四つの鐘』はそのまんま。元々KARIONは四つの鐘という意味。要するに今回は本当に新しいスタートということなんだろうな」
 

↓ ↑ Bottom Top

過去のCDのことも結構話題になる。
 
「2008年9月のアルバムに含まれる『Phantom Singer』。幽霊歌手って蘭子のことなのでは?」
 
「2009年4月の『恋愛貴族』は二股してる女の話」
 
「2010年4月のシングル『FUTAMATA大作戦』って、それ蘭子がKARIONとローズ+リリーを掛け持ちしてるってことだろ?」
 
「そのシングルに含まれる『ぼくらのラプソディ』だけど『ボヘミアン・ラプソディ』へのオマージュと、作詞者自身が言ってた。『ボヘミアン・ラプソディ』
を歌ったQUEENも4人」
 
「2010年8月のアルバム『春夏秋』だけど、当時からこの題名は不思議に思っていた。今思えば冬が欠けているんだ。つまり冬子が表に出てきていないという意味」
 
↓ ↑ Bottom Top

「2011年12月のシングルに含まれる『Earth, Wind, Water and Fire』はEarth Wind and FireのMaurice White (b 1941.12.19) の70歳の誕生日に捧げるという名目だったけど、KARIONの4人の星座の要素を並べたものにもなってる。美空が乙女座で地の星座、蘭子が天秤座で風の星座、小風が蟹座で水の星座、そして和泉が獅子座で火の星座」
 
「2010年8月の段階では1人隠れていたけど2011年12月では4人揃ったということ?」
「性転換手術を終えるまで表立った参加を控えていたとか?」
「むしろマリちゃん問題だと思う。その頃からマリちゃんが復活してきたから、安心してこちらにも露出するようになったんだと思う。マリちゃん2011年の8月に金沢ライブで復活してるから」
「ゴース+ロリーだよな?」
 
↓ ↑ Bottom Top

「2009年夏の『大宇宙』に含まれるタイトルも同じだよな。『天文クラブ』はクラブが蟹、『十六歳の誓い』は四四十六で獅子に掛けてる。『葡萄を摘む乙女』
はそのまま。『愛のバランス』はバランスって天秤のことじゃん」
 
「そのアルバムには4人の名前も読み込まれている。『マルスに吹く風』は小風、『アフロディーテの洋行』は洋子。『マーキュリーの白き影』は少し考えたけど、マーキュリーは水星で、白水で『泉』だよ」
「美空ちゃんは?」
「『宇宙戦争』。宇宙戦争といえばウエルズ。ウエルで『空』の字になる」
「すげー!」
 

↓ ↑ Bottom Top

記者会見では、今回のCDに封入した投票券についても触れた。
 
「現在6月か7月の予定なのですが、KARIONのベストアルバムを発売します。それでそこに収録する曲目をファンの皆さんの投票で決めようということで、今回のCDに投票券を入れることにしました」
と和泉が説明する。
 
「投票券の封入はこのCDだけですか?」
「はい。ダウンロードの場合も、★★チャンネル、gSongs storeなどからダウンロードした場合は投票できるIDが表示されます。ダウンロードストアによっては対応していない所もありますので、投票なさる方は対応しているかどうかを事前にご確認の上でお買い求めください」
 

↓ ↑ Bottom Top

記者会見の最後にひとりの記者が質問した。
 
「蘭子さんはこれまでのKARIONのライブには実際どのくらい参加していたのですか?」
 
「蘭子はこれまでのKARIONの公式ツアーで、最低でも1日以上、どこかの公演に必ず出演しています。実際の出席率は計算していませんが7割程度はあると思います」
と和泉は明言した。
 

↓ ↑ Bottom Top

新しいPVは週末の4月4日(金)夕方にアップロードされた。2008年1月のデビュー以来の主な楽曲のPVが掲載されたが、全て4人で歌っている映像だった。しかも新たに撮り直したものではなく、それぞれの時期の4人の映像であった。
 
つまり、これらのPVは当時、3人版で公開されたPVと同時に撮影されたものであることが確かだった。そして、旧版のPVをローカル保存していた人が新版と比較してみたところ、歌は全く同じであることが判明する。つまり純粋に映像のみを差し替えたものであった。
 
更に過去の全てのシングル・アルバムのジャケ写やブックレットの写真も刷新されていた。その全てに、こかぜ・いづみ・らんこ・みそらの4人が並んでいる。
 
↓ ↑ Bottom Top

「デビュー当初から、毎回3人版と4人版の両方のPVを作っていたのか!」
「ジャケ写も毎回3人版と4人版を作っていたんだ!」
 
「でも2014年4月4日に4人の映像を出すというのはダジャレか?」
「オカマの日にオカマの蘭子を露出させたんだよ」
「2014.4.4は、蘭子がKARIONに加入してから2301日目で4つの数字が並ぶ日数なんだって、和泉ちゃんが言ったらしい」(この件はソース不明)
 

↓ ↑ Bottom Top

さて、世間でローズクォーツからケイが卒業するのかとか、蘭子のこととかで騒いでいた4月1日から4日まで、ローズクォーツの新しいCDの制作を行った。
 
「ローズクォーツの陰のプロデューサー」などと記者会見で自称した政子は「私寝てる〜。冬よろしく〜」などと言って出て来なかったので、私ひとりでスタジオに出て行く。使用するスタジオは『魔法の靴』などを録った渋谷のLスタジオである。
 
「マリちゃん出てきてないの? だったら女装しなくてもいい?」
とタカが言ったものの
 
「いや、それが証拠写真をちゃんと撮ってこいと言われているので」
と私が言うと、渋々全員セーラー服に着替える。
 
ボーカルのOzma Dreamのふたりと覆面の魔女のふたりも当然セーラー服を着てもらったが、こちらはキャッキャッと楽しそうにしていた。
 
↓ ↑ Bottom Top

大宮副社長まで「僕もセーラー服着てみようかな」などと言ったものの「いえ、着なくても大丈夫です」と全員の声。
 
それでセーラー服を着た、タカ・サト・マキ・ヤスがそれぞれの楽器の所に就き、その前にOzma Dream と覆面の魔女(当然マスクをしている)が並び、その前に私がやはりセーラー服を着て立っている所を、専門のカメラマンに撮影してもらった。これをジャケ写に使う予定である。
 

↓ ↑ Bottom Top

RQPシリーズはシンプルな音作りをしたが、こちらは多彩な音を使用する。
 
Ozma Dreamのジュリアはギターが弾けるので、リズムギターに入ってもらう。ミキにはパーカッション類をお願いした。覆面の魔女(中の人はシレーナ・ソニカ)の穂花にはグロッケンシュピールを打ってもらい、優香がヴァイオリンを弾く。そして私がウィンドシンセを吹いて、ジャケ写には載らないのでセーラー服を着ていない七星さんがフルート、ひとりだけ男装のままの香月さんがトランペットを吹く。
 
総勢11名による演奏で、スコアは下川工房のフュージョン系のアレンジャーさんにお願いして作ってもらっている。
 
技術的に難しいものは無いので、初日は主として楽曲の解釈に関する確認をしながら練習し、2日目から演奏−収録に入る。2日掛けて楽器演奏の収録をして最後の1日でボーカル部分を収録した。
 
↓ ↑ Bottom Top

今回の制作指揮は基本的に大宮副社長が行ったが、だいたい私や七星さんに確認しながらやっていたので、実質的な音作りの好みは私や七瀬さんの趣味になっている。
 

↓ ↑ Bottom Top

4月9日(水)。ローズ+リリーの16枚目のCD『幻の少女/愛のデュエット』が発売された。4月4日からFMで掛けてもらったりしていたので『幻の少女』というタイトルが、かなり憶測を呼んだ。
 
「幻の少女って、それ蘭子=ケイのことじゃないの?」
 
しかし発売日当日からテレビに流され始めたスポットを見て「え?」という反応になる。
 
スポットの動画では、大学生っぽい青年がヴァイオリンケースを抱えて川縁を歩いている。そしてひとりの少女に出会うが、彼女もヴァイオリンケースを持っている。そしてふたりで一緒にヴァイオリンを合奏するのだが、演奏を終わってふと青年が隣を見ると、そこには誰もいなかったのである。
 
「このストーリーって、もしかしてワンティスの『恋をしている』?」
 
↓ ↑ Bottom Top

わざと1日遅れで発売記者会見をした。
 
「ワンティスの『恋をしている』が生まれたエピソードを聴いて、高岡さんが会った少女は実は幻で、本当は高岡さんご自身の心の中の少女に出会い、歌を生み出す力を蘇らせた、などというストーリーをマリが描いたんです。でも高岡さんが会った人って、実在したようですから、この空想は空振りでしたね」
 
と私は笑顔で説明した。
 
この記者会見を見た、某テレビ局のプロデューサーがそのストーリーでドラマを作りたいと言ってきたが、そういう話は上島先生にしてください、と振っておいた。
 
「むしろ『時間の狭間』の方が、物凄く意味深だという意見もあるようですが」
と記者さんは質問をしてくる。
 
↓ ↑ Bottom Top

「どういうことでしょうか?」
 
「こちらの物語では、短い時間の狭間を利用して、女の子が2人の彼氏と同時デートしてますね?」
 
「そうですね。コンピュータのマルチタスクのようなものです。ですから時間の狭間というのは、タイムスライスとかハイパースレッディングですね」
 
「ローズ+リリーのケイさんとKARIONの蘭子さんがタイムスライスで動いているとかは?」
「蘭子さんを知りませんので、お答えできません」
 
記者さんたちも、この件に関しては追求しても私も和泉も口を割らないようだという空気になってきつつあった。
 
『時間の狭間』のテレビスポットではひとりの少女が、清楚な服装からセクシーな服装にブロック状に切り替わって変身して、スーツ姿の青年と、ヤンキーっぽい若者の両方と同時デートしている様を描いている。
 
↓ ↑ Bottom Top

なお『幻の少女』と『時間の狭間』のPVで主演している少女は○○プロから売り出し予定の南藤由梨奈ちゃんという高校新1年生の子で、このPVのお陰で彼女のデビューCDの予約がかなり入ったようであった。(『幻の少女』の青年役はアイドル歌手で俳優の大林亮平、『時間の狭間』では大林が雰囲気をガラリと変えヤンキーな若者を演じている。スーツの青年は高橋和繁というモデルさん)
 

↓ ↑ Bottom Top

4月9日はKARIONのライブDVD第三弾『KARION 2010 風』とローズ+リリーのライブDVD第二弾『Rose+Lily 2010&2011』が発売された。
 
ここに至ってKARIONのDVDの副題が最初に『鐘』を提示した上でメンバーの名前にちなんだ副題になっていることに多くの人が気付いた。前回の『空』はアルバム『大宇宙』にちなんだものかと思われていた。
 
「次は『泉』?」
「いや、多分リーダーの和泉は最後。次は『蘭』か『洋』か」
 
『KARION 2010 風』に収録されているのはKARION の2010年ゴールデンウィークのツアー、夏のツアー、そして年末の四大都市ライブの映像である。例によってリハーサル版が添付されていて、リハーサルでは、小風・和泉・蘭子・美空が4人並んで歌っており、本番映像ではその蘭子が、あるいはコスプレして、あるいはどこかに隠れて演奏している姿が映っていた。
 
↓ ↑ Bottom Top

↓ ↑ Bottom Top

前頁 次頁 時間索引目次

[*前p 0目次 8時間索引 #次p]
1  2  3  4  5  6  7  8 
夏の日の想い出・公然の秘密(6)

広告:Back-Street-Girls-9-ヤンマガKCスペシャル