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■夏の日の想い出・公然の秘密(5)

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(C)Eriko Kawaguchi 2013-12-09
 
「冬はローズ+リリーとKARIONで、それぞれ200万円出したんだ?」
と政子は楽しそうに言う。
 
「そういえば去年の08年組のCDでも、冬って1人で2パート歌ってたよね」
と音羽が言う。
 
「ああ、その件、ファンサイトでも結構書かれていた」
と小風。
 
「色々伏線は出しておいたんだよ。そもそも本格的四声の曲を頻繁に出していた、というか2012年以降の楽曲はほとんど本格的四声にしていたのも伏線。『優視線』はマリといづみのライバル意識を歌った歌、『FUTAMATA大作戦』
は私がふたつのユニットを掛け持ちしていることを歌った歌。それからローズ+リリーの『恋座流星群(koiza ryuseigun)』とKARIONの『白猫のマンボ(shironeko no mambo)』のタイトルには karion, rose の文字が両方隠れている」
 
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「そのあたりの話も2chで一瞬見た。大量のログの中に紛れて、私も再度は見つけきれなかったけどね」
と小風。
 

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この日の実際のイベントの進行は、最初トップバッターで赤い衣装を着たローズ+リリーが出てきて、パープルキャッツ(XANFUSのバックバンド)をバックに40分間演奏した。
 
『君待つ朝』『花園の君』『雪の恋人たち』『私にもいつか』『花の女王』
『夜宴』といった珠玉の名曲を歌い、最後は『影たちの夜』で締める。
 
その後、黄色い衣装を着たXANFUSが登場して、トラベリングベルズをバックに40分演奏するのだが、この時、ピアノ/キーボードを蘭子、グロッケンを和泉が弾くという「トラベリングベルズ完全版」を初お披露目した。
 
本来は蘭子はピアノとヴァイオリンを弾くのだが、同時に2つは弾けないので、それは勘弁してもらい、ヴァイオリンはスターキッズの鷹野さんに代理で弾いてもらった。
 
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そして3番目にはスターキッズをバックに青い衣装を着たKARIONが登場する。ここで私は数年ぶりに観客の前で和泉たちと並び
「こんにちは! KARIONです!」
という挨拶を言った。
 
2007年11月にKARIONを結成した時と同じように、小風・和泉・蘭子・美空の順に並ぶ。
 
2009年以来ずっと、幕の後ろだとかセットの中とか、どこか隠れた場所で演奏し歌っていたので再び和泉たちと並んで挨拶できるのが、感無量だった。
 
観客は「いづみーん」「かぜぼー」「みそっちー」といったコールと一緒に「らんらーん」などというコールもしてくれる。
 
そのコールを聞いたら、感極まって私は涙を流してしまった。すると小風から指摘される。
 
「らんこ、泣くのは男の子に振られた時だけにしなよ」
「女の子に振られて泣いたことはあるけど」
と私が言うと
 
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「それは、らんこが女の子のくせに男の子の振りをしていて、性別詐称がバレて振られたのでは?」
と返される。
 
観客が爆笑してくれたので、それで私も元気になった。
 
『アメノウズメ』『コスモデート』『スノーファンタジー』『雪うさぎたち』
『僕の愛の全て』『星の海』と演奏する。
 
幾つかあるピアノの超絶プレイは、ステージ前面に設置してもらったキーボードYAMAHA CP4 STAGE で弾く。その弾いている様子をスタッフがカメラで写し、背景に投影する。それで超絶プレイを本当に私が弾いていることが会場の全観客に分かった。
 
そして最後は『海を渡りて君の元へ』で締める。
 

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KARIONが40分間のステージの最後の曲を演奏した後、黄色い衣装のXANFUSの2人、そして赤い衣装のローズ+リリーの2人が入ってくる。それで
 
「えーー!?」
と会場が驚きの声。この時、一瞬、やはり蘭子とケイは別人?と思ってしまった人が大勢いたようである。
 
がよく見ると、マリのそばにいるケイは、誰かがケイのマスクを付けているのだということが分かる(中身は実は夢美)。私の顔から直接型取りして作ったシリコン製のマスクである。
 
伴奏陣は全員入って来て、適当に楽器を持ち、好きなように演奏している感じ!
 
それで8人でまずコラボ曲『8人の天使』を歌う。8つの声が交錯する。ケイのパートは実際に夢美が歌っている。夢美はオルガンの道に進んでしまったが、元々歌もとても上手い。
 
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更に同じコラボ曲『Love Race』を歌った上で、KARIONの『歌う花たち』を8人で歌い、ローズ+リリーの『Long Vacation』、XANFUSの『The Ball Lover』、と歌い、最後はコラボ曲『歌姫』で締めた。
 

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客席からアンコールが掛かる。
 
それでまた8人で出て行くが、今度はマリの隣に赤い衣装を着て並んでいるのが本物の私で、和泉たちと並んで青い衣装を着ているのはマスクをかぶった夢美である。アンコールの拍手の間に大急ぎで衣装を交換したのである。
 
ファーストアンコール曲はKARIONの『愛の鐘を鳴らそう』。KARIONの4人を中心に、右側にローズ+リリー、左側にXANFUSが並ぶが、全員で歌う。(但し蘭子のパートは私が歌っている)
 
セカンドアンコール曲はXANFUSの『Pray for Love』。XANFUSの2人を中心に、右側にKARION、左側にローズ+リリー。
 
そしてサードアンコール。ローズ+リリーの『神様お願い』。私とマリを中心にして、右側にXANFUS、左側にKARIONが並び、震災復興の思いを胸に歌い上げた。最後は会場全体が合唱になった。
 
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そして4月1日、私たちはローズクォーツのボーカル問題について記者会見を開いた。
 
この背景として3月に出たローズクォーツのアルバムで桜の歌をたくさん歌っていて、桜の歌というのは別れの歌・卒業の歌が多いので、このアルバムを聴いたファンの中から
「これはケイちゃんがローズクォーツを卒業する記念のアルバムですか?」
などという声が出たというのがあった。
 
それまで私たちはその問題についてコメントを控えていたのだが、UTPの大宮副社長が「4月1日に記者会見しよう」と言い出し、シナリオも書いてくれたので、私とマリ、タカとサト、花枝, Ozma Dreamの2人、★★レコードの氷川さんと加藤課長・町添部長が出席する。
 
最初に、大宮副社長の企画であちこちの関係者に頼んで収録したコメントのビデオを上映した。
 
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だいたいみんな思わせぶりのコメントをする。
 
上島先生。
「元々ローズクォーツの結成は営業サイドの読み違いの産物。このユニットを作ったことでふたりが大学入学後にすぐ再開するはずだったローズ+リリーの活動が1年遅れてしまった。でも、ケイちゃんはここまで何とか両方のユニットをうまく回すように良く頑張ったと思う。これ以上頑張り続けるのは消耗してローズ+リリーとローズクォーツを共倒れさせるだけ。そろそろ決断の必要があったね」
 
雨宮先生。
「まあケイは何でも言われたことをそのままやろうとする癖がある。良く言えば頑張る子、悪く言えば流されやすい子。でもローズ+リリーとローズクォーツの両立は無理。こういう子は周囲が気をつけてあげてオーバーフローしないようにしてあげないといけないんだよ」
 
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サウザンズの樟南。
「ケイは凄いパワー持った子。多分10年後には日本のポピュラー音楽界の中心になっいると思う。だから大事に使ってあげなくちゃ。まあ、アルバム作る度に雑用で呼び出してる俺が言うのも何だけどな」
 
サウザンズのアルバムにはここ数年、制作スタッフのクレジットの中にYoko の名前がある。それでこの樟南の発言は、柊洋子とケイが同一人物であることを示唆したものとして注目された。
 
スカイヤーズのYamYam。
「ローズクォーツ始めて何年だっけ?3年? それだけやれば充分ご奉公したんじゃない?もう良いでしょう」
 
スイート・ヴァニラズのElise。
「ケイー、マリー。一度一緒にベッドの上でいいことしようよぉ」
 
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酔ってんじゃないか!?授乳によくないぞ。
 
若山鶴音大先生!
「冬ちゃん、ローズクォーツとか売れないバンドやってるくらいなら、うちの会派に入って若山流の民謡教室を開いてよ。冬ちゃんなら、生徒さんいっぱい来てくれるよ」
 
確かに民謡を志す人は増えるかも知れないが町添さんが青くなりそうだ。
 
AYAのゆみ。
「バンド形式では私とフィールドが違うと思ってた。でもケイちゃん実質的に既にローズクォーツから離れているよね。マリちゃんと二人、ボーカルユニットのローズ+リリーなら私のライバル。正々堂々と戦おうよ」
 
XANFUSの光帆。
「ケイちゃんって頼まれたら断れない性格だし、物を捨てない性格だし。結局それでどこか無理が行って破綻する。マリちゃんは切るの得意だからマリちゃんとよく相談して一緒にやっていけばいいと思うな」
 
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KARIONのいづみ。
「ケイとは中学3年生の時以来、もう7年の付き合いになるね。でも考えてみると、私と会った時もう既にバリバリこの世界で稼いでいたんだよね〜。だけどさ、ケイ、男の人に囲まれて仕事するのもいいかも知れないけど、女の子同士でワイワイと楽しくやるのもよくない?」
 
普段から時々レスビアンっぽい発言のある和泉なので、変な意味に取る人もあったものの、男の人に囲まれてより女の子同士でというのは、ローズクォーツよりローズ+リリーを優先しなよという意味ではある。ただ、KARIONのことを言っているように聞こえる意味深な発言だった。
 
渡部賢一さん。
「ケイちゃんを初めて見たのは彼女が高1の夏なんだけど、凄く柔軟な歌い方をする歌手だと思った。何にでも合わせられるのが彼女の良い所。でも合わせすぎて無理しがちな面もある。本当はきちんと仕事のコントロールができる人が傍に居るといいのだろうけど、彼女と接しているとついついたくさん仕事を頼みたくなっちゃうよね。でも今回は潮時だよね」
 
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みんなのメッセージが、ケイがローズクォーツを辞めることを示唆している。
 
それをたっぷり見せた後で私は笑顔で言った。
 
「お集まり頂きありがとうございます。メッセージをくださった方々にもこの場を借りて御礼を言いたいと思います。それで本日の記者会見の内容ですが、これをわざわざ4月1日という日付で開いたというので、趣旨をご理解頂きたいのですが」
私の発言に爆笑が起きた。
 
「やはりケイさん、卒業しないんですね?」
「私もマリも大学は卒業しましたが、私はローズクォーツからは離れません」
と私は言う。
「ケイは多分あと5年はローズクォーツのボーカルを続けると思います」
と町添さんも発言した。
 
それで私はローズクォーツのボーカルを続けるものの、実際には多忙でライブなどに付き合えないので、これまで半年間、ローズクォーツの代理ボーカルを務めてくれた《覆面の魔女》の後任として、Ozma Dream の2人に1年間、代理ボーカルをお願いしたことを明らかにした。
 
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「Ozma Dreamさんは、ケイさんとお知り合いだったんですか?」
 
「2008年の1月に、実は私とジュリア・ミキの3人で、KARIONの全国キャンペーンのコーラスを務めたんです」
と私が言うと、記者の間でざわめきが起きた。
 
私のこれまでの発言では、KARIONの結成前にメンバー候補者であったことだけを述べている。しかしここでデビュー後もやはりKARIONに関わっていたことを明言したのは、やはりケイ=柊洋子を示唆する発言と取られたようである。
 

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その後記者会見では、ローズクォーツの次のシングルが『セーラー服とさくらんぼ』
というタイトルになること。そしてゴールデンウィークに全国ツアーをすることを発表した。
 
「全国ツアーのボーカルはどなたが務められるのでしょう?」
「はい、Ozma Dreamのおふたりにお願いしました」
 
これまでローズクォーツのツアーはケイの知名度頼りだったけど、あれだけテレビに出ているのだから、ケイ抜きでも充分客を呼べるはずというのが大宮さんの考えで、私もタカもその方針に賛成した。
 
「ケイさんは出られないのですね?」
「私は同時期にローズ+リリーのツアーもやるので両方は無理です」
 
「同時期にKARIONのツアーもあると思うのですが、そちらには出られますか?」
とダイレクトに訊く記者もいるが
 
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「KARIONは別に関係無いと思いますが」
と私はにこやかに答える。
 

ローズクォーツの記者会見の翌日、4月2日。KARIONの22枚目のシングルが発売された。このシングルに関しては事前にタイトルもジャケ写も、また収録されている曲名も公表されないという異例の扱いになった。
 
しかしそのことで噂が噂を呼び、このシングルは予約だけで50万枚入る熱狂となった。
 
当日朝4時以降にテレビスポットが流れタイトルが『四つの鐘』であることが明かになると、やはり!という声が上がる。しかもそのテレビスポットでは、いづみ、みそら、らんこ、こかぜの4人が歌っていたのである。
 
今回、収録された5曲全てのスポット動画が作られており、それがランダムに流れるので、全部を見ようとテレビにかじりつく人もあった。
 
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またこの日、これまでyoutubeなどの動画サイトに掲載されていたKARIONの公式PVが一斉に削除された。そして∴∴ミュージックのサイトで「新しいPVを数日中に公開します」というメッセージが掲載された。
 
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夏の日の想い出・公然の秘密(5)

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