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■夏の日の想い出・公然の秘密(2)

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「2012年1月にはFMで『ローズ+リリー+あなた』が放送開始するからこの時点でケイはもう完全にローズ+リリーに活動の主軸を移している。ケイは2月以降『ローズクォーツのリクエスト大作戦』にも出なくなった」
 
「俺的にはケイがローズクォーツに本当に在籍していたのは2010年10月から2011年2月までの5ヶ月間だけだと思う。恐らくは性転換手術を受けるのを理由にして辞めたんじゃないかな。その後は音源制作に協力していただけだよ」
 
「ローズクォーツの音源制作にも実はほとんど関わってない。ケイとマリのボーカル部分って、他のメンバーによる演奏が出来た後、ふたりだけスタジオに入って別録りしてるって、いつかマキが言ってた。ケイがローズクォーツのCD制作に関与したのは2011年7月の『一歩一歩』が最後」
 
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「2011年7月って、1日に『一歩一歩』22日に『夏の日の想い出』が出て異例だと当時思ったけど、前者がローズクォーツにケイが参加した最後のCD, 後者はローズ+リリーの復活CDと考えると自然なんだよな」
 
「『起承転決』以降のローズクォーツのCDが妙に安っぽくなったのはケイが制作から離れたからだと思う」
 

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1月13日(月)。私と政子はUTPから、話があるということで呼び出され事務所に出て行った。すると、そこに思わぬ顔がある。
 
「マリちゃん、ケイちゃん、おはよう」
「おはようございます」
 
それは何と、○○プロの大宮係長だった。
 
「僕、今日からここの副社長になったから」
「えーーー!?」
 
そばで須藤さんが
「浦中さんには参った。押し切られた」
などと言っている。
 
須藤さんもかなり押しが強いが、さすがに浦中さんには負けるだろう。
 
「だったら、私たち取締役、辞めてもいいですか?」
と私は言ったのだが、
 
「それはダメ。でも株式を少し譲ってよ。所有率を調整させて」
と大宮さんは言った。
 
「いいですよ」
 
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「今株式はどうなってるんだっけ?」
と大宮さんが尋ねるので、
 
「私とマリが24%ずつ合計48%で、松島取締役と諸伏取締役が1%ずつ、スターキッズの近藤さんとローズクォーツの槇村さんが0.5%ずつ、そして須藤社長が49%です」
と私が説明すると
 
「つまり、UTPはサマーガールズ出版の子会社なんだ!」
と大宮さんは言う。
 
「ああ、そういう指摘は受けたことあります。株を持って役員を派遣している訳ですから」
 
「じゃさ、ケイちゃんとマリちゃんの持ってる株の11%ずつを譲ってくれない?」
「いいですよ」
「それで○○プロがUTPの株の22%を持つ。ケイちゃんとマリちゃんが合わせて26%で、須藤君が49%変わらず。つまりUTPは、サマーガールズ出版・○○プロ双方の関連会社になる。どちらも19%以上だから」
 
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「なるほどですね」
 
「ちょっとぉ、それ私の承認無しで?」
と須藤さんは抗議するが、私たちは株式の譲渡をすることで大宮さんと同意してしまった。
 
「でも○○プロがUTPごときに肩入れしてくるんですか?」
「肩入れというより梃入れだね」
「へー」
 
「ローズクォーツの営業成績を改善する」
「ほほぉ」
 
「だいたいゴールドディスクを連発しているユニットが赤字で、メンバーの生活費もまともに出ないとか、絶対やり方がおかしい」
 
「ああ、そういう意見は聞いたことあります」
「ローズクォーツの営業窓口も一応うちだからさ、年初の取締役会で問題になったんだよ。某うるさ方の役員さんから追求されてね。それで浦中副社長から僕にお前行って改善して来いと指令が出た」
と大宮さん。
 
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某うるさ方というのは保坂早穂さんだろうなと私は思った。去年ローズクォーツの台湾ライブにゲスト出演してもらって以来、政子と仲良くして色々電話でも話していたので、UTPの経営状態にも関心を持ち、ローズ・クォーツの運用状況に気付いて、何だ?と思ったのだろう。
 
「それで浦中さんから押し切られた」
とまだ須藤さんは言っている。
 

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それでローズクォーツのタカも緊急に呼び出されてきて、花枝(制作部長)と一緒に企画会議に加わる。
 
「リーダーじゃなくて僕でいいんですか?」
などとタカは戸惑ったような声をあげたが、
 
「マキちゃんじゃまともに話ができないでしょ」
などと大宮さんは言っている。
 
大宮副社長はまず最初にこれまでローズクォーツは月・火は原則お休みとしていたのを廃止すると宣言した。売れっ子アーティストに休みは無いよ、と言う。これにはタカも「お仕事を頂けるんでしたら、それで構いません」と返事した。
 
大宮さんは事前リサーチの結果として、私が多忙で充分動けないので、それが営業のネックになっていると指摘。私に事実上の「名誉ボーカル」にならないかと打診した。
 
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「ファンの気持ちを配慮した形でできるのでしたら」
と私は言ったが、タカは、むしろケイが正式に辞任しても構わないと思うと言った。
 
タカは私の負荷が重すぎるのをずっと気にしていたと言い、またファンもケイがローズクォーツから離れるのは既定路線と考えているので今辞任を発表してもそんなに大きな混乱は無いはずと言った。
 
しかし、大宮さんは営業政策上、ケイはローズクォーツに在籍している形にした方がいいと言う。
 
「既に4月からはOzma Dreamを代理ボーカルにして活動する方針になっていますが、代理ボーカルという名目で実質正ボーカリスト扱いでいいと思う」
と大宮さん。
 
「それで毎年交替ですか?」
「うん。それは毎年話題作りに使えるから。それで5年くらいやってみるといいと思う」
 
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それで大宮さんはいきなりゴールデンウィークのローズクォーツの全国ツアーを決めてしまう。ローズクォーツのツアーは2012年2月以来だ。またライブハウスへの出演に関して、既に決まっているものはそのままやるにしても、その先は営業的なメリットを考えて再計画させてくれと言った。確かに客層が違いすぎて、こんなところでしても意味があるのか?と思うような出演はこれまで結構あったのである。
 
「テレビの歌番組で演奏しているから一般への知名度が高い。だから宣伝すれば大箱のチケットは絶対売れる」
 
「まあ確かにうちは、これまであまり宣伝ってまともにやってなかったですね」
とタカ。
「そう。それをこれまでも歯がゆく思っていたんだよ」
と大宮さん。
 
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「FM番組で紹介してもらったり、youtubeに流したりしてますが・・・・」
と須藤さんは言うが
 
「宣伝の内に入らない。テレビスポット打ったり、雑誌やネットに広告を出したりもして、積極的に宣伝すべき」
と大宮さん。
 

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1月8日にロリータ・スプラウトの9枚目のアルバム『Wind』がいつものように大手配信ストア各社から発売された。が、同時にロリータ・スプラウトが2009年10月に発表したデビューアルバム『High Life』の「マリケイ版」も★★チャンネルのみでダウンロード販売開始された。
 
当時アルバム制作をした時に、システムで声を変形する前の生の歌唱も保存していたものをリミックスしたもので、2009年のローズ+リリーの貴重な音源でもある。
 
するとこれまでロリータ・スプラウトのアルバムは毎回7-8万DLくらいしか売れていなかったのが、『Wind』が20万DL、『High Life』の「マリケイ版」
25万DL、「スプラウト版」まで新たに10万DL売れたのである。
 
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レコード会社にとっては、あらためてローズ+リリーが「ドル箱」であることを認識させるできごとであった。
 

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募集していたロリータ・スプラウトの「似顔絵」は1月12日(日)に締め切られ、ロリータ・スプラウトのリーダー《アン》(中の人は政子)の選定で4人の「公式似顔絵」が確定した。
 
そして1月25日(土)にロリータ・スプラウトの初ライブが東京都内で開かれた。チケットは年末に売り出されて1日でソールドアウトしている。
 
今回のライブで伴奏を務めてくれたのは、ローズクォーツである。ロリータ・スプラウトが歌っているような少し古い時代の洋楽は、ローズクォーツの得意とするところである。ローズクォーツは毎週土曜日にテレビのレギュラー生番組を持っているが、番組終了後にホールにやってきた。
 
ライブはステージにスクリーンを下ろして、そこにロリータ・スプラウトの4人の絵を動画で投影し、4人が歌いながら踊っているように見せている。初音ミクのライブと似た感じである。実際にはローズ+リリーと同じ事務所のバレンシアの美歓(みかん)・愛好(あいす)・麩鈴(ぷりん)・是梨(じぇり)の4人がスクリーンの後ろで踊っているのをモーションキャプチャーし、リアルタイムでアニメに変換して投影している。とってもハイテクなのである(お金も掛かっている)。そしてもちろん歌は、私とマリが(やはり幕の後ろで)2人で歌っているものをシステムで4声に変換しながら流している。
 
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最初オープニングで出たばかりのアルバム『Wind』の中からオリビア・ニュートン・ジョンの『Have You Never Been Mellow(そよ風の誘惑)』を演奏したが、挨拶の後、「今日の仕組みの説明」として、スクリーンを巻き上げて実際の伴奏者、ダンサー、歌唱者を紹介すると、歓声があがっていた。なお、ステージ後半ではダンサーはバレンシアの残りの観来(みるく)・心亜(ここあ)・礼文(れもん)・来夢(らいむ)に交替することも告げられ、8人並べて挨拶をさせた。
 
ライブの前半では『Wind』に含まれるオリビア・ニュートン・ジョンとケイト・ブッシュ、その前のアルバム『Dancing』に含まれるノーランズ、ABBAの曲を中心に演奏。ゲストタイムと称して、バレンシアの(本来の形での)生ライブで3曲演奏した後、後半はこれまで発表したアルバムとは関係無く、2012-2013年くらいの洋楽ヒットを中心に演奏した。
 
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そしてアンコールはロリータ・スプラウトのファースト・アルバム『High Life』
の中から、リリックスの『Sweet Temptation』、そしてアラベスクの『High Life』
で締めた。
 

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ロリータ・スプラウトのライブの翌日、2014年1月26日(日)、篠田その歌が結婚式を挙げた。その歌は2004年秋の○○プロ・オーディションで合格。即戦力ということで2005年2月に『魔法の扉』でデビューして昨年末、武芸館での引退記念コンサートまで、約9年間アイドル歌手として活動してきた。
 
2枚目のCD『ポーラー』で上島雷太先生が楽曲を提供したのを機に大きな人気を得、一時期ペースダウンしていたものの、2009年6月上島先生と、新人作曲家・秋穂夢久(あいおむく)の曲をセットした『Drinving Road No.10/愛の定義』で息を吹き返し、何枚ものゴールドディスクを出して、★★レコードの中堅歌手として活躍し続けた。
 
それで結婚式には★★レコードの松前社長、町添部長も出席していた。
 
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そして私とマリも結婚式には招待されていた。
 
「秋穂夢久さん、来ると思ってたのに、祝電と花束だけなのね」
と同じ○○プロの歌手、貝瀬日南(かいぜひな)が私たちに言った。
 
「色々事情があって、あまり表に出られないとか丸花社長が言ってたよ。個人的にその歌さんに会って直接おめでとうと言ったらしいけどね」
と私は答える。
 
「ほんと?それは初耳。でも、秋穂夢久と連絡を取れるのは丸花社長だけらしいね。病気とかでずっと入院しているのではとか、公務員とかの本来副業をしてはいけない仕事に就いているのではとか噂はあるけど」
と日南。
「病気とかではないとは言ってたよ」
 
「へー。でもそれなら、その歌さんの分の印税・著作権使用料だけでも多分年間3000万円くらいあるよね。公務員とかしてるんなら、それ辞めてもいいんじゃないかって気もするけどなあ」
と日南。
 
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「その歌さんが引退するので、その収入も無くなるけどね」
「いや、あれだけの楽曲を書ける人を○○プロも★★レコードも手放さないでしょう。誰か他の人に楽曲提供すると思うけどなあ。今までもどうして他の人には出さないんだろうと言われていた」
 
「そういう作曲家はいるよ」
「元々その歌手に縁故のある人の場合だよね。それで、あれは実は篠田その歌自身のペンネームでは、なんて説もあったよね」
「ああ、それは聞いたけど、その歌さん、それは有り得ない。自分が秋穂夢久なら賃貸住まいしてないよ、なんて言って笑っていたよ」
 
「そっかー。なんなら秋穂夢久さん、私に楽曲提供してくれないかなあ」
と日南が言ったら、政子が
 
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「日南ちゃんも最近だいぶ歌が上手くなったもんね。前田部長に直訴してみたら?」
などと笑顔で言った。へー!
 

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