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■夏の日の想い出・星導きし恋人(9)

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(C) Eriko Kawaguchi 2021-06-03
 
「変な夢だったぁ」
と月乃岬(東雲はるこ)が起きたかと思ったら声をあげるので、彼氏(平野啓太)とメールしていた落合茜(町田朱美)は
「どうしたの?」
と声を掛けた。
 
2人は同じ部屋に隔離されベッドを反対側の壁に付けて寝ている。
 
「隔離してもらうと言われて、サクマ・ドロップの缶みたいな所に入れられるの。でも渡される食料が3日分くらいしか無くて。その缶がまたブリキの石油缶みたいなのの中に入れられて、土の中に埋められて上から土をかけられちゃうの。そして2週間後に掘り出してあげるからって言われたけど、食料が少ないよーって思った所で目が覚めた」
 
常識外れに少食な岬のいう「3日分」の食料って、普通の人にとっては2〜3食分かも知れない、と茜は思った。でもそれより・・・。
 
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「それ隔離というよりまるで人柱だ」
 
「あ、そんな気がする」
と言ってから、岬は言った。
 
「たぶん私、前世では人柱にされてる」
「まあ岬みたいに霊感のある子はそういうのに選ばれやすいと思うよ。きっと前世では巫女とかしてたのかもね」
「前世では巫女だったでしょ、って過去に何度か言われた。でもそれにしては、金沢ドイルさんに除霊してもらうまで、天狗岩の霊障に気付かなかったけど」
 
「ドイルさんは凄すぎるもん」
 
そして茜は言った。
「あの時期は、岬は男の子の身体に閉じ込められていたから、本来の霊感が充分働かなかったのかもよ。除霊してもらった後、歌手として売れちゃったのは、除霊と前後して岬が女の子の身体に変化してしまって本来の能力が目覚めてきたからかもね」
 
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「確かに女の子の身体になってから神経が研ぎ澄まされる感覚になること多い。生理はきついけど」
 
「岬、やせすぎだもん。コスモス社長からも、もう少し体重増やしなさいって何度か注意されたね」
 
「うん。でもなかなか体重増えなくて」
 
あの食事量では体重が増えるわけないと茜は思う。
 
「昔、この事務所のタレントさんでダイエットのせいで生理不順が酷くて、引退して結婚してからもなかなか赤ちゃんに恵まれなかった人がいて、その人からの意見で、うちの事務所はダイエット禁止になったらしいよ」
 
「寮の御飯も無茶苦茶多いよね!」
「無茶苦茶というほどでもないと思うけど。好永ちゃん(恋珠ルビー)とか、舞美ちゃん(常滑真音)とか、いつも『お腹すいたー』と言ってて、かなり自分でも料理作って食べてる」
 
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「元気いいなあ」
「はるこちゃんも頑張ろう」
「うん」
「隔離中はジョギングとかもできないし、取り敢えず腕立て伏せとかする?おっぱい大きくなるよ」
「おっぱいはもう少し大きくなってもいいなあ」
と東雲はるこは朱美のバストを羨ましそうに見ながら言った。
 

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「ボク、最近バストが急成長したみたいで」
と雅水は久しぶりに男子寮を訪れた姉(元兄)の信希に言った、
 
「へー。まあそういう時期もあると思うよ」
「今までのブラジャーとかブラウスとか入らないからお姉ちゃんの借りてた。それと男子制服も胸がきつくて」
 
「じゃ、取り敢えずブラジャーとブラウスは新しいの買ってあげるよ」
「うん」
 
それで信希はメジャーを出して妹(元弟)のバストサイズを計ってあげた。
 
「アンダー66, トップ80か。これならC65だと思う」
と信希はブラジャーのサイズ一覧表を見ながら言う。
 
「Cなの!?」
 
まだCなんて着けるには心の準備が足りないよーと雅水は思った。
 
「これなら今着けてるのでもきつくない?」
「少し」
「じゃC65を頼もう」
と言って、信希はウィングの通販サイトに接続してC65のブラジャーとショーツのセットを取り敢えず5セットオーダーした(全てベージュ:同色であると、“片方紛失して色が揃わなくなる”問題が起きない)。
 
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またブラウスに関しても、信希が着けていたブラウスより、ひとつ上のサイズの白い半袖ブラウスをこちらはセシールで頼んだ。
 
「お前、ブラ線がブラウスにすけても平気?」
「今更だし」
 
でも取り敢えず、ブラウスの下に着けるグレイのアンダーシャツも頼んだ。ブラジャーの上にこれを着てからブラウスを着ればブラ線は見えない。
 
もっともバスト自体がこれだけあれば“ブラ線”は見えなくても、“おっぱい”自体がかなりあるのが目立つだろう。
 
「学生服もバストのひとつ大きいの頼んであげるよ」
と言い、信希は先日から“女子用男子制服”を販売始めたと聞いていた制服メーカーのサイトに接続し、雅水の生徒手帳をスマホで撮影したものを添えてCカップサイズのバストが入る学生服を頼んであげた。代金は自分のスマホのPaypayで支払った。
 
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なお信希は「お前、女性ホルモンが利きすぎてるからしばらく飲むの休んだ方がいい」と言って、妹の部屋を出る時、雅水が所持していた女性ホルモンの製剤を全て回収して出ることを忘れなかった。実際には今後はもう必要無い。
 
またトイレにナプキンの袋が置いてあり、使用した形跡があるのも見て頷いた。
 

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彼は“した”後、液体をティッシュで受け止めてから、首をひねった。
 
「なんか最近薄い気がする。やはりしすぎなのかなあ。でもセックスは週に1回くらいしかしてないのに」
 

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2021年5月16日(日).
 
小浜のミューズシアターを使用して、アクアの春のライブが行われた。むろん無観客で、あけぼのテレビ方式のネット中継である。画像接続2000人と音声接続5000人が抽籤で会場に並べられたモニターおよびスピーカーから応援する。その他1万人のファンの写真または自画像の書き割りが並んでいる。定員2万人のミューズ・シアターが完璧に埋まっている感じである(アクア以外の歌手の場合は、会場途中に仮壁を設置して定員7000-8000人程度の状態にして使用する。壁が動いて定員が変わる横浜アリーナのような運用である。
 
バックダンサーは中国地区の信濃町ガールズが務めた。
 
司会はYe-Yoが担当した。Ye-Yoは、震災イベントではラピスラズリのライブの司会をしており、こういう大役は2度目である。元々トークはうまいこともあり、前回より落ち着いて司会を務めることができた。
 
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常滑真音を使う案もあったのだが、最近の彼女のスケジュールがかなり恐ろしいことになっているので、その中で小浜まで往復させるのは可哀想、ということでまだ少しはスケジュールに余裕のあるYe-Yoにお鉢が回ってきた。
 
また、ラピスラズリが隔離されている時に万一ライブ絡みでクラスターでも発生した場合、アクアと舞音まで使えなくなると、どうにもならなくなるから、取り敢えずラピスの隔離明けまでは、アクアと舞音は同じイベントには入れないようにしようという配慮も働いている。
 
アクアは前半は白く可愛いドレス姿で現れ、物凄い歓声があがっていた。主として北里ナナ名義で出した歌を中心に歌った。
 

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ゲストタイムは、甲斐波津子のピアノ伴奏で甲斐絵代子(Ye-Yo)が歌うという姉妹パフォーマンスで盛り上げる。
 
セカンドゲストとしては“偽ラピスラズリ”と称して、お揃いのセーラー服を着た、すずくりこ・ゆきみすずが出て来た(*2) そして本家ラピスラズリのヒット曲を歌った。
 
アクアの観客は《スノーベル》を知らないとは思うが、歌が上手いのでみんな「どこのおばさんだろう?」とは思いながらも、手拍子を打ってかなり熱心に聴いてくれた。
 
(*2)年齢は書いたら叱られるかも知れないが54歳である:54歳でセーラー服を着ても取り敢えず見苦しくないのは2人とも体型をキープしてるし見た目もまだ若いからである。実際2人の年齢は40歳くらいと思った観客が多かったようである。
 
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その2人が退場した後は、まだゲストタイムで着たブルーのドレスを着たままのYe-Yoが
「作曲家のすずくりこ先生、作詩家のゆきみすず先生でした。お二人は1987年から1991年まで“スノーベル”という名前でアイドル歌手ユニットを組んでおられたんですよ。当時は凄い人気だったみたいです」
と解説したが「へー」みたいな顔をしている観客が多かった。観客の多くがまだ生まれる前の話である。
 
「でも、すずくりこ先生は実はご病気のせいで、耳がほとんど聞こえないんです。それなのに作曲もするし、こうやって歌も歌えるって凄いですね」
と言うと、観客はかなり驚いたようで、相当のざわめきが起きていた。
 
「すずくりこ先生は片目にゴーグルみたいな眼鏡を付けておられましたが、実はあれは自分の歌った音の音程を視覚表示してくれる装置で、それを参考にしながら歌っておられたんですよ」
というYe-Yoの説明には、かなりの反響があった。
 
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後半のアクアは一転して王子様衣装でアクアのこれまでのヒット曲を軌跡を辿るように歌った。
 

なお回線接続数は今回料金を少し高めに設定したこともあり、昨年夏のように回線ダウン寸前まで行くことはなかった。
 
「でも男装で登場した後半の方が女っぽい気がした」
「前半のドレス姿も可愛かったけどね」
「やはりアクア様は完全に女の子になってきたから、男装の方がかえって女らしさが強調されるのかも」
「早く性別を変更したこと、正式に発表すればいいのに」
「それやはり20歳の誕生日に発表するんじゃないの?」
「誕生日に何か発表するらしいという噂はあるよね」
 
「それとNHKに、アクアを戸籍上男だからといって白組から出すのやめて下さい。本人は実際には女の子なんだから紅組から出してあげて下さい、という意見が大量に殺到しているらしいよ」
 
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「あ、それ私もメールしておこう」
 

余談だが、すずくりこが使用していたシステムについては、問い合わせが殺到。半年後にはこの装置が一般発売されることになる。量産できるものではないし、個々の人に合わせてかなりの調整も必要であるし、利用困難と判定される場合もある。価格も1個300-400万円するが、国から補助金が出ることになった。実際には挑戦した人の7割が利用困難と判定されたが、利用できた人は「歌を取り戻すことができて」歓喜の声をあげた。
 
前提として口話法ができる必要があり、またかなりの音感のある人でないと無理。つまり元々音痴の人には使えない。でも1人この装置でヴァイオリニストに復帰した人もいて、世界に報道された。ヴァイオリニストは元々非常に精密な音感を持つのでこの装置が利用できたのである。
 
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2021年5月13日(木・大安・さだん)。
 
アクアFが『シンデレラ』の撮影で頑張り、アクアMがライブの練習で頑張っていた時期になるが、アクアは自分の個人会社アクア・アクア・アクア株式会社(Aqua Aqua Aqua corporation) を設立した。略称は Aqua3(aqua cubed) である。この作業は前々から、この日に登記してくれるよう、司法書士さんにお願いしておいたものなので、アクア自身は当日は作業に関わっていない!
 
この日付は
(1)新月〜満月の間(月が次第に膨らんでいく時期)
(2)太陽も月も地上に出ている時間帯
(3)当然ボイド期間は避ける
(4)法務局が開いている日時!
 
という条件で選択したものである。候補は5月では
 
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2021.05.12(水.仏滅.平) 8:30-17:15
2021.05.13(木.大安.定) 8:30-17:15
2021.05.14(金.赤口.執) 8:30-17:15
2021.05.17(月.先負.成) 8:30-15:21
2021.05.18(火.仏滅.納) 9:26-17:15
 
であったが、十二直が“定(さだん)”となるこの日を選んだ。この日なら何時でもいいですと言っておいたのだが、司法書士さんは「こういうのは朝がいいですよ」と言って、朝一番に登記してくれた。
 
アクア・アクア・アクアというのは3人のアクアの会社という意味で、アクアが自分たちで考えたものである。
 
会社を作って特に何ということもないのだが、この日が日取りが良かったので、誕生日を前に設立した。資本金は“取り敢えず1億円”である。株主はアクアが97%(社長)、私、千里、コスモス、が1%(100万円)ずつである。アクア以外の3人は無役の取締役になっている。
 
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