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■夏の日の想い出・赤い服(16)

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2位になった松崎典佳ちゃんを呼び出した。彼女と3位の吉坂恵夜ちゃんは僅差だった。松崎さんを2位にした審査員が5人、吉坂さんを2位にした審査員が4人で、きれいに票が割れた。実際には実力はほぼ同じと思われた。
 
松崎典佳ちゃんはお母さんと一緒に入ってきたがパンツルックである。
 
「松崎典佳さん、あなたは2位でした」
「ほんとですか?嬉しいです。なんか凄い人ばかりだから、最下位じゃなかろうかと思ってました」
「確かに今年は物凄くハイレベルでした」
 
彼女も一般参加てある。2次予選では、吉坂恵夜さんと同じグループで、吉坂さんが1位、松崎さんは2位だった。その時も僅差だった。本選でも僅差だったが、逆転したようである。
 
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「契約しますか?」
「はい。お願いします」
 
それで彼女とお母さんが契約書にサインし、契約は成立した。
 

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「でもパンツに穿き換えたんですね」
「はい。審査の時はスカートでお願いしますと言われたのでスカート穿いたのですが、ぼくあまりスカート慣れてなくて、スカート穿いてるとよく転ぶので」
「ああ、なるほどですね」
 
スカートに慣れてない?“ぼく”?
 
なんだかゆりこが楽しそうな顔をしている。
 
彼女?は背が高い。172cmくらいあるだろうか?履歴書には168cmと書かれているが、168には見えない。
 
私とコスモスは彼女?の生徒手帳のコピーを見る。
 
この生徒手帳には性別欄が無い!?
 
でも写真はセーラー服で写っている。。。よね?
 

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「でも松崎さん、背が高いですね」
「いえ、背が低いのが悩みで」
 
この身長で背が低い??
 
ゆりこがとても楽しそうだ。
 
「ぼくバレー部なんですけど、レギュラーの中ではぼくがいちばん背が低いし、ぼくの身長ではブロックとか全然出来ないから、リベロなんですよ」
 
「ああ、バレーボールだと背の高い選手が多いでしょうね」
「筋力はわりと自信あるんですけどね。兄たちよりぼくの方が力あるし。友だちとの腕相撲では負けたことないし、重量挙げのバーベル40kgくらいまでなら揚げられるし」
「40kgは凄い」
 
「父の田舎に行った時は、網引くのに参加して『お前凄い戦力になる』と褒められました」
「ああ」
 
「お前が男なら漁師にしたいと言われましたよ」
 
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コスモスがホッとした様子である。ゆりこは残念そうな顔をしている!
 

「でも自分のこと“ぼく”と言うんですね」
と私は笑顔で尋ねた。
 
「女なら“わたし”と言えと言われるんですが、何か“わたし”と言うの、凄い抵抗感があって」
「上にお兄さんがおられるんですね」
 
「はい。兄が3人なんですよね。兄たちが“ぼく”と言うから、自分でも物心付く頃から“ぼく”と言ってました。服も兄のお下がり着てたからスカート全然持って無くて、今回案内にスカートでと書いてあったから、慌ててスカート買ってきたんですよ」
 
「制服はスカートじゃないの?」
「うちの学校、女子がスラックスでもいいし、男子がスカートでもいいんですよ」
「それは進んでますね!」
「女子は4割くらいスラックスです。男子の中にも数人スカート穿いてる子います」
「そういう自由化はいいことですね」
「それで生徒手帳も性別欄が廃止されたんです。性別をわざわざ書く必要性は無いじゃんということになって」
「ほんとに進歩的ですね!」
 
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「鹿児島の薩摩川内市(さつま・せんだい・し)(*45) から、いらしたんですね」
「はい。うちの市の名前、だいたい“かわうち”と読まれちゃうし、“せんだい”と言うと、宮城県の仙台かと思われちゃうんですよ」
「よくある間違いですね」
 
ということで今回のコンテストで1位は青森県の川内(かわうち)、2位は鹿児島県の川内(せんだい)の出身者ということになった。
 
「父は川内(せんだい)港から50kmほど離れた下甑島(しもこしきじま)(*46) という所の出身で、母は薩摩川内市の隣の、いちき串木野市の出身で、それで川内で出会って結婚してそこに住み着いちゃったらしいです」
 

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「なるほどですね。お母さんはいちきくちきの、あ、ごめんなさい、いしきくしきの、あれ・・・」
 
「いちき串木野市(いちきくしきのし)は先日“思わず噛んじゃう市の名前ランキング”1位になりました」
とお母さんが笑って言っている。
 
「なるほどー。“ち”と“し”が、並んでるのがポイント高いですね」
「2位は岐阜県の各務原市(かかみがはら・し)だったみたいですよ」
「各務原はそもそも難読ですけどね」
 
「ネットの友人にそこに住んでる人がいるんですが、まず読めないし、読み方教えられてもたいてい“かがみがはら”と覚えられちゃうと言ってました」
 
「そうなんですよ。私も岐阜県出身なんで、その読み間違いをたくさん聞きました」
「ああ、会長は岐阜県ご出身でしたか」
「はい。高山市なんですけどね」
「日本一広い市ですね」
「薩摩川内市は鹿児島県一広い市ですね」
 
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ということで最後は市名論議になった。
 
(*45) 薩摩川内市の市名の“薩”の字は公式には“産”の上部が“文”ではなく“立”になる文字である。この文字は、パソコンやスマホの機種やOSにより“文サツ”で表示されたり、“立サツ”で表示されたりする。
 
一応現在の文字コード表では、このコードの標準字体は“文サツ”になっており、“立サツ”はunicodeにも無い。新選漢和辞典(第八版)では“文サツ”が正しい字体であり、“立サツ”は“文サツ”の俗字であるとしている。
 
(*46) 甑島は公式には「こしきしま」だが、地元ではたいてい「こしきじま」と読まれるらしい。
 

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私たちは3位から6位の子も順次呼びだして、順位を告げた。3〜6位は全員元々地方ガールズで、全員と契約した。
 
1.湯谷薫 中3 青森県むつ市
2.松崎典佳 中2 鹿児島県薩摩川内市
3.吉坂恵夜 中2 愛知県大府市(東海)
4.杜屋幸代 中1 茨城県水戸市(関東)
5.吉川萌花 中2 富山県氷見市(北陸)
6.石塚舞菜 中3 奈良県御所市(関西)
 
3位になった吉坂さんは愛知県の大府市(おおぶし)であり、大阪府でも大阪市でもない!
 
3〜6位になった4人は地方ガールズで、先日の昇格試験リモート試験にも出て来た子で、実力充分ではあっても本選進出がならなかった子たちである。
 
結果的に昇格試験リモート審査に出てきた子で即戦力と思われた10人の内3人が昇格、3人が昇格保留、4人がビデオガールコンテスト上位で、全員今年中に信濃町ガールズになりそうな雰囲気である。この子たちは昨年までなら優勝争いしているレベルだ。
 
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残りの7名には上位6位までに残念ながら入らなかったことを告げた。8位と9位だった一般参加の子(富山県黒部市・鳥取県江府町)には地方ガールズに入らないかと勧誘した。ふたりとも考えてみますという返事であった。
 
黒部市から参加の上原加奈ちゃんは、
「それ考えたことあるんですけど、ガールズ北陸のレッスンが行われている津幡まで遠いので」
と言う。
 
彼女は宇奈月温泉に住んでいるらしい。
 
「北陸は来月にも各県に2〜3箇所、教室を作る予定があるんだよ。それでネットでつないで、リモートレッスンも受けられるようになる」
 
「ああ、せめて富山市くらいにでも教室が開かれるなら考えてもいいです」
と言っていたので、参加してくれそうである。それで彼女には北陸の教室ができたら案内を送ることを約束した。
 
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今回落選だったのは、彼女も含めて、次の場所から参加してくれた子である。
 
北海道旭川市・岩手県盛岡市・埼玉県深谷市・岐阜県岐阜市・富山県黒部市・鳥取県江府町・佐賀県唐津市
 
彼女たちには、各々に次までに改善してほしい点を伝えた。ただし、旭川・盛岡・唐津の子は昇格試験のリモート審査にも出ていたので「課題は先日も言った通りね」と言っておいた。
 
落選だった子はこの日の夕方、各地の空港に送り届けた。
 
Tiger 熊谷→富山→米子
Silver 熊谷→小牧→佐賀
Gold 熊谷→花巻→旭川
 
深谷市の子は保護者の車で帰った。
 

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合格者6名は、その日はまたホテル赤城に泊まってもらい、翌日午前中に説明会を開いた。
 
湯谷さんは昨日の契約の時はキュロットだったが、今日は普通のスカートを穿いている!しカラーリップとかまで塗っている。髪にはカチューシャを付けて完璧に女の子の装いだ。
 
説明会ではコスモスの簡単な挨拶の後、何人かのマネージャーから、タレントとしての心得、守秘義務、生活規律などの説明が続く。また収入が被扶養者の限度額を超えるので、親の健康保険からは外れて、国民健康保険に入ることなども説明された。
 
説明会が終わって、保護者が別室に移動し、合格者だけの短い談話会になったところで、3位の吉坂恵夜さんから質問があった。
 
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「ところで優勝者は、どなたですか?湯谷さんですか?松崎さんですか?」
 
「私が1位でしたけど失格しました」
と湯谷薫が自分で言う。
 
「もしかして年齢不足とか?ダンステストの時、おっぱい小さいなと思ったし。まだ小学生だったとか」
「私、中学生ではあるのですが、男なので」
 
「え〜〜〜!?」
と全員から声があがる。
 
「湯谷さんは、女の子のオーディションだと知らなかったらしいです」
と佐々木マネージャーがフォローする。
 
「でもビデオガールコンテストというタイトルなのに」
「姉が全部手続きしてて、私は全然書類見てなかったので。ごめんなさい」
 

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「でも湯谷さん、中学1年生?まだ声変わりもしてないみたいだし、女の子にしか見えないけど」
 
「中学3年でーす」
「それで声変わりしてないのは絶対“おかしい”」
「今ダンステストの時の湯谷さんのレオタード姿思い出してみたけど、お股に膨らみとかは無かった」
「私の小さいから」
 
「だいたいスカート穿いてるし」
「私、スカート大好き。実は制服以外のズボン持ってない。私、チア部の部長してて、音楽の時間はソプラノて歌ってる」
 
「女の子になりたい男の子かな?」
「わりと、なりたい。お父ちゃんから金玉取れとよく言われてるし、中学卒業したら本当に取りたいなあ。お父ちゃんには許してもらえそうだし。みんなに私の生徒手帳、見せてあげるね」
 
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と言って、自分からみんなに見せている。
 
「セーラー服で写ってる!」
 
「セーラー服で通ってるの?」
「一応学生服で通ってるよ。このセーラー服は、お姉ちゃんからもらった」
「ああ、お姉ちゃんがいると、女の子の服を調達しやすい」
 
「湯谷さん、女性ホルモンやってるでしょう?」
「内緒、内緒」
(↑ほとんど肯定している)
 
しかし湯谷薫の性別問題をきっかけに6人は完全に打ち解けてしまったようであった!
 

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説明会の後、6人を年末時代劇のセット建設が進む春日部の全天候型スタジオに連れて行った。
 
「君たちにも年末の時代劇には出てもらうから、頑張ってね」
「はい!」
 
そして夕方、各地の空港に送り届けた。
 
Gold 熊谷→花巻
Red 熊谷→藺牟田
Black 熊谷→小牧
Tiger 熊谷→富山
Yellow 熊谷→関空
 
水戸市の杜屋さんは保護者の車で帰った。
 
 
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夏の日の想い出・赤い服(16)

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