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■夏の日の想い出・二足のわらじ(18)

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3月16日(水).
 
花園裕紀は、M高校の試験を受けに行った。筆記試験は無く、面接だけである。受験生が50人くらいも居てびっくりした。
 
面接ではなぜここを受けたのかというのが最初に質問された。裕紀は正直に答える。
 
・自分は芸能人である。
・でも辞めて地元の埼玉に帰って高校に進学しようかと思っていた。
・でもやはり続けることにしたが都内の高校入試に出遅れた。
・一応葛飾区の高校にも合格しているが、今住んでいる所から遠すぎて通学が大変なので、もしこちらに合格させてもらえたらぜひともここに通いたい。
 
それから幾つか質問されたが、最後に
「個人的なことで本来こういう質問はしてはいけないのだけど」
と言ってから面接の先生は裕紀に尋ねた。
 
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「あなたの願書では性別:男と書かれていますが、あなたは女性に見えるのですが、男性なのでしょうか?」
「私は男です」
「声が女の子の声に聞こえますし、バストがあるように見えるのですが、もしかして性同一性障害の方でしょうか。ちなみにうちの高校はそういう方には最大限の配慮をしますし、決して差別したりはしません」
 
「いえ。戸籍上も男です。でも思春期の発達が来てないんですよね。私自身は自分は男だという意識を持っています。バストは、芸能の仕事で女の子役とかすることも多いのでフェイクしているだけです」
 

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「ああ、フェイクですか」
と面接の先生は納得したようであった。
 
「制服は男子制服での通学を希望なさいますか?女子制服での通学を希望なさいますか?」
「男子制服で通うつもりですが・・・女子制服も用意しておいていいですか?」
 
「ああ、それは構いませんよ」
と校長先生?が言ってから
「女子制服で通いたかったら、いつでも言ってくださいね。許可できると思いますから」
と付け加えてくれた。
 

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結果はその日の内に発表され、裕紀は合格していた。
 
「やったぁ!これで女子寮に引っ越さなくて済む」
と喜び、結果をまず桜木ワルツさんに電話で報告する。
 
「良かったね。性転換しなくて済んで」
「はい。助かりました」
 
その後、佐々木春夏マネージャー、木下宏紀、秋風コスモス社長にメールで報告した。
 

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翌3月17日(木).
 
篠原倉光から裕紀に電話が掛かって来た。
 
「おはようございます」
「おはよう。宏紀から聞いたけどM高校に合格したんだってね」
「はい。おかげさまで。宏紀ちゃんには色々助けてもらって」
「裕紀ちゃんがM高校に通うんなら、ぼくが使ってた制服あげるよ」
「助かります!今回あちこち受けたからなんだかんだでお金が掛かってて」
「じゃ夜にも持っていってあげる」
「ありがとうございます」
 
篠原さんがくれるというのは男子制服だろうから、だったら女子制服だけ作ればいいかな、と裕紀は考えた(←何のために女子制服を作る?)。
 
M高校の合格証書がこの日の内に届いたので、S学園とL高校には入学辞退の連絡をした。どちらもネットでできた。
 
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でもM高校から来た合格証書には、一緒に「女子制服通学許可証」というのも入っていた!
 
ぼく、どっちで通学しよう??
 

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夜0時過ぎに篠原君から電話がある。
 
「今男子寮の駐車場まで来た。降りてこれる?」
「はい。行きます」
 
それで下に降りて行く。“舞音のアクア”?が駐まっている。まだ発売前のはずなのに・・・と思ったのだが、これは普通の“アクアのアクア”(Leo)を舞音版に改造するキットで改造したものらしい。
 
「改造とかよくしますね」
「これは誰でもできるよ。10分で終わるし」
 
ぼくがやったら3時間かかりそう、と裕紀は思った。
 
「でもこの時間までお仕事ですか?」
「うん。本来舞音ちゃんは高校生だから22時までしか使えないんだけど、ああいう売れっ子の場合は、ほぼ無視されるからね」
「大変ですね」
「特に舞音ちゃんの場合、光GENJI1通達の対象になるとかで22時過ぎて使っても違法ではないらしい」
「光源氏?源氏物語ですか?」
「いや、昔、光GENJIってアイドルが居て、その時決まったらしい」
「へー」
 
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「それでこれあげるね。もしかしたら裕紀ちゃんにあげることになるかもと思ってクリーニングしといたから」
「ありがとうございます!」
 
「これが男子制服。もしかしたら僕おっぱい大きくしたくなるかもと思って胸に余裕持たせて作ってもらったから、君の胸でも入ると思う」
「それは助かります」
「夏は男子はワイシャツにネクタイだけだから」
「はい」
「君の場合、その胸が入るワイシャツは無いだろうからブラウスにネクタイでも文句言われないと思うよ」
「それしか選択肢は無いかも」
 
「これが女子の冬服と夏服」
「あれ?倉光ちゃん、女子制服も持ってたんですか?」
 
篠原ちゃんが女物着てる所なんて見たことないのに、と思う。
 
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「実は(木下)宏紀ちゃんからもらった」
「なるほどー!」
「女装は楽しいから着てみなよと言われて1度試着してみたけど、変態にしか見えなかったから2度と着てない」
「そうですか?可愛くなりそうだけどなー(マジで言ってる)」
 
「男子制服でも女子制服でも好きなほうを着ればいいよ」
「結構迷ってる部分もあるんですけどねー」
「今仕事に行くときはセーラー服着てるみたいだし、男子制服で通学するなら女子制服も持ってって、授業が終わったら女子制服に着替えて仕事先に行けばいい」
「それやるかも」
と裕紀は言った。
 

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3月16日(水)23:34、福島県沖を震源とする地震(M7.3)が発生した。最大震度は6+であった。
 
この地震は東京では震度4であった。
 
五反野の女子寮、用賀の男子寮、岩槻の社員寮は全て太陽光パネルを使っているので電気は全く途切れずに供給され続けた。中には地震に全く気付かずに寝ていた子もあったようである。
 
調理室のガスは明るくなって点検が終わるまで使用禁止にしたが、朝食はIHだけで何とか作り、普通にデリバーした。やはり昨年10月の地震以降の改造で、災害に強い状態にあることが証明された。
 
アクアの代々木のマンション、八王子の家はどちらも被害は無かった。電気も途切れなかった。コスモスのマンションも川崎ゆりこのマンションも朝まで停電したらしく「女子寮に住みたい」などと言っていた。
 
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「コスモスちゃんもゆりこちゃんも住めるけど、各々の夫は住めないですよ」
「性転換させればいいんじゃない?」
「コスモスちゃんやゆりこちゃんが良ければそれでもいいけど」
 
(本人たちの意志は?)
 

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この地震で仙台のクレールは大変だったようである。17日いっぱいかけて片付けをしたが、食器の割れたものが大量にあり、買い直す費用が大変だ、と和実が嘆いていた。
 
織姫・牽牛および若林植物公園の被害については、これから調査するけど、ライブはちゃんとできるようにすると千里は言っていた。モニターなどで破損したものについては、私は取り敢えず小浜のものを回すことにしてすぐ交換が必要な数を調べてくれるよう依頼した。
 

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3月18日23:25。
 
今度は岩手県沖を震源とするM5.6の地震があった。16日の地震の余震であろう。今度は震度が小さかったので、クレールも被害はあまり無かったようである。
 
東京方面も全くトラブルは無かった。
 

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2022年3月18日(金).
 
この日は都内の多くの公立中学校で卒業式が行われた。
 
下記のメンツが足立区のE中学校を卒業した。
 
新里好永“恋珠ルビー”
平良百合“花貝パール”
溝口千歌“水谷康恵”
立川心桜“松島ふうか”
横山朋菜“箱崎マイコ”
佐藤晴恵“鹿野カリナ”
 
また下記が世田谷区のF中学校を卒業した。
 
末次一葉“花園裕紀”
 
この中で信濃町ガールズに所属している子は4月からは信濃町ミューズという扱いになる。信濃町ガールズのリーダーは、箱崎マイコから豊科リエナにバトンタッチされた。
 
信濃町ガールズ歴代リーダー
1.佐藤ゆか 2015.8-2017.3
2.南田容子 2017.4-2018.3
3.山口暢香 2018.5-2019.3
4.中村昭恵 2019.4-2020.3
5.今川容子 2020.4-2021.3
6.水谷康恵 2021.4-2021.8
7.箱崎マイコ 2021.8-2022.3
8.豊科リエナ 2022.4-
 
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原則としてB契約の中学3年生で最古参の天然女子メンバーが務めている。水谷康恵は途中でA契約になったので退任し、その後を箱崎マイコが務めていた。
 
「信濃町ガールズのリーダーは売れないというジンクスは?」
「それはリーダーの決め方からどうしてもそうなる。中3でまだデビューしてないということだから」
「うーん。やはり私は売れないのか」
 

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末次一葉(花園裕紀)の担任の先生は、彼の進学先がなかなか決まらない様子だったので心配してくれていたが、卒業式前日の17日になって
 
「近くのM高校の二次募集に合格してそこに進学することになりました」
という報告を聞き、
「良かった良かった」
とホッとした様子であった。
 
「S学園高校にも合格していたのですが、共学校のほうが気楽かなと思って」
「ああ。女子校はいろいろ大変なこともあるよね」
と答えながら、先生は
『S学園って・・・やはりこの子、性転換済みなのかな』
などと思っていた。
 
そもそも女の子にしか見えないし、バストがあるし、女の子のような声だし。
 
卒業式後の“公式”の卒業写真では男子?制服を着たものの、同級生女子から
「一葉ちゃん、今日は女子制服持って来てないの?」
と言われ、女子制服に着替えてから、みんなと記念写真をたくさん撮った。
 
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一葉が進学するかも知れないと思い頼んでいた葛飾区L高校の標準服ができたという連絡があったので、卒業式が終わった後(みんなに乗せられて着た)F中学の女子制服を着たままSCCの車で葛飾区まで行き、受け取った。その服でL高校に通うことはなくなったけど。
 
料金は前金で払っているので、そのまま受け取る。
 
「念のため試着してみます?」
「あ、そうですね」
 
と言って試着室で取り出してみたら、なぜか女子標準服だった!
 
なぜ〜と思ったが、取り敢えず着てみる。
 
「ウェストもバストもヒップも特に問題無いようですね」
とお店のお姉さんが、ウェストの所に指を入れたりして言う。
 
「そうですね。きつい所はないです。ありがとうございます」
ということで、裕紀はここまで着てきたF中学の制服(セーラー服)に戻ってから持ち帰った。帰る時
「どうして女子標準服が作られたのだろう?」
と考えてみたが分からなかった(*36).
 
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(*36) 裕紀はこの服を注文しに行く時“普段着”で行っている。普段着を着た裕紀はそもそも女子にしか見えない。バストもあるし、声も女の子の声たし、顔つきが女子の顔である。また裕紀が提示した合格証明書にも“F”の記載があった(*37) それでお店は当然女子の新入生と思った。
 
だいたい裕紀も採寸される時にスカート丈とか測られてる時点で気付くべきである。また男子標準服と女子標準服で代金も違うので注文時に前金で払った時にも気付くべきであった。更に受け取りに行く時も、中学の女子制服を着て受け取りに行っている。お店の人は何か問題があったとも思わなかったはずである(実際多分問題無い)。
 
(*37) なぜ裕紀の合格証の性別記号がFになっていたかというと・・・
 
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面倒だから説明略!
 
要するに裕紀が悪い!
 

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夏の日の想い出・二足のわらじ(18)

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