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■夏の日の想い出・龍たちの伝説(16)

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時間を戻して11月5日の夕方、私は千里からの連絡で、千里の長年の思い人であった貴司さんが、奥さんの美映さんと離婚し、数ヶ月以内に千里と結婚するということを聞いた。
 
「おめでとうと言っていいのかな」
「うん。言って言って」
「おめでとう」
「ありがとう」
 
千里と貴司さんはまだ高校生の頃に実は結婚式をあげていたらしい。しかし当時はまだ年齢不足(17歳と15歳)と千里の法的な性別が男になっていたことから、婚姻届を提出できなかった。ふたりは24歳くらいになったら婚姻届を提出しようと言っていたらしいが、その後、貴司さんが大阪で就職したことも含めて色々な経緯があり。こじれにこじれて貴司さんは別の女性と2度も結婚するに至る(ただし千里によると貴司さんは前々妻の阿倍子さんとも、前妻の美映さんとも1度もセックスしていないらしい!結婚していたのに)
 
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そして千里は貴司さんが他の女性と結婚生活を送っていても、ずっと自分こそが正当な妻であるという意識を持ち続けていた。貴司さんとも実際問題として月に1度くらいはデートを続けていたようである。それがやっと正常化することになったようだ。美映さんには慰謝料を5000万円払ったらしいが、きっと実際に出したのは千里なのだろう。
 

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「でも子供たちはどうするの?早月ちゃんは桃香の所に置いて、由美ちゃんだけ連れて貴司さんの所に行くの?」
 
“法的には”早月は桃香の娘、由美は千里の娘である。
 
「ああ、それだけど、貴司が今の川口市のマンションを引き払って緩菜と一緒に浦和に来ることになった。貴司にはもう会社やめなよと言ってる。バスケのためにあの会社に入ったのにバスケ部が廃部になったから」
 
「廃部になったの!?」
 
「9月いっぱいで廃部になった。だから貴司は一般社員として会社に残留していた。でもそんな所やめて、Bリーグの下位のチームでもいいから入れる所を探しなよと言った」
 
「私もそれに賛成」
「だから川口市に居る必要ないから、こちらに来なよって」
 
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「それはいいけど、だったらまさか桃香と千里と貴司さんの3人で共同生活するわけ?」
 

「今の浦和のマンションでは大人3人暮らすには狭いから、もっと広いマンションに移動するつもり。新しい物件を確保してから、貴司も川口のマンションを解約してこちらに来る予定。緩菜は既にこちらに連れてきてるけどね」
 
「ちょっと待って。広さの問題じゃなくさ」
と私はもっと根本的な問題があるのではと指摘する。夫婦が住んでいる家に妻の友人(愛人かも?)が同居するなんて・・・
 
「それなんだけどさあ、私は不本意なんだけど、桃香とも結婚することになった」
「貴司さんと結婚するんじゃないの?」
「だから重婚」
「え〜〜〜!?」
 
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「こんなことなら、3人に分裂したままでも良かったよ」
「私、それ割と歓迎するんだけど。1人じゃ仕事こなせないでしょ?」
「やはり冬に分裂してもらって、仕事半分渡そうかな」
「やだ」
 

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その日、彩佳・桐絵・宏恵の3人は郊外のスーパーまで買い出しに行き、結構重い荷物を3人で分担して持って渋谷の自宅マンションに戻ろうと駅に向かっていた。ところがそこにクラクションが鳴るので見ると千里さんである。
 
「君たち、どこまで行くの?乗せて行こうか」
「お願いします!」
 
というので、3人は千里のオーリスに乗り込んだ。
 
「買い出し?大変だね」
「渋谷界隈で買物してたら破産します」
「だよねー。町中は高いもん」
 
その時、ふと宏恵が思いついて尋ねた。
「今入っているマンションを決める時に千里さん、1階・3階・8階に空き部屋があると聞いて、8階がいいとおっしゃいましたよね。あれは何か理由があったんですか?」
 
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「別に大した理由じゃ無いよ」
「そうなんですか?」
「2階の部屋でガス爆発が起きるから、1階や3階にいると怪我しかねないと思って」
と千里が言うと
 
「ガス爆発が起きるんですか!?」
と3人は驚く。
 
「8階は無事だよ」
と千里は平気そうな顔で言う。
 
「でもでもですよ」
と桐絵は言う。
 
「あのビル、物凄くボロっちくて、今にも崩れそうなのに、それで2階で爆発が起きたら全体が崩れちゃうということありません?」
 
「ああ、それは可能性あるかもね」
と千里は言っている。
 
「それいつ起きるか分かります?」
「うーんとね・・・・。今度の三隣亡」
「それ何日ですか?」
「分からない。今すっと降りてきた」
「誰か暦確認できる?」
「ちょっと待って」
と言って彩佳がネットで暦を確認している。
 
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「三隣亡は11月16日」
「16日って・・・」
「明日じゃん!」
「逃げよう」
「どこへ」
「龍の所になだれ込もうよ。緊急避難だよ」
 

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それで3人は渋谷のマンションから取り敢えず逃げ出すことにしたのである。
 
千里は「引っ越すなら」と言って2トントラックを持って来てくれた。ついでに腕力のありそうな男性3人も来ている。それでその3人と千里とで彩佳たちの部屋の荷物を全部2tトラックに積み込み、代々木の龍虎のマンションまで持って行く。そして彩佳が自分の鍵でエントランスと龍虎の部屋(1005)を開け、男性3人と千里で荷物を全部龍虎の部屋のLDKに運び入れてしまった。
 
「これで安心だね」
と彩佳たちは言った。
 

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龍虎はその日も夜遅くまで仕事をしてから帰宅した。この所、だいたい朝8時頃に2人に分裂し、分裂して正確に9時間後の夕方17時頃、ひとりになるパターンが定着しており、FとMはだいたい1日交替で表に出ていた。分裂から統合までが正確に9時間のようだというのが分かり、2人は統合される時間に必ず一緒に居るようにした。
 
和城理紗に事情を説明して2人を同じ場所に一時的に転送してもらうようにした。理紗は驚いていたが話を聞いた千里さんも
「うん。その方式でしばらく運用すればいいよ」
と言ってくれた。
 

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この日(11/15)は夕方まではFがお仕事をしMはマンションで休んでいて、夕方以降はMの方が表に出て仕事をこなした。それで帰宅するのもMである。
 
Mは「ただいまあ」と言って帰宅した時、女の子の声がしたので
「F!?」
と思わず声をあげたが、居たのは彩佳たちである。
 
「なんでアヤたち、ここにいるの?」
「うちのマンションが崩れそうなのよ」
「ホント?」
「だからここに取り敢えず避難してきた」
 
「龍ちゃん、このLDKだけでいいから貸してよ。ここで私たち3人も寝るから」
「龍を襲ったりはしないからさ」
 
それは構わないが、分裂する所は見られたくない。
 
「だったら、このマンション全部使っていいから」
「龍はどうするの?」
「僕は上の階の部屋で寝るから」
「そんなのあったんたっけ?」
 
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それを知っているのは彩佳だけである。
 
龍虎はすぐ上(1803)に行こうとしたが
「あん、御飯食べてってよぉ」
と言うので結局彼女たち3人と一緒に御飯を食べた。
 

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彩佳が龍虎の分の御飯を盛ってあげて、それで一緒に御飯を食べていたら、龍虎が涙ぐんでいる。宏恵が
 
「龍ちゃんどうしたの?」
と訊いた。
 
「なんかこんなに多人数で食べるの楽しいなと思って」
「ああ、いつもひとりで食べてたんだよね」
「私たちで御飯くらい作っておくから、毎日一緒に食べようよ。遅くなってもいいよ。どうせ私たち起きてるし」
 
「うん。ありがとう」
 
と言って、龍虎はその日3人のおしゃべりに心を癒やされながら、夕食を取ったのであった。
 
彩佳たちは龍虎のLDKに渋谷のマンションの配置を再現していた。カラーボックスを4つ並べてその間に板を渡し、3人の勉強机にしていた。布団もそこに敷いて寝ると言っていたが、龍虎は(内面のFと会話した上で)せっかく寝室が3つあるから、それを1人ずつ使っていいよと言った。それでMで彩佳、Nで桐絵、Fで宏恵が寝ることにしたようだった。渋谷のマンションに入りきれなかったのをMの部屋に置いていた荷物も、龍虎自身も手伝い、各々の部屋に移動した。
 
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↓1005号のレイアウト

(↑トイレが2つあるのは、3人の龍虎が共同生活するには必要と考えて千里がそういう物件を選んだため。結果的には彩佳たち3人が暮らすのにも助かる)
 
「私と一緒にMで寝ない?」
と彩佳は龍虎に言ったが
「また今度ね」
と答えて手だけ握ってあげたら、彩佳はそれで納得したようだ(桐絵たちが「そこでキス」と煽ったが、彩佳が照れて真っ赤になった)。やはり誕生日の日にちゃんとセックスした(?)ことで、本人も精神的に余裕ができたようである。ケイナさんの言った通りだなと龍虎は思った。
 
それでその日は龍虎だけ18階に行って寝た。翌日朝8時にはまた龍虎はFとMに分裂したので日中はMが仕事をしFはマンション18階で歌の練習をしたり台本を読んだりして過ごす。夕方合体してFになったので夕方以降はFが仕事をしてマンションに帰宅。彩佳たちと一緒に御飯を食べてから18階で寝た。このパターンの生活がしばらく続くことになる。龍虎は自分ちの大きな冷蔵庫は10階に置いたまま、彩佳たちが使っていた小型冷蔵庫を18階に移動して使うことにした。
 
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なお、彩佳たちのマンションは本当に11/16に、2階の部屋でガス爆発があり、エレベータも変形して、出入り不能になった。上の階に居た人たちは自衛隊が出動して救出した。その翌日にはビル自体が崩壊。隣接するビル3棟にまで被害が及んだ(まさに三隣亡)。この様子は海外にまで報道された。彩佳たちの賃貸契約は解約となり、敷金も全額返還してもらった上に迷惑料までもらってしまった。しかし彩佳たちは前日に避難していたので何も被害は無かった。
 

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★タイムスケジュール
 
●10.31
22:00 西湖が龍虎たちのマンションに寄り一緒に晩御飯。
●11.01
01:00 西湖たち帰宅
07:00 西湖M声変わり。映画の撮影には聖子Fが行く。
22:00 撮影完了
23:00 龍虎帰宅
23:20 西湖帰宅
24:00 西湖Mが去勢→龍虎M睾丸消失。
●11.02
●11.03
龍虎は日中お休み。夕方からお仕事の予定。
午後 アイの暴走
夕方 合体!
夜_ 勾陳が龍虎の合体を知る。
●11.04
この日はひとりになった龍虎Fがひとりでお仕事。
_8:00 千里がコスモスと冬子に龍虎の合体を連絡。
10:00 美映が緩菜を連れて浦和の千里宅を訪れ貴司の買取り打診。
14:30 貴司と美映の離婚届け提出。美映は単身で大阪に戻る。
夜_ 千里が2番を分離して貴司と寝る(貴司は睾丸を返してもらう)。
___ 同時刻、龍虎と西湖がまた2人になる。
●11.05
05:00 龍虎起きるがまだ2人のまま。
07:00 千里3+1が千里2を吸収。同時刻龍虎・西湖がまた1人になる。
07:30 西湖起きてみると1人になっている。
08:00 京平が西湖に指輪を渡し、西湖が2人に分離。同時刻龍虎も分離。千里のシンクロが切れる。
17:00 西湖が合体。龍虎も合体。
夕方 千里が冬子に貴司との再婚予定を連絡。
 
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●11.06
08:00 西湖分離。龍虎も分離。龍虎はMが日中仕事に。西湖はFが朝から学校・Mが午後から仕事。
17:00 西湖が合体。龍虎も合体(F).夕方以降は龍虎Fがお仕事。
23:00 龍虎Fが帰宅。
 
以降このパターン。
 龍虎:偶数日は龍虎は日中M・夕方からF(Fが帰宅)、奇数日は逆。
 西湖:平日はFが午前中に学校・Mが午後仕事(夕方合体するが性別は不定)。土日は午前中Fが仕事。午後以降は平日と同じ。
 
●11.15
11.15 彩佳たちが龍虎のマンションに避難してくる。
11.16 彩佳たちが住んでいたマンションでガス爆発(翌日崩壊)
 

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千里はある人物と話し合っていた。
 
「なんか統合が不完全なんだけど」
「ボクのせいじゃないよ。Mが去勢しちゃったでしょ?」
「うん」
「あれが完全統合を妨害している。Mに睾丸が無い限り完全合体は無理。そこで統合の糸がほぐれちゃうから、放置しておいても1日以内にまた分離してしまう。ボクも計算外だった」
 
それ絶対嘘だろ?わざとだろ?アクアのガードが堅いから、ガードの弱そうな西湖を狙ったろ?と千里は思う。しかしMの睾丸が無いのは・・・本人以外全ての人が賛成だろう!あの子が声変わりすると大量の失業者が出るし、§§ミュージックもあけぼのテレビも倒産するし!!
 
睾丸の有無自体については世間的には曖昧にしておけばいい。どうせ国民のほとんど!が、アクアには睾丸は無いと思っているし、アクアは声色で男声も出せるから実用上も問題無いし。
 
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「でもこの後どうするのさ?」
「取り敢えず西湖ちゃんが高校卒業するまではこのままでいいんじゃない?」
 
まあ確かにその方が西湖が過労死する確率は小さくなる。アクアもだけど!
 
「西湖Fがペリドットの指輪填めてるけど、あれ誰が渡したの?」
と千里は訊いた。
 
「千里ちゃんの息子だけど」
「うむむ」
 
くそー。京平まで分離容認派か。私も2人か3人に戻っちゃおうかな。その方が仕事がはかどるし!どっちみち来月貴司が同居したら“夜”は3人に別れる必要が出ちゃったし。
 
「でもあの指輪のおかげで、千里ちゃんの分裂とアクアちゃんの分裂のシンクロは切れたね」
「それも指輪のせいだったのか。京平のパワーは凄まじい」
「千里ちゃんと桃香ちゃんのシンクロも一緒に切れたよ」
「・・・」
 
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「でも今回は本当にありがとう。日本に住めなくなる所だったよ。借り作っちゃった」
と彼女は言う。
 
「それはいいけど。警察も夫婦喧嘩と聞いて、呆れて帰ってくれたしね」
「それ以外、説明のしようがなかったし」
「でも大分絞られてたね」
「仕方ない。でもマンションの修理代、掃除代、電化製品とかの買い換えて300万飛んだ」
「300万で済んで良かったじゃん」
「まあ死人が出なくて良かったね」
「羽衣さんも丈夫だねぇ」
 

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《こうちゃんさん》は休憩中のアクアに話しかけた。
 
「あのさ、龍、お前が元々女の子だったという記者会見するのが嫌ならさ、実は半陰陽でデビューの頃は男の子だったけど、体質が変化して女の子に変わってしまった、と発表するのはどうだろう?」
 
「何言ってんの?僕は男だよ」
とアクアは言うと、自分を探しているふうの監督に向かって
 
「今行きます」
と手を挙げて声をあげ、そちらに向かった。
 
《こうちゃんさん》は「へ?」という顔で男らしい歩みで向こうに歩いて行くアクアの背中を見送った。
 
 
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夏の日の想い出・龍たちの伝説(16)

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