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■夏の日の想い出・戯謔(7)

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「なお、本物のマリはこのステージ真下にあるスタジオの中にいます。ですからみなさんの歓声はそのまま聞こえていますので、ぜひ応援して下さい」
 
というと多数の拍手や「マリちゃーん!」という声があり、箱の中のマリは両手を高く挙げて手を振っている。こういう仕草の選択は小風が操作している。美空がやりたがったのだが、美空は感覚人間なので操作が適当になりがちである。それでクールな性格の小風に頼んだのである。
 
「マリちゃん、小浜で何食べた?」
という声が掛かる。すると
「お魚が美味しかったよ!」
とマリが返事する。
「どんなお魚食べた?」
「昨日はこちらに着いたらすぐお寿司食べて、晩御飯はフグ食べて、今日のお昼はズワイガニ食べたよ。もっとたくさん食べたかったけど、それ以上食べたら演奏にも差し支えるし、赤ちゃんにも悪いと言われて止められた」
とマリが言うので、会場内はクスクスと笑う声が多数ある。
 
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「ここで大公開!赤ちゃんのパパは誰?」
という声があるのでマリは
「実はね。。。ここだけの話、ケイなんですよ」
と言うので、会場全体が爆笑となる。
 
みんな冗談と思ったようだが、私は冷や汗である。他にもマリは会場と色々やりとりをしていたが、それでマリが確かにここに居るということをみんな認識してくれたようである。
 

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「さて、そろそろ次の曲に行きましょう」
と私が言うので、たくさん演奏者が入ってくる。
 
『ヴィオロンの涙』を演奏する。
 
なお、マリの“箱”がある関係で、この箱から死角になる位置に伴奏者が立つと見えない可能性があるだけでなく、観客席から見たマリ周辺の視界が混乱してしまう。そこでこの日は私と“マリ”の後方には伴奏者は立たないし、通過するのも禁止ということにしている。ステージ上、Pタイルの上に油性マジックで赤い線と緑の線を引き、その間のみが伴奏者の位置としてOKで、特に赤い線の奥は立入禁止にしたのである。
 

 
この赤い線より後方のエリアにはセットさえ組むことができない。とにかく何か「もの」があってはいけないのである。
 
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それでセットは赤い線の手前に三角状に組んでいる。この日のセットはお城の塀のような感じの所に左から右に掛けて、過去のCDジャケットを拡大したものが貼り付けてある。
 
『Month before Rose+Lily, A Young Maiden』2008
『Rose+Lily the time reborn, 100時間』2009
『ローズ+リリーの長い道』2009
『Rose+Lily after 1 year, 私の可愛い人』2009
『Rose+Lily After 2 years』2010
『Rose+Lily After 3 years,Long Vacation』2011
『Rose+Lily after 4 years, wake up』2012
『RPL投票計画』2013
『Flower Garden』2013
『雪月花』2014
『The City』2015
『やまと』2016
『Rose + Lily ランチセット2017』2017
『郷愁』2018
『ブライダル・ウィンド』2018
 
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そういう訳で、上手側の伴奏者は上手袖から出入りするか、あるいは私とマリの前!を通過して下手に下がってくださいという指示を出している。
 
リハーサルの時は「メインのアーティストの前を通過するなんて」という声もあったのだが、そうしないと、ホログラフィが不自然になるので仕方ない。
 
また実はこの死角をできるだけ小さくするために、客席とステージの間に10mの間隔を空けている。野外イベントではこのくらいの距離があることはよくあるので何とかなっているが、小さな会場では設定困難である。
 

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演奏が終わった所で伴奏者を紹介する。
 
「アコスティックギター近藤嶺児、ヴィオラ鷹野繁樹、コントラバス酒向芳知、マリンバ月丘晃靖、アルトサックス近藤七星、チェロ宮本越雄、トランペット香月康宏、以上スターキッズ&フレンズ」
「テナーサックス鮎川ゆま、バリトンサックス谷口翼、フルート田中世梨奈、アルトフルート村山千里、クラリネット上野美津穂、ピアノ近藤詩津紅、以上お友だち」
「そしてヴァイオリンを弾いてくださったのは、前田恵里奈さんと生方芳雄さんでした」
 
ひとりずつ紹介する度に拍手をもらう。
 
「なお谷口さんはこの曲ではバリトンサックスを吹いてもらいましたが、この後はピアノを演奏することが多いと思い組ます。また詩津紅ちゃんはこの曲ではピアノを弾いてもらいましたが、電子キーボードを弾くことの方が多いと思います」
と私はコメントした。
 
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「それでは次は紅葉の道を歌います」
と言うと、前田さんと香月さんが退場する。ゆまの笙と千里の篠笛、更には詩津紅が操作する鹿威し(ししおどし)までフィーチャーしている。笙の吹き手が限られているのだが、例によって紅白は伴奏が録音なので、南藤由梨奈は紅白に出るものの、レッドブロッサムは東京に居る必要がない。それでカウントダウンに付き合ってもらった。彼女は「ギャラが美味しいし小浜はお魚が美味しいから楽しみ」などと言っていた。
 
その後、和楽器奏者を入れて『硝子の階段』を演奏した。ここから3曲和楽器をフィーチャーした曲が並ぶ。
 
「箏・若山鶴風(風帆)、琵琶・若山鶴朝(恵麻)、胡弓・若山鶴宮(美耶)、三味線・若山鶴鹿(鹿鳴)、和太鼓・若山鶴鳥(千鳥)、フルート・若山鶴鳴(明奈)。以上若山流鶴派社中です。なお鶴鳴ちゃんには次の曲では尺八をお願いしています」
 
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と紹介していたら、隣でマリが言う。
 
「ケイ、よくそういう名前をひとりひとり覚えているね」
「そりゃ出演者の名前くらい覚えているよ」
「私そういうの全然ダメ。こないだ、大林亮平くんに会った時、うっかり『亮子ちゃん』と声掛けちゃったよ」
などとマリが言うので、会場に笑いが起きる。
 
「それ性別からして間違ってるじゃん」
「私がうっかり女の子名前で呼んだから、これを機に女の子にならない?と言ったら、断ると言ってた」
「そりゃ普通断るね。はいでは次の曲」
 
それで和楽器をフィーチャーして『ふるさと』『振袖』と演奏する。この『振袖』ではヴァイオリン奏者も6人入れた。
 
「ヴァイオリン、前田恵里奈・生方芳雄・富永英美・荒井路代・大野恵美・桜沢玲美。以上で今日の演奏者は全員揃いました。また和楽器奏者の方々は2名を除いて、ここまでです。お疲れ様でした」
 
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それで風帆・恵麻・美耶・鹿鳴の4人が拍手に送られて退場した。
 
6人のヴァイオリンをフィーチャーしたまま『雪虫』『同窓会』『花園の君』と演奏する。実は若山流6人の中で千鳥と明奈に残ってもらったのは『雪虫』の鈴とヴィブラスラップを演奏してもらうためだった。私が気易く頼みやすい2人にお願いした。この2人もここまでで終了である。
 
『雪虫』の演奏が終わった所でその2人が退場し、6人で宿舎(Muse-3施設内)に下がったが、ロビーで§§ミュージックの子たちと一緒にその後のステージを見ていたようである。全員和服を脱いで普通の服でくつろいでいたようだが、風帆伯母は若い子たちの前でPerfumeを踊ってみせて「すごい!」と言われて尊敬されていたらしい。ロビーでは桜木ワルツと山下ルンバがお茶やおやつなどをみんなに配ってまわっていたようである。
 
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『花園の君』の後はヴァイオリン奏者6人も下がって『Long Vacation』を演奏する。そして前半最後の曲『お嫁さんにしてね』を演奏するが、ここではミニアルバムに収録したのと同様のカントリー・バージョンで演奏した。
 
この曲の途中、間奏の所で私は初出の楽器演奏者を紹介する。
 
「バンジョー・宮本越雄、マンドリン・近藤七星、フィドル・醍醐春海」
 
ここで小さなざわめきがあるので補足する。
 
「ちなみにフィドルというのは、ヴァイオリンと同じ形をした楽器です」
 
それでもざわめきがあるので更に補足する。
 
「ヴァイオリンとフィドルは同じ形をしていますが、フィドルは酒場でワインをこぼしちゃっても惜しくないと言われます。醍醐春海の愛用のヴァイオリンはイタリアのヴァイオリン名産地クレモナで100万円で買ったものですが、今日持って来ているフィドルは国産で10万円で買った友人から12年ほど前にタダでもらったものだそうです」
 
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と言うと、笑い声が起きていたが、それで“フィドル”の意味が観客にも少し分かったようである。
 

この曲の演奏が終わった所で私たちは全員退場し、マリも“箱”の中から姿を消す。そして緞帳が降りる。
 
その緞帳の前に高崎ひろかが出てきて、カラオケで彼女の持ち歌を歌う・・・ことにしていたのだが、この日は“信濃町バンド”が出てきてバックで演奏したので大きな歓声が起きていた。
 
Gt.桜木ワルツ B.山下ルンバ Dr.西宮ネオン KB.花咲ロンド
 
22時を過ぎているので、出場できるのは実はこの4人だけである。姫路スピカは18歳なので労働基準法の規定には引っかからないものの、高校生なので自粛した。
 

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高崎ひろか+信濃町バンドの演奏が終わったのが23:18くらいであった。
 
緞帳が上がる。
 
私がひとりでステージ中央まで出て行くが、“箱”は無い。
 
「それでは後半を始めますが、この曲は都合により、私はステージの端で歌います、マリは隠れたまま歌います」
と言って、ステージの下手袖そばまで戻った。
 
ステージは暗いままである。そこにスポットライトが当たると、会場は大きなざわめきが起きた。
 
「アクアちゃーん!」
と声が掛かると、スポットライトを浴びたアクアは笑顔で客席に向かい手を振った。彼女の隣には桜木レイアもいる。ふたりは電子ピアノを前に並んで座っている。
 
上手にヴァイオリン奏者6人が出てきて、そちらにも別のスポットライトが当たる。
 
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ヴァイオリン奏者たちが伴奏を弾き始める。
 
『愛のデュエット』を演奏する。
 
アクアとレイアは最初ピアノを連弾する。その後立ち上がって一緒にリコーダーを合奏する。続いてフルートを合奏、EWI1500を合奏、更にアルトサックスを合奏する。そしてヴァイオリンを合奏した後、ピアノの隣に並べて置いてあるチェロの所に移動して椅子に座ってチェロを合奏する。更にチェロを横に置いてギターを持ち、椅子に座ったままギターの合奏をする。最後は椅子から立ち上がり、隣のドラムスセットの所に身体をくっつけるようにして座り、ひとつのドラムスセットを2人で1本ずつ持ったスティックで一緒に叩いた。
 
演奏が終わると同時に物凄い拍手。そして「アクアちゃーん」という声が多数掛かる。私は2人を紹介した。
 
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「9つの楽器を続けて1人で演奏してくれたのは、アクア!」
「と、秋のツアーの時はドラムスだけ叩いてくれた桜野レイアでした」
 
あらためて大きな拍手がある中、ふたりは観客にお辞儀をする。それで緞帳がいったん降りた。
 
その後で私がステージ中央まで行き
「ちなみに今のは立体映像です」
と言うと
「え〜〜〜!?」
という声があがっていた。
 
「情報解禁になったので言っちゃいますが、桜野レイアちゃんは今日いっぱいで引退する桜野みちるちゃんの妹さんです」
 
これに対してまた
「え〜〜〜!?」
という声があがる。
 
かなりのざわめきがあった。
 
「秋にドラムスをお願いした時は私も全然知らなかったんですよ。彼女は2月にCDを出して歌手デビューしますので、よかったら応援してあげて下さい」
と言うと拍手がある。
 
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「買うよー!」
という声も掛かる。
 
その拍手と歓声に対して「ありがとうございます。よろしくお願いします」とレイアの声が緞帳の裏側からあった。
 
「妹さんの方が背が高いんですよね。今アクアと並んで演奏していて結構な身長差がありましたよね。ふたりのお母さんは元スクールメイツ、ふたりのお父さんは元全日本のバレーボール選手で、みちるちゃんはお母さん似、レイアちゃんはお父さん似のようです」
 

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夏の日の想い出・戯謔(7)

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