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■夏の日の想い出・戯謔(1)

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(C)Eriko Kawaguchi 2019-01-12

 
2018年9月27日、ローズ+リリーはメジャーデビュー10周年を迎えた。
 
その1ヶ月くらい前の8月下旬、風花、詩津紅・妃美貴の姉妹、麻央・佐野君の夫婦が一緒にマンションにやってきて
 
「これメジャーデビュー10周年記念」
と言って、ジュエリーボックスに入った宝飾品を渡してくれた。
 
「これ、麻央ちゃんと私でデザインを考えて、宝石屋さんに作ってもらった。お金は、ここにいる5人と琴絵、仁恵、正望さん、の合計8人で出しあった」
 
と風花は言う。
 
「きれーい!」
と政子が声をあげる。
 
赤いバラと白いユリをモチーフにした宝飾品である。風花によるとバラの形に加工した赤い宝石はレッドスピネル、ユリの形に加工した白い宝石はムーンストーンであるという。その2つの石が黄色い金属の上にセットされているが、金属の表面に多数のバラ・ユリの模様が入っている。機械式オルゴールがセットされていて『影たちの夜』のメロディーが流れる。
 
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「台座の金属は真鍮(しんちゅう)の金メッキね。バラとユリは銅箔・銀箔を貼り付けようかと思ったけど、すぐ変色するというから、結局樹脂のシートを接着したのよね」
 
「へー」
「それを金メッキじゃなくて純金で作ろうとすると、私たちの財力では無理」
「いや純金にしちゃったら、宝石が目立たなくなるからそれでいいと思う」
 
「純金にするなら、石はルビーとダイヤくらいにしないとね」
「それはもう怪人二十面相が狙うようなお宝になってまう!」
 

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なお、このメジャーデビュー10周年に関しては、ローズクォーツは赤と白のボルドーワインのセット(織絵と美来が持って行った)、スターキッズはバラの花束とユリの花束のセットを、KARIONの私以外の3人はホールケーキ(政子はこれを一番喜んだ)、など多くの人が様々なプレゼントをしてくれて、私も政子も本当に嬉しかった。
 
UTPの大宮副社長は、風花たちが作ってくれたバラとユリの宝飾品がとても美しかったので、これのレプリカを通販しようと言った。
 
麻央・風花を入れてデザインや素材を練った結果、バラとユリをエボキシ樹脂で作り、台座は(金メッキしない)真鍮でしかも中空の鋳造とすることにしてコストを抑えることにした。オルゴールもIC方式にする。また台座には"10"の文字をレリーフ状に浮かび上がらせる。
 
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麻央自身がデブコンET(エボキシ樹脂のレジン液)を使って試作品を作り、3Dプリンタで鋳造用の型を作り電気炉を使って台座も鋳造してくれた。
 
「麻央ちゃん、宝石屋さんに頼まなくても自作できたのでは?」
などと風花が言ったが
 
「宝石加工が私には無理」
と言っていた。
 
試作品を作った麻央は価格は5000円くらいかなあと言ったが、大宮副社長は1万円くらいにしようと言った。
 
○○プロと取引がある、アクセサリーの製作会社の人と、麻央、大宮さんが打ち合わせてローズ+リリーの生写真とサイン付きで送料込み12000円に価格設定することにした。
 
「たくさんサイン書かなきゃ!」
「それ私が書くよ。最近暇だし」
 
と政子が言う。
 
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ローズ+リリーのサインは、私と政子が一緒に書いたもの、私が1人で書いたもの、政子が1人で書いたものを見分けるのは困難である。以前テレビの企画で、芸能人のサイン鑑定に慣れている鑑定人さん数人にブラインドテストしてみたら全員が間違えた。
 
政子は妊娠中で、全てのテレビ・イベントなどの出演を断っているので、確かに暇なようである。同様に昨年から暇をもてあましている小風や、移籍騒動後TV出演をしない方針にしたので比較的暇な状態が続いている光帆などと《アクア拉致改造秘密作戦》を楽しく話し合っているようだ。
 
(KARIONの4人の内、私は昨年は『郷愁』の制作で死んでいて、今年は春から夏に掛けて凄まじい数の作曲をこなしてまだ体力回復しておらず、和泉はアクアのディレクター(事実上の制作指揮者)として忙しく、美空はゴールデンシックスに入り浸りになっていて、結局小風が取り残されている)
 
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麻央たちがプレゼントしてくれたオリジナルと、麻央が作った試作品を(量産品とは異なる可能性があると断った上で)9月から10月に掛けておこなったツアーの会場で並べて展示して(ガラスケースに入れて警備員さんに傍に立ってもらった)購入希望者を募集した所、高価格にも関わらず2万件も応募があった。
 
「サインするのに1ヶ月掛かる!」
と政子が悲鳴をあげた。
 
色紙は "Rose+Lily 10th anniversary" という薄いピンクの文字のロゴが入った特製の色紙を使用する。日付と「○○さん江」という宛名までは理桜が入れるが(政子にやらせると絶対宛名を間違う)、サインは政子の直筆である。
 
1枚10秒で1分間に5枚、1時間に200枚(手を休めておやつを食べる時間コミ)、1日に4時間やって800枚とすると25日掛かる計算になるが、製作会社でも2万個作るのは3ヶ月くらい掛かるということで、発送は1月くらいまでにということにさせてもらった。
 
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但し実際にお金を振り込んできたのは18000人ほどだったので、政子の作業は少しだけ楽になった。
 

大宮副社長はローズ+リリー10周年の写真集も出そうと言った。過去10年間の活動の軌跡をたどるような写真、そして新たに撮る写真も含める。
 
「あ、だったら高校時代に撮ったヌード写真も出さない?」
と政子は言ったが、風花が即却下した。しかし大宮副社長はそんな写真が存在することに驚いていた。
 
今回の写真集のための撮影はツアーに合わせて、全国各地で撮影している。札幌公演の後は登別温泉に泊まり、翌朝倶多楽湖(くったらこ)で撮影したりしたが、最終的にはツアーが終わってから、アクアライン途中の海ほたる、“降りられない駅”として有名な海芝浦駅、大江戸温泉物語、などで撮影した写真を追加した。大江戸温泉物語では水着写真も出しているが、水着写真については、デビュー以来の毎年の水着スナップを並べることにした。これについては発売後
 
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「今回の妊娠中のマリちゃんを除いてはほとんど体型が変わってないのが凄い」
と言われた。
 
そういう訳でこの写真集は私と詩津紅に小風で主として写真のピックアップ作業をさせてもらい(政子を入れると変なのばかり選ぶ)、専門家の意見も聞いて最終的には写真家の桜井理佳さんに監修してもらい、彼女のスタッフの手でまとめあげて年明けの発売とすることになった。カウントダウン・ライブの会場でも先行して販売する。
 

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私は春から夏に掛けて300曲くらいの曲を書いた(らしい)のだが、そこでレフェリーストップ?が掛かり、私は当面の間、1ヶ月に1曲までしか書くことを禁じられた。これは私自身も関わっている《夢紗蒼依》プロジェクトを含む3組の作曲量産プロジェクト(夢紗蒼依・松本花子・望坂拓美)が動き始めて、私が書かなくても何とかなるようになったことも大きい。
 
私が作曲を禁止されたのが7月で8月に約1ヶ月ぶりに書いた曲は
「ああ。少しはよくなったね」
と言われて
「これは琴沢幸穂さんに手直してもらってUDP(上島代替プロジェクト)に回そう」
 
と和泉に言われ、結局“紅石恵子”作詞作曲名義で、三つ葉に渡された。
 
『檸檬爆弾』(れもんばくだん)という曲で、梶井基次郎の小説『檸檬』を下敷きにして、片思いの彼氏の家の玄関にレモンを置いて来るミッションを実行する、という物語である。三つ葉の3人は結構気に入ってくれて、実際に3人が1個ずつレモンを買い、各々の思い人の家の玄関に置いて来る様子をPVにまとめた。
 
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波歌(しれん)はちょうど玄関が開いて出てきた彼氏と遭遇し、笑顔で挨拶されたのでレモンを手渡して、お話をすることができ、嬉しそうな顔をしていた。八島(やまと)は玄関でお母さんに遭遇。ビビってレモンをお母さんに渡したまま逃げ出してしまう。お母さんは首をひねったものの、持って行って料理に使ってしまった(このお母さん好きだと言われた)。そして優羽(ことり)は置く家を間違えてしまい、ヤクザ風のおじさんに「君可愛いね」と言われ、追いかけられるのを必死に逃げる。
 
だいたいこの3人では、優羽(ことり)は落ちに使われることが多い。
 
彼女は2016年春のオーディションに合格して「三つ葉」でデビューしたのだが、オーディション関係には何度も参加していて、実はアクアが優勝した2014年の第1回ロックギャルコンテスト、続いて行われた最後のフレッシュガールコンテストにも参加していたらしい。それで初代ロックギャルになった高崎ひろか、最後のフレッシュガールになった品川ありさと、当時から交流がある。§§プロの練習生だった時期もあり、実は高崎ひろかのコンサートでバックダンサーを務めたこともあったという。彼女の如才なさには芸歴の長さも影響しているのかも知れない。歌唱力のあるリーダー波歌、人気の高い八島の間に入ってユニットのまとめ役になっている。
 
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波歌(しれん)の彼氏の役を演じたのは彼女自身の弟・太陽(みとら:高校2年)である。ファンから嫉妬される可能性がない人物として起用された。でも撮影後お互いに吹き出したという話である。八島(やまと)の思い人のお母さんを演じたのは湯沢駒子という女優さんである。ドラマや映画で端役を多数こなしてきているのだが、今回のPVで三つ葉のファンたちから大いに注目された。ヤクザ風のおじさんを演じているのはサウザンズのドラマー獄楽なのだが、若い世代には必ずしも馴染みが無かったのが知名度が高まり、この後バラエティなどでヤクザの役をする機会が増えることになる!
 
カップリング曲は『銀河旅行』(松本葉子作詞・松本花子作曲・イリヤ工房編曲)である。松本葉子・松本花子の作詞作曲ペアは私が関与している《夢紗蒼依》と前後して夏頃から活動を始めた(恐らく)集団ソングライトグループだが、その作品の多くが今年春に独立したイリヤさんの工房で編曲されている。イリヤさんは今年春に独立した直後に上島事件が発生し、仕事が無く本当に困っていたようである。それが松本姉妹の仕事を受注したおかげで、仕事が急増し、春先は給料だけもらって暇にしていたアレンジャーたちが現在フル回転で、更にアレンジャーを募集しているらしい。
 
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このCDは10月上旬に発売されると、今年は全体的にCDの出荷数が少ないという状況もあり、チャートで週間1位、月間1位を獲得。そして年末には10万枚を突破して、三つ葉にとってデビュー曲以来2度目のゴールドディスクとなった。
 

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私が10月に書いた曲は政子からは「病気だね」、和泉からは「欲求不満では?」と言われた。不協和音だらけの曲である。
 
Cat People
 
黄金色をした絹のとばりが降りて来た
妖しい調べを歌う鳥は消えてしまった
銀の水滴が1つ落ちると花弁は開く
真紅の薄灯りの中、二人は猫になった
 

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やはりまだまだかなあと思っていた時に千里が来たので見せると
「かなり回復したね」
と言われた。そして彼女は
 
「私が詩を補作してあげるよ」
と言って、その場で1時間ほど掛けてサビの詩を書いた。そして千里はこのサビ部分に“まるで高校時代の私が書いたかのような”メロディーをわずか5分で付けた!更に2番の詩を3時間掛けて書いた。
 
「まあ、こんなものかな」
「テンションコードを直されるかと思った」
「この歌にはあっていいよ。だからクプレが不協和音、ルフランは協和音」
と千里は言った。
 
「でもこれローズ+リリーのシングルでは出せないね」
と千里。
「誰か他の人に渡す?」
と私は訊く。
 
「とんでもない。『十二月』か『星たちの歌』に収録すればいいんだよ」
「あっそうか!」
 
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「でも千里、凄い時間を掛けて書いていたね」
「冬は最初のこの詩、どのくらいで書いた?」
「30分くらい」
 
「冬って元々速筆だったけど、次書く時は、もっとゆっくり書いてごらんよ。泉から水を汲んで走って持ち帰ったらこぼしてしまう。こぼさないようにゆっくり持って帰るんだよ」
 
「あ、そのたとえは何となく分かる」
 

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「ところで千里、今年のカウントダウン・ライブでまたバヤンを頼めない?」
「いいよ。『雪を割る鈴』でしょ?」
「そうそう。あれはカウントダウンには無くてはならない曲になったよ」
「じゃ楽器貸して」
「うん。持ってって」
「笛も?」
「多分。まだ演奏担当を正確には組み立ててないけど、龍笛とか篠笛とか頼むと思う」
「今年は青葉の予定が分からないしね」
「あの子も忙しそうだね」
「私は3人いるし、冬も10人いるけど、あの子は1人だから大変だと思う」
「私、10人もいないよ!」
「12人だったっけ?冬子Aから冬子Mまで」
 
「AからMまでなら13になると思うけど」
「ああ!冬は13人いるんだ!」
 

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■夏の日の想い出・戯謔(1)

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