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■夏の日の想い出・少女の秘密(12)

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名前は、事前のフェイ本人と“父親候補”数人(?)との話し合いに従って、歌那(かな)と命名されることになった。
 
成宮歌那 総37○大徳晩成 天16◎仁心覆幸 地21◎朝日黎明 人24◎才知豊栄 外13◎和合繁栄
 
分娩室で産まれた赤ちゃんを最初に抱いたのがヒロシ、次に丸山アイで、信子は遠慮したらしい。信子はずっとフェイの手を握っていたと言っていた。実はこの3人の中で女性は信子だけだ!フェイは手術のあと眠くなる薬を処方してもらって2時間ほど眠ったようだが、夕方にはお乳が出て、自分で歩いてNICUに行き、直接歌那ちゃんに授乳し、凄く嬉しそうな顔をしていたということだった。
 
「ぼく、やはり女になってもいいかなあ」
などとフェイが言うので
 
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「何を今更!?」
とヒロシたちに呆れられていた。
 
「女になるなら、ちんちん切っちゃう?」
と信子から訊かれて
「それは絶対嫌」
とフェイは言っていた。私はそれを聞いて甚だ当惑した。
 
「ねぇ。まさかフェイちゃんっておちんちんあるの?」
「あるけど」
と丸山アイが答える。なんでアイが答える!?
 
「ぼく男の子だし」
とフェイも言っている。
 
「でもこれ内緒ね」
とヒロシ。
「特にマリちゃんには言わないでね」
と信子。
「少女の秘密ということで」
とアイ。
 
「うーん・・・・」
 
「小学生や中学生の頃、お医者さんからも親からも、おちんちん切って完全な女の子に形にしちゃおうよとだいぶ言われたけど、絶対無くしたくないと思ったから頑張って死守した」
 
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とフェイは言っている。
 
「フェイのおちんちんは実は結構大きい。縮んでいる時は割れ目ちゃんの中に隠れていて、まるでクリちゃんみたいだけど、立つと最大16cmくらいになる」
 
とヒロシが言う。
 
割れ目ちゃんもあって、ちんちんもある!??ふだんはクリちゃんに見える??それって菊千代状態???
 
しかし、なぜヒロシがそういうの知ってる!?
 
あ・・・・ふたりの間には性的な関係があるのか!もしかして認知したのはヒロシ??
 
と私は思い至る。しかし私は別の問題が気になった。
 
「・・・立つの?」
「男の子だもん。おちんちんくらい大きくなりますよ」
とフェイは言う。
「でも妊娠中は勃起禁止だったね」
と丸山アイ。
 
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「辛かったよぉ。もう立ててもいいかなあ」
「授乳が終わるまでは禁止って朝倉先生言ってたよ」
「ぐすんぐすん」
 
どうも様子を見ていると、フェイはほんとに心理的には男の子のようである。そして、彼女たちの話を聞いていると要するに勃起させるには数日間にわたり低女性ホルモン状態にする必要があり、それを禁止されているらしい。つまり女性ホルモンは内服薬か自己注射あるいは貼付薬などで摂っているのだろうか?だとすると、妊娠がここまで維持できたのはまさに奇跡だと私は思った。
 

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なお、歌那への授乳は、最初は鼻からチューブを入れて与えていたものの、フェイが乳房を近づけると頑張って吸う様子を見せたりして、結構吸引力があるみたいということになり、すぐ哺乳瓶方式に切り替えられた。体重の割に赤ちゃんがたくましいので、医師たちは驚いていたようである。
 
これは後で千里に聞いた所によると、フェイの子宮が通常の女性の半分のサイズしかないので、意図的に胎児の体重が増えないようにコントロールしていただけで、1620gといっても実際には1900g程度の赤ちゃんくらいに“中身”は充実しているのだということであった。
 
ところでなぜ私は出産の場に立ち会うことになったのだろう!?
 

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3月4日(土)。旭川N高校を2日に卒業した江向音歌(えこうおとか)が両親と一緒に東京の私のマンションに来訪した。ローキューツの高倉社長・西原監督・次期主将の原口揚羽も来て、なごやかに話し合う。そしてローキューツへの入団とプロ契約の同意書を交換した。ローキューツでは来期から主将の揚羽と副主将の風谷翠花、シューティングガードの水嶋ソフィア、スモールフォワードの黒川アミラの4人がプロ契約することになり既に同意書を交換しているので彼女はローキューツの5人目のプロ選手となる。
 
私は、現在バスケット協会ではクラブチームと実業団との統合が計画されており、将来はWリーグとの入れ替え戦も行われる見込みであるといった現状を説明し、2018年から始まる関東社会人リーグ(8チーム構成で予定されている)に参加できるチーム作りをしていきたいので、ぜひ江向さんには、その中心選手として活躍して欲しいと言った。
 
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すると高倉社長が
「オーナーさん、バスケ界のこと、ほんとによくご存知だ」
などと言っていた。
 
「いや、バスケ界に関する私の情報の大半は、友人の村山千里からのものですよ」
と私は言う。
 
「あの子も短期間でチームを渡り歩くなあ」
などと西原さんは言っている。
 
「言えてる言えてる」
などと揚羽。
 
千里は2009-2011年度はローキューツに在籍。2013年秋に40 minutesを結成して2014年度から正式登録したものの、2年半活動しただけで2016年春にレッド・インパルスに移籍した。
 
「また2年くらいで他のチームに移動したりして」
などと揚羽。
 
「しかしWリーグまで行っちゃったら移動する先がないでしょ?」
と高倉さんは言うが
 
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「WNBAに行く可能性があると思う」
と西原さん。
 
「それはあるかもね〜」
という声があがった。
 

3月6日放送の『時のどこかで』では、前半でいよいよ水泳の授業が行われる。和夫がどうするのか?とクラスメイト男子がひそひそ声で話している。そこに今井葉月演じる同級生女子が
 
「芳山君、これあげる」
と言って紙袋に入れた女子用スクール水着を渡す。
 
「ありがとう。何?」
と訊く和夫。
 
「芳山君が今日必要なものだと思う」
「ふーん。じゃ取り敢えずもらっておくね」
などと和夫は言った。
 
しかし和夫は平然としてプール付属の男子更衣室に入り、まずは靴下、ズボンとワイシャツを脱いだ。みんなの視線が集まる。
 
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ところがそこに校内放送が入る。
 
「3年1組の芳山和夫君、**高校から電話が入っていますので至急職員室に来て下さい」
 
それで和夫は
「ごめーん。遅れるって、体育の先生には言っておいて、とクラスメイトに言い残すと、急いでズボンとワイシャツを身につけ職員室に走って行った。職員室で電話に出ると、高校から特別面談をしたいので、可能ならこれからこちらに来て下さいと言われる。
 
それで和夫は早退の許可をもらって高校に向かった。
 
そういう訳で今日の水泳の授業については肩すかしで終わった。
 

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この日の後半では、和夫はまた未来に飛ぶ。そして未来に飛んだ所で和夫が未来っぽい感じの真っ白なスカートスーツを着ているので、またまたアクアの女性ファンが悲鳴のような書き込みをネットにする。
 
女装(?)の和夫は、ニノが入院している病室に入っていった。
 
「元気〜?」
と明るく声を掛ける。
 
「まだ不安」
とニノは答える。
 
「逃げる?」
「もう逃げない。僕は手術を受けて女の子になる」
「その覚悟ができたんだね」
「うん。たくさん彼氏や兄貴と話し合ったら、気持ちがスッキリした。そしたら別に、ちんちんなんて無くてもいいやという気持ちになった」
などとニノは言っている。
 
「名前はどうするの?」
「ニナにする。手術が終わったらすぐ性別と名前の変更して、それが終わったらすぐ結婚届を出す」
「うん。幸せにね」
「うん」
と嬉しそうに頷いてからニノは言う。
 
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「和ちゃんは3ヶ月間の女の子体験どうだった?」
「いや、参ったよ〜。女の子の身体も悪くはないけど、男の子としての生活があるから、色々不便で」
 
「女の子として生活すれば良かったのに」
「別に僕は女の子になりたいわけじゃないし」
とスカート姿の和夫は言った。
 
「女装しなかったの?」
「しないしない。なんかこちらに飛ぶとこんな格好になってるけど」
「そのあたりの仕組みはよく分からないね」
 

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今日の放送後「女の子体験」ということばについて、ネットでは議論が沸き起こった。
 
「『体験』ということは、最終的には男の子に戻るということでは?」
「ひょっとして、和夫が間違って性転換されちゃったから、ニノが性転換手術を受ける時に切り取った男性器を和夫にくっつけて男の子に戻すとか?」
 
「でもその場合、チンコはまあいいとして、タマタマがニノのものだったら将来、和夫が産む子供はニノの子供になるのでは?」
「分かった!それで和夫が産んだ子供がケンとニノなんだ」
 
「だったらもし和夫とケンが結婚したら、母と息子の結婚?」
「いやその前にニノは自分で自分を産むことになる」
「和夫とケンが結婚して、ケンとニノが生まれるんだったりして」
「それもう訳が分からない!」
「『輪廻の蛇』みたいな話だな」
 
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「お前ら、ちょっと待て。和夫が産むんではなく、和夫は産ませる方では?」
 
「いや、アクアは子供くらい産みそうな顔をしている」
 

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「ところでアクアはどこの高校に行くんだろう?」
「芸能人の多いK学園かD高校では?」
 
「昔はみんなK学園だったけど、最近はD高校多いよね」
「そのあたりの情報は全然出てこないね〜」
 
「まだ進学先が決まってないってことはないよね?」
「都立高校の合格発表も3月2日にあったし、もうほとんどの中学3年生が行き先を決めたと思う」
 
「埼玉県の地元の高校に進学するということは?」
「それはないと思う。仕事との掛け持ちが大変だもん。高校は中学みたいに甘くないから、アクアがふつうの高校に行ったら出席日数不足ですぐ退学になると思う」
 
「やはり都内の私立高校だろうね」
 
「中学は義務教育だから、特に公立中学は出席してなくても温情で進級・卒業させてくれるけどね」
 
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KARIONのシングル『エーゲ海の夕日』を発表した後は、フェイ出産の件を除いては、3月11-12日の震災復興イベントの準備作業を進めた。
 
私とマリ、それに和泉・小風・美空、そしてスターキッズやトラベリングベルズのメンバーは前日に新幹線で移動して仙台市内に泊まった。
 
この日は若葉がオーナーとなるレストラン・ムーランの開店日なので、風花に私の代理でお祝いに行ってもらった。そもそもオーナーの若葉自身が今日が出産予定日で病院に入っており出席してない!それで開店の記念式典には若葉の友人ということで、和実がわざわざ仙台から出てきてオーナー臨時代理として若葉の書いたメッセージを読み上げた。この記念式典には若葉や和実が勤めていたメイド喫茶エヴォンのオーナー夫妻や同僚だったメイドたちが多数出席していたという。
 
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3月11日は午前中アクアのステージ、午後からは§§プロの8人の歌手が出演するステージであるが、どちらも満員の観客で物凄く盛り上がった。大会場初体験となった白鳥リズムも堂々と歌い、客席からは「リズムちゃーん!」という声援が飛ぶのに笑顔で手を振っていた。かなり肝が据わっているようである。
 
アクアのステージは例によって興奮しすぎて、暴れたり服を脱いだりなどの行動を取り退場を願うことになった女の子のファンが10人も出た。
 

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若葉はこの日の午後3時半、都内の病院で男の赤ちゃんを産み落とした。3400gの元気な子で名前は事前の、この子の父親である紺野君との話し合いに基づき、若竹(なおたけ)と命名することになった。月曜日に彼の手で出生届を出してくることにするらしい。紺野君は若葉とは一応別れているのだが、出産の時は分娩室の前で若葉のお母さんと一緒に待機していて、産まれた赤ちゃんも抱っこさせてもらったらしい。和実もこの出産に立ち会い、実は分娩室の中で若葉の手を握ってあげていた。
 
なお、この3時半というのは、紺野君の元婚約者・竹美さんが6年前に津波に巻き込まれて亡くなった時刻らしい(遺体は結局見つからなかったので亡くなった時刻についても推定)。若葉は紺野君の元カノの命日、亡くなった時刻に自分の赤ちゃんを産んだのである。
 
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