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■夏の日の想い出・たまご(4)

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「音楽のできる子というと、こないだテレビに出てた子凄かったね」
と春香が言う。
 
「あ、あの天才音楽少年ね」
「小学1年生で作曲までしちゃうって凄いね」
「うん。でもたまにいるみたいよ。モーツァルトは5歳で作曲を始めて8歳の時に最初の交響曲を書いている」
と私が言うと
「すげー!」
と春香が驚いたような声をあげる。
 
「まさに神童だね」
と私は言ったが
「そのまま成長すればいいけど、たいてい『十で神童十五で才子、二十過ぎればただの人』になりがちだから」
と奈緒は言う。
 
「まあ天才を理解できる人は少ないから、潰されちゃうんだよね。日本人って出る杭を打つ民族だから」
と私は半分嘆くように言う。
 
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「先生が教えられる程度に出来る子は大事にされるけど、先生以上にできる子は先生からいじめられるんだよ」
と奈緒が言うが、それは自分自身の経験ではと、私は思った。奈緒は算数の時間にしばしば先生が思い付かなかったような、エレガントな問題の解き方をしてみせて、先生をうならせている。
 
「天才を育てられるのは天才だけだろうね」
と春香も言う。
 
「音楽家で大成した人は、やはり親も凄い音楽家だった人が多い。モーツァルトもお父ちゃんが凄かった。現代でも、特にヴァイオリニストとかはお母さんが優秀な音楽家でないと、まず育たないと言われる。ピアノ伴奏者が必要だから」
と私は解説する。
 
「なるほどー。ヴァイオリニストというのは2代掛けてしか育たないのか」
と春香。
 
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「だけど5歳のモーツァルトや小学1年生のテレビに出てた子とかが作曲できるんなら、私たち小学4年生にも作曲はできるんじゃないかという気がするね」
などと春香は更に言い出す。
 
「小学4年生で作曲してる子はいると思う。わざわざテレビに出て来ないだけで」
と私は言う。
 
「冬ちゃんはできないの?」
と奈緒が言う。
 
「うーん。やったことないなあ」
と私が言うと
 
「よし。私が詩を書いてあげるから、冬ちゃん曲を付けてみてよ」
 
と奈緒は言って、その場で『たまご』という詩を書いた。
 
「このくらいの歌詞で書ける?」
「えっと、この長さなら16小節だと思うけど、文字数がこれ五七調になってる。逆に七五調の方が書きやすいはず。七五だと、タタタタ・タタタ、タタタタ・タンとできるから」
と私が言う。
 
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「ああ。五七調では歌として不自然になるよね」
と春香が言う。
 
「七五、七五、七五、七五、とこのパターンを4回繰り返すのが理想」
 
「よし。そういう感じに改訂しよう」
と言って奈緒はその詩を七五調に書き直してくれた。
 
「さあ、やってみよう」
と奈緒。
 
「うーん。自信無いなあ」
と私は言いながらも、奈緒から紙を1枚もらうと、そこにフリーハンドで五線を引く。
 
「きれいにまっすぐの線を描くね!」
と春香が感嘆する。
 
「ああ、冬ちゃんは絵もうまい。春のスケッチ大会で描いた絵は職員室の前に張り出されていた」
と奈緒。
 
それで私は今描いた五線紙の上に、ほとんど思いつきで四分音符の列を書き込んで行った。
 
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ドレミミ・ソラソ、ドレミミレー、・・・
 
「お、凄い、おたまじゃくしが出来て行ってる」
「適当だからねー」
 
それで私は少し悩みながら、また小声で歌ってみたりしながら、15分ほどで16小節の曲を書き上げた。
 
「歌ってみて」
と言われるので、私はその場で今書き上げた曲を歌ってみせる。
 
「お、可愛い、可愛い」
とふたりは拍手してくれた。
 
「奈緒ちゃんの詩が可愛かったからだよ」
 
「冬ちゃんも天才作曲家になるかもね」
と春香。
「いや、小学4年生でこのくらいの曲を書く子は日本中に400-500人はいると思うよ」
と私。
 
「その400-500人の神童の大半が20歳までにはただの人になっちゃうのか」
と春香が言うと、奈緒は
「自分の才能を信じて、潰されないようにしていればいいんだよ。きっと、冬ちゃんは自分を見失わないと思うよ」
 
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と言って、奈緒は初めてチラッと私の下半身に視線をやった。ドキッとする。
 
自分を信じてか・・・・私はその奈緒の言葉に色々な思いを持った。
 

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私たちはその場で1時間近くおしゃべりをしていたのだが、やがて奈緒のお母さんが、ショッピングカートに山のような荷物を乗せてやってきた。
 
「ちょっと、奈緒、荷物を屋上の駐車場まで運ぶの手伝って」
と言うと、私と春香も
 
「あ、私も手伝います」
と言って立ち上がる。その時、私は初めてスカート姿を明確に彼女らに曝す結果となった。そのことに気づいて一瞬、顔が真っ赤になる。すると奈緒はすっと私の手を握ってくれた。私はドキッとしたが、その手を握ってもらったことで私は凄く落ち着くことができた。
 
それで4人で分担してその凄い荷物を持ち、エスカレーターで屋上まで上がる。そして奈緒のお母さんのマークIIに乗せる。
 
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「ありがとう。じゃ、冬ちゃんも送って行くよ」
とお母さんは言う。
 
きゃー。私、この格好で家に帰りたくないんだけどと思うものの、断る理由もない。それで、春香が助手席に乗り、私と奈緒が後部座席に乗って車はスーパーの駐車場を出る。
 
私はスカート姿ということもあり、結構ドキドキしていたのだが、車内でまた奈緒がそっと手を握ってくれたら、また少し気持ちを静めることができた。
 
「大丈夫だよ。似合ってるし、誰にも言わないから」
と奈緒は微笑みながら小声で私に言った。
 
「うん。ありがとう」
と私も笑顔で答えた。
 

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それで奈緒のお母さんは私の家の前で私を降ろしてくれた。そしてそのまま私が中に入るまで見守ってくれている雰囲気なので、私は玄関の鍵を開けて「ただいま」と言って中に入った。車が発進する音がする。
 
私の「ただいま」という声に、母の「お帰り」という声がした。きゃー。お母ちゃん、帰ってるよ。どうしよう?と思ったものの、逃げる訳にもいかない。
 
「誰かに送ってもらったの?」
「あ、うん。奈緒ちゃんのお母さんに送ってもらった」
「へー。どこの子?」
「**町って言ってたかな」
「あら、わりと近くね」
「うん」
 
母はスカート姿で帰宅した私を前にそんなことを言った。あれ〜、スカート穿いてること、何も言われないよ。
 
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「ちょっと着替えてくるね」
「うん」
 
それで私は自分の部屋に戻り、スウェットの上下を着て居間に出ていく。
 
「じゃ御飯作るね〜」
と言って私は野菜を切り始めた。
 

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その話を聞いたのは、奈緒と隣町のスーパーで遭遇して間もない頃だったと私は思う。当時私は奈緒にも言われたように、あまり他の子と絡まずに孤独な学校生活をしていた。
 
私はお昼休みにひとりで自分の机の所で本を読んでいたのだが、近くで奈緒や協佳など女の子が4人ほど集まっておしゃべりをしていた。その時唐突に
 
「え?男の子が女の子になっちゃったの?」
と協佳が言ったので、私はそちらに聞き耳を立てることになる。
 
「ドイツであった話なんだって」
と奈緒が言う。
 
「男の子が森を歩いていたら、何か卵が落ちてたんだって。それで拾って帰って食べたら、その後、その子身体が変化して、女の子になっちゃったんだって」
と奈緒。
 
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「それって、やはりおちんちんが無くなっちゃったの?」
「だと思うよ。おちんちんが小さくなっていって、その内無くなって、代わりに割れ目ちゃん出来て、穴も出来ちゃったんじゃない?」
 
「すごーい。そんなこともあるんだね」
 
私はその話を聞きながら「穴って何だろう?」と思った。この頃はまだ私は女性器の構造があまり良くわかっていなかったのである。
 
「うちの弟に卵食べさせて実験してみようかな」
と言っている子もいるが
 
「いや、卵はふつうにみんな食べてるでしょ」
と言われている。
 
私はドキドキした。私も卵大好きだよぉ。
 
「その落ちてた卵が何か特殊なものだったんだろうね」
「何の卵だったんだろう?」
「何かのメスが産んだ卵だったんじゃない? だからメスになる養分がたくさん入っていたんだよ」
「いや、卵を産むのはメスでしょ」
「あ、そうだっけ?」
「オスは卵産まないの?」
「産む訳が無い」
 
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まだこの年代は生殖のことが分かってない子が多い。
 
「でも女の子になっちゃった男の子、その後どうしたんだろう?」
「まあふつうに女の子として暮らしたんじゃない?」
 
「女の子になるの嫌だとか泣いたりしなかったのかなあ」
「女の子になれて嬉しいと喜んだかもよ」
 
「まあ女の子になってしまったら、しょうがないと思ったかもね」
 
「ああ、男の子ってたいていおちんちん無くしたくないと思っているみたいだけど、時々むしろおちんちん無くしたいと思っている子もいるみたいね」
と奈緒が言った時、チラっと私を見た気がした。
 
私はドキドキする。私がこないだスカート穿いてたこと言われないかなと思ったのだが、奈緒はあの時の約束通り、そのことは誰にも言わなかった。
 
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「うちの弟、小さい頃、おねしょとかして、お母ちゃんから『今度おねしょしたら、ちんちん取っちゃうよ』と言われて、泣いて『ごめんなさい』とか言ってたよ」
 
「うーん。おねしょとちんちんは関係無い気がするな」
「ちんちん切っちゃったって、出てくるものは出てくるよね」
「むしろ女の子の方が、おしっこは近いとも言うよ」
「あ、それは思うことがある」
「だって、おしっこの管の長さは女の子の方が遙かに短いもん」
「ああ、そうだよねー」
「短い分、どうしても停めにくいと思う」
「男の子だったら、出そうになったらちんちん縛っちゃえば停められるかもね」
「縛っちゃうの!?」
「輪ゴムを巻き付けてもいいんじゃない?」
「それで停まるんだっけ?」
「誰かで実験してみたいな」
「女の子だと輪ゴムを巻き付けられそうな所が無いもんね」
 
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彼女たちがそんなことを言っていたら、近くにいた男子のグループの子たちが嫌そうな顔をしている。
 
「でも輪ゴムで縛った後、それ外せるんだっけ?」
「何とかなるんじゃない?」
「ずっとそのままにしておくと血が止まってよくないだろうけどね」
「血が行かないと壊死してしまうのでは?」
「その時は潔く、そこから先のおちんちんは諦めて」
「おちんちん、元々無くしてもいいと思っている子なら好都合かもね」
「あ、確か牛とかを去勢するのに、そうやって輪ゴムで根元をしばって放置する方法があるらしいよ。何日かたつと腐って自然に落ちるんだって」
 
「去勢って?」
「タマタマを取っちゃうこと。オスの牛はタマタマがあるとお肉が硬くなるから、産まれてすぐの頃に、タマタマ取っちゃうんだって。するとメスの牛と同じくらい柔らかいお肉のまま育ってくれる」
「へー」
 
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産まれてすぐ取っちゃうのか・・・羨ましい!
 
「でもそれ痛くないの?」
「まあ痛いかもね」
 
「馬なんかは乱暴な馬を去勢しちゃうね」
「ふーん」
「するとおとなくしなって、乗りやすい馬になるんだって」
「なるほど」
「人間の男も乱暴な奴は去勢しちゃうといいかもね」
「ああ、おとなしい子になりそうだね」
「お肉も柔らかくなるかも」
「確かに女の子の身体は柔らかいけど、男の子の身体は硬い」
 
そのあたりで近くに居た男の子のひとりがとうとう堪りかねて
 
「お前ら、えげつないこと言うのやめろ」
と言ったので、その会話はそこまでとなった。
 
実際私は小学生の頃、おちんちんに輪ゴムを巻き付けてみたことはあった。おちんちんが紫色になり、巻き付けている所が痛かった。それで半日くらい放置したこともあるが、おしっこがしにくいし(輪ゴムを巻いていても、おしっこをすることはできた。むろんかなり出にくい)、紫色になり感覚も無くなったおちんちんを見ていて怖くなったので、輪ゴムをハサミで切って解放した。その後1〜2日、おしっこする度におちんちんが凄く痛かった。でもハサミで輪ゴムを切る時、むしろおちんちんの方を切っちゃいたいよと思った。このまま病院に行ったら、おちんちんの方を切ってくれないかなとも思ったが、病院に行く勇気も無かった。
 
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そしてその頃私は、おちんちんよりタマタマの方が問題であるということをまだ理解していなかった。
 
 
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夏の日の想い出・たまご(4)

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