広告:ニューハーフ恋子の告白-綾小路恋子
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■娘たちのエンブリオ(10)

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10月30日(木).
 
龍虎が10月23日に申請したパスポートは10月30日以降受け取り可能と受領証に書かれていたので、この日龍虎は学校が終わった後、パスポートセンター熊谷支所に行き、受領証に印紙と県証紙を貼って提出。受け取った。この時窓口の人が申請した時と同じ人だったので、一瞬
「あなた女性では?」
と言われたものの
「あ、こないだの子か!」
と気付いてくれたようで、無事、渡してくれた。
 
龍虎は紅川社長からすぐにESTAを取ってと言われた。写真集の撮影先はハワイになったらしい。ESTAは母がやり方を知っていたので帰宅してすぐやってくれたが、母が操作しているのを見て、これ自分にはとても無理!と思った。
 
「ここの質問は全部ノーにすればいいのよ。うっかりイエスにすれば拒否される」
「知らずにイエス選択したらアウトか・・・」
「一応24時間経ったら再申請できるけど、申請する度に14ドル(1500円)掛かる」
「大変だぁ。でもこれ1回取っておけば何年か有効なの?」
「2年間有効。但しその間に結婚したり、改名したり、性転換した場合は取り直しが必要」
 
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「結婚や改名する予定は無いなあ」
「性転換する予定は?」
と母から訊かれて龍虎は悩んだ。
 
「ボク性転換することは・・・無いよね?」
「あんた性転換したいの?」
「別にしたくないけど、みんなボクに女の子になりなよと言うんだもん」
 
と龍虎が言うと、母は笑っていた。
 
「でも実際問題として、別にちんちん無くてもいいんでしょ?」
と母は訊いた。龍虎は少し考えてから答えた。
 
「無くてもいい気はするけど、たとえちんちんが無くてもボクは男だよ」
 
「うん。それでいい」
と母は笑顔で答えた。
 

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10月30日(木).
 
冬子はパープルキャッツが伴奏して音源製作をしている新人歌手・丸山アイの制作現場を訪れた。
 
丸山アイが両声類だというのは升山黒美(noir)から聞いていたのだが、彼女はその場で「女性ポップス歌手」丸山アイと「男性演歌歌手」高倉竜に変身!?してみせた。切り替えに1分くらい掛かるのだが、その1分で、完璧に雰囲気が変わってしまうのである。丸山アイの時はどこにでもいる普通の少女なのだが高倉竜はかっこいい男性である。顔や体型が変わるわけではないのに、丸山アイは女の子にしか見えず、高倉竜は男にしか見えない。
 
「アイちゃんって男の子なんですか?女の子なんですか?」
と冬子は担当している谷津さんに尋ねたが
「私も教えてもらってないのよ!」
と彼女は言っていた。
 
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なお高倉竜はCDのみで活動する歌手で、ライブも行わないし、いっさいビジュアルは公開しない方針である。
 
丸山アイの方は音源製作が終わった後、11月下旬くらいに全国キャンペーンツアーをする予定らしい。
 

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10月31日(金)はFIBAが指定していた改革の締め切り日であったが、日本バスケットボール協会には何も動きは無かった。そもそも会長不在で執行能力はゼロに近い状態になっており、何かができる状況でも無かった。
 
これで日本は資格停止を含む何らかの制裁をくらうのは確実となった。
 
日本バスケットボール協会はビッグリップを迎えた。
 

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11月1日(土).
 
龍虎の中学では文化祭が行われた。文化祭は教室での展示等と体育館での発表に別れている。多くの文化部では拠点にしている特別教室(美術部は美術室、科学部は理科室、家庭部は調理室、パソコン部はコンピュータ室、書道部は会議室、JRCは少人数教室B、などなど)で展示をしている。各クラスでは、多くの場合、何かのテーマに沿った研究発表あるいは模擬店を実施した。
 
龍虎たちの1年3組では最初「街の地図」作りをしようということになったのだが、何と1年5組とテーマがかぶった。それでクラス委員がじゃんけんをしたところ、3組は負けた!ので模擬店をすることになった。
 
「ジャンケンに負けた伊東はウェイトレスをすること」
「それお客さんが逃げてくから会計係で勘弁して」
 
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体育館のプログラムはこのようになっている。
 
09:00 吹奏楽部演奏
09:40 1年生各組合唱(6分×6組)
10:30 演劇部「きりんの手紙」
11:10 2年生各組合唱
12:00 有志バンド演奏(15分×4組)
13:00 ダンス部発表
13:20 太鼓部発表
13:40 3年生各組合唱
14:30 英語部「物を言わぬ姫」
15:10 コーラス部演奏
15:40 職員有志(16:00終了)
 
龍虎は9:52-9:58に1年3組の合唱に出て行き15:10からのコーラス部演奏にも出る。クラスの模擬店は11:00-15:00の間に運用するので、クラスの合唱が終わった後、準備をすればよい。
 

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コーラス部の方は8−9月に行われたコーラス大会でも歌った曲に加えて親しみやすい曲を2曲歌って合計4曲の演奏である。
 
今年のコーラス部は市の大会で優勝、埼玉県大会でも2位に入り、関東甲信越大会に出場したものの、そこで上位には入れず、全国大会には行けなかった。
 
クラスの合唱は9月になってからHRの時間に練習をしてきた。模擬店の企画はクラス委員を中心に数人の女子が中心になって企画をまとめていたようである。
 
飲み物を入れる程度以外の調理は禁止なので、紅茶やコーヒーと、乾き物のお菓子のセットが中心になる。でもミスドのドーナツが仕入れられることになって、これは結構売れるかもという声が出ていた(収益は生徒会の予算に組み込まれる。損失が出ても生徒会が補填する)。
 
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龍虎たちは金曜日には体育館にパイプ椅子を並べ、明日の模擬店用のデコレーション作りなどもした。
 
当日は朝HRが行われた後は9:40まで自由行動となるので彩佳たちと一緒に吹奏楽部の演奏を聞いていた。その後体育館の端に集まり、順番を待って1年2組の後、ステージに上がって遠上笑美子の『魔法のマーマレード』を歌った。その後は教室に戻り、全員で机をアレンジして模擬店の準備をする。
 
「ウェイトレスは誰々がするんだっけ?」
「麻耶ちゃん、彩佳ちゃん、富菜ちゃん、麻由美ちゃん、に私。でも他の子もやっていいよ」
「取り敢えず富菜ちゃんが休んでいる訳だけど」
「うっ。誰か代わって」
「それなら龍ちゃんだな」
「え〜〜〜〜?」
「龍ちゃん、ウェイトレスさんの衣裳着たいよね?」
「これメイドさんみたいで可愛いよ」
 
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「えっと。。。」
 
そういう訳で龍虎はウェイトレスの衣裳を着せられ、髪にはホワイト・ブリムまで付けられてしまった。ちなみにこの衣裳は実は龍虎が春風アルトに頼んで揃えてもらったものであった。
 
「可愛い!」
「やはり龍ちゃんはこういう傾向よね」
「これで売上げが2割増える」
 
などと言われた。
 
「ちなみにトイレは女子トイレ使ってね」
 

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11:00に模擬店を開けた後、4時間も運用するので、ウェイトレス役の子は途中で適宜交替して、結果的にはクラスの女子(12名)はほとんどやったのだが、龍虎は最初から最後近くまで、ずっとやっていた(途中2度トイレに行っただけ)。
 
模擬店は15時までだが、15:10からコーラス部の発表がある。それで模擬店は14:30であがらせてもらい、音楽室に集合することにする。龍虎の後は桐絵がやってくれるので、移動黒板を置きカーテンを引いている一角で着換える。
 
「あれ?ボクの学生服が無い」
「え?」
 
それで桐絵と、龍虎と同じコーラス部で、一緒に音楽室に行く予定の宏恵も探してくれるが、マジで見当たらない。
 
「どうしよう?」
「龍。集合時間に遅れたらやばいよ。取り敢えず私の制服着ていかない?」
 
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と桐絵が言う。彼女は今制服を脱ぎ、龍虎が今まで着ていたウェイトレスさんの服を着ようとしている所である(龍虎・彩佳・宏恵・桐絵の4人の間では服の貸し借りは抵抗感が無い。またお互いの下着姿を見るのも全く平気である)。
 
「それがいいと思う。時間が無いもん。戻ってきてから探そう」
 
「うん。そうしようか」
 
それで龍虎は不本意ではあったのだが、桐絵が脱いだ制服を着て、宏恵と一緒に音楽室に向かったのであった。桐絵の方が身体は大きいので桐絵の制服を龍虎は着ることが出来る。ウェストが大きすぎるのは安全ピンでブラウスに留めておく。
 

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それで龍虎は桐絵のセーラー服を着て音楽室に入り、ソプラノの列に並んだのだが、龍虎は女子制服とか着てきて何か言われるかなと思ったものの・・・
 
何も言われなかった!
 
コーラス部の他の生徒たちも先生も何も言わないので、龍虎としては拍子抜けである。それで練習してから体育館に向かう。英語劇が終わり、急いで大道具の撤収が行われる。5分ほどで片付き、コーラス部に引き継がれる。ピアノを男子部員たちがステージ脇から押し出す。ピアノはステージの左(下手)端に。そして、中央に指揮台を置く。
 
歌唱する部員が入る。ソプラノ・アルト・テノール・バスの順に並ぶ。ピアノのそばがバスである。龍虎はソプラノなので一番向こうの方(上手)に並ぶ。
 
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実は8−9月の大会では龍虎は学生服でソプラノの列に並んだので、周囲が全員セーラー服の中でひとりだけポツンと学生服の子がいる状態になり、それを見た観客からけっこうなざわめきが起きていた。しかし今日は龍虎もセーラー服を着ているので全く違和感が無い。
 
それで顧問の須賀先生が出てきて指揮台の所に立ち、演奏が始まる。歌うのは大会でも演奏した『どっこ沼』『桜の季節』、その後、教科書にも載っている『浜辺の歌』、そして『踊るポンポコリン』で盛り上げて終了した。
 

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そのまま解散となるので、教室に戻る。
 
「ボク、セーラー服を着ていたのに何で誰にも何も言われなかったんだろう?」
などと龍虎が言うと
「それは龍がセーラー服を着ていて全く不自然さが無いからだと思うよ」
と宏恵は言った。
 
「人は不自然な物を見ると気付くけど、自然なものには反応しないんだな。普通の男の子がセーラー服を着てたら違和感あるから『何でセーラー服なの?』とか訊かれると思うけど、龍はセーラー服を着てるのが自然なんだもん」
 
「うーん・・・」
 
「ついでに言うと、龍は学生服を着ていると違和感がある」
「ボク、コーラス大会の市大会でも県大会でも関東甲信越大会でも、どうして学生服着てるんですか?と訊かれた」
 
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「まあ訊きたくなるね」
 

教室に戻ると、もう模擬店は終了し、片付けが進んでいる。龍虎と宏恵もそれを手伝う。その片付けがかなり進んだ所で
 
「ここに誰かの学生服がある」
という声がある。
「ボクのかも」
とセーラー服姿の龍虎が寄ってみる。
 
「ああ。田代というネームが入っている」
「でも田代さん、もうこれ着ないんでしょ?」
「え?なんで?」
 
「11月からはセーラー服を着てくるという話を聞いていたから、朝は何で学生服着ているんだろう?と思ってた」
「龍ちゃん、セーラー服やはり似合うよ。週明けからはそれ着て来るの?」
 
などとみんな言っている。
 
「別にセーラー服を着てきたりしないけど。さっきはどうしても見つからなかったから、これ桐絵から借りた」
と龍虎は説明する。ちなみに桐絵は体操服を着ている。
 
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「だけど今度アイドルデビューするんでしょ?」
「話聞いてすごーいと思った」
「ロックギャルコンテストって全国規模のオーディションで優勝したのよ」
「よかったら、後でもいいからサインちょうだいよ」
「ごめーん。校内ではサイン禁止なんだよ」
 
「でも龍ちゃん可愛いもん。普通に女の子アイドルできるよ」
「それで学校でもセーラー服で通学するんでしょ?」
「女の子アイドルなのに学校に学生服で通学してたら変だもんね」
 
「学籍簿もちゃんと女子に変更されたんだよ。ほらこれ新しい出席簿」
と言ってクラス委員の花菜が今日11/1の日付が入った出席簿を見せる。この学校は男女混合名簿なのだが、名前だけでは性別が分かりにくい子も結構居るので、男子には◇、女子には▲のマークが入っている。これまで龍虎の所には◇のマークが印刷されていたが、この出席簿では▲マークになっているのである。
 
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龍虎はうっそー!?と思った。
 
「ああ、やはりちゃんと女の子に修正されたのね」
「戸籍上も女の子になったの?」
「戸籍の性別は性転換手術しないと変えられないんじゃないの?」
「性転換手術は夏休みに済ませたと聞いた」
「ゴールデンウィークに済ませたんじゃなかった?」
 
「でもセーラー服姿はこれまでも何度か見たね」
「やはり学生服は不自然だったもんね」
「だいたい学生服の下にはワイシャツじゃなくてブラウス着てたし」
 
「別に女の子にはならないよぉ。手術もしてないし、なるのは男の子アイドルだよ。これまで何度か着てたセーラー服も借り物だよ」
と龍虎は言うものの
 
「セーラー服、ちゃんと作るまで、取り敢えず誰かから借りておくのね」
「龍ちゃん、おっぱいはあったしね」
「うん。いつもブラジャーしてるね」
「だから、性転換手術しなくても、既にほぼ女の子になっていた気がする」
「龍ちゃんにちんちんが無いことと、おっぱいがあることはQS小出身の多くの女子がお風呂で確認している」
「体育の時間に着換える時、龍ちゃんのパンティには膨らみが無いもん。ちんちんが無いのは明らかだよ」
「胸も間違い無くあるし」
 
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「割れ目ちゃんが無かったのを作ったんだっけ?」
「ヴァギナが無かったのを作ったのでは?」
「卵巣とか子宮を移植したんだっけ?」
などと友人たちの声。
 
「そんなの作ってない、移植とかしてない」
「じゃ12月までに手術するの?」
などと言われる。
 
龍虎はこれ、どうすれば、みんなに男の子アイドルだというのを理解してもらえるのだろう?と悩んだ。彩佳や桐絵は大笑いしているし。。。。
 

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娘たちのエンブリオ(10)

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