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■代親の死神(5)

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(C) Eriko Kawaguchi 2022-02-10
 
グレンツは、大学でよく医学を勉強していましたし、その上5年間にわたって、別の医師のもとで実際の診察・治療にも当たっていたのでひとり立ちしても、的確に病状を判断し、的確な投薬で患者を治していきました。
 
グレンツの“本性”はすぐ患者さんたちに認識されることになります。
 
「あのお医者さん、女の気持ちがよく分かるみたい」
「女特有のことがよく分かってるよね」
「あの先生、実は女で、男装してるということは?」
「それもありそうな気がしてきた!」
 
ということで、当時は(正規の医師免許を持つ)女性医師は他には居ないため女性たちに人気となり、患者の7割くらいが女性という状況になりました(まじない師のような感じの非正規の女性医師は存在する)。
 
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女性患者は特に婦人科系のトラブルの場合、男性医師に性器を診せるのは恥ずかしいのを通り越して罪悪感さえ覚えるので、女性医師なら安心だったのです。それでローテンブルクだけでなく、ニュルンベルクやヴュルツブルクなどからわざわざ掛かりに来る人までありました。
 
↓地図再掲

 

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開業してから2ヶ月ほど経った時、往診を頼むと言われて出かけていきました。そこは豪邸でしたが、そこの主人かと思われる40歳前後の男が寝ていました。いかにもすぐ死にそうに見えます。グレンツはちらっと死神を見ました。死神は患者の枕元に立っています。だったら助かるはずです。
 
「これは重い病気ですが、治る可能性があります」
とグレンツは言うと、お湯を用意させ、例の薬草を溶かして患者に飲ませました。すると翌日には患者は容体が持ち直し、その後は普通の治療でみるみる内に快方に向かいました。そして半月ほどで起き上がれるようになったのです。
 
患者は「よく助けてくれた」と言って、グレンツにたくさん御礼をしました。
 
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4ヶ月ほど経った時、また患者の往診を頼まれました。患者は60歳くらいの女で、いかにも死にそうに見えます。死神をちらっと見ると死神は患者の足元に立っています。グレンツは患者の体温を見たり、胸に手を当てて心音を確認したりしていましたが、やがて難しい顔をして席を立ち、廊下に患者の息子さんを呼びました。
 
「申し訳ありませんが、もう手遅れです。これは手の施しようがありません」
「そうですか」
と息子さんは覚悟していたように答えました。
 
グレンツは患者があまり痛みなどを感じなくて済む薬を処方してあげましたが、患者は一週間後に亡くなりました。息子は母があまり苦しまなくて済んだことに感謝してお礼をしてくれました。グレンツはお葬式にお花を贈っておきました。
 
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それ以降、グレンツは通常病院で診察・治療をするとともに、時々往診を頼まれました。往診を頼まれるのは多くが重症患者だったのですが、グレンツは死神の立っている位置を見て、助かるか助からないかを判断。助かる患者には例の薬草を飲ませて助けました。
 
その内、グレンツは「あのお医者さんが助かると言った患者は必ず助かる」ということで随分評判になりました。しかし評判になるにつれ、重症患者を診てくれという依頼も多くなり、結果的に首を振る率も高くなりました。
 
「何を悩んでるの?」
と代母は訊きました。
 
「最近、ひたすら『手遅れです』『助かりません』と言い続けてるなあと思って」
「そういう患者ばかり頼まれてるんだから仕方ないでしょ。死に行く患者を見送るのは医者というものの宿命だよ」
 
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「それは覚悟していたつもりだったんだけど、人の生命(いのち)は重い」
「重いけど、人はいつか死ぬものだからね」
「そうだよね〜。また頑張る」
「うん」
 

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「ところで、あんた結婚しないの?」
「仕事が忙しくて女の子と付き合う時間が無いよ」
「男と結婚する?“男の医者”と組んで病院を経営して、あんたは主として女を見ればいい。適当な男を紹介しようか?」
 
「・・・・・」
 
「まあそこまでしなくても、女の服を着るだけでもストレス解消になるよ。ひとり暮らしで気兼ねもないし。家の中では女の服を着てたら?」
 
「それもいいかもね」
 
「じゃ私が女の服を買ってきてあげるよ」
「え〜〜!?」
 
「ちゃんと乳帯も着けなよ」
「・・・・それ着けたことない」
「じぉ着け方教えてあげるね」
と代母は楽しそうに言いました。
 
それでグレンツは自宅(病院に隣接している)では女の格好をしていて、病院に出勤する時だけ男の格好をするようになりました。代母が言ったとおり、これは結構ストレス発散になりました。
 
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ところで、この頃から、グレンツ(Grenz)のことを“Dr. Grenze”と呼ぶ人たちが出てきました。Grenze (グレンツェ)というのは境界という意味。つまり Dr. Grenze というのは“境界博士”という意味です。
 
重症患者を助かるか助からないか、一瞬で見分けることから、生と死の境界を見極めるということで、本名の Grenz に引っかけて、Dr. Grenze (Doktor Grenze) の名前ができました。でも元々グレンツ(Grenz) というのは、彼が年の境界、1年が終わって新しい年が始まる瞬間に生まれて来たことから付けられた名前なので、Grenze の方が本来の名前だったかも知れません。
 
もっとも Grenze というのは女性名詞なので、Doktor Grenze というのは言葉の“納まり”が悪く、その内、Doktorin Grenze (ドクトリン・グレンツェ:境界女博士!?)と呼ぶ人たちも出て来ました。その名前が一人歩きしてしまい、グレンツの病院に来てから
 
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「女先生は今日は休診ですか?」
と訊く患者さんまでいて、婦長のイルマが忍び笑いしていました!
 

「あんた、ほんとに女の格好で病院に出たら?そしたら女医者として有名になるよ」
と代母は笑いながら言います。
 
「恥ずかしいよぉ」
「ああ、嫌な訳じゃないのね?取り敢えず髪は伸ばすといいよ」
「・・・・・」
 
どっちみち、グレンツの病院は患者が多くて、とてもひとりでは患者を診きれなくなってしまいます。それでグレンツは、開業して1年経った時、大学時代にルームメイトだったものの度重なる規律違反で退学処分になったフランクの弟ロベルトがちょうど医学博士になって大学を卒業したのを雇いました(グレンツやフランクの6つ下)。兄と違ってロベルトは真面目な性格で、また外科が得意だったので助かりました。
 
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それで、内科は主としてグレンツが、また外科は主としてロベルトが診るようになりました。しかし女性の患者はグレンツに診てもらうことを希望するので、結局女はグレンツが診て、男はロベルトが診る感じになりました。実際男性の患者には仕事中の怪我などの受診が多く、女は内科・婦人科疾患が多かったというのもありました。
 
そして女の患者さんたちにはグレンツのことを“ドクトリン・グレンツェ”つまり女医者だと思い込んでいる人たちが多かったのです。グレンツは見た目が優しい雰囲気だし、髪も長くしていて結構女に見えるし、また女の身体のことをよく分かっているので、彼が男の声で話していても、患者さんは“グレンツェ”が女だと思ってしまうようです。
 
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「やはりあんた女医者になっちゃったね。いっそ本当の女に変えてあげようか」
「・・・・・」
「あ、迷ってる。女になりたくなったら言ってね。ロベルトと結婚してもいいじゃん」
「いや、彼には恋愛感情は持ってない」
「ふーん」
 
ロベルトは実際にはここの医師になってから3年目に21歳の看護婦ユリアと結婚しました。もっともユリアはロベルトにプロポーズされた時
 
「私てっきりロベルトは女院長と実質夫婦なのかと思ってた」
などと言ったらしいですが!
 

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医者になってから10年、ローテンブルクで開業してからも5年が過ぎ、グレンツはこの町いちばんの名医と言われていました。彼自身もう39歳になっています。病院では3人目の医師ミハエルを雇って医師3人体制になっていました。ミハエルはグレンツ同様内科が得意なので、結果的には男の内科の患者はミハエルが、女の内科・婦人科の患者はグレンツが診る感じになりました(男の婦人科患者はめったに?居ない)。但し重症患者は多くグレンツに託されました。彼は死神の立っている位置を見て、助けられるだけの患者を助けました。
 
もっとも彼がこの薬(ナハトはレーベングラス Lebengras 生命の草:と呼んでいた)を飲ませる場面は、彼以外には見えていないようでした。ナハトは「この薬は本来この世のものではないからね」と言っていました。彼はこの植物がラベンダー (ドイツ語ではラベンデル Lavendel) の近隣系統の植物のようだと感じ、ラベンダーとのハーフを作ってみました。この“レーベンデル”はミハエルやロベルトにも見えるようでした。それで重症・重傷患者の改善に結構効果を発揮しました。この薬草は後にグレンツが引退した後、この病院の宝物となります。
 
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この時期、一番上の兄・ユリオン(51)は大工を引退して息子に仕事を任せていました。カメリエ(49)やリリエ(43)にはもう孫ができていました。フリーダ(50)はすっかり良いお婆ちゃん!になっていました。“ムター・フリーダ”(英語でいえばマザー・フリーダ)と呼ばれて信徒たちに親しまれていました。フリーダが育てていた子供(ルイーザが産んだ子)も結婚して子供ができていたので、フリーダも実際に“お祖母ちゃん”です。
 
収入の大きいグレンツは兄姉たちの子供や孫の代親にもなってあげ、また教育費の支援などもしていました。ちなみに彼としては?代父”(Pate パーテ)のつもりですが、支援されている甥姪、甥孫・姪孫たちは、“代母”(Patin ハーティン)と思っている気もしましたが!?
 
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ノアの末娘エリカなんて
「女の医者って格好いいなあ。私も男の振りしてギムナジウム行って大学行って女医者になろうかなあ」
などと言っていました!
 
(彼女は本当に医師の資格を取り、グレンツの死後病院を継承して2代目院長になります)
 
グレンツと並んで収入の多い弁護士のローランド(47)も色々な子の“代父”をしています。彼自身、孫が5人もいて、良いお祖父ちゃんです。彼はもう30年以上男として生きているので、彼が本当は女だというのは、もうきょうだいたちも忘れかけていました。
 
「ローランドって、ひょっとしてちんちんあるの?」
「そりゃ僕は男だから、チンコくらいあるよ」
「・・・」
 
兄姉たちが、子供や孫に囲まれて生活しているのを見ながら、グレンツは、自分は結局結婚しないままになってしまったなあと思っていました。
 
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代親の死神(5)

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