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■夏の日の想い出・2年生の夏(8)

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「よしよし、いい返事をするな」といってEliseはマリにもキスをする。こりゃ、かなり酔ってるなと私は思った。この会話、酔いが覚めたら覚えてなかったりして。。。。などと思ったので、私はEliseに提案をした。
 
「ね。Eliseさん、今度お互いの交換ミニアルバムとか作りません?」
「ん?交換アルバム?」
「スイート・ヴァニラズで作った曲をローズクォーツが演奏して、ローズクォーツが作った曲をスイート・ヴァニラズが演奏して、それぞれミニアルバムにしちゃう。各々6〜7曲くらいずつ」
「おお、面白い。やろう、やろう。どうせだから、スイート・ヴァニラズはローズクォーツ風に演奏する。ローズクォーツはスイート・ヴァニラズ風に演奏する」
「あ、面白いですね」
「でも女性ボーカルがそちらは1人だからな、あ。マリも入ればいいじゃん」
「乗った!私も歌います」と政子。
 
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もしこの話をEliseが覚えていたら、セックス談義についてもEliseは覚えているということになる。
 
そしてこの企画はその秋に実現してしまったのであった。こうして私にセックス体験があることを知る人物が、政子・美智子の他にもう1人増えた。
 

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打ち上げが終わってから私達はお互いに握手してから解散した。美智子と河合さんは、まだ話し足りないようで、ふたりでどこかに消えていった。Eliseは最後は完全にダウンしていたのでLondaが抱えるようにして連れて帰る。私はマキたちをタクシーに乗せたあと、何となく一緒に政子の家に戻った。
 
買い置きのアイスを食べながら、くつろぐ。
「ね。冬、エリゼさんから冬にオナニーの仕方教えてやれと言われたけど」
「あはは、だいたいは分かるかな。自分で研究するから分からない時指導してもらうということで」
「そうだね。なんなら模範演技してあげてもいいけど?」
「そのうち」
「ふふ。そろそろシャワー浴びて寝ようか。冬お先にどうぞ」
「ありがとう」
 
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交替でシャワーを浴びることにして、先に私がシャワーさせてもらった。パジャマに着替え寝室に入る。この家には私の着替えもかなり置いてあるのである。少しうとうとしかけていたら、政子がシャワーを終えて入ってきた。
 
「パジャマなんて脱いで、裸になろうか」
という政子も裸である。
 
「えー?」
「研究するんでしょう?裸の方が気持ち良くなれるよ」
「あはは。ま、いっか」
私は服を脱いで裸になった。そのままベッドに横たわる。
 
「でもきれいに女の子になっちゃったよね」
といって政子は私の胸やお股に触った。
「えへへ。でも政子の身体もきれいだよ」
「私達、変なプロダクション入ってたらレズ映画とか撮ってたかもね」
「美智子がいい人でよかったね」
「うん。でも冬とならそういうことしてもよかったかな」
「えー?」
政子は私にキスをした。でもそのキスは親愛のキスだというのが伝わってくる。
 
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「オナニー教えてあげようと思ったけど、私眠くなっちゃった。代わりに今夜はくっついて寝よう」
「うん」
政子はそのまま私のそばに寝て身体を密着させ、私のお腹の付近に片手を置くと、タオルケットをふたりの身体に掛けた。
「おやすみ」
「おやすみ」
 
そのままうとうととしていたら、政子が指で私のあのあたりに触ってくる。「なあに?」と私は訊いた。
「触ってみただけ」
「私も触り返しちゃうよ」
「いいよ」
というので私は政子のあのあたりに触る。
 
「でも冬が女の子になっちゃったのには、私が煽った分もあるかなあ、とか思っちゃったりして。少し責任感じちゃう」
「私は今の状態が幸せだから、マーサはむしろ恩人」
「ふふふ。でも赤ちゃん産めないもんね。冬」
「それは仕方ないよ」
 
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「あのね。少し前から考えてたんだけど、もしさ、私が将来子供2人産んだら、ひとりは冬の子供にしてあげる」
「えー、そんなこと言っちゃだめだよ。マーサの結婚相手の考えもあるだろうし」
「だって私が産むんだもん。好きなようにさせてもらう。彼が子供2人欲しいと言ったら4人産んで、2人は冬の子供にするし、彼が子供3人欲しいと言ったら6人産んで、3人は冬の子供にするの」
「6人も産むの?」
 
「そのくらいは頑張れば行けるかな。その時は冬、頑張って3人育ててね。あ。でもシングルマザーという手もあるな。そっちのほうが気楽かも。種だけもらって勝手に1人で産んで1人で育てる」
「ひとりで育てるの大変かもよ」
「うん。でも旦那の世話とか面倒くさい気もするのよねー。子供の世話は頑張れると思うんだけど」
「でも旦那様とお互い精神的に支え合っていけるんじゃない?結婚すれば」
「そういう相手と巡り会えたらいいけどねー。そういう男なかなかいないんだよ。ただの負荷にしかならないような男が多い」
「随分悲観的・・・あれれ、Eliseさんも似たようなこと言ってた気が」
 
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「エリゼさん・・・・最近彼氏と別れたんじゃないかなあ。なんかそんな雰囲気感じた。多分相手に浮気された」
「あ、それは気付かなかった」
「なんか恋愛論が私以上にペシミスティックだったもん」
「そうか。。。。マーサは・・・・彼氏作らないの?」
「うーん。。。冬こそどうなの?好きな男の子とかいないの?」
 
「私・・・去勢してから性欲がほとんど無くなっちゃったのよね。それと共に恋愛にも消極的になっちゃった気がして。でも青葉ちゃんから言われたの。恋はしなきゃダメだって。性欲が無くなったと思うのも、去勢したから性欲は無くなるんじゃないかと私自身が思っているからにすぎないって。ほんとは性欲ちゃんとある筈だし、恋もできるはずって」
 
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「それ当たってると思う。男の子から女の子に立場が変わって、ちょっと混乱しているだけだと思うな。冬はちゃんと恋できるよ。性欲は私が少し開発してあげようか?」
「そこに戻ってくるのか!」
「ふふふ。よし、冬69しよっ」
「なぜ〜?」
「いいじゃん、研究・研究。今日は私が上になってあげる」
政子はそういうと私の身体の上に乗ってきた。。。。。。。。
 

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その夜の記憶はそのあたりで切れている。結局私は政子とその晩69したのかどうか記憶が曖昧なのである。ただ目が覚めた時、政子はふつうに私のそばに寝ていたし、私は自分のあのあたりに触ってみたが、特に特別な感触も無かった。ただ翌朝、一緒に朝食のシリアルを食べながら政子はこんなことを言った。
 
「ねー、冬。もし私と恋人になりたいって気があったら早めに言ってよね」
「え?私とマーサって、友達でいいんだよね」
「ほんとに友達で大丈夫?」
「うん。私、その方がいい気がする。あ。でも政子が私と恋人がいいと思ったら言って。私、政子のこと好きになることもできる気がする。それともし私と入籍したいとかいう気があったら、来月までに言ってよね。私、誕生日過ぎたら戸籍の性別変えちゃうから、そのあとは籍入れられなくなるから」
 
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「冬はちゃんと性別は女に変えるべきだと思う」
「うん。じゃ変えちゃうよ」
「うん、Go!だよ」
 
「取り敢えず。。。。私達、友達でいいんだよね」
「うん。友達でいよう。今の所は」
 
そう言って、私達は唇でキスをしたのであった。
 

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それから1週間ほどした月曜日だった。月火は一応休みなので、私は朝からエステと美容室に行った後、街をぶらぶらと散歩していた。
 
スタバでショートドリップを飲みながら携帯でネットを見ていた時、
「あれ?もしかして。唐本・・・さん?」
と声を掛けられた。
 
「あら、木原君」
「やはり唐本さんか。でも見違えたなあ」
それは高校の同級生の木原正望君だった。彼は一橋大学に進学したはずだ。
「むしろ、よく私と分かったね。あ、立ち話も何だし、座らない?」
「あ、うん」
と言って彼は同じテーブルの向いの席に座った。
「たまたま先週、クラスメイトの女の子が『これにケイちゃん載ってるよ』ってnonnoを見せてくれて。高校の同級生だったってことは話してたもんだから」
「ああ、インタビューで載ったもんね」
「それで最近の写真を見てたんだ」
「なるほど」
 
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「あ、『キュピパラ・ペポリカ』思わず着うたフル落としちゃったよ。何か不思議な曲だなと思って」
「わあ、ありがとう。我ながら面白い曲だと思ったんだ、あれ」
「でも、唐本さん、ほんと可愛くなったね」
「ありがと。今日は美容院行ってきたばかりだしね」
「こういう唐本さんの実物見たの、僕初めてだけど、ほんとに女の子にしか見えないんだね。でもやはり、いつもきっちりメイクなの?」
「今日はたまたま。オフの時はすっぴんで歩き回ってることもあるよ」
「へー」
「一応、万一写真週刊誌に撮られても恥ずかしくない程度の格好はしておけ、とは言われてるけどね」
「あはは、その辺はたいへんだね」
 
木原君とは学校のこととか、同級生の消息とかを話した。私は高校3年の頃、女子の同級生とよく話をするようになるとともに、男子の同級生とはあまり話をしなくなっていっていたが、最後の頃まで比較的よく会話を交わしていた男子の同級生も何人かして、木原君はその中のひとりだった。
 
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「あっと、もうこんな時間。私15時半の飛行機に乗るから」
「あ、ごめんね」
「ううん。でも久しぶりに話せて楽しかったよ」
「僕も・・・あ、携帯のアドレスとか、交換できないよね」
「いいよ。交換しよっ」
 
私は木原君とアドレスの交換をしてからバイバイをして地下鉄の駅へと下りて行った。あれ?仕事関係以外の人で男の人と話をしたのは久しぶりだな、などと私は思った。
 
 
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