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■夏の日の想い出・花の繋がり(4)

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今日は急なことだったので、取り敢えず全員できる楽器を弾き、楽器演奏と同時に歌える人が歌うという方向だったのだが、やはりひとりずつに見せ場を作ろうということになる。譜面が読める白浜さんと花恋に各曲各パートの音域をチェックして表にしてもらっていたので、それを元にそれぞれのメインボーカルを決めた。8人がどれかひとつはメインボーカルを歌う。残りの3曲は、私と和泉とゆみがメインを歌うことにした。他にも弾き語り困難な楽器を弾いているマリ・光帆・ゆみもメインボーカル以外で3回ずつ楽器を休んで歌うことにする。結局次のような形のメイン/サブで歌うことになった。
(音羽・小風・美空・和泉・ケイは毎回歌唱参加)
 
_____ MCケイ 
和泉/ゆみ MC音羽 
音羽/マリ 
ケイ/光帆 MC小風 
小風/ゆみ MCマリ 
マリ/   
ゆみ/光帆 MC美空 
美空/マリ 
光帆/   MC光帆 
ケイ/ゆみ MCゆみ 
和泉/光帆 
ゆみ/マリ MC和泉 
 
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全曲通して演奏してみる。みんな多少間違うものの気にせず先に行く。それでも「今の曲はもう一度やろう」ということにした曲も出たし難しい曲は何度も練習したので、結局3時間ほどの練習となった。
 
また、今日のステージでは難しい曲では音羽はボーカルを休んで楽器に集中したのだが、この練習で「行けそう」ということになったので明日は全曲ギターを弾きながら歌うことにした。
 
練習が終わったのは12時すぎだった。今夜は自宅まで戻るのが大変なので、近くのホテルを確保してもらっており、そちらで寝る。しかし
 
「御飯食べてから寝ようよ」
という複数の声。
 
「なんか山ほどのお弁当とか今川焼きとかあった気がするけど・・・」
「だって、こんなに練習したもん」
 
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ということで、夜食を食べてから寝ることにし、朝一番の出番なので早く寝なければならないAYAを除いた7人に加えて待機してくれていた氷川さんと一緒にぞろぞろと近くの焼肉屋さんに行った。マネージャーの4人はもう帰した。
 
個室に通してもらう。ここは芸能人の客が多いので、個室が多数ある。席に座ると政子や美空が嬉しそうな顔をしている。食べ放題とセットが選択できるが、当然食べ放題を選択する。
 
「結局お弁当は誰が何個食べたんだっけ?」
「数えてないな」と政子。
「私は4個食べたよ」と美空。
「ということは政子は6個か」と私。
「あれ?他の人は2個とか3個とか食べなかったの?」
「複数個入るのは、政子と美空以外有り得ない」と音羽。
 
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「だってフェスであれだけ歌ったらお腹空くよね」と政子が言い
「そうそう」と美空も言う。他のメンバーは黙殺している。
 

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「ところで、ここだけの話、冬と政子が付けてるブレスレットの意味を教えて欲しい」
と音羽。
 
「あ、これはマリッジリング代わり」
と政子はあっさりバラす。氷川さんも微笑んでいる。
 
「あ、やはり結婚したんだ!」
「うん。去年の3月に結婚式を挙げたよ。出席者は私たち含めて4人だけだけど」
 
「えー!? 凄い!」と言ってから音羽は
「今驚いたふうの人の数が少ない」と言う。
 
「私は知ってた」と小風。
「右に同じ」と和泉。
「私は初耳だ」と美空。
 
「一昨年の12月に私が結婚式のブーケ持ってるの見て織絵たちから『次はマリとケイが結婚するのね』と言われたじゃん。結果的にはその通りになった」
「おお、ブーケのリレーか」
 
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「織絵(音羽)と美来(光帆)も結婚しちゃえば? もう1年以上同棲してるよね?」
と政子。
 
「うん。一応それぞれのマンションはあるけど、実際問題としてずっと織絵んちにいる」と光帆。
「冬たちも同じ方式かな。それぞれの家はあるけど、ふたりともずっと冬のマンションにいるよね?」と音羽。
「うん。私たち住民票もふたり同じ場所に置いてるしね」と政子。
「えー!?」
「すごー!」
 
「でも結婚したら町添さんが心臓マヒ起こすかも」
「内緒でやればいいのよ。私たちもこのブレス、プライベートな場でしか付けないようにしてるからね」
「うん、さすがに指輪はマズいだろうとは考えたことある」
 
「政子のステージ復帰には、私と結婚して精神的に安定したのも関わってるかもね」
と私も言っちゃう。
「ふふふ」と政子は笑っている。
 
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「ところで、ここだけの話、Rainbow Flute Bands のフェイの性別教えて下さい」
と小風が氷川さんに訊く。
 
「それ私も知らないんだよ。社内でも知ってる人はごく僅かみたい」
と氷川さん。
 
「ホルモン的にはかなりニュートラルに近いとみたけど、戸籍上の性別は私も見当付かないなあ」
と私は言う。
 
「ホルモン・ニュートラルか・・・初めて出会った頃の冬がそうだよね」
と和泉。
 
「うん。まあニュートラルに近かった。僅かながら女性ホルモン優位。そうしないと、バストが成長しないし、男性ホルモン優位だと声変わりが起きる危険があるから」
 
「ああ、そういうコントロールしてたんだ?」
「男性機能は活かさず殺さず」
「殺しても良かったと思うが」
「その意見に賛成」
「むむ」
 
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「でもそれじゃフェイちゃんもニュートラルには近くても、女性ホルモン優位だよね?」
「だと思う。でないとあの声は維持できないはず」
 
「冬も初期の頃、随分中性的な声で歌ってたね」
 

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「ところで、ここだけの話、水沢歌月って、小風のペンネーム?」
と光帆が訊く。
 
ちょうど氷川さんがトイレに立ったタイミングを狙って尋ねた感じだった。
 
「違いまーす」と小風。
 
「えー?ほんとに?」
「小風ではないということは認めてもよい」と和泉。
 
「私、てっきり水沢歌月って、KARIONの誰かだと思ってたのに。だって曲がさ、今回のジョイントやってて、これはKARIONを一緒にやってる人でないと書けない曲だって気がしたんだよね」と光帆。
「ああ」
 
「マリ&ケイなんて理想的。ふたりで作って、ふたりで歌う」
と音羽。
 
「神崎美恩・浜名麻梨奈も、かなり理想的だと思うけどなあ。ふたりの良き理解者だよ」
と私。
 
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「そうだなあ。付き合い長いし。私と織絵(音羽)が運命的な出会いであったのと同様にあのふたりも運命的な出会いだったんだよ」
と光帆は言う。
 
「元々は神崎さんと美来(光帆)で組んで歌を作ってたのが、美来が忙しすぎて書けなくて、そんな時に代わりに浜名さんに書いてもらったのが、きっかけだと言ってたよね?」
 
「そうそう。『DOWN STORM』。凄い良い出来だったから社長に頼み込んでアルバムに入れてもらったんだ。社長は『こんなの入れるの?』とか消極的だったんだけどさ。それが売り出してみたらアルバム自体が8万枚しか売れてないのに、『DOWN STORM』の単独ダウンロードが30万件行って、FMや有線へのリクエストも凄かったんだよ。そしたら社長も掌返したように『この曲いい曲だよね。当たると思ったんだ』とか」
と光帆。
 
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「あはは」
「いや、君子豹変。それでいいんだよ、トップは」と和泉。
「改めることのできない人はトップの資格が無いね」と私も言う。
 
「それ以前はアイドル歌謡だったよね。ダンスナンバーへの転換のきっかけになったよね?」と小風。
「08年組はスリーピーマイス以外、みんな最初はアイドル歌謡だったね。でもどこかでその道から外れてる」
 
「外れてから売れてるね、みんな」
「ゆみちゃん(AYA)だけかな。アイドル歌謡で売ってるのは」
「まあ。それで売れてるからいいんじゃないの?」
「このあたりでマンボダンサーに変身とか」
「なにゆえマンボ〜?」
「今頃くしゃみしてるな」
 

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「で、水沢歌月って結局誰なのさ?」と音羽。
 
「まあ、水沢歌月はKARIONのメンバーだよ」と和泉。
 
「え?じゃ、美空なの?」と光帆。
「違いまーす」と美空。
 
「あ、そうか!水沢歌月が4人目のKARIONなんだ?」
とやっと気付いたように光帆は言う。
 
「うん。正解。だからこういうサインが存在する」
と言って和泉は手帳のクリアポケットに入れている《4分割サイン》を見せる。
 
「おぉ!これテレビの鑑定番組で見たことある」
「水沢歌月が入って4分割だったのか!?」
 
「やはり4人目のボーカルも水沢歌月なの?」
「そそ。ピアノとヴァイオリンもね」
「ああ、それでトラベリングベルズが完成するんだ!」
 
「トラベリングベルズは、あの5人に加えて、私のグロッケンと、歌月のピアノ・ヴァイオリンが入って完成する。7人8パートのバンドだよ」
と和泉。
 
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「リズムセクションとそれ以外の楽器は別録りだからピアノとヴァイオリンを兼任できるんだよね。まあ私や美空もパーカッション打ってたりするけど」
と小風が補足する。
 
「でもなんで、表に出て歌わないの? 音源ではふつうに歌ってるんでしょ?」
 
「まあ、そのあたりは色々事情があってね。ここだけの話、4ボーカルの曲では一貫して歌月が歌ってる。最初のCDの『鏡の国』以来。あの子器用だから、CDごとに声色や歌い方まで変えて歌ってるんだよね」
と和泉。
 
「じゃ本当はKARIONは4人のユニットなのか」
と音羽が言うが、和泉は
「ううん。実は6人いる」
と言うので、
「えーーー!?」
と音羽と光帆が驚いたように言った。
 
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「待て。今、驚いてもいいはずのところで、冬と政子が驚かなかったのはなぜだ?」
と音羽。
 
「だってKARIONが本当は6人いるという話はこないだ聞いてたもん」
と政子。
「まあ、5人目・6人目は名誉メンバーみたいなもので、実態的には4人なんだけどね」
と和泉は補足する。
 
「そうだったのか」
 
「でもXANFUSだって、神崎さん・浜名さんを入れたら4人みたいなもんだよね?」
と小風。
 
「うん。実際にはそういう意識でいる。合同サインまでは作ってないけどね」
と音羽。
 
「あ、そうそう。そのKARIONが実は6人という話に引っかけて、こないだ、こんなの作ったんだよ」
と言って、和泉は自分のパソコンを取り出して『歌う花たち』のmp3を鳴らす。
 
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ちょうど氷川さんがトイレから戻って来たので、水沢歌月の話は今日はここまでという雰囲気になった。
 
「6つ声が聞こえる」と指折り数えていた音羽が言う。
「あれ?これもしかして冬と政子?」と光帆。
「そそ。これは KARION ft. Rose+Lily のクレジットで出す」と和泉、
「ローズ+リリーのアルバムにXANFUSがゲスト参加してたから、こちらも似たようなことをしてやろうと」と小風。
 
「なるほどー」と光帆。
「じゃXANFUSのアルバムに KARIONを招待しよう」と音羽。
「うん、いいよ」と和泉。
 
「でもきれいだね〜。無伴奏ってのもいいなあ」と音羽。
「私も初めて聴きましたが、凄く美しいですね」と氷川さん。
 
「ん? KARIONが3人、ローズ+リリーが2人で5人。もうひとつの声が歌月?」
「いや、それは5人目のKARION」
「うむむむむ!」
 
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話は盛り上がっていたが、明日があるのでホテルに入って寝ることにする。私と政子は当然ダブルだが、音羽と光帆も今日はダブルにしていた。私たちはエレベータの中で束の間の危ない会話をする。
 
「普段のツアーでは一応シングルふたつ取って、実際には片方で一緒に寝てるんだけどね」
と光帆。
 
「ああ、それは私たちも初期の頃やってたなあ」
と政子。
 
「でもシングルでふたり寝ると狭いよね」
「うん。それが問題」
 
「和泉たちは一緒に寝なくてもいいの?」
「私たちは3人ともストレートだから」
「そっか」
「でも和泉はバイの疑いがある」と小風。
「ああ、それは感じてた」と光帆。
 
「和泉は歌月さんと恋愛関係無いの?」と音羽。
「あ、それは無いよ。純粋に友だちだから。まあ、歌月には恋人がいるしね」
と和泉。
 
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「へー」
 
「ビアンも楽しいのに」と音羽。
「Biennes sont bien(レスビアンは素敵)」と政子。
 
「私はやはり男の人と結婚したいなあ」と小風。
「右に同じ」と美空。
「和泉は?」と光帆。
「私はあまり結婚ってしたくない感じ。旦那面されたくないから。恋人がいれば充分だし、子供作るのもシングルマザーでいいや」と和泉。
「ああ、それはあるかもねー」
 
「それは私も同じだなあ。結婚はせずに種だけ適当に調達して子供8人くらい産もうかと」と政子。
 
「8人は凄い」
「そんなに産んだら子育てで音楽活動できないのでは?」
「大丈夫。冬が育ててくれるから」
「うむむ」
 
「冬は子育てしながら曲を書いたり歌ったりできるの?」
「大丈夫。冬はたぶん5人くらい居るから」
「そうだったのか!」
 
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